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【ULTRAMAN SUIT ANOTHER UNIVERSE】
8U-英雄- 編 Episode 33  時と生と死を覆う絶望の闇

2022.08.11

ULTRAMAN SUIT ANOTHER UNIVERSE 月刊ホビージャパン2022年9月号(7月25日発売)

【ULTRAMAN SUIT ANOTHER UNIVERSE】8U-英雄- 編 Episode 33  時と生と死を覆う絶望の闇

 

 ULTRAMAN SUIT ANOTHER UNIVERSEフォトストーリー、8U編第8回。
 〈レーテ〉に蓄積した恐怖の感情が最大になった時、究極の闇の鎧―DARK ZAGI SUITが誕生した。SUITを装着したダークゴーネは時間すらも操り、ULTRAMAN達をかつてないほどの窮地に追い込む。しかしただひとつ、DARK ZAGIに対抗する力がZEROの中に眠っていた。

ストーリー/長谷川圭一
設定協力/谷崎あきら
ULTRAMAN SUIT/SEVEN SUIT/ACE SUIT/
TIGA SUIT/ZERO SUIT/TARO SUIT/
DARK ZAGI製作:只野☆慶

8U-英雄-編
Episode 33  時と生と死を覆う絶望の闇

「では早速、確かめてみましょう」
 レーテから生み出された暗黒の鎧DARK ZAGIをダークゴーネが装着する。刹那、
 おおおおおおおおおおおおんんん!
 起動音か、あるいは雄叫びか。不気味な音が響くと暗闇にDARK ZAGIの双眸に真っ赤な光が灯る。
「素晴らしい。予想通り、いや、予想を超えるパワーを感じる。今まで体感したことの無いパワーを」
 八人の戦士はDARK ZAGIを地上から見つめる。
 誰も動かない。迂闊には手を出せない。
 目の前に現れた新たな敵は、さっき八人が力を合わせ倒した超巨大なグランドキングに比して明らかなスケールダウンであり、すぐさま攻撃を仕掛けてもいいレベルだ。
 だが躊躇した。その外見とは釣り合わない強烈な威圧感、得体のしれない何かをその漆黒のSUITは放っていた。
「やっちゃいましょうよ」しびれを切らしたか、こうして動けない自分に苛立ったのか、北斗が言った。「潰せますよ。僕たちなら絶対」
 今にも飛び出しそうな北斗――ACEの肩を無言でダイゴ――TIGAが制す。
 ダイゴにはDARK ZAGIから放たれる異様なオーラの正体がわかっていた。
 過去にさんざん感じた、吐き気がするほどのおぞましい空気感、間違いない、かつてダイゴたちの世界を滅ぼした、あの――
 おおおおおおおおおおおおおおおおおお!
 またも獣のごとき叫びをあげ、DARK ZAGIが先に動いた。上空から高速で八人の戦士に襲い掛る。
 応戦する八戦士。最初こそDARK ZAGIの奇襲に連携を乱したが、すぐに冷静さを取り戻すと、互いの特性を活かした戦闘スタイルでDARK ZAGIを圧し返す。
 更に包囲し、八方からの連続攻撃を浴びせかけた。
 
