【ゲッタードラゴンINFINITISM】第1回 ドラゴンへの道
2022.09.17スーパーロボットINFINITISM 月刊ホビージャパン2020年10月号(8月25日発売)
ダイナミック企画×BANDAI SPIRITS ホビー事業部×月刊ホビージャパンで贈るフォトストーリー『INFINITISM』。『グレンダイザー』編、『マジンカイザー』編に続くシリーズ第3弾『ゲッタードラゴン』編がついにスタート! 恐竜帝国との最終決戦のさなか、突如姿を現した新たな敵とは!? 恐竜帝国との激闘を制したばかりのゲッターチームに新たな試練が待ち受ける!!
原作・企画
ダイナミック企画
ストーリー
早川 正
メカニックデザイン
柳瀬敬之
協力
BANDAI SPIRITS ホビー事業部
ホビージャパン
第1回
ドラゴンへの道
地球に住まう霊長目の生命体が成すピラミッドの頂点。その星で、主たるイニシアチブを持つ〝種〟のことを〝霊長類〟という。
長年をかけ〝進化〟し、武器や道具を用い、生身では到底敵わないであろう獰猛な野獣たちをも制して来たホモ・サピエンス《人間》。
今や地上の人類は自分たちが地球の〝霊長類〟であることに疑いも持たず、凡そ二百万年の間、地球の支配者として我が世の春を謳っていた。
だが、ほんの数年前、その当たり前と思われていた共通認識を揺るがす事件が発生した。
恐竜帝国《爬虫人類》の襲来である。
彼らは、突然、地の底から現れ、自分たちこそが地上のホモ・サピエンス《人間》より古い地球の〝種〟であり、本来の〝霊長類〟である〝真の地球人〟だと主張し、恐竜型ロボット兵器・メカザウルスで地上に攻撃を開始した。
各国政府は地球規模の危機と認識し、国連軍を母体にした地上連合を組織した。
しかし、メカザウルスは通常兵器ではびくともせず、核ミサイルを撃ち込むにはリスクが大き過ぎ、〝帯に短し、襷に長し――〟の状態でこれまでにない苦戦を強いられた。
そんな中、日本国政府の対策本部は日本国際航空宇宙技術公団《NISAR》が民間の早乙女研究所に依頼して宇宙開発用に設計していた〝多機能型換装式ロボット〟が恐竜帝国《爬虫人類》との戦いに有効ではないかと発想した。
急遽、早乙女研究所には各部門のエキスパートが集められ〝多機能型換装式ロボット〟の戦闘兵器としての改造とそのロボットに乗るパイロットの選定が行われた。
プロジェクトの座組みの首長は早乙女博嗣博士。早乙女博士がロボットの動力と基本構造を担当し、それをサポートする形で日本国際航空宇宙技術公団《NISAR》からは橘彪博士が呼ばれ、追加武装する兵器部門の責任者として敷島陽次郎博士らが参加した。
また、パイロットの選定には自衛隊や警察など、希望、推薦を問わず、特殊部隊を有する日本の全ての公的警備機関から候補者がリストアップされ、厳しい適正試験が行われた。
〝多機能型換装式ロボット〟は三機の飛行機体が合体し、その組み合わせにより三つのタイプの姿に変形する。動かすには最低でもパイロットが三名必要だった。最終的に早乙女博士の眼鏡に適ったのは正規パイロット三名と予備一名の四人だった。
流竜馬。陸上自衛隊〝特殊作戦群準備室〟所属一等陸曹。
神隼人。陸上自衛隊〝別班〟所属一等陸曹。
巴武蔵。海上自衛隊〝特殊舟艇班〟所属海曹長。
車弁慶。海上保安庁〝特潜班〟所属一等海上保安士。
「公には存在しないはずの特殊工作員とスパイ、それに、海猿ですか……」
決定したパイロットのリストを見て官房長官は呟いた。
確かに、必要な知識と鍛えられた肉体を持っているようだったが、調書によれば入庁前も入ってからも、四人とも札付きのはみだし者中のはみだし者で、最早、早乙女博士の選択眼に賭けるよりなかった。
〝多機能型換装式ロボット〟は〝ゲッターロボ〟と名付けられ、イーグル号に流竜馬。ジャガー号に神隼人。ベアー号に巴武蔵。予備隊員として車弁慶が採用された。
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実戦に投入されたゲッターロボの活躍は期待を遥かに越えていた。
恐竜帝国《爬虫人類》のメカザウルスを巨大な斧で切り刻み、腹部から発射するゲッタービームで破壊した。
だが、戦いが進むにつれ、地上の人類と恐竜帝国《爬虫人類》との因縁が、少しずつすり替わっていった。
ゲッターロボのエネルギー源である〝ゲッター線〟こそが、地上に人類が発生する以前から地球の〝霊長類〟に成ることを約束されていたはずの爬虫人類を地の底に閉じ込め、押し留めさせた〝元凶〟であることを相互が理解したからだ。
恐竜帝国《爬虫人類》にとっては憎き〝ゲッター線〟の象徴がゲッターロボであり、あまつさえ、それを再び〝力〟として行使し、行く手を阻もうとする早乙女研究所は真っ先に斃さなければならない存在となった。
帝王ゴールによる地上侵攻作戦のターゲットは当然の如く日本の早乙女研究所に絞られた。実害が無くなり蚊帳の外に追いやられた各国政府はいつしか共同戦線から手を引き、静観に回り始めた。
恐竜帝国《爬虫人類》と地上の人類との戦いの様相は、気が付けば日本の早乙女研究所と恐竜帝国《爬虫人類》との私怨的な限定紛争に変わっていった。
国際世論はいつの間にか〝ゲッターエネルギー〟を独占する早乙女研究所にも恐竜帝国《爬虫人類》の攻撃を受ける理由があるとの主張を始め、本末転倒したインテリコメントを発信した。
そして――帝王ゴール自らが恐竜帝国《爬虫人類》の全兵力を率い早乙女研究所に進軍する、あの決戦の日が訪れた。
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早乙女は研究所の高台にある管制指令室で奥歯を噛み締めていた。
「やはり――国連軍は来ないのか……!」
「それどころか、アジア圏のうるさ方の隣国も、米軍の太平洋艦隊も、一歩も動く気配はありません」
モニターを睨み、情報の統合を担当している車弁慶が応えた。
早乙女は出撃タワーのカタパルトで待機しているゲットマシンのコクピットにオープンチャンネルを開いた。
「援軍はない。君たちだけで戦ってもらうしかないようだ……!」
〝博士、こっちは初めからそのつもりだ――〟
イーグル号から流竜馬のカラッとした声が聴こえた。
〝望むところです――〟
ジャガー号の神隼人も笑みを浮かべていた。
〝ああ、コイツには、それをやり遂げる力がある。俺はゲッターを信じる……!〟
ベアー号の武蔵の瞳は据わっていた。
早乙女は自分に言い聞かせるようにいった。
「世界の危機を対岸の火事と決め込んでいる奴らをあてにしても仕方がない……! 今、戦わなければ、地上の人類は滅ぼされ、爬虫人類にとって代わられる。共存が望みだというのなら応じてもいいが、ゴールが武力で地上を奪おうというのなら、力の限り抵抗するよりない――!」
「さて、そろそろ行くかッ!」
竜馬がそういうとカタパルトの出撃ランプがブルーに変わった。
イーグル号、ジャガー号、ベアー号の三機のゲットマシンは浅間山高原に集結するメカザウルス軍団の只中に向け出撃した。
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恐竜帝国《爬虫人類》の兵力は前衛に飛行タイプのメカザウルス軍団が大小取り混ぜ凡そ30体。その後ろの無敵戦艦ダイ型の戦闘飛行空母の中にも陸戦用メカザウルスが20体。更に地中からもバット将軍が指揮する巨大な金平糖の形をした機動要塞《マシーンランド》が帝王ゴールを乗せ配置に着いていた。
拠点戦に臨む恐竜帝国《爬虫人類》の最大の隠し球はガレリィ科学技術長官が対ゲッターロボ用に開発した超巨大メカザウルス・モブ。その姿は巨大な亀のようでもありアルマジロのようでもあった。お椀型の背には幾つもの穴が規則正しく並び、そこから一斉に発射される超硬質古代岩塊は、まともに喰らえばゲッターロボの装甲をズタズタに引き裂く威力を有していた。
敷島博士が操るミサイル防衛システムの掩護を受けながら早乙女研究所の拠点防衛戦は始まった。
竜馬、隼人、武蔵は戦況を分析しながらゲッター1、ゲッター2、ゲッター3の三態に変形させ、絶妙な攻撃と離脱を繰り返しながら敵の侵攻軍を駆逐した。
メカザウルス・モブの首をゲッタートマホークで斬り落とし、見えた内部に向けてゲッタービームを発射した。
「おのれッ、これほどまでとは……!」
帝王ゴールは自らで雌雄を決すべくマシーンランドに搭載していた竜神型メカザウルス・ウルゴルに搭乗した。帝王専用機は鎧竜の装甲を持つ爬虫人類の戦神ウルゴルを具現化していた。
「ゲッターよ、爬虫人類の積年の恨み、我が民の未来を懸け、今、ここに討ち果たさん!」
ゲッターロボとの一騎打ちが始まった。
ゴールは帝王に相応しい猛攻を見せ、ゲッターロボを追い詰めた。メカザウルスの輪の中で、大地で、宙に跳ね、空を飛び、両者は互いに一歩も譲らずに全力で戦った。
だが、二百万年に及ぶ恐竜帝国《爬虫人類》の恨みは、思わぬ飛び入りによって打ち砕かれる。
「ん?! 何だ……?!」
宙空で対峙し、互いに構える両者を割って、突然、現れた一本角のロボットがゲッターロボとウルゴルを、手にしたロングスピアーで一瞬のうちに串刺しにした。
ズキャ、ジャキィーン!!!!!
「なにッ……?!」
それはゲットマシンの三号機であるベアー号部分を貫き、ウルゴルのコクピットを砕いていた。
「武蔵――?!」
「大丈夫か……?!」
それぞれのコクピットから竜馬と隼人が声を掛けた。
〝平気だ……今のところはなッ――!〟
平気のはずはない。外装やシステムの損壊も確認されていた。追突の衝撃だけでも武蔵のコクピットのポジションであれば、並みの人間ならショック死するレベルだった。
ウルゴルからゴールの翻訳通信がそれぞれのコクピットに届いた。
「地上の人類よ、貴様らは、断じて地球の支配者などではない……!」
その直後、ウルゴルの内部で爆発が起こり、ゲッターにしがみついていた腕から力が失せ、魂が抜けたかのように動かなくなった。
一本角の謎の戦闘ロボットはロングスピアーから手を放し、急加速して戦場から離脱し、あれよといううちに見えなくなった。
その時――戦場に居る者たちの全てのチャンネルに、謎の介入者からのメッセージが届いた。
〝今のは、私が造り上げた百鬼獣・魔王鬼だ。我らの力の、ほんの片鱗に過ぎない。ゴールは死んだ。おめでとう、人類の諸君――。これで恐竜帝国の求心力も無くなるだろう。だが、地球の正当なる支配者を決める戦いなど、無意味なものと知れ――! 爬虫人類は相応しき闇に帰れ。人類は我らに服従し、世界を委ねるのだ。私の名はグラー。百鬼帝国の指導者より地上の制覇を託された者だ。改めてお目にかかろう。早乙女研究所の諸君は、せいぜい戦いの傷を癒しながら、真の敗北の時を待つがいい――!〟
グラーと名乗る介入者は自分の伝えたいことだけを語ると、不敵な笑い声を残して通信を切った。
「百鬼帝国だと……?!」
先住人類としての権利――。それなりに筋が通っていた恐竜帝国よりも、もっと極悪で、戦場での最低のモラルの欠片もない新たなる敵が現れた。
だが、その状況を反芻する時間さえ無かった。非常警報がコクピットの中で響き渡った。
「悪りィ、EOG《緊急オープンゲット》だ! 強制分離するッ! ベアー号にある融合炉の制御が――できねえ!」
武蔵の声は冷静だが、半分叫んでいた。武蔵からの強制分離で無理矢理変形させられたイーグル号とジャガー号が上と下に弾き出された。
「何すんだ、武蔵――!」
「武蔵ッ?!」
宙空に取り残され串刺しになったままのウルゴルと武蔵のベアー号は重力制御能力を失い、落下を始めた。
予期せぬ介入者の登場によりゴールは亡きものになったが、浅間山高原には未だメカザウルスの軍団がひしめいている。
「補助エンジンが辛うじて生きてるッ! このままッ、ゴールの機体を繋げたまま奴らの真ん中に突っ込むくらいの芸当は、まだッ、出来るぜェ!」
「武蔵ィィィ!!!!!」
「うおおおおおおお!!!!!」
竜馬が隼人が、早乙女が弁慶が、その名を呼び――叫ぶ声が木霊した。
メカザウルスの只中に落下したベアー号は爆発し、激しくゲッターエネルギーを放出させた。その光は一瞬で広がり、あたかも恐竜帝国《爬虫人類》の〝情念〟を中和するかのように、未知のケミストリィを起こしながら、戦場に居た爬虫人類の〝戦意〟そのものを摘み取った。
結果として武蔵の死が、恐竜帝国《爬虫人類》と地上の人類の戦いの終結を告げる狼煙になった。
生き残った恐竜帝国《爬虫人類》の兵士たちはバット将軍の指揮の下、武装を解除してマシーンランドに乗り込み、闇の支配する住み慣れた世界に戻っていった。
だが、地上の人類には百鬼帝国という新たなる敵との戦いが予告されていた。
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「今、ここには、俺のやれることはない」
巴武蔵の葬儀を終えると神隼人は早乙女研究所を去り、古巣の陸上自衛隊・別班に戻っていった。
流竜馬も離れた。竜馬は自衛隊に戻ることもせず、山梨との県境にある実家の空手道場に閉じ籠った。
早乙女博士は止めなかった。思わぬ戦いの結末の果て、新たなる敵との戦いが予告されていたが、立ち向かうためのゲッターロボは既に無く、〝ゲッター線〟を疑問視する風潮のために支援団体も離れ、失った三号機を改修する目途すら立たなかった。
民間の研究所である早乙女研究所は、最早継続中の研究を続けることすら困難な現状だった。
百鬼帝国がこの国際世論の動きを理解し、この現状を予測していたとすれば、情報戦略に長けた恐るべき組織だった。
敵の現れることが分かっていながら、その準備をすることすら出来ない。早乙女は研究所に残った橘博士や敷島博士、車弁慶らと共に連日議論を重ねたが、各国政府の会議と同様に、未だに出口は見えなかった。
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そんな早乙女研究所に、思わぬ来客があったのは、武蔵が死んだあの戦いから一ヵ月後のことだった。
その男は、人造人間のように冷たく美しい秘書を一人連れただけで突然訪れた。
「18年前、早乙女博士が発表したゲッター線に関する論文を読んで以来ファンになり、ずっとお会いしたかった」
そろそろ五十を迎えようというのに青年のように若々しいその男は、研究所の応接室で早乙女に会うなり握手を求めた。
「美登呂虎之介と申します。医療機器の研究開発をする、小さな会社をやっています」
それは行き過ぎた謙遜だった。三十半ばにして医療用AIを実働レベルにまで押し上げ、医療用センサーに於ける数々の特許を取得し、ここ数年は母体より大きくした数十社の関連会社を独立させ、自身は利益に関係なく好きな研究に没頭しているという変わり者だった。
「貴方も、相当変わり者だそうですね」
美登呂虎之介の噂は、早乙女も知っていた。
「変わり者同士、お力に成れるかと思いましてね」
美登呂虎之介は握手を交わした手を放すとソファーに腰を下ろし、早々と本題に入った。
「グレイス財団をご存じですか?」
早乙女も耳にしたことはあった。中世ヨーロッパから噂される科学者の謎の支援団体だ。
美登呂は続けた。
「有望だと思われる研究に対し、道徳的概念に左右されることなく、それを支援する謎の団体――」
今と同様、遠い昔も情熱だけはあるが資金のない科学者たちの間で、その願望が生み出した都市伝説とされている。
「彼らが本当に存在するかどうかは別として、ここ数年の貴方を拝見していて、私も、その真似を、したくなりましてね」
美登呂虎之介は端正な口元を曲げ、笑顔を見せた。
「真似――?」
