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ヤスリのあれこれ教えます【お気楽ガンプラテクニック 2022】

2022.03.03

お気楽モデリング基本編 ヤスリ 削る・磨く 月刊ホビージャパン2022年4月号(2月25日発売)

ヤスリのあれこれ教えます【お気楽ガンプラテクニック 2022】

ヤスリがけのゴールはアナタ次第

 普通にガンプラを組み立てるだけならヤスリはいらないかもしれません。でも、ほんの少しでもヤスリで処理を施したパーツは見違えるほどに変身してくれます。これからステップアップし、パーツを整えたり形状を変更したりしていくには避けては通れないのがヤスリがけです。
 ここでは「削る・磨く」をテーマにヤスリに焦点を当て、ヤスリの種類による特性やその使用方法を解説します。

ヤスリの種類と特徴を知ろう

 はじめに、ヤスリの基本中の基本で「番手」のお話をしましょう。ヤスリには必ず「番手」と呼ばれる番号があります。「#400」などで表されますが、番号が小さいほど粗く、大きくなるほど細かくなります。基本的には番手の小さいものから大きいものという順序で使用します。
 ガンプラ製作で使用するヤスリには大きく分けて三種類のヤスリがあります。ここでは(1)金属ヤスリ、(2)紙ヤスリ、(3)スポンジヤスリと分類します。他にもフィルムヤスリや液体ヤスリ等がありますが、お気楽モデリングでは使わないので今回は割愛します。

金属ヤスリ

▲︎金属の板や棒に「単目」・「複目」・「波目」などさまざまな種類の溝が刻まれており、その摩耗で物を削ります。「平」・「丸」・「半丸」・「三角」などの形状があり、削りたいものの形状によって使い分けます。ガンプラ製作ではゲート処理の初期段階に使うことが多いですね

紙ヤスリ(耐水ペーパー)

▲紙に砂やガラス質の研磨材を塗布(接着)したもの。ガンプラ製作では耐水ペーパーの#400・#600・#800・#1000くらいを用意しておけば良いでしょう。耐水ペーパーを使うとき、私は台所用洗剤を少し混ぜた水を使って研ぎ出しをします。ぺーパーが長持ちするんですよ〜!

スポンジヤスリ

▲基本的には紙ヤスリと同様の構造ですが、研磨剤がスポンジに塗布されているため、曲面の処理に適しています。力の入れ具合によって研磨力が変わるので、少し慣れが必要かもしれません

ヤスリの基本的な使い方

▲ニッパーで切ったゲート跡を金属ヤスリで削っていきます。このとき、ヤスリの動かし方は往復ではなく、なるべく一方向に動かしましょう。また、パーツの端に対してこの角度で強く動かすと、「削れすぎ」てしまい、パーツを傷める可能性がありますので注意してください
▲ある程度ゲート跡がなくなれば、パーツの端に対して水平にヤスリがけをし、全体の面を整えます
▲金属ヤスリの作業でゲート跡はなくなりましたが、「ヤスリの傷」が残ってしまいました。今度は紙ヤスリで「傷」を磨いていきます。まずは#400で磨いていきましょう。なんだかパーツが白くなって傷だらけのように見えますが、気にせず進めていきましょう
▲次に#600で磨きます。#400で付いた細かな傷を、#600で目立たなくするような感覚です
▲#800まで磨きはじめると、パーツの表面が「ヌメっと」してくるのを指先で感じると思います。もう、ここまでくれば金属ヤスリによる傷はほとんど消え、磨きも充分かなと思います
▲さらにパーツの品質を求めるのであれば#1000で仕上げましょう。どの番手まで使ってどこまで仕上げるかは本人次第ですので終りがありません…。私はほとんどの場合、#1000での磨きで終了させています
▲ショルダー・アーマーのように凹曲面の場合は、「半丸」ヤスリでゲート跡を削りましょう。ヤスリの曲率とパーツの曲率が異なる場合がほとんどなので、同じ位置・同じ角度で削るのではなく、まんべんなく行うのがコツです
▲スポンジヤスリは自由に曲面にフィットするので、凹曲面の磨きに有効です。でも、平面の磨きでは力が分散されるので「平ら」になりにくいのです。ヤスリも適材適所で使い分けましょう
▲最近、お気に入りで使っている便利工具がこれです。GSIクレオスのMr.ポリッシャーPROIII。超高速で左右に動くヘッドの先に耐水ペーパーを貼り付けて使用します
▲先端のアームバーの種類は8種類。形状に合わせてカットされている耐水ペーパーも付属しているので、パーツ形状に合わせて使い分けが出来ます
▲MGクラスになるとパーツ数も多いので、磨き作業だけでも腕が痛くなることもしばしば…。電動だから狙った箇所にアームバー先端をあてるだけで、とても楽ちんに作業が捗るのです

 ■紙ヤスリ選びについて

 紙ヤスリは「いいもの」を使ってくださいね。なかでも模型用として発売されているものは耐久性と品質が圧倒的に優れています。研磨剤の砥粒が均一なので予期しない「変な傷」が付きにくく、失敗が少なくなるので後処理が楽になりますよ。

当て木の工夫で効率アップ

 ガンプラ製作で一番多用するのはやはり紙ヤスリでしょう。しかし、ガンプラにはさまざまな形状があるので「紙」のまま使用すると、思い通りに削ったり磨いたり出来ないこともあります。そんなときは「当て木」を工夫してみましょう。ここでは私が普段使用している当て木と、私が愛用してる各模型ツールメーカーさんから発売中の紙ヤスリを紹介していきます。

▲硬い消しゴムと丸い竹箸に耐水ペーパーを巻いたもの。お気楽汚し仕上げの際は、ほぼこの当て木のヤスリで完結してしまいます。使用感たっぷりの写真でスミマセン…
▲消しゴムの大きさに合わせて耐水ペーパーを切り出し、両面テープで貼り付けています。主に平面の研磨に役立つのですが、少し弾力があるので曲面にも対応します

ナンバーセブン

▲ホームセンターで買ってきたウッドサインの「7」に耐水ペーパーを貼り付けたもの。平面だけでなく、凹曲面・凸曲面の研磨時に大活躍です

三角積み木と三角プラ棒に耐水ペーパーを貼り付けたもの

▲角度が必要なときに便利

ホビージャパンモデラーズ ヤスリプレート

▲スティック状のスポンジを耐水ペーパーでサンド。絶妙のしなやかさで、平面から曲面までオールマイティに使えます。

スジボリ堂 木の板に貼り付けたヤスリ 面出しヤスリ

▲平面の研磨やエッジ出しに最適のヤスリです。薄くて丈夫なので、小さく切り出せば細かい箇所の研磨にも重宝します

ゴッドハンド 神ヤス

▲スポンジに耐水ペーパーが貼り付けられているのですが、このスポンジが絶妙な硬さと弾力なので、持ちやすく研磨しやすいのです。今、一番多用しています

 ■手軽な削りカス対策

 ヤスリがけを行うと、必ず出てくるのが「削りカス」! そのまま放置していると当然のことながら塗装に影響しますのでパーツからきれいに除去しないといけません。超音波洗浄機や水道水で一個ずつ洗うのも良いですが、手軽に使えるのが100円ショップなどで売っている「耐震ジェルマット」。ネバネバした面をパーツに押し付けると簡単に削りカスが取れますよ。しかも汚れても洗えば再利用も可能です。

やってみよう! パーティングラインを消す

 ガンプラに限らず、プラキットには「パーティングライン」というものが存在します。せっかく頑張って組み上げたモビルスーツも、パーティングラインが目立ってしまうと少し萎えてしまうのですよね…。他記事の『ワンランクアップ!ガンプラ製作のナイフ活用例【お気楽ガンプラテクニック 2022】』でも触れましたが、ここではヤスリを使ってパーティングラインを消してみましょう。

▲︎分かりやすいようにパーティングラインを赤色でなぞってみました。最近ではパーティングラインもパネルラインの一部に見えるように設計されたパーツも多いのですが、気になる場合は消してみましょう
▲︎今回使ったのは、ホビージャパンモデラーズのヤスリプレート。#400・#600・#1000の三段階の処理です。写真は#600で研磨中の様子
▲︎たった一分足らずの作業できれいにパーティングラインが消えました。はじめは面倒かもしれませんが、パーティングラインの有無で仕上がった作品のクオリティは格段に良くなりますので、ぜひチャレンジしてみてください

 ■面倒だけど効果はバツグン、ヤスリと仲良くなろう!

 ヤスリが無くてもガンプラは作れます。事実、私が時短・お気楽汚しで製作する際は、ほとんどヤスリがけしません。でも、ヤスリがけによる効果はご覧の通り絶大で、パーツの品質が一気に向上します。今回あまり紹介しませんでしたが、エッジを出すだけでもガンプラの精度が上がったように見えます。ただ、ヤスリがけのゴールはありません。どこまでの状態を「良し」とするかは、作者ひとりひとりで異なるもの。まずはパーティングラインを消す! ことを目的にしてもイイでしょうし、「とゅりゅんとゅりゅん」にするのを目的にしてもイイのです。自分に合ったヤスリと出逢い、自分に合った仕上げを探すのもレベルアップの一歩だと思いますよ。

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©創通・サンライズ

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