「いけるぞ」
 科特隊の井手もモニターに映る戦況を見て、拳を握り締める。
 最初こそ予想もしなかった時空歪曲点の上海から東京への転移に驚愕し、そこから現れた得体の知れないマシーン、更にその中から孵化した漆黒のSUITに得体の知れぬ脅威を感じたが、それは杞憂だったかもしれない。
「よし。そのまま一気に」
 だが指令室に赤ん坊のむずかる声がする。オペレーター席のマヤに抱かれるユザレだ。
 言葉は分からずとも何かを伝えようとしているのは明らかだ。
「レネさん。ユザレは何を?」
 マヤはモニターの隅に映る前線指揮所のレネに問いかける。
『時が、闇に飲まれる。って』
「時が闇に、飲まれる……」レネの言葉をマヤが反芻した時だった。
「戦闘エリアに局地的な重力変動!」
 オペレーターの声と共にモニターが乱れ、崩れかけていたビルが崩壊し、履帯が破断して放置されていた73式装甲車がぺしゃんこに潰れる。
「重力変動……あの黒いスーツの仕業か!」
 井手の脳裏に過去の記憶が閃く。かつてイーヴィルティガやカミーラが異界の扉を開く儀式の際に起きた現象。それが何故……。
 戦闘中の八戦士も重力変動の影響を受け、動きが鈍る。だが戦えないほどではない。過去の収集したデータから重力変動に対応し負荷を分散、平衡を維持するUGMシステムが各スーツに実装されている。だが、
「な、何が起きた!」
 驚愕する井手の声が指令室に響いた。
 
「何が起きたんだ、今!?」
 戦場にいる進次郎からも同じ声が漏れる。
 今の今まで優勢に戦いを進めていた。もう一息で決着だ。そういう状況だった。だが事態が急変した。重力変動が発生した直後、突如、北斗が、ジャックが、光太郎が、次々に目の前から消えた。
 いや、消えたわけではない。眼下に彼らはいた。瓦礫の上に倒れている。しかも三人のSUITはついさっきまでとは違い、激しい損傷を受けている。まるで何分間も一方的に攻撃を受けたかのように。
「気をつけろ。進次郎。奴は我々の想像を超えた……」
 そこまで言うと突如、真横にいた早田――ZOFFYが消えた。
「父さん!」
 
「……こんなのアリかよ……ふざけやがって……」
 SUITに激しいダメージを受け、瓦礫の上に倒れる北斗が呟く。
「あのクソ野郎が……」
 北斗の脳裏に数分前の、実際は数秒も無かったかもしれない、その時の状況が思い返される。
 北斗は進次郎たち七人と一緒にDARK ZAGIを圧倒していた。
「やっぱ大したことないじゃん」
 勝利を確信した北斗が次の瞬間、違和感を覚える。 動かない。体が突然、全く動かなくなった。
「……なに、これ……」
 周囲には七人の戦士たちが完全に静止していた。まるで時間が止まったかのように。
「その通りですよ」
 いつの間にかすぐ目の前にZAGIの顔があった。
「私が時間を止めました。正確には私とお前だけが時間の流れから外れたのです」
「言ってる意味が……うあっ!」
 ZAGIのパンチが動けぬACEに炸裂する。
「説明する気はありません。ただお前がこうしてじっくり私にいたぶられ、死ぬということだけは確かです」
「ふざける……うがっ!」
「威勢はいいし、負けん気も強い。相手を舐めた口ぶりも、弱い心を隠すためですね」
「何言ってる」
「この暗黒のスーツが私に見せてくれるのです。人間の怒り、憎しみ、そういった闇に近い感情を、ビジョンとして」
 ダークゴーネ、ZAGIはACEを一方的に殴りながら語り出す。
「お前は飛行機事故で生き残り、命を救われた。その時一緒に乗り合わせた異星人の事が好きになった。夕子という少女を」
「やめろ! 勝手に人の頭を覗くな!」
「彼女の為にお前は人間と異星人が共に生きられる世界を造りたいと考えた。それに邪魔なものは排除する。だからウルトラマンになった」
「やめろって言ってるだろ!」
「まあ嫌いじゃないですよ。そういう歪んだ感じは。とはいえ稚拙すぎる。理想を形にするには力が必要です。でもあなたは弱い。虚勢をはったところで何一つ変えられない」
「黙れ! うごっ!」
「時間の無駄でした。〇コンマ一秒以下の時間ですが」
 ズドン! ZAGIの放つ一撃にACEは地面に叩きつけられた。
「さて、お次は」
 ZAGIはジャックの目の前に現れ、一撃を入れる。
「どうも。マッチョマン」
「……何が起きてるかよくわからないが、顔がちけー。息がくせーぞ」
「そうやって相手を挑発して隠してきたのですね。激しい憎しみを」
 ZAGIが動けぬJACKの巨躯を連打しながら、
「さっきの坊やと違い、徹底的に憎んでいますね、異星人を」
「昔の話だ。今はもう……うがっ!」
「そう。お前は乗り越えました。自分を親代わりに育ててくれた人間を、心から愛した女性を虫けらみたいに殺した異星人を執念で見つけ出し、復讐を果たした。でも満足できなかった。むしろ虚しかった。所詮その程度です。そんな薄っぺらな感情で本当の強さは手に入りません。いずれ殺される。お前が守れなかった奴らと同じように」
「このおしゃべりが。そのくせー口を閉じろ!」
 だがJACKの腕は殴りかかることは出来ず、逆にへし折られた。
「うがああああああああ!」
「さすがのタフガイも堪えたようですね。さっきいずれ殺されると言いましたが訂正します。今すぐ死ね」
 ZAGIの攻撃をまともに受けJACKもACEと同じく大地に落下した。
 