「超法規的な措置が必要な局面も、ままあるものです。特に、地球を守るためならば――。〝ゲッター線〟はこの宇宙に等しく享受される無限エネルギー。〝希望〟であると同時に未知への扉でもある――。故にその可能性は〝核〟と同様に相反する側面をも秘めている。世論が二の足を踏むのも当然です。ですが、貴方は〝ゲッター線〟こそが、人類が宇宙時代の大海に漕ぎ出すための箱舟になると予見した――」
早乙女は初めて〝ゲッター線〟を観測した夜のことを思い出した。
18年前の星の美しい夜だった。降るような星空だった。カミオカンデの前身ともいえる宇宙線観測システムは規模こそ小さいがその精密さに措いて群を抜いていた。
それはオングストローム以下の可視光の、たった一粒の残光に過ぎなかったが、早乙女はそれを発見した時、人類の暮らしを豊かにし、世界を次なる文明に押し上げるであろう〝希望〟を、確かに見出した。
「〝ゲッター線〟運用の具体例は、皮肉にもゲッターロボで証明されています。エネルギー変換効率の高さ。シールド防御効果。重力制御。ナノ分子構造の制御。破壊特性ではゲッタービーム。変形システムの伝達速度と制御能力を飛躍的に高める光粒子ケーブルなど、細かいところを挙げれば切りがありません。どの技術も、これからの人類の文明に大きく貢献するものばかりです」
美登呂虎之介は自分の手柄のように嬉しそうにいった。
「貴方はいったい……?」
気持ちの悪い、降って湧いたような賛美の嵐に早乙女は警戒心を露わにした。
「悪魔との契約に思えて来ましたか? ご安心下さい。私は悪魔ではありません。それに、一切の口も出しません。勿論、条件もありません。何もしなければこの世界はいいように百鬼帝国に踏みにじられてしまう。私はただ、この地球を早乙女研究所の科学力で守って頂きたいだけなのです」
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早乙女研究所が強力なパトロンを得たという事実は、その日のうちに日本国政府にも届いた。
美登呂虎之介自身が早乙女研究所の成果物に対し、国際法に基づく免責届を国連に提出したからだった。
「なんだ……これは……?!」
内閣府も寝耳に水だった。国連から転送されて来た書類にはこう書かれてあった。
『早乙女研究所の兵器相応武装は地球防衛のための備えであり、旧来の国家、国連の管轄下にあるべきものではない――。その力は国家規模でなく、地球規模の脅威にのみ行使することを条件に自由行使を認められるものとする――』
「一方的じゃないか……」
「あの戦いで、見放された腹いせか――!」
「それにしても、よくこれで国連が承諾したな……!」
美登呂虎之介は敵が国家ではないことをはっきりと明記し、そのことで一国の問題を飛び越し、二の足を踏んでいた国連から懐柔して逆に問題を日本国政府に落とし込むことで、世論を再び味方に付け直した。
百鬼帝国の出現が予告されているのに態度を決め兼ねている国連や各国政府。
そこに発表された早乙女研究所の、云わば〝独立愚連隊宣言〟は、人々の心に英雄の登場を思わせた。
早乙女博士は新しいゲッターロボ、〝ゲッターロボG〟の完成を急いだ。
早乙女はあの戦いで見た百鬼獣の動きを脳裏に呼び起こしながら、それを退けるだけの能力を持つ機体を思いあぐね、ゲッターロボの1.5倍の全長を持ちながら、更に機動性を30%高めることに成功したゲッタードラゴンを開発した。
百鬼帝国の足音が聞こえていた。
だが、それに乗るべきパイロットの流竜馬と神隼人は、未だ早乙女研究所から離れたままだった。
第1回 ドラゴンへの道 完
【グレンダイザーINFINITISM】
【マジンカイザーINFINITISM】
【ゲッタードラゴンINFINITISM】
第1回 ドラゴンへの道
【鋼鉄ジークINFINITISM】
新たなる「INFINITISM」
【マジンガーZERO INFINITISM】
第5回 永劫因果 (終)
©ダイナミック企画・東映アニメーション