【グレンダイザーINFINITISM】第4回 友星
2022.07.23グレンダイザーINFINITISM 月刊ホビージャパン2019年8月号(6月25日発売)
ダイナミック企画×BANDAI SPIRITS ホビー事業部×月刊ホビージャパンで贈る新たなるフォトストーリー『グレンダイザーINFINITISM』。『マジンガーZ』『グレートマジンガー』のその後に続く『グレンダイザー』の世界を描く、オリジナルストーリー第4回!
原作・企画
ダイナミック企画
ストーリー
早川 正
メカニックデザイン
柳瀬敬之
協力
BANDAI SPIRITS ホビー事業部
ホビージャパン
前回までのあらすじ
ベガ星連合の侵略から逃れるため、偶然地球にたどり着いたデューク・フリードとグレンダイザー。Dr.ヘルやミケーネ帝国との戦いを終え、科学者としての道を歩み始めていた兜甲児との対話で、いずれベガ星連合が地球に侵攻する可能性があることを知らされる。そんな折、オーストラリアのタスマニア島に謎の巨神獣が突如出現。グレートマジンガーで出撃する剣鉄也だが……。
第3回
アガルタ
第4回
友星
「すべて、正直に答えると誓おう」
デューク・フリードと名乗る異星人はモニター越しでも分かるほど澄んだ瞳をしていた。
先ずは機上の甲児から尋ねた。
「君は――どこから来たんだ?」
「この星の位置から見ると、わし座の方向に1672光年ほど離れた場所にあるフリードという星だ」
異星人の名前と星の名前が同じだと気付いたが、甲児はそれには触れなかった。先に聴きたいことは山ほどある。
「地球に来た目的は――?」
「この星に来ることが目的だった訳ではない。ベガ星連合が天の川銀河の和平条約を破り、侵略を始めたのが発端だ」
「戦争を始めたのか?」
デュークは頷いた。
「私の故郷も攻撃を受け、惑星自体が崩壊の危機に瀕した。そのため、止むを得ず、亜空間シールドに閉じ込める措置をとった」
「閉じ込める……? 星ごと亜空間に閉じ込めて時間を停止した状態にしたってことか?」
四年前の甲児なら理解出来なかった。だが今はアカデミーで学んだ甲斐が有り、デュークと名乗る異星人がモニター越しに語る内容を辛うじて理解出来た。
「君の星は……大丈夫なのか?」
「――上手くいったと信じたい。成功したかどうかは、星と一緒に転位した私の妹にしか分からない……。私は亜空間トンネルの中をオートドライブによって流され、気が付いたら君たちの星である、この地球に辿り着いていた。私が地球を目指して来た訳ではない。いってみれば、グレンダイザーの意思だ」
「グレンダイザー……。君が乗って来たロボットのことか?」
「そうだ」
想像は付くが突拍子もない話であることに違いない。
「ベガ星連合というのは?」
「琴座《ハープスター》の三主星の一つ、ベガ星のベガールという者が束ねる軍事勢力だ」
「地球も――狙われているのか?」
デュークは首を横に振った。
「私の知る限りでは、地球はまだ標的にはなっていないはずだ。だが、地球も天の川銀河に属している。ベガ星連合の勢いなら時間の問題だろう」
「遅かれ早かれってことか……」
「先ほど、未知の巨大ロボットから攻撃を受けていると聞いたが?」
「ああ――あれは地球の地の底から現れた奴だ。宇宙の果てのベガ星連合というより、地球に元々居た奴らしい」
デュークはこのタイミングに違和感を覚えていた。地球にとって自分との接近遭遇だけでも、文字通り、天文学的数字の確率でしか起こり得ない出来事だった。そのタイミングで未知の巨大ロボットが地の底から出現する確率など、そうそう有り得ない。
「映像があるのなら、ベガ星連合と無関係か確認しよう」
それには牧葉ひかるが応じ、甲児に現状を説明した。
「軌道上からフォトン・アルファーが南極圏を映した映像があります。タスマニアの映像も他の監視衛星が捉えたものと現地の防犯カメラのものが。間もなく現着するグレートマジンガーからも最新の映像が届くはずです」
揃っている情報は共有すべきだと甲児は判断した。
「見せても、構いませんよね?」
甲児はGCR《摩周湖国際宇宙観測センター》を映したモニターの隅に映る自衛隊の幹部らしき鳴沢に尋ねた。
「――ああ」
それぞれの場所で映像が共有された。
夜の港湾都市のビル群を二体の巨大ロボットが暴れ回っている。
「ひでえな…こりゃ……!」
出現して1時間足らずなのに、街は瓦礫と化していた。甲児はDr.ヘルとの戦いの日々を思い出さずにはいられなかった。
牧葉ひかるが説明を加えた。
「敵の声明はありません。正体は依然として不明です。王立オーストラリア国防軍の防衛部隊では打つ手がありません。国連軍《UNF》も援軍を編成しているところですが、離島部なので陸戦部隊を送れません……!」
唯一の希望は現地に急行しているグレートマジンガーだった。
――鉄也さん、急いでくれッ……!
