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「MG ガンダム」を成型色を活かした部分塗装で仕上げる【お気楽ガンプラテクニック 2022】

2022.03.07

実践編その1 マスターグレードを部分塗装で仕上げる 月刊ホビージャパン2022年4月号(2月25日発売)

「MG ガンダム」を成型色を活かした部分塗装で仕上げる【お気楽ガンプラテクニック 2022】

 ここまでのツール解説にお付き合いいただきありがとうございます。そして、お疲れさまでした! ようやく「実践編」ということで、ガンプラを作っていきましょう♪ これまで紹介してきました各種ツール、「ニッパー」「ナイフ」「ヤスリ」「マーカー」「マーキングシール」の基本的な使い方を駆使し、「MG 1/100 RX-78-02 ガンダム(GUNDAM THE ORIGIN版)」を作ります。パーツを丁寧に処理し、部分塗装を施しつつも成型色を活かした、いわゆる「素組みちゃん」ですね。ガッツリHow toをお楽しみくださいませ。

※組立説明書の順番とは異なりますが、足元から構築していくモチベーション維持法のためです。ご了承ください。


ステップ 0 脳内モデリング

 では早速作っていきましょう! と、言う前に、箱を開けてパーツをチェックしつつ組立説明書を見ながら脳内モデリング。ここで、どのパーツがどう組まれ…と予習しておくことでマーキング位置や方向、どのパーツが完成時に見えなくなるかなどを頭に叩き込みます。

ステップ 1 スミ入れ

 はじめにスミ入れから行います。マーキングシールを貼ってからスミ入れすると、シールのフチにスミが溜まったりして「貼りました感」が出て目立ってしまうからです。ツヤ消しトップコートもしていないので、失敗しても簡単にきれいに拭き取れるので、何度でもやり直しがききます。

▲︎ガンダムリアルタッチマーカー グレー3をモールドに書き込みます。はみ出ても気にしません。書き込んだらすぐにモールドに垂直になるように指でインクを軽く拭き取ります。まだまだ汚いですね。すかさずメラミンスポンジで拭き取ります。同じくモールドに垂直に動かしましょう。ハイ! スミ入れ一丁あがり♪

▲︎ガンダムマーカー スミいれ用またはピグマ0.03mmを使用してのスミ入れです。どこにどのツールを使うかは気分次第なのですが、曲面にはペンを使うことが多いですね。これは皆さんのやりやすいほうを選択していただければと思います
▲細かいモールドが入り組んでいるような箇所には、スミ入れ塗料が便利です。筆先を一カ所にちょんっと当てれば、すぅ〜っと流れ込んでくれますよ

ステップ 2 部分塗装 装甲裏

▲それでは装甲の裏側をGSIクレオス 水性ホビーカラー H-76:焼鉄色で塗っていきます。特に焼鉄色でなくてもいいのですが、メタリック色なのにツヤ消しというのが好きで…。なぜ塗るかと申しますと、組み立てたあと写真撮影したときに「引き締まる」のです
▲私は汚し表現することが多いのですが、外装が汚れているのに、その内側がきれいというのを避けたいために装甲裏を塗っていました。ただ、汚しを施さない場合でも全体のコントラストが際立ち立体感が増しますよ。と、言いながらバシバシ塗っていると、結構はみ出てしまいました
▲はみ出ても気にしません♪。デザインナイフでカンナ削りすれば、はみ出たことなんて無かったこと(?)になります♪
▲焼鉄色を筆塗りするのが面倒なときは、リアルタッチマーカー グレー3で大胆に塗っていくのもひとつの手です
▲ちょっとした技(?)なのですが、リアルタッチマーカーで装甲の厚みを薄く「錯覚」させることもできます。写真はガンダムのスネの部分。組み立ての関係でしょうか、やたら一部が分厚くなっています。リアルタッチマーカーでうまく塗っていくと…
▲いかがでしょう? リアルタッチマーカーを塗った左側だけ、装甲の厚みが均一化されたように見えませんか?
▲別角度からご覧いただくと、より分かりやすいですね。内側も塗っていますので、黒に吸収されて余分な厚みが分からなくなりました
▲シールドの裏も焼鉄色の大胆筆塗りです。はみ出ることを恐れてはイケマセン♪ デザインナイフカンナの技があれば怖くない!

