ゲート跡処理・表面処理から塗装に自作パーツ作製など、いろいろな「お気楽テクニック」を紹介してまいりましたが、これらを総動員して実践編その2を進めてまいります!最後に製作するのは、「MG Hi-νガンダム Ver.Ka」。このキットをベースに、陸戦仕様をイメージしたアレンジを加えていきたいと思います。完全な妄想機体ですが、誰も創ったことが無いような機体を妄想して楽しみながら造っていこうと思います。
基本的には、ほぼ改造無しのベースキットに、陸戦風の脱着式追加装甲を装着することにより、重量感のある機体に仕上げていこうというコンセプトです。
お手本になるデザインが存在しないので、製作しながらその時々のイマジネーションにより仕様がどんどん変化していますので、細かいことはあまり気にせずお楽しみください。
動画はこちら
ステップ 1 内部フレームの製作
▲はじめにフレームパーツをランナーごと水性ホビーカラー H-76:焼鉄色で塗ってしまいます。塗装ツールはガイアノーツ イージーペインターです。焼鉄色が乾燥すれば、水性ホビーカラーのゴールドやシルバー、クリアーカラーでワンポイント塗装です
▲ランナーごと塗装&ワンポイント塗装を施したランナーの様子。組み立てた後では筆が届きにくい箇所などが出てきますので、可能な限りこの状態でワンポイント塗装を済ませておきます。ランナーごと塗装ですから当然のことながらゲート痕処理が必要な箇所も出てきます。その際は随時、面相筆でリタッチしながら進めていきます
▲関節駆動部にはガンダムマーカーEX シャインシルバーを塗っておき、乾燥後にリアルタッチマーカーブラウン1でボカシを入れると独特の金属感を表現することが出来ます
※メッキシルバーだとキレイ過ぎて白々しく見える気がします
▲バーニアはガンダムマーカーメッキシルバーをペンで直塗りし、乾燥後にリアルタッチマーカー ブルー1を内側にくるりと塗ります。メッキシルバーの上には水性ホビーカラーのクリアーカラーよりリアルタッチマーカーの方が相性がイイようです
ステップ 2 外装パーツの製作
▲少し分かりにくいかもしれませんので、ゲート部を赤色に塗ったパーツで説明ます。この場合は三度切りの手順です。通常どおりにランナーから切り離し、パーツに対し垂直になるように、先細ニッパーでゲートカット。最後にアルティメットニッパーでアンダーゲート部のみを切り取るという流れです
▲パイロットも軽く塗っておきましょう。今回はリアルタッチマーカー グレー3を全体的に塗って、グレー3用の神のペンでボカシました
▲あとはメラミンスポンジで大胆に擦ってやるとディテールにのみインクが残ってイイ感じに! ピグマ0.05mmのブルーやレッドで細かい塗りを追加します。これでパイロットの出来上がり
▲︎マスキングテープから各パーツを剥がし、ヤスリで大きさと形状を整えたものをスネパーツに貼り付けてみました。まぁ、だいたいイメージしていた感じになりましたので、あとは細部を調整していきます
ステップ 3 プラ板箱組みでお気楽自作パーツ
▲基部パーツの厚みに合わせてプラ棒やプラ板で高さを出し上下を貼り合わせます
▲腰部前後の追加パーツの形状ができました。基部パーツと比べると相当巨大化されていることがよく判ります。裏側から見た状態だと装着方法が分かりやすいですね
▲追加装甲の裏側がただの平面だと寂しいので、なんとなくディテールを入れてみます。「プラ板ハサミ」で細く切り出したプラ板を思いつくまま、なんとなくトラス状に貼り付けました
ステップ 4 エポパテとプラ板でお気楽自作パーツ
▲カチャッとスライドさせればフィン・ファンネルをきっちり保持してくれます
▲腰との接続パーツを組み込むために四角い穴を開けます。まずは1.2mmピンバイスでプラ板切断用の穴を四隅に開けました
▲四隅と中間点の穴を利用し、使い込んだニッパーで切断していきます。開口が済んだら金属ヤスリ(平)で形状を整えていきます
ステップ 5 エポパテでお気楽自作パーツ
▲次はエポパテを利用して、肩アーマーをボリュームアップします。形状はそのままにしたいので、全体のボリュームアップをするため、パーツの裏に0.3mmのプラ板を貼り付け、その隙間にエポパテを詰め込んでいきます
ステップ 6 流用パーツでお気楽自作パーツ
▲正解は、HGUC 1/144 ユニコーンガンダム(ユニコーンモード)のパーツです。メインになる胸部にはユニコーンのフロント・アーマー。サイドにはユニコーンの胸部サイドパーツをひっくり返して組み付け、足のパーツも追加しました
ステップ 7 改造パーツでお気楽自作パーツ
▲続いてバックパックを造っていきます。Hi-νガンダムのド派手なバックパックではさすがに陸戦では大きすぎだと思ったので、νガンダムのバックパックをベースに陸戦仕様バックパックを造ります、公式改造パーツであるビルダーズパーツHDをいろいろ組み合わせてみました
ステップ 8 塗装・デカール・組み立て・汚し
▲濃い塗装色にはシルバーも使ってポンポン…。ウェザリングマスター Dセット:オイルでお化粧しましょう
▲今回は陸戦仕様ということで、砂埃っぽい汚しも加えます。GSIクレオス ウェザリングパステルセット1 PP101のPW03サンドを木工用ボンドと水で溶かした溶剤をつくります。これを平筆で大胆に塗っていきます
▲十数秒放置してティッシュペーパーで叩くように水分を吸収させます。パステルがいい感じのまだら模様で表面に残ってくれます。もちろん、凹んだ箇所にもパステルが残り、砂埃が溜まってる感が演出されます
▲︎脚部全体にもウェザリングパステル サンドを施して汚しのバランスを整えます
▲胸部ダクトは真ん中の凸部分のみゴールドを塗りました。凹んだ箇所にリアルタッチマーカーブラウン1をどっさり塗り込み、メラミンスポンジで軽く擦ると、一瞬別パーツ? と錯覚を起こすくらいになります
ステップ 9 見直し・調整・そして完成へ
▲トップコートの威力は絶大で、私のようなマスキング下手でも、きれいな塗り分けを行うことが出来ました
▲ウェザリングパステルのチャコールブラック&ラストオレンジを施し、最後にサンドで汚しの色調を統一すれば完成です
Hi-νガンダム 陸戦イメージ Ver.
オリジナル機体を製作する際は、ある程度完成形をイメージしながら進めていくわけですが、「正解の完成形」が無いぶん、製作途中でどんどんイメージが膨らみ、アップデートされて変化していくのも楽しいところですね。今回の実践編(2)では、あえて流用パーツを使ったり、ビルダーズパーツHDを使ったり、完全オリジナルで新規造形をしたりと多様な方法を取り入れたため、ちょっと大掛かり気味なお気楽改造になってしまいました。皆さんはこのなかから気に入ったテクニックを選んで模型製作に取り入れてもらえたらうれしいです。
※本作は模型オリジナルのものであり、サンライズ公式設定とは異なります。予めご了承ください。
トライアンドエラーで見つける自分だけの製作スタイル
文/らいだ〜Joe
■正解は無限に? 妄想機体を楽しもう!
パチ組み・素組みでもカッコいいモビルスーツを自分で簡単に作れるような時代になりました。でも、いくつものキットを作っていくうちに「塗装してみたい」「改造してみたい」そして、「オリジナル機体を作ってみたい」と思う方も多いのではないでしょうか? しかしその一歩を踏み出すのに躊躇してしまうのも事実ですよね。それは明確な正解が無いからなのかもしれません。ここで発想の転換です。「正解が無い」のではなく十人十色。「モデラーの数だけ正解がある」と切り替えてオリジナル妄想機体造りにチャレンジしてみましょう!
■テーマを決めて、いざ製作
妄想機体の楽しいところは時代や設定を越えて自由に造っていけるところですよね。でも、ある程度テーマと着地点を決めておかないと、ただただ盛り合わせになってしまう懸念があるのです(それはそれで楽しいのですが…)。高級具材ばかりのラーメンを思い浮かべてみてください。近江牛にフカヒレ、アワビに関鯖が同じ器にスープに浸かって…。まとまりが無いですよね。と、いうことで今回は誰も見たことがない、かつ、天の邪鬼な私らしい機体をとのことで、MG 1/100 「Hi-νガンダム 陸戦追加装甲仕様」を造っていきます。「ベースキットのカッコ良さを活かしつつ、汚しの似合う重装モビルスーツ」を目指します。
■パーツ製作はトライアンドエラー
高い精度や完全なシンメトリーを目指すとスクラッチが苦手な私にぴったりなのが、ちょっとした工夫と発想で身の周りにあるものを利用するお気楽スクラッチ。高価なツールなんて使いません。今回はこれまで紹介したお気楽製作をメインに「流用パーツ」「ビルダーズパーツ」「プラ板とエポキシパテ」によるパーツ製作方法を組合せて自作パーツを造っています。誰だってはじめから上手くいくことなんて滅多にありません。私が紹介するお気楽製作の手法もほとんどが失敗から生まれたものなのですから。失敗したときのリカバリーや再チャレンジが上達への近道なのです。だからいっぱい失敗してください!? そして、トライアンドエラーを楽しんでみましょう。
■楽しみ方に決まりはありません
「Hi-νガンダム 陸戦イメージVer.」も、たくさんのトライエンドエラーを繰り返しなんとか完成しました。途中、イメージがどんどんが膨らみ、アップデートされて変化していきましたが、これもまた、妄想機体の楽しいところですよね。
実は今回掲載していただきいた数々の作例の中で、「Hi-νガンダム 陸戦イメージVer.」以外で一番時間が掛かったのが実践編(1)の「成型色活かしのガンダム」なのです。汚しを施さないぶん、キッチリ処理しないとゲート跡など細かい部分が目立ってしまうのです。単純な作業の積み重ねって本当に大切なのですね。
今回の特集では多岐にわたってお気楽製作テクニックをお伝えさせていただいたのですが、その中にはセオリーを無視したものもたくさんあります。ヤスリがけひとつとってもやり方は千差万別。すべては私の経験から得た楽しむためのひとつの手法としてお伝えさせていただきました。
「こんなやり方があったんかぁ〜」「これならできるかも!?」と、ガンプラをさらに楽しむキッカケになってくれれば嬉しいです。趣味=Hobby=楽しく心を豊かにするもの!一緒に楽しんでいきましょう♪
BANDAI SPIRITS 1/100スケール プラスチックキット “マスターグレード”Hi-νガンダム Ver.Ka 使用
Hi-νガンダム 陸戦イメージ Ver.
製作・文/らいだ〜Joe
©創通・サンライズ