甲児は心の中で祈った。
デュークは映像を凝視していた。
灯かりも疎らな瓦礫の闇の中で、爆炎と土埃が舞い上がる。時折、カメラのフレームに巨大ロボットの部位が映り込んだ。識別は困難だった。形状から見るとベガ星の主力機動兵器であるニィフォール《円盤獣》ではないようだった。
別の大型ディスプレイには南極圏の衛星写真が映し出されていた。
「あの建造物――。水晶の搭みたいに見えるが――」
甲児が指摘すると「拡大します」と、ひかるが操作した。
「これは……?!」
デュークの顔色が変わった。
「心当たりがあるのか?」
「ああ――デネブという星の建築様式に似ている」
「デネブ?」と甲児が疑問を口にすると、「白鳥座のことかね?」と宇門所長が尋ねた。
「地球では〝尻尾〟の意味からそう呼んでいるのでしたね。天の川銀河では、ベガ、アルタイル、デネブ。その三つの惑星が宇宙のそれぞれのエリアを守る〝守り人〟の役割を果たして来たのです。その関係が――ベガ星連合の暴走によって崩れた。私の故郷であるフリードはアルタイルの守護星だった。アルタイルとデネブは侵略を目的とした恒星間戦争に走ったベガ星連合には従わず、抵抗を続けて来たのです。そのデネブが何故……!」
――それに、どうして宇宙から来るのではなく、地球の内部から……!?
夜のタスマニア島・上空――。
剣鉄也はグレートの翼を収納し、燃え盛る港湾都市を見下ろせる高台に降り立った。
二体の巨大ロボットがホバートの街を破壊している。
グレートマジンガーからのライブ映像は静止衛星フォトン・アルファーの炎ジュンを経由してGCR《摩周湖国際宇宙観測センター》と光子力研究所に送られ、日本に向かっている機上の兜甲児にも転送された。
「見えるか、これが今の状況だ――」
〝――鉄也さん。どうやら、そこに出現した奴らは、俺たちが考えていたほど単純な奴らじゃない可能性が出て来た……! 宇宙から来たのかも知れない。注意してくれ!〟
「ああ――了解だ」
二体の戦闘ロボットには所々に露出した水晶の部位があり、一体は炎のエネルギーを纏い、もう一体は旋風のエネルギーを纏っていた。
旋風を纏った方の戦闘ロボットがグレートに気付いた。
不気味に身を捩り、グレートの方を向くと肘から突き出た水晶がブルーに光った。
その刹那、肘の水晶から複数のニードル状のエネルギーが発射された。
「ん――?!」
鉄也はグレートを飛び退かせて躱した。
それは空中で物質化してズガズガと刺さり、先程までグレートが立っていた高台は一瞬で土くれの斜面に変わった。
「奇妙な攻撃をしやがる――体に付いている水晶のようなものでエネルギーを制御しているようだ……!」
それを聞いたデュークは謎の巨大ロボットの正体が惑星デネブの科学による巨神獣であることを確信した。
鉄也はグレートマジンガーの胸のⅤ字型の放熱板を外し、静かに身構えた。
二体の敵はグレートを挟む位置にじりじりと移動した。
「グレートッ、ブーメランッ!!!」
渾身の力で旋風を纏った方に投げつけると、一挙動で方向を変えつつ左腿からマジンガーブレードを出して握り、「喰らえッ!!!」と炎を纏った方に投げつけた。
狙いも距離感も申し分なく、二体を同時に瞬殺する自信があった。ブーメランもブレードも純正の超合金ニューZで出来ている。並みの金属なら、難なく斬り裂ける。
それが――いとも易々と弾かれて、瓦礫の上に転がった。
――なにッ……?!
デューク・フリードはグレートマジンガーで戦う剣鉄也に向けてモニター越しに話し掛けた。
「相手がデネブの巨神獣なら、装甲に攻撃を加えても無駄です」
〝巨神獣だと――?〟
「クリスタルを狙うんだ。露出した部分の結晶体が弱点だ――」
〝――なるほど。宇宙の基準じゃ、超合金ニューZもまだまだヒヨッコって現実か……。泣けてくるぜ――〟
鉄也はそういいながらグレートの拳を手前に居る炎を纏った敵に向け、狙いを付けた。
「――やって見るさ!」
敵の胸元の水晶にクロスゲージが重なった。
「ドリルプレッシャーッ、パーンチィ!!!」
四枚の刃を出し、高速回転しながら発射されたグレートの右腕が水晶を砕いた。
間髪を入れず駆け込んでその手前でジャンプすると、ドリルプレッシャーパンチで開けた穴に向け、強烈な跳び膝蹴りを見舞った。その瞬間、グレートの膝に超合金製の鋭い突起が突き出た。
「こっちが本命だ。ニールインパクト、キィィィーック!!!」
グシャーン!と突き刺さり、敵の内部に到達したその切っ先は〝器〟の中心にある惑星人の〝魂〟を破壊した。
何かが、シュボッ…と消えた感覚がした。
纏っていた炎も消え、巨神獣は斃れた。
――何だ……。この嫌な感覚は……? こいつら、体は機械だが、中身は機械じゃない。ミケーネの戦闘獣と同じタイプか……!
動きを見て同じことを感じた甲児はデュークに尋ねた。
「自動制御の戦闘ロボットじゃないのか――? 搭乗型でもなさそうだったが……?」
デュークは仮説を口にした。
「巨神獣自体はデネブの物です。デネブでは搭乗型を基本としているが、あれは改造されているようだ。〝魂〟をパイロットの代わりに注入するのはベガ星連合の軍将ダントスが傘下の惑星人たちの統率を兼ねて使っている方法だ」
「酷いことしやがる……」
「理由は分からない。ですが、彼らがベガ星連合の傘下になったデネブが中心となった勢力であることは間違いなさそうだ。そうなって来ると――少々、厄介だ」
デュークはそこから見える地球人すべての顔を見渡した。
「地球にも優れた科学力があり、スーパーロボットと呼ばれる守護神も何体か居るようですが、宇宙的視野や経験を総合的に考慮すると、失礼だが、ベガ星連合の本隊が本気で戦いを仕掛けて来たら敵わないでしょう」
「ぬっ……?!」
ずっと沈黙を守っていた防衛省の鳴沢も流石に動揺を隠せなかった。
デュークは続けた。
「だが、間違えているのはベガールだ。どんなに進んだ技術を手に入れても――それを扱う者たちに宇宙の平和を願う心が無ければ、それは破滅のスケールを拡大し、早めるだけの技術でしかない。ベガ星連合の思うままにこのまま進めば、やがて宇宙全体が回復不可能なダメージに見舞われ、死滅するだろう。私がここに着いた理由が分かった。恐らく、グレンダイザーは多くの時空の中からこの場所を選び、私をここに連れて来た。この地球が天の川銀河の未来を左右する〝友星〟であることを知らせるがために……。そして、この星を守れと――!」
デュークはゆっくりと立ち上がり、鳴沢に向き直った。
「地球で戦闘をする許可を頂きたい」
鳴沢芳平は十分に理解していた。山のような説明責任を背負うことになるが、慌てて地球の元首クラスを招集して議論を始めても、会議が終わるまでベガ星連合が待ってくれる訳ではない。会議の最中に滅ぼされるのが関の山だった。
「権限はないが、許可させてもらう。地球を、宇宙の未来を共に守ろう」
「宇宙の平和を願う〝友星〟の同志として、共に平和のために戦うと誓おう――」
その場に居る者。通信で繋がっている者。その全てが心を一つにして頷き合った。
北極圏の映像に変化があった。
「人工大陸から大量の巨神獣が出撃しています!」
牧葉ひかるの声も上擦っていた。
「そうか――もっと早く気付くべきだった」
デュークは自分の迂闊さを詰った。
「彼らがデネブなら、その戦闘もデネブの古式戦闘に則った型式で展開されることになる。先ずは二兵に一番槍を競わせた後、百兵を送り込むのがデネブの習わし。こうしてはいられない――直ぐに私も向かおう」
機上の兜甲児もマルチモニターの一つに待機していた弓さやかに向けていった。
「さやかさん、準備を頼む」
〝――頼まれなくても、やってるわよ!〟
「チッ、相変わらず、俺には当たりがキツイんだからな……」
甲児はパイロットに行先の変更を告げた。
「あの、悪いけど光子力研究所の方に……」
「了解です」
デューク・フリードは夜の摩周湖の畔まで出ると、懐から柄状の神器・ガルトロッドを取り出した。牧葉ひかるは月明りの下、その背中を見ていた。
デュークが祈るようにガルトロッドを軽く握ると、彼を包む装束はナノ変化で宮廷服からパイロット用宇宙防護服に変わり、フェイスヘルメットが装着された。
待っていたかのように耳元でテュール《アストラルAI》の声がした。
〝――デューク様のお見込み通り、あの巨神獣にはベガ星連合のズリル博士による特徴と思われる改造の形跡が見られます。我々の知らない間に、デネブがベガ星連合に陥落したと思われます〟
「あの星の皇太子・ティラ・デルは幼い頃から共に遊んだ友人だ。デネブに何があったのか、分からないか?」
〝――残念ながら、スペイザーがあればその中枢のアカーシャを経由した遡り解析も可能ですが、エイルが居ないこちらでは……〟
「また、それか……」
〝――グレンダイザーは、こと戦いにかけては無敵ですが、守護神としての判断をサポートする情報の源泉はスペイザーの聖殿に設備されています。致し方ありません〟
「それも、〝守護神〟を遺した先人の知恵なのだろう――文句は言うまい」
来た時と同じようにデュークの体は金色の光に包まれて光の尾を引きながら何度かうねって飛び、湖面に吸い込まれた。
暫くすると、それはゆっくりと湖から浮き上がって来た。
グレンダイザーは足を肩幅に広げた素立ちの状態のまま、殆ど音もなく、夜の摩周湖の上空に悠然と浮かんでいる。
「テュール、これより全通話をGCR《摩周湖国際宇宙観測センター》に開放しろ」
〝――了解です。開放しました〟
デュークは出撃を告げた。
「グレンダイザー、GO!!!」
何の予備動作もなく、グレンダイザーは湖の上空を滑るように加速し、落下して来た時と同じように見守る者たちの視界から一瞬で消失した。
「――消えた」
鳴沢も宇門も、もう呆れるしかなかった。
「まるで瞬間移動のようでしたが、あれは物理的な移動です。原理は分かりませんが、推進力にも使用可能な極めて高度な重力制御とその衝撃からパイロットを守るアブソーバーシステムを実現しているということです。我々の想像を遥かに超える技術ですよ」
剣鉄也はもう一体の巨神獣・疾風のケニングと戦っていた。
人工大陸からは新たに百体の巨神獣が迫っている。この一体に手間取っている場合ではなかった。
〝炎のエルディルを斃すとは――。こんな辺境の星にも骨のある奴が居たとはな――〟
ケニングがグレートに乗る剣鉄也に向け、話し掛けた。
「チッ、やっぱり、しゃべれるのか。いよいよ斃しづらくなって来たぜ」
〝我らが軍門に下るならば、ティラ・デル様に口添えしてやってもいい――〟
「ティラ・デル? それが、お前たちの大将の名前か――? 寝惚けたこといってんじゃねぇぜ!」
バックスピンキックで間合いを取り戻した。
空気抵抗を無視するかのように音速を軽々と超えたグレンダイザーは光の筋となって夜空を突き進んでいた。
鉄也の通話を聞いたデュークは悪い予感が当たっていたことを知った。
――ティラ・デル……! デネブの皇太子がこの星の制圧部隊の指揮官に……! 恐らく、何か理由があってベガールに追い詰められてのこと……。だが、どのような理由があってもベガ星連合に加担するとは……。敵味方として相見えなければならないのか……!
〝デューク様、到着しました〟
破壊され、濁煙を上げる港湾都市ホバートの上空にグレンダイザーは浮かんでいた。摩周湖から、僅か5分そこそこの移動時間だった。
「剣殿。デューク・フリードだ。縁あって共に戦うことになった」
「おお……は、早いな。さっきはアドバイスをくれて助かった。まあ、宜しく頼む――」
未だ機上に居る甲児もグレンダイザーがグレートに合流したことを知り、ひっくり返って驚いた。
「なんて早さだ。翼らしいものも付いてなかったのに……。流石は宇宙人。俺たちの常識じゃ、量れないってことか……?」
着地したグレンダイザーはグレートマジンガーと並び立った。
眼前にはアガルタの巨神獣・ケニングが新たなる餌食である新参者グレンダイザーの登場を歓迎するかのようにクリスタルの羽根を広げた。
さらに、その後ろの海の果てからは、あるものは空を飛び、また、あるものは海を泳ぎ、百体にも及ぶ様々な形をした巨神獣がタスマニア島を目指していた。
「百体以上居るんじゃないのか?」
レーダーの光点で確認した鉄也が冗談交じりにいった。
「ここで防がなければ、なし崩しで地球はベガ星連合の手に堕ちる。だが、ここで地球が踏み留められれば、地球が宇宙にとっても新たなる希望の星になる――」
「だから地球人に力を貸してくれるというんだな? なら、俺も張り切るしかないな――」
「先ずは被害をこれ以上広げないために、あの巨神獣をここから引き離そう。後続の部隊は海上で迎撃しよう。海の上なら、思いっ切り戦える」
「いい作戦だ――だが、あの図体だ。引き離すのがひと仕事だ」
「こうすればいい」
今しも攻撃を仕掛けようとしていたケニングに向け、グレンダイザーは自ら一歩前進して赤く輝く胸を向けた。
「反重力ストーム!」
グレンダイザーの胸から七色の光線が発射された。
それが到達した瞬間、ケニングは金縛りにあったかのように動きを止めた。
懸命に動こうといくら藻掻いても、ギコギコと僅かに関節を振るわせるのがやっとだった。
〝貴様ッ、何をしたッ……!?〟
次の瞬間、ケニングの体は羽根を絞り折られる鳥のようにバリバリとひしゃげ、天空へと吸い上げられた。重力制御によるプレッシャーと反転重力が同時に襲った。
「つまるところは真空投げか」
ケニングの体は空高く放り投げられ、体勢を戻そうとしたところにグレートが追い撃ちを掛けた。
「サンダァァァ、ブレークッ!!!」
二本の角から吸収した大気中の電流を一斉に指先から放電した。
電撃に弾かれたケニングは致命的なダメージこそ負わないまでも、全身にスパークを走らせ、市街地の上空を越え、遥か海上まで吹き飛んだ。
「さて、ここからが本番だ。まとめて面倒を見てやるぜ!」
百体の巨神獣が肉眼でも見える位置まで接近していた。
第4回 友星 完
【グレンダイザーINFINITISM】
第4回 友星
【マジンカイザーINFINITISM】
【ゲッタードラゴンINFINITISM】
【鋼鉄ジークINFINITISM】
新たなる「INFINITISM」
【マジンガーZERO INFINITISM】
第5回 永劫因果 (終)
©ダイナミック企画・東映アニメーション