ステップ 3 マーキングシール

▲では、マーキングシールを貼っていきましょう! 今回はキット付属のテトロンシールをメインに使います。最近のテトロンシールは一昔前に比べて薄くなっているうえ、発色もいいので、お気楽ドレスアップにはとても重宝します
▲貼る前に粘着面をいったん水に浸けたことにより、多少の位置合わせ・微調整が可能になりました
▲位置が決まれば、迷いなく綿棒で水分吸収&押さえつけます。ハイ! しっかりと固定されましたね
▲小さな「注意書き」シールは、余白がたくさんありますので余分な箇所をデザインナイフで切り取りましょう。そのままだと四角い余白がどうしても完成時に目立ってしまうのです。余白を切ることによる自然な貼り付け効果は、記事内末尾にある完成画像をご確認くださいませ♪
▲先程と同様に水に浸けます。小さなパーツほど水分多めのほうが、あとの位置合わせが楽になります
▲たっぷりの水、水の表面張力で浮いてるくらいが丁度良さそうです。爪楊枝等で微妙な位置合わせを行い、位置が決まれば綿棒で水分吸収。はじめはなかなか上手く行かないことも多いので、「RX-78」のようにひとつしか無いシールではなく、たくさんあるシールで練習しましょう
▲次に水転デカールです。本来、このキットには付属していないものですが、過去に作った余剰シールを転用します。シールドに何も無いのは寂しいですもんね
▲台紙全体に水分が充分に行き渡れば、ティッシュの上で待機

▲ピンセットで台紙を掴んで貼りたい場所付近に近づけ、スライド! 指で行う大まかな位置合わせはデカールを傷める心配が少ない一番良い方法なのです

▲位置の微調整は爪楊枝で! デカールの面を動かすのではなく、「端」を使って押し出しスライドするように
▲位置が決まればティッシュで大まかに水分を吸収し綿棒を使って真ん中から外側に、水分と空気を押し出すように

ステップ 4 トップコート

▲無塗装のフレームランナーに軽くツヤ消しトップコートを吹き付けます。これは後の工程で行うリアルタッチマーカーやウェザリングマスターが載りやすいようにするためです
▲スミ入れ・マーキングシールを施した外装パーツもトップコートで保護しておきましょう。私の製作方法ではやはり、ランナーごと吹いてしまいます

▲ゲート跡が目立つようなパーツは、別途切り取ってからトップコート。パーティングライン処理を施したパーツも同様です

ステップ 5 部分塗装 関節ほか

▲では、フレームパーツにも部分塗装を施していきます。このようなあまり目立たない箇所の処理は、完成時の見映えに大きく影響するのです
▲関節パーツは完成後にパーティングラインが意外と目立つことが多いので、パーティングラインの処理は必須箇所だと思ってください。処理がしやすいように、余分なランナーを切除しておきます。もちろん、太いランナーを切る際は、使い古したニッパーを使いましょう!
▲こうして余分なランナーを切除しておけば、ヤスリがけも部分塗装もやりやすくなりますよ
▲三角プラ棒に貼り付けた#400の耐水ペーパーで、パーティングラインを処理します
▲面倒なのでランナーごと行うことが多いのですが、切り取って処理したほうが楽な場合は躊躇なく切り取ってヤスリがけします
▲他にも部分塗装を行いたい箇所は、ゲート・ランナーを切除しておきましょう
▲フレームパーツの部分塗装には、ガンダムマーカーが大活躍です。塗料皿に少しだけインクを出します。アルコール系塗料(インク)は思いのほか乾燥が早いので、あまりたくさん出してしまうと、すぐにネトネトになって使えなくなりますよ
▲爪楊枝は塗料の含みを良くするために先端に切り込みを入れています
▲少し広めの部分は面相筆で。臨機応変に適材適所で部分塗装を進めていきます
▲水性ホビーカラー H-9:ゴールドも、とてもきれいな発色なので、フレームパーツの部分塗装でイイ仕事をしてくれます

▲あっ…はみ出してしまいましたね。そんなことはここでも気にしません。もうおなじみのデザインナイフカンナがけで問題ナシ!

ステップ 6 凹モールドへのワンポイント差し色

▲凹モールドへのワンポイント差し色は、やはり先を細くした爪楊枝が大活躍します。「塗る」のではなく、「載せて延ばす」感じでやってみてください。細かい箇所ほど効果が現れます

▲バーニア類はガンダムマーカーで直接塗るのもヨシ、爪楊枝を使うのもヨシ! です。ガンダムマーカーはペン先が尖っていますので、思いのほか直接塗りに適しています

▲シリンダー部位はゴールドとシルバーを使い分けると一気に説得力が増します。まぁ、この辺は外装を装着すると、全く見えなくなるのですが、自己満足です♪

▲部分塗装・ワンポイント差し色を終えたフレームパーツのランナー。実はここまでの作業が一番しんどいのかもしれませんね

ステップ 7 部分塗装 バーニア

▲バーニアの塗装にはガンダムマーカーEX メッキシルバーを使います
▲まずはバーニアパーツを切り出し、ゲート処理

▲両面テープを貼り付けた割り箸に、バーニアパーツを粘着固定し、マーカーで直塗りです。ほぼほぼすべての面をマーカーだけで塗ることができます

▲いかがでしょう? 本当にメッキされたパーツのようですね。完全乾燥後、リアルタッチマーカーブルー1で内部を塗ります。これだけでブルーメッキのような仕上がりに!

ステップ 8 部分塗装 関節ほか

▲ツヤ消しトップコートを終えた外装パーツのランナー。このままでも充分いいのですが、もうちょっとだけ手を入れましょう。かっこいいガンプラができるのだと信じて!

▲ガンプラには組み立てた後に、表面に露出してディテールとして表現される「ダボピン」が存在します。こんな箇所も部分塗装をしておくと、完成時に「いい仕事」をしてくれるのです

▲バーニアの中心や外装の凹モールドに、爪楊枝を利用して水性ホビーカラー クリアーレッドを差し色に。場所や形状によって、他のクリアーカラーを使うのもいいですよ

▲︎バーニアの周囲はガンダムリアルタッチマーカー イエロー1を軽く塗ります。これだけでゴールド風の仕上がりを得ることができます
▲︎これは完全に好みの問題なのですが、装甲裏のモールドに「パイロット ゲルインキボールペン」のゴールドでスミ入れ
▲︎外装パーツにもさまざまな場所に凹モールドがあります。場所や形状によって使う差し色を変えるのもいいのですが、多くの色を規則性無しに使ってしまうとうるさくなってしまうので注意してください。今回はゴールドとクリアーレッドをメインに使用しました

ステップ 9 フレームパーツの表現と組み立て

▲ようやく組み立てに入って行きますね♪「段取り八割」なんて言葉がありますが、ここまで下準備をしておけば、後あとはどんどん組み立てていくだけです!
▲コックピットには私服のアムロくんに鎮座していただきました

▲フレームパーツはグレーの成型色なので、お気楽に金属っぽい表現をしてみます。今回は金属色ラインナップのタミヤウェザリングマスターFセットを使ってドライブラシ風に。軽く擦ると一気に金属っぽく変身です

▲ヒザの関節裏側です。リアルタッチマーカー ブラウン1を大胆に塗りたくり、神のペンでぼかす。実はこの部分、パーティングラインがとても目立ちますので、処理の有無は完成時の出来映えに大きく影響します

▲︎リアルタッチマーカーを大胆に塗り、指で軽く拭き取ります

▲インクが乾かないうちにタミヤウェザリングマスターを軽く擦りつけると、ウェザリングマスターの定着感がアップしますよ

▲フレームパーツも足から腰、胴体と、同様の処理を施しながら下から上へとビルド(構築)していくと、テンションアップ間違い無し!

▲異素材射出成型という最新技術を惜しげもなく使われたハンドパーツも、関節を曲げながら部分塗装。実はこのハンドパーツの指部分、とてもパーティングラインが目立ちますので、プラモ感・白々しさを低減させるために#400〜600くらいでヤスリがけしておくと良いでしょう
▲同様の手法で腕のパーツも完成
▲2〜3時間ほどでフレームの完成です
▲何も処理していないフレームパーツと、完成したフレームを比較してみてください。たったこれだけの手間で、塗装したかのような金属感が出たと思いませんか?

▲︎GUNDAM THE ORIGIN版ガンダムのフレームの完成です! この状態はこの後見れなくなるので、今のうちにいろいろなポーズで記念撮影! 実は私、Ver.2.0のMGザクやジムは、フレームの状態で数体飾っています。今のMGは本当によく考えられた良いキットがたくさんあるのでうれしいですよね

ステップ 10 外装の組み立てと細部調整

▲では、ここからが本番、外装を組み立てていきましょう! やっとここまで来ましたね♪ パーツをドンドン切っていきます。同じ方向からニッパーをアプローチできる箇所はスライド方式で切断! ここでは二度切りを前提に、使い古したニッパーでゲートを残しながら大胆に切っていきます

▲アルティメットニッパーで慎重にゲートを切り取ります。ゲートバリが飛んでいかないように…。切断面がとてもきれいなのでこのままでもいいのですが

▲軽くデザインナイフでカンナがけ。ツヤ消しトップコートをしているのですが、カンナがけした面も程よいツヤ消しになるので、特に追加コーティングなどは行いません
▲足部分のパーツたち。一気に切り取り、一気にカンナがけをすると効率的に作業を進めることができます

▲足先の赤いパーツも同様です。ここは特に細いゲートだったので、カンナがけしたことさえ分からないくらいです

▲腕部分のパーツたち。やっぱり、パーツが並ぶと、ワクワクしてモチベーションが上がりますね
▲同じような形状だけど左右で異なるようなパーツには、油性極細ペンで番号を書いておきます。もちろん、目立たない裏側に
▲胴体パーツ。ここまでくれば、後は組み立て。説明書に沿ってはめていくだけですね
▲胸のマーキングシール「RX-78-02」も、ほとんど余白が目立たない状態でいい感じになりました

▲ここで休憩。作業をいったん中断します。腕・脚・胴と部位ごとにまとめて一時保管。指がいい塩梅にウェザリングされていますね…

▲バーニアは、リアルタッチマーカー ブラウン1をドバっと塗って、指で垂直に拭き取るだけ。これだけで立体感で出てきます

▲あとは気になるところを調整しながら組み立てるのみ! パーツ同士の接合面にリアルタッチマーカー グレー3を塗ります。これは、接合面にスミ入れを行うと、均一にならなかったり奥までスミ入れできないことが多いので、前もってスミ入れ(?)しておくのです

▲可動したときに内部の赤い部分が見えてしまうことが分かったので、リアルタッチマーカー グレー3をパーツの裏側に塗っておきます
▲仮組みして後からパーツを取り外す可能性があるパーツは、ダボ穴に使い古したニッパーで切り込みを入れておきます。仮組み対策にダボピンを細くしたり斜めに切ったりという技がありますが、ダボ穴への切り込みが一番お気楽な仮組み対策だと思います

▲説明書に従って組み立て…。パーツ同士の接合面をリアルタッチマーカーで塗った効果のほどはいかがでしょう?

▲もう、組み立てていくだけなので写真は不要かもしれませんね。ガンダムがドンドン構築されていきます

▲ここで問題を発見。襟首のパーツですが、そのままだと内側が黄色なので、締りがない状態。一応、予測はしていたのでリアルタッチマーカーで塗っておいたのですが、キッチリ塗っておかないと、粗が非常に目立ちます

▲リアルタッチマーカーのペン先ではなく、「ペンの側面」を使ってすーっと追加で塗りました。いかがでしょう? 内部がキッチリ黒くなったことで、引き締まったと思いませんか?

▲手首が装着される側の腕部分もリアルタッチマーカーの塗りが中途半端だと白々しくなるので、ガッツリ塗ってしまいましょう

▲ここで突然、武器製作に移ります。このまま普通に作業を進めると、あとは頭部のみ。頭部が完成するとガンダムができてしまいます。後から武器だけを作るのってモチベーションが上がらないので、頭部の前に武器製作を終えてしまいます
※これは完全に個人の感想です…

▲︎武器にも、フレームパーツに施したものと同じ処理を施します。ウェザリングマスターDセットの「青焼け」を少しだけ入れると、熱で焼けた感をお気楽に表現できます

▲と、いうことで、頭部をオンすればGUNDAM THE ORIGIN版ガンダムの完成です

RX-78-02 ガンダム(GUNDAM THE ORIGIN版)
部分塗装仕上げVer.

 成型色・部分塗装のGUNDAM THE ORIGIN版ガンダムの完成です。いかがでしょう? 全塗装したような仕上がり具合。部分塗装・ワンポイント差し色・マーキングシールが、いい味を演出してくれているのが分かります。テトロンシールの余白をきっちり丁寧に切り取ってあげたので、ほどんどシールの境界が目立たなくなったと思いませんか? 元キットのパフォーマンスを引き出す製作方法として、ぜひチャレンジしてみてくださいませ〜♪

BANDAI SPIRITS 1/100スケール プラスチックキット “マスターグレード”

RX-78-02 ガンダム(GUNDAM THE ORIGIN版)部分塗装仕上げVer.

製作・文/らいだ〜Joe

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©創通・サンライズ

らいだ〜Joe

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