北海道で発掘された大型恐竜「カムイサウルス」を復元!!「プラノサウルス パラサウロロフス」を改造して日本最大級の全身骨格を再現!【プラノサウルス復元プロジェクト】
2026.06.17
プラノサウルス復元プロジェクト/カムイサウルス【BANDAI SPIRITS】●ウラベヒロト(アーミック)、G.Masukawa(GET AWAY TRIKE!) 月刊ホビージャパン2026年7月号(5月25日発売)
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■改造
いわゆる恐竜時代、すなわち中生代(約2億5190万~約6604万年前)の地層は日本各地に露出しており、白亜紀(約1億4310万~約6604万年前)の陸成層(河川など、陸地で堆積した地層)からは恐竜化石が多数報告されている。しかしそのほとんどは単離した歯や骨で、全身骨格と呼べる保存状態・完全度の化石はフクイヴェナトルのみである。海成層から完全度の高い骨格が産出した例も世界的には知られているが、これらもレアケースにすぎないのが実情だ。
こうした中にあって、アンモナイトや二枚貝、モササウルス科といった海生動物化石で知られる海成層の函淵層からほぼ完全な骨格が発見されたカムイサウルスは、まさしく「奇跡の恐竜」であった。全長8mという大型恐竜の骨格がほぼ完全な状態で産出することは陸成層でもめずらしく、豊富な化石の知られるハドロサウルス科としても決して多くはない。今回は日本を代表する恐竜化石のひとつであり、世界的にも注目を集めたカムイサウルスを、パラサウロロフスの改造で製作する。
カムイサウルスの復元骨格は実際の化石のレプリカをそのまま組み上げたものに加え、化石のゆがみ・破損を修正したデジタルモデルを3Dプリントしたものも存在する。こうした標本はとてもよい参考になるだろう。
▲まずはキットをカムイサウルスの骨格図と比較し、改造箇所を検討する。手数ができるだけ少なくて済むよう、どの部分でサイズを合わせるかよく作戦を練ろう。今回は一連の頸椎をサイズ合わせの指標とした
▲作戦が固まったところで頭骨の改造にかかる。頭蓋はくちさき(前上顎骨)とクレスト(前上顎骨+鼻骨)の部分と顔面部とをエッチングソーで切断する。クレストはカットし、残った吻を使う
▲パラサウロロフスの上顎骨をプラ板で延長し、そこに残しておいた吻を接着する。下顎は先端のくちばし部分(前歯骨)を活かすことにして、中ほどでいったんカットしてプラ板で延長する。頭骨各部や軸椎(第2頸椎)の棘突起はエポパテを盛って整形する
▲カムイサウルスの胴椎の棘突起は前方に傾斜しており、パラサウロロフスとは大きく異なっている。キットの棘突起をカットしたら椎体に切れ目を入れ、カーブ具合を骨格図に合わせて調整する(模型はパワーだぜ)。棘突起はプラ板に骨格図を貼り付けて切り出した
▲肋骨はキットパーツを丁寧に切り分け、実際の化石や復元骨格(ゆがみを矯正されたバージョンのもの)、骨格図を参考に胴椎に接着する。パラサウロロフスのパーツで長さが足りない部分については、テリジノサウルスのキットの肋骨を切り出して使用した
▲続いてキットの四肢をカムイサウルスの骨格図と比較する。キットはこじんまりしたサイズのため、四肢の可動部が目立ってしまっている。パラサウロロフスとカムイサウルスとではそもそも四肢のプロポーションがかなり異なるため、かなりの加工が必要になりそうだ
▲上腕骨はパラサウロロフスのものをカットし、そこにパテを盛る。熟慮の末、前腕部と手はブラキオサウルスのキットを使用することにした。前腕部と手は骨格図を参考に長さを調整する
▲実際の化石・レプリカや骨格図を参考に、前肢の形状を追い込んでいく。ハドロサウルス科の多くのものでは、上腕骨こそ比較的マッシブだが、ヒジから先はまるで棒のようになっている。前腕部と手はブラキオサウルスのパーツをできるだけ細く削り込み、実際の化石の印象に近づけた
▲後肢はキットパーツをプラ板で延長する。恐竜ビルドの都合もあって全体的にボリューム不足のため、パテを各部に盛って整形しよう。足は全体的に小さいため、トリケラトプスの足を加工して使用する。ヒジ・ヒザ・足首関節は針金を通して可動化させた
▲肩甲骨・烏口骨はキットのものを使用する。そのままだと肩関節が外側に突出するので、ボールジョイント軸を上腕骨から生やし、元の軸受け(肩甲骨側)を大きく開口してボールの受けとする。一連の加工が終わったら、骨盤とともに胴体ブロックに接着する
▲尻尾はそのままだと長さが足りなくなるため、もう1個同キットを使って延長する。要所でカットして長さを合わせ、補強のために金属線を通した上で接着する
▲キットは恐竜ビルドの都合上、棘突起や血道弓に歯抜けの部分がある。パテで埋めつつ、棘突起や血道弓のアウトラインをカムイサウルスの骨格図を参考に調整する。さらに胴椎の横突起や肩甲骨・烏口骨、骨盤にもエポパテを盛り、実際の化石・レプリカや骨格図を参考に整形する
▲尾のアウトラインがそれらしくなったところで、エポパテで埋まったディテールをひたすら彫刻刀で彫り直していく。実際の化石・レプリカや骨格図を参考に、単調な平行線にならないよう注意して彫り進めていく。がんばろう
▲ひと通り加工が終わったところで各部を組み上げ、全身のプロポーションを確認する。ここまでの改造でキットとはプロポーションが大きく変わっているため、骨格図と見比べながら調整していこう。満足のいったところで塗装に移る
■塗装
▲カムイサウルスのホロタイプをイメージして塗装する。ホロタイプは死後、海底に完全に埋もれる前に著しい生物侵食(≒虫食い)を受けている。骨の本来の表面が残っている部分はベージュや明るい茶色、侵食されて骨の海面質がむき出しになっている部分は焦げ茶色や黒っぽい色に見えるようだ。サンドカラーで全体を塗装した後、暗い色を筆でまだらに乗せていく
▲ほどよくまだらになったところで、全体の色をなじませるためにエナメル系のブラックでウォッシングする。全体がなじみすぎないよう。塩梅には注意が必要だ。拭き取ったらツヤ消しクリアーでコートする
▲これで完成! 海成層から産出した「奇跡の恐竜」の全身骨格を卓上に復元することができた。膨大な数の化石が知られているハドロサウルス科の中でも有数の保存状態・完全度を誇る「竜のカムイ」の優雅かつ力強い姿がよみがえる。ハドロサウルス科のプロポーションは種によってさまざまだが、基本的な形態はどれも同様。カムイサウルスの製作に限らず、今回の改造テクニックをぜひ活用してほしい
▲北海道の浦河町から宗谷岬、そしてサハリンにかけて南北に長く露出する蝦夷層群は、世界でも有数の白亜紀の海生動物化石の産地として明治時代から知られている。特に異常巻きアンモナイト(殻の巻き方が特殊な種類のアンモナイトの総称)が有名だが、モササウルス科や首長竜、ウミガメといった海生脊椎動物の化石も知られている。
カムイサウルスのホロタイプがむかわ町穂別で発見されたのは2003年のことである。地元のアマチュア採集家によって発見された化石は当初首長竜のものと思われたが、2011年になってハドロサウルス科の関節のつながった尾の一部であることが判明した。骨格の残りがまだ地層中に残されていることから大規模な発掘が開始され、最終的にほぼ完全な骨格の採集に至ったのだった。「むかわ竜」の愛称で知られてきたこの恐竜は2019年にカムイサウルス・ジャポニクスと命名され、穂別恐竜博物館のシンボルとなっている。
Kamuysaurus japonicus
カムイサウルス・ジャポニクス
●鳥脚類 ハドロサウルス科●全長約8m●白亜紀後期(マーストリヒチアン初頭)約7200万年前●北海道央部
BANDAI SPIRITS プラスチックキット “プラノサウルス” パラサウロロフス使用
カムイサウルス
製作/ウラベヒロト(アーミック)
骨格図・解説/G. Masukawa(GET AWAY TRIKE!)
プラノサウルス パラサウロロフス
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン●1540円、発売中●約16cm●プラキット
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