『時間を操ってる』
 モニターの中のレネが言う。
『あの黒いスーツ、ダークザギは異界の闇の力を使い、時間を自由に操作できる』
「時間を……!」
「厳密には、重力操作による固有時間軸の形成とエネルギーの選択的転移、その他諸々だ」
 エドが解説するが余計にわからない。
「奴がピンポイントで重力を操作できるのは明らかだ。大きな重力のもとで時間の進行が遅延することは周知だが、その逆もまた然り。ヤツが時間進行の異なる固有時間軸に一人ずつ引きずり込み、攻撃しているのだと考えれば、目の前の結果とも合致する」
 ダークゴーネが具える隣接空間への潜伏と移動、恐怖を収集する能力、そしてガタノゾーアに由来する異世界の膨大なエネルギーがあったればこその超常の業である。
「対抗する手段は?」
「君たち人類の文明水準は、いまだ重力を操作するレベルには至っていない。客観的に見て、打つ手なしと考えるのが妥当だろう」
 相変わらず他人事のような口調だ。
「……君自身もそう思うのか? 我々に勝ち目はないと、諦めて絶望しろと?」
 井手の問いに、エドは後ろ手を組んだまま答えない。
   

UAU 33-1  ULTRAMAN

 その後も光太郎が、早田が、諸星が、心に秘めた思いを、乗り越えて来た傷を、埋めがたい喪失感を、暴かれ、愚弄され、反撃できぬまま倒れていった。
「貴様は……必ず地獄に落とす。僕のこの手で」
「無理ですよ、お前には。おやすみなさい。諸星弾」
 ザギの一撃に諸星――SEVENも吹き飛ぶ。
「次はいよいよ」
 進次郎――ULTRAMANの目前にZAGIが立つ。
「おや。お前は何も失っていないのですか。闇が薄い。いや、闇が見えない」
「あるよ。俺にだって闇は。でも……」
「危険です。人間を危険だと感じたのは初めてです」
 ZAGIはULTRAMANを一方的に殴る。今までより更に強く、念入りに。
「けれども怖くはありません。お前には何も出来ない。私に指一本、触れることさえも」
 ZAGIの攻撃がULTRAMANを吹き飛ばした。
 
〈聞こえますか、ダイゴ〉
〈ああ。聞こえてる。ユザレ〉
 科特隊本部のユザレとダイゴが精神で会話する。
〈あの闇の力を封じるには光の力しかありません〉
〈そうだな。あの時のように〉
 ダイゴの脳裏に過去に二度、ユザレがその力を使った場面が蘇る。一度目は自分たちの世界を滅ぼした闇の眷属とカミーラたちを封印した時、二度目は上海でガタノゾーアを進次郎の力と共に封印した時。だがそのたびにユザレは力を使い果たし、今は〇歳の赤ん坊に退行してしまった。もうあの光の力は使えない。
〈何とか……光が集めることが出来れば……〉
〈光を、集める?〉
〈出来るはずです。この世界の人間にはまだ、希望が残っているのですから〉
 だがその会話の直後、TIGAもまたZAGIにより、失った二人の親友、ほろぼされた世界の記憶を愚弄され、嘲られ、無抵抗のまま、倒れた。
 
「残るのは、あの者だけ」
 ZAGIはZEROの目の前に現れる。
「ん? あと一人で終わりだと思いましたが、二人ですか」
 ダークゴーネ、ZAGIはZERO SUITに次郎とゼロの意識を感じ取る。二人の記憶も。
「そうでした。お前のお陰で我々は知ることができたのです。お前が我々の滅ぼした星からただ一人生き延び、時空歪曲点を通ってこの世界に逃げたお陰で」
「何を……知ることが出来たと言うんだ?」
 一方的に攻撃を受けながらZEROが聞く。
「こうして私が手に入れた力――異界の闇の力をです」
 更に激しい攻撃が動けぬZEROを襲う。
「感謝してますよ。ゼロ。お前には。正確にはついさっき倒したティガも含めてですが」
「そういうことか……」
 次郎は理解する。過去の科特隊のデータで知っていた。マヤに教えて貰った。
 ダイゴとユザレという異界の人間がこの世界を救う為、やって来たことを。ダイゴの世界を滅ぼしたのが上海を破壊したガタノゾーアだということを。異界から訪れた暗黒の邪神。闇の力とはその事だ。
「我々は退屈していたのです。ゼロ。お前の星を滅ぼしたあたりから」
「退屈……だと」
「我々は数えきれない星を侵略し、その文明を滅ぼし、支配しました。圧倒的な戦力であまりにも呆気なく。もうこの宇宙には、これ以上に我々の戦闘欲、支配欲、破壊欲を刺激するものなど無いと思っていました。ところが、違った。お前たちが教えてくれたのですよ。究極の恐怖と絶望をもたらす闇の存在を」
「やっぱり……うあっ!」
 自分の考えた通りだった。そう次郎が思った瞬間、ZAGIの一撃を受けた。
「感謝してます。これからそのお礼をしましょう」
 大地に倒れるZEROに、次郎に勝ち誇るダークゴーネ――ZAGIの声が降り注ぐ。
「さあ、受け取ってください。極上の恐怖と絶望を」
 
「重力変動、さらに増大!」
「時空歪曲点を中心に、グラフが反転してゆきます!」
 科特隊指令室にオペレーターたちの緊迫した声が響く。
「どこかの時空と……繋がろうとしているのか!?」
 慄然と呟く井手たちが見つめる中、それは現れた。
 東京タワー上空に浮かぶ時空歪曲点が活性化。そこから数百、数千というおびただしい数のゾイガーが飛び出し、今まで空を覆っていたスペースモスを一気に食い荒らしていく。あたかもここは我々のものだと言わんばかりに。
「ゾイガーだと……まさか!」
 拡大してゆく時空歪曲点の向こうに、上下逆さまの街が見える。無数のゾイガーが飛び交うその町並みに、井手は見覚えがあった。中央を流れる湾曲した川。一方の岸に西洋風の建物が並び、もう一方にはいくつかの高層ビル。その中央に、巨大な黒いピラミッドがそびえている。上海だ。今は亡き世界都市の在りし日の姿が、頭上に広がっていた。
 見る間に、黒いピラミッドから長大な触手が伸び、高層ビル群を薙ぎ倒した。邪神ガタノゾーアが実体化しつつあるのだ。
 
「いかん! このままでは!」
 井手がタブレットを叩き、かつての惨劇のタイムテーブルを呼び出す。
「十五分後には、半径一〇キロが消し飛ぶ……」
 マヤが申しわけなさそうに付け加えた。
「……科特隊本部も、その圏内です」
「前線指揮所の防衛大臣に退避を――」
『せっかくだが』
 井手の言葉を、モニターの向こうの星野防衛大臣が遮った。
『とっくに肚は括っている。ここで諦めるつもりはない』
 その毅然たる態度に、背後の補佐官たちも居住まいを正した。
「……君にはいつも教えられる。そうだな、やれることをやるべきだ」
 井手はうろたえるのをやめ、状況の精査に取りかかった。
 
『次郎……聞こえるか?』
「……ああ。……まだ、生きてる」
『お前に今まで、黙っていたことがある』
「なに? この世界に好きな女の子でも出来たか?」
 冗談めかす次郎は察していた。さっき言っていたダークザギの力に対抗できる唯一の方法。それをゼロは俺に伝えようとしている。
『次郎。俺の中には、ある「力」が溜まっている。本来ここにいるべき存在ではない俺を、元の世界に引き戻そうとする力だ』
 
 そのゼロの声は、他の七人の戦士にも、科特隊指令室にも届いていた。
「時空……復元力」
 マヤの呟きに、井手が反応する。
「ありうるな。低エントロピー反応空間には高いエネルギーが蓄積される。ゴム紐を引っ張るようなものだ。それが五次元以上の座標軸に作用するなら――」
 タブレットで何やら計算する井手の言葉を、エドが引き取った。
「時空歪曲率の反転を、抑え込むことができるかもしれない」
 
 今度は次郎がZEROに問う。
「その力を使えば、ゼロ、お前はどうなる?」
『…………』
「元の世界に、帰れなくなるんじゃないのか?」
『ずっと、迷っていた』
「最近やけに無口だったのはそのせいか」
『次郎。今の俺には、この世界が故郷だ。お前が家族だ』
「おい、ゼロ?」
『最後まで俺が守る!』
 SUITの色が目まぐるしく変わる。装甲の可変波長透過吸収機能が暴走状態だ。
『お前と、お前が生きるこの世界を!』
 ZEROが叫ぶと同時に、頭上に広がる逆さまの上海の中心。巨大な黒いピラミッドが内側から弾け。邪神ガタノゾーアが這い出した。ゾイガーの群れを従えて、空に開いた穴から大東京に落ちてこようとしている。
 それを仰ぎ見るDARK ZAGIが、両手を振り上げ陶然と言い放つ。
「見るがいい、太古の邪神も今やわが下僕! 私こそが真なる闇の支配者!!」
 
『二万年早いぜ!』
 ZEROの全身から、渦を巻く波動が放たれた。時空復元力を解放したのだ。
 周囲の瓦礫が浮き上がり、道路やビルを形成してゆく。時間が巻き戻ってゆく。
 頭上に広がる上海が狭まり、ガタノゾーアが押し返されてゆく。
「無駄なあがきです」
 ZAGIも重力操作により時間を加速する。再びビルが崩れ、上海が拡がる。
 ふたつの相反するパワーの、壮絶な押し合いとなった。
「私の力は異界から無限に供給されます。お前はそうではないでしょう……!?」
 ZAGIの間近に、S字型の金属片が浮かんでいる。SEVENが投じたスローイングナイフを、ZAGIが反射的に時間を止めて防いだのだ。
「試させてもらおう。無駄なあがきかどうか!」
 ZAGIを、七人のULTRAMANが取り囲んでいた。ZEROの時空復元力で、ダメージから回復したのだ。七人が一斉に攻撃を見舞う。弾丸を、炎を、光刃を。
 いずれもZAGIには届かないが、その分ZEROに向けられる力が弱まった。
 すかさずZEROが押し返す。
「なめるなああああっ!!」
 そう叫んで空へ脱出を試みるZAGIに、七戦士が組み付いた。それを弾き飛ばし、空中にくぎ付けにする。そしてやおらZEROへ向ける力を増大させた。

UAU 33-2  ULTRAMAN

 
 科特隊指令室では、誰もが固唾を飲んでその攻防を見つめていた。しかし。
「……この子を、お願いします」
 突如マヤがユザレを井手に託し、コンソールに向かう。
「マヤくん?」
 マヤはコンソールに触れたまま動かない。
 
 ZEROとZAGIの力は再び拮抗した。蓄積された時空復元力も残り少ない。
 あと一手、何かが足りない。
『次郎。俺は今まで、お前のお陰で大切なものを教えて貰った。復讐しか頭に無かった俺に。誰かを守りたいと思う心だ』
「何だよ今さら。相棒だろ?」
『……行くか』「っしゃ!」
 呼吸を合わせ、ZEROは跳躍した。そのままZAGIに突進する。
 ZAGIお得意の時間停止による防御を、ZEROの復元力が無効化する。
 ZEROの拳が、ZAGIの顔面にめり込んだ。
 その勢いに任せ、残った時空復元力をすべて解放する。
『この世界に、貴様の居場所はない!』
「そこまで愚かとは……!!」
 ZAGIの力が消え、一気に歪曲空間が閉じる。
 ZEROも、ZAGIも、七人のULTRAMANも、上海もろとも消滅した。
 
「……どうなったんだ? ガタノゾーアは? 早田や進次郎君たちは?」
 ユザレを抱いた井出が呟く。
 モニターの向こうで、レネがユザレの思考を代弁した。
『すべては、時の流れの渦の中に……』
 ガシャン。マヤが椅子からずり落ち、床に倒れた。
「マヤくん!?」
マヤの意思を宿すアンドロイド01は、完全に機能を停止していた。
 
「……っ!」
『目が覚めたか』
 ZEROの声に、次郎は瓦礫の中で身を起こした。
「ここは……どこだ?」
『わからない。周辺をスキャンしてみる』
 耳元で通信を求めるコールが鳴り続けていることに気付き、回線を開く。
『こちら科特隊本部、聞こえるか?』
 井手の声だ。どうやら最悪の事態は回避されたらしい。
「井手さん、無事で良かっ――」
『キミは誰だ? なぜゼロ号スーツを装着している? いったい……』
 様子がおかしい。問い返そうとしたところへ、ZEROが割り込んだ。
『駄目だ次郎、ともかくこの瓦礫の中から出よう』
 積み重なった鉄骨や建材をガラガラと押しのけ、ようやく視界が開ける。
「……は?」
 前方に、巨大な黒いピラミッドがそびえていた。空には無数のゾイガーが飛び交い、そこら中から炎や煙が上がっている。上海だ。それもガタノゾーア復活直前の。
 
「おや、遅かったではありませんか」
 目を凝らすと、ピラミッドを背にしてDARK ZAGIが立っていた。片手で首を締め上げていた誰かの身体を、こちらへ投げてよこす。TIGAだった。
「ダイゴさん!?」
『次郎、周りを見ろ』
 視界に、周囲の光景がエンハンス表示された。TIGAを含め、ボロボロに傷ついた七人のULTRAMANが倒れている。
「こいつが、未来から来た最後の一人か?」
 ZAGIの背後から、銀と黒のTIGAが現れた。EVIL TIGAだ。さらに異形の甲冑を身にまとった闇の三人衆――カミーラ、ダーラム、ヒュドラの姿もある。
 それぞれが、完膚なきまでに打ちのめされたMANを、TIGAを、SEVENを、ACEを引きずっていた。
 ――馬鹿な。四人とも、既にここに倒れているというのに。
『どうやら俺たちは、過去の時間軸に迷い込んでしまったらしいな』
「……最悪だ」



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Ⓒ円谷プロ ⒸEiichi Shimizu,Tomohiro Shimoguchi

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