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【マジンガーZERO INFINITISM】第2回 終焉の魔神

2022.11.13

マジンガーZERO INFINITISM 月刊ホビージャパン2022年12月号(10月25日発売)

【マジンガーZERO INFINITISM】第2回 終焉の魔神

 柳瀬敬之リデザインによるスーパーロボットモデルの作品群を、原点の輝きを残したままフォトストーリーとして再構築する人気企画の最新作『マジンガーZERO編』第2回。ついに姿を現した“終焉の魔神”。すべての世界がひとつになる、マジンサーガ・マルチバース、ここに開演!

原作・企画
ダイナミック企画

ストーリー
早川 正

メカニックデザイン
柳瀬敬之

協力
BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン
ホビージャパン

模型製作
只野☆慶

第2回
終焉しゅうえんの魔神

 始まりの時空――。

 それは決して交わってはならない幾つかの技術が交わった宇宙。
 兜十蔵が生み出した光子力エネルギーと夢のマテリアル・超合金Z。それだけなら良かった。遥か宇宙の彼方より〝闇の帝王〟と名乗る存在がもたらした異星渡来の技術が、十蔵の死後、Dr.ヘルの介入や様々な運命の悪戯いたずらにより最悪のタイミングで交わり、最悪の共鳴を果たした。
 生まれ出でし魔神は自身の思考ロジックに従い成長を続け、宇宙最強の証としてすべての宇宙の生命を滅び尽くすまで、その行動を終えることはない。
 地球と月のほぼ中間に位置する宇宙空間に異形の魔神が浮かんでいる。
 この世界で生まれた〝マジンガー〟が禁忌きんきの交わりにより変態した姿だ。椀状の頭部は宇宙のすべての呪いを練り込まれたかのように怪しく襞状ひだじょうに割れ、口元は薄笑いを浮かべる死神を思わせた。闇に潰れたキャノピーの内側は見えない。背にはギリシャ文字のΦのような巨大な輪。そこから滲み出す赤いオーラは仁王が背負う火焔光かえんこうごとく底知れぬ闘志をたぎらせている。
 その強さは比較を持たない。宇宙を消滅させるのに、戦う必要すらなかった。
 この地球にも41億の人間が暮らしていた。
 瞳が妖しく燈った瞬間、いびつとがった胸の放熱板と背負った輪から、宇宙の全方位に向け眩いフォトンビームの束が拡散した。
 閃光が宇宙を包んだ。月も地球も砕け散り、この宇宙のすべての生命は死滅した。
 次の瞬間〝終焉の魔神〟は別の時空に転位した。

マジンガーZERO2212-1

 
 
 
▼     ▼     ▼

 月周辺の観測を強化していたGCRグランドコントロール《摩周湖国際宇宙観測センター》と静止衛星フォトン・アルファーは、その観測の過程でくだんの月とは異なる部分に深刻な変調を察知した。
 地上のGCR《摩周湖国際宇宙観測センター》とフォトン・アルファーは大気圏ラインを跨ぎ、上を下への大騒ぎだった。


「即時データ更新! 三次元MAPに投影して!」


 初めに気付いたのは主任管制官を務める炎ジュンだった。
 月の動きを追い、観測を続けていた宇宙望遠鏡が、月を舐め、遥かその先の宇宙にある異変を捉えた。


「もっとデータが必要よ。スペクトル解析、電波望遠鏡の照準も合わせて! 他にも同一の反応がないか、可能な限りの広域スキャンを行って!」

「了解です!」


 管制官たちは総出でデータを集めた。
 ジュンのインカムは地上のGCR《摩周湖国際宇宙観測センター》の所長・宇門源蔵と繋がっている。モニターに流れるデータを目で追いながらジュンは交信していた。


「宇門所長、間違いありません。NGC1260のペルセウスと同規模の超新星爆発の痕跡です。それも、一つや二つじゃありません。現時点で新たに確認されたものは、およそ、二千――。今も、増え続けています――!」

〝そんな……馬鹿な……!〟


 コンソールの小型モニターに映る宇門の表情は驚愕を超えて引きつっていた。
 例えば、ペルセウス座がスーパーノヴァによって誕生したのは2億3800万年前の出来事とされている。これまでの天体研究の成果によれば、この規模の超新星爆発は一つの銀河で40年に一度の割合で発生するのが精々のはずだった。それが、新たな発見から僅か数時間で二千に増えた。宇門源蔵は懸命に頭を働かせた。
 ――確かに、GCR《摩周湖国際宇宙観測センター》とフォトン・アルファーの観測システムが新たに運用されことで、観測能力が向上し、今まで見つからなかったものが発見されたという可能性はある……。だが、それにしても数が多過ぎるし、発見が急過ぎる……! 
 宇門が居る地上管制室の壁にある大型ディスプレイにデータが更新された銀河MAPが映し出された。ペルセウス座など、既存の超新星が黄色でマーキングされ、その後に、赤くマーキングされた新たに発見された痕跡が多数浮かび上がった。CGによる立体MAPの宇宙は緩やかにアングルを変えながらズームし、それぞれの痕跡を拡大した。大きさも位置も、互いの距離もまちまちだ。縮小し、銀河の全体像を確認すると、まるで、宇宙の壁のところどころに浮かび上がった傷痕の瘡蓋かさぶただった。
 ――この宇宙の過去が、書き換えられている……!
 瘡蓋かさぶたの一つ一つが消し去られた宇宙。
 宇門源蔵は一つの仮説に辿り着いた。

 
 
 
 ▼     ▼      ▼

 この世界の日本は九州を失っている。
 一年前、九州の阿蘇に邪魔大王国が復活した。司馬遷次郎率いるビルドベースは古来より地球に渡来していた多卦流たける美夜受みやずの助言を受け、それを撃退した。
 だが、邪魔大王国の女王・妃魅禍ひみかの妖術は余りにも強大で、遷次郎の息子・(ひろし)が鋼鉄ジーグとなり、命懸けで施した封印で九州地域そのものを含めて時空吸引帯《TSアブソリュートゾーン》により隔離するという手段を講じるのが精一杯だった。
 逃げ遅れた人々の安否もわからない。司馬遷次郎の妻・菊江や娘のまゆみも九州に残されていた。
 確かに封印の効力がある間はその外の世界は安全だが、封印はあくまで封印――。敵勢力の完全なる消滅ではない。
 封印の際、呉と種子島に出ていて免れた司馬と大利だいりの両博士は日本国政府に防衛の強化を進言した。そして一年、公安警察の美剣美里らの後押しもあり、首相官邸で諮問会しもんかいが執り行われることとなった。
 ビルドベース側から出席したのは司馬遷次郎と大利敏継。それに内情を知るアドバイザーとして草薙武彦が同席した。 
 美角みすみ(きょう)《多卦流》と美角みすみ美夜みや《美夜受》も官邸まで同行したが、彼ら自身が同席を見合わせ、控室で会議の結果を待つことを望んだ。


「同席して下さって問題ありませんが……。いえ、むしろその方が――」


 会議前、美剣美里は鏡と美夜にそう言った。美夜は優しく笑んだ。


「この世界の調和が保たれるよう協力は惜しみません。でも、その決定を下すのは、今、この世界に生きる人々の〝思い〟でなければなりません」


 すました表情で鏡が付け加えた。


「人の営みは形を変える。それでいい――。それに、頭では理解しても、現代の人々から見れば、我々はただの異星人だ。あまり表に出ない方がいい」

「そんな……」


 口には出さないが、美里にとってこの二人は文字通り〝神〟にも等しい存在だった。
 会議には公安警察情報第二課の特別理事・瓜生うりゅうれいも兼任する内閣保安室の代表として参加する。
 瓜生と鏡。四十代の歳を取り、夏でも三つ揃いの背広を涼し気に着こなす瓜生麗。
 一方、顔は同じだが長髪で白い開襟シャツと黒ズボン姿の万年18歳の美角鏡。
 一見すると、まるで親子だった。
 美里の目的の一つは、瓜生麗と美角鏡の対面だった。その目的は会議前にこの控室で叶うことが出来た。
 始めから会議に出席する気もなかった鏡と美夜が山口から東京まで足を運んだのも、この機会に瓜生に逢い、これまでの労をねぎらいたいと思ったからに他ならない。
 そこに居るのは凡そ一年、共に邪魔大王国と戦った仲間たちだった。
 瓜生麗は誰にはばかることなく、二人の前にひざまずき、邂逅かいこうともいえる目通りの喜びを全身で感じていた。
 1800年前、妃魅禍の叛乱により戦いを余儀なくされたとき、多卦流《鏡》と美夜受《美夜》は地球の環境に適応する自らのクローンを万が一のために市井に放った。
 クローンはオリジナルとは異なり、地球の人類と同じように歳を取る。だが、地球の人類とまぐわい、子を作り、同化し、代を重ねても、その記憶とささやかな特殊能力は受け継がれる。
 その子孫たちが瓜生麗や美剣美里であり、不死団《ノスフェラトゥ》と呼ばれる人々だった。中でも、より強い記憶と能力を残した者が〝麗〟を名乗り、リーダーとなってオリジナルである多卦流と美夜受が望んだ世界の平穏を影から支える。彼らが国家の要所や警備機関に多く在籍しているのもそういう理由だった。
 多卦流は麗の手を取り、ゆっくりと頷く。


「君が居て――助かった。だが、まだ妃魅禍の脅威は終わっていない」

「はい。総理も理解しています」

「ありがとう」


 美夜受も心よりの謝辞を示した。
 瓜生麗は静かに立ち上がり、まるで神社で祈りを捧げた後のように、そのまま後ろに下がり、もう一度一礼した。



 諮問会は瓜生麗が官僚や総理の山本に現状を噛み砕いて説明し、危機管理を促す形で進行した。 
 通常の国内外の問題を除くと、主な議題は〝九州の正常化〟とそれに伴う邪魔大王国に対する防備策。
 それと、対邪魔大王国以外の懸案事項として、美剣美里もその場に居合わせたDr.ヘルによる光子力研究所に対する高圧的で一方的な行動に対する警戒認知。その二点だった。
 Dr.ヘルの問題に関しては、その通信の現場で光子力研究所の現所長・弓弥之助がきっぱりと断って以来、まだ、Dr.ヘルに新たな動きはない。
 関係者が揃った〝九州の正常化〟についての議論から始まった。


「わざわざ東京まで出向いたんじゃ、直ぐに決めろ。絶対に決めろ。今日決めろ!」


 司馬遷次郎は総理を前にしても相変わらずで、同席した草薙教授に口を塞がれ、漸く静かに席に着いた。


「〝九州の正常化〟に関して、現在は米国の太平洋艦隊が九州を取り囲んでいるだけというのが現状です。先にあった、対邪魔大王国との戦闘で自衛隊の防衛力も十分には回復しておりません」


 瓜生の言葉に防衛大臣が苦渋の表情でそれを認めるように頷いた。


「司馬博士の要望書にもあるように、監視システムの配置と時空吸引帯《TSアブソリュートゾーン》の解析。封印が破られた際の防衛対策は早急に進めることが必要だと私も感じています」


 それを受け、瓜生が続けた。


「ですが、新たな研究や開発が必要であることを考慮すると、組織の規模や予算も含め、陸海空の防衛費の枠だけではまかないきれません」

「いくらかかる?」

「地上の施設だけでも維持費を省いて1兆4238億円です」


 瓜生がそう答えると大利博士が付け加えた。


「ああ、それと、衛星軌道施設のビルドステーションはその50倍掛かる。これも絶対必要だからね」


 官僚たちは頭を抱えた。


「それについては大利博士が日本国際航空宇宙技術公団《NISAR》との交渉によりビルドベースがこれまでに蓄積した技術を今後の宇宙開発のために開示することを条件に半額で済ませるという内約が出ています」


 と、瓜生が補足した。


「半額といっても……えーと、35兆円? 何年計画で……?」


 官房長官が両手の指で計算していると、ドンッ!と、遷次郎が高級そうな会議机を叩いて立ち上がった。


「わしはなッ――! 金の話をしに来たんではなーい!」


 疾風が吹き荒れたかのように資料が舞った。
 その時――にわかに空気が変わった。


「ん……?! なんだ?」


 遷次郎はひとくさりの怒鳴るタイミングを失った。
 扉が開き、会議室に各官僚を補佐する背広組がなだれ込み、同じように入って来た美剣美里が瓜生と総理に向かい、皆に聴こえるように現状を説明した。


「Dr.ヘルが駿河湾から軍事侵攻しました」

「なにッ――?!」

「大型潜水艦で御前崎の東を抜け、二体の巨大ロボットが静岡市に上陸――」


 そのうちにも官邸職員が会議室に大型TVを運び入れ、静岡市のライブ映像を映し出した。


「――市街地に無差別攻撃を仕掛けています。Dr.ヘルの犯行声明はありませんが、凡そ5分前、上陸と同時に光子力研究所に向けてDr.ヘルの使者と名乗る阿修羅あしゅらという者から、犯行を宣言する映像通信が届きました」

「その映像は――?」

「手配していますが、こちらに回収するには最速でも三時間ほど掛かります」


 ライブ映像は頭部に二本の鎌を付けた巨大ロボットと二つの長い首を持つ巨大ロボットが静岡の市街地で暴れ回る光景を映し出している。後にガラダK7とダブラスM2と呼称されるDr.ヘルの機械獣だった。
 二体の巨大ロボットは破壊を広げながら東海道新幹線の高架に向け進んでいる。
 迎撃しようにも市街地では空自の航空部隊も使えない。まして、相手は巨大ロボット。警察予備隊の発足以来、自衛隊にはこんな戦闘の想定はなかった。


「いったい…何処から現れた……!」


 わなわなと震える防衛大臣に瓜生が応えた。


「恐らく、バードス島でしょう。五年程の空白はありますが、ギリシャ政府に確認を――」


 すると、ずっと黙っていた草薙教授が何か引っ掛かるものがあったかのように首を傾げ、持参したカバンから地図を取り出して広げた。
 世界地図だ。


「草薙教授、どうしました?」


 尋ねた瓜生に草薙が地図のとあるポイントを指で押さえた。総理も司馬も大利も息を飲んで草薙の指先を追った。


「ノアの方舟はこぶねの伝承が残るのは、ここ、アララト山。ここを仮に、地球規模の〝高天原たかまがはら〟としよう。そこから山を南西に下るとエーゲ海。大洪水をイメージすればいい。そのまま西に流れると、やがて地中海に繋がる……!」


 草薙の指先が止まったその場所こそ、エーゲ海のバードス島だった。


「なるほど、外八洲そとやしまか――!」


 司馬遷次郎には草薙がいわんとしていることがわかった。〝外八洲〟とは偽書と呼ばれる一部の古史古伝ではそこそこ知れた思想体系でミクロとマクロは常に対応して世界が構成されており、故に森羅万象は繋がっているという考えだ。


「阿修羅と聞いて、ピンと来てね」

「ああ――また八部衆じゃ」


 遷次郎は頷いた。
 瓜生も美剣も理解した。多卦流や美夜受と同じように、何等かの理由で太古の地球を訪れた異星人がアララト山に降臨していた可能性は自分たち自身の存在を照らすまでもなく、あってしかるべくだった。
 草薙は続けた。


「この辺りには幾つもの大洪水の伝承が残っている。中にはエーゲ海や地中海がその洪水によって生まれたというストレートなものまである。しかも、その流れに乗ってさらに西に行くと、一夜にして海底に沈んだというアトランティスがあったとされる大西洋だ――」


 時空は呼応している。

 
 
 
 ▼     ▼      ▼

 別の時空の2011年――。

 百鬼帝国の円盤要塞の反応をキャッチした竜馬、隼人、弁慶は、ゲッタードラゴンで急行した。目指すポイントはアトランティス伝承を今に残す大西洋のど真ん中。
〝やはり――百鬼とアトランティスは繋がってる……!〟
 隼人の想像は確信に変わっていた。
 草薙教授からの話にもあったように百鬼帝国と伝説のアトランティスに何らかの因果関係があるのは間違いない。
 長靴の形をしたイタリア半島を越え、地中海に差し掛かろうとしたとき、突然、眼下のエーゲ海の島の一つから閃光が広がった。


「なんだッ?! 今のは……?!」


 竜馬はゲッタードラゴンをマッハ4の速度から緩やかに静止させ、空中にとどまる。
 島から広がった光輪は一度限りの閃光の波紋を広げて消失した。


「百鬼の待ち伏せか……?!」


 隼人も状況が把握出来なかった。


「いや違う――爆発でも攻撃でもない。レーダーに敵らしき機影もない」


 各種センサーを確認した弁慶が応えた。


「じゃあ、なんだ……?」


 竜馬は警戒を解かず、自問するように口にした。


「わからん。未知のエネルギーとしか、いいようがねえ」


 流石の弁慶もお手上げだった。
 エーゲ海の上空、尋常ならざる緊張感が漂っていた。


「あの島は――?」


 竜馬が尋ねると弁慶が応えた。


「確か、バードス島だ。何もない無人の島のはずだが……」


 光輪を放ったバードス島はこの世界ではまだ危険視されておらず、時空を越えた世界の関係を理解しない竜馬たちに、これ以上想像を巡らせろというのが酷だった。
 ZEROは時空転位の際、それぞれのパラレル世界にあるバードス島の奇岩・ゴードン・クラグの座標を基準に転位した。その際の重力波の揺らぎが時空のくさびとなり、余剰のフォトンエネルギーを放出する。それが閃光の正体だった。
 不意に、レーダーに機影が映った。


「おいでなすったぜッ!」

「――ああ!」


 ゲッタードラゴンのさらに上空200メートルに、円形の赤い輪を背負った巨大なロボットが浮かんでいた。
 恐竜帝国《爬虫人類》や百鬼帝国の巨大戦闘ロボットの設計思想とも異なっている。髑髏どくろが笑んでいるような面構つらがまえだった。頭部にはコクピットらしき部分もあるが逆光に潰れ、操縦者の有無も定かでなかった。


「敵なら、ぶっ潰すまで……!」


 空中に静止しているソレは、防御する素振りすらなく、拳を握った右腕を悠然と伸ばし、ゲッタードラゴンに狙いをつけた。


〝我が名はZERO――お前とは、戦う価値がありそうだ……〟

マジンガーZERO2212-2

 ――ナニッ……?!
 その低い声は竜馬たちの頭に直接語り掛けた。
 右腕の小手から伸びた巨大な刃が、さらに大きく広がった。


「射出するつもりだ!」


 隼人が叫んだ瞬間、ZEROが断頭台の刃のような腕を発射した。
 射出の瞬間こそ鈍重に感じたが、バッターボックスに近づくほど伸びるストレートだった。


「オープン、ゲーット!!!」


 竜馬たちは三機のゲットマシンに分離して高速回避するしかなかった。
 巨大な刃は直進運動だけで気流を巻き込んだ。判断を見誤みあやまっていれば、恐らくこの一撃でドラゴンは粉砕されていた。
 再合体し、ゲッタードラゴンに戻った竜馬たちは瞬時に迎撃を開始する。


「ダブル、トマホーク!」


 ドラゴンの両肩から飛び出した二本の両刃のトマホークを左右それぞれの手に握り、構える。


「ダブル・トマホォゥクッ、ブウーメラン!!」


 渾身のモーションで二本の斧を投げた。高速回転したトマホークが右と左から軌道を描く。敵は躱し切れず、確実にどちらかがその首元にめり込むはずだった。
 ZEROは左腕をわずかに顔の前に出し、高速回転で迫る二本のトマホークを軽々と弾いた。


「なんだと……?!」


 ゲッターに使用されているマテリアルは並みの強度ではない。しかも、本格的に戦闘用として再設計されたゲッターロボGにはさらに強化した〝合成鋼G〟を使用している。そのやいばが弾かれた。


「合成鋼Gが……効かない?」


 ZEROは遠隔誘導で右腕を戻し、悠然とたたずみゲッタードラゴンを見下ろしていた。
 〝合成鋼G〟が効かないとすれば、光子力研究所で研究開発中とされている〝超合金Z〟だけだ。
 だが、光子力研究所が巨大ロボットを開発しているという噂など、隼人たちは聞いたこともない。
 ――野郎、舐めやがって……!
 隼人には竜馬が苛立いらだっているのがわかった。


「竜馬、肉弾戦が通らなきゃ、ライガーのドリルでも無理だ――アレを使おう」

「ああ、わかった」

「よし、出力はこっちでの調整する」と、弁慶が準備に入った。

「――いいぞ!」

「おおう!」


 三人は同時にフットレバーを踏み締める。
 ゲッターロボGを形成する、ドラゴン、ライガー、ポセイドの三機のゲットマシンのゲッターエネルギーが臨界に達した。


「ゲッターッ、シャァイン!」


 竜馬の叫びと共にゲッタードラゴンが金色のオーラに包まれた。


「シャイン、スパァァァーック!!!」


 光に包まれたゲッタードラゴンはZEROに向け体当たりの軌道で急加速した。
 その輝きがZEROに接した瞬間――突然、時間が止まり、視界のすべてが停止し、また、あの低い声が頭の中に届いた。


〝面白い――。お前はもっと強くなる。次の出遭いを楽しみに、この世界を潰すのは、後回しにしてやろう――!〟


 ――何だと……?!
 様は無い。まるで、一流の格闘家にもてあそばれた自称喧嘩けんかの達人だった。
 気が付くとZEROの姿はなかった。


「くそッ、うつわが…、違い過ぎるってか……!」


 流竜馬はこれまで感じたことのない敗北を感じた。

第2回 終焉しゅうえんの魔神  完

【マジンガーZERO INFINITISM】

プロローグ 1976

第1回 亡者たちの宴

第2回 終焉しゅうえんの魔神 new ←いまココ


 これまでの「INFINITISM」シリーズ 

【グレンダイザーINFINITISM】

PROLOGUE  漂泊ひょうはくの王子

第1回 守護神

第2回 方舟

第3回 アガルタ

第4回 友星

【マジンカイザーINFINITISM】

第1回 預言者

第2回 時の女神

第3回 時空超越

第4回 魔神皇帝

【ゲッタードラゴンINFINITISM】

PROLOGUE

第1回 ドラゴンへの道

第2回 百鬼と赤鬼

第3回 魔王鬼 再び

第4回 鬼の起源

【鋼鉄ジークINFINITISM】

PROLOGUE 1975

第1回 鋼の心

第2回 あめ逆鉾さかほこ

第3回 不死団ノスフェラトゥドゥンケル

第4回 魂の檻

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©ダイナミック企画・東映アニメーション

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