日本独自の思想がふんだんに込められたユニークな戦闘機「F-2 戦闘機」とは? F-16に似ていながら中身が別物になった経緯をファインモールドの1/72キットとともにご紹介【いまさら聞けないすごいヤツ】
2026.06.17F-2戦闘機
イラスト/大森記詩
「名前は知っているけどどんなものなんだろう?」「いまさら聞くのもはずかしいなぁ……」なんて思ってしまう有名な飛行機や戦車、車などのモチーフをサクッと読める解説とイラスト、オススメのプラモとともにご紹介する本連載。今回は外見こそF-16に似ていながら、中身は日本独自の思想がふんだんに込められた別物と言えるユニークな戦闘機「F-2 戦闘機」をピックアップします。
F-2
全幅/11.1m
全長/15.5m
全備重量/22000g
エンジン/F110-GE-129
最高速度/マッハ約2.0
航続距離/2900km
武装/武装/20mm機関砲、空対空レーダーミサイル、空対空赤外線ミサイル、空対艦ミサイル
第8飛行隊 築城基地
F-2戦闘機
解説/宮永忠将
第21飛行隊 三沢基地 2015年 東日本大震災被災機 修復第1号機
F-2の開発に大いに貢献「T-2 CCV 実験用航空機」
CCVとは「運動能力向上機」のこと。T-2 CCVをあえて単純化して説明するなら、従来の軍用機が空力的安定性に依存する設計であったのに対し、意図的に不安定な設計とし、それを最新技術で制御する機能を検証した機体である。もともと不安定を織り込んだ設計であるため、必要な局面では驚くほど高い運動性能を発揮できるというわけ。T-2練習機をベースに製作されたこの機体は、防衛庁技術研究本部により1970年代後半から1985年まで使用され、実験データはF-2の開発にも応用された。F-2に独自の日本仕様を大きく反映できたのは、T-2 CCVの成果があったからである。この貴重な機体は、現在、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館で翼を休めている。
米軍と共同開発した空自の戦闘機
航空自衛隊は日本の国土防空を担う任務から出発したため、迎撃戦闘機を重視していたが、やがて対地支援能力も求められるようになり、1977年にF-1支援戦闘機を導入した。そして空自は1988年(昭和63年)に次期支援戦闘機FS-Xの開発を決定し、三菱重工を中心メーカーとする枠組みで計画を開始した。これが後にF-2戦闘機として結実する。
当初、空自はF-2を国産化、少なくとも国産中心で進める考えでいた。陸上自衛隊でも国産の第三世代主力戦車となる90式戦車の開発に邁進していた時期だから、自然な判断だ。ところが1980年代後半は、日米間で貿易摩擦が深刻化しており、解消の一環として、アメリカ側は、技術移転を含むF-2開発への関与を強く求めた。結果、日本政府も妥協を迫られ、米空軍のF-16戦闘機を技術的ベースとする共同開発となった。
このように説明すると、アメリカのゴリ押しでF-2開発の本筋がねじ曲がってしまったかのようにも見える。しかし、F-1支援戦闘機のベースはT-2練習機であり、完全国産機の開発母体としては心許ない。要求性能を満たす高性能機を実現するには、米側の協力が渡りに船だった部分もある。
そのような背景のもとで開発が始まったF-2だが、完成した機体は単なるF-16改造型という説明では済まないほど、日本側の独自要求が反映された設計に進化した。そして性能やコスト、リスク管理などさまざまな事情から日本側の国産要素が増大し、外見こそF-16に似ていながら、中身は別物というユニークな戦闘機となったのである。
対艦戦闘が得意なマルチロール戦闘機
F-2にとってもっとも重要なのは、海に囲まれ、島嶼が多いという日本の防衛地理を踏まえ、敵の上陸や艦隊行動を阻止する打撃能力であった。特筆すべきはその対艦攻撃力で、従来の93式空対艦誘導弾ASM-2から、現在では射程と速度を向上させたASM-3Aの配備も進んでいる。F-2は航空自衛隊の対艦攻撃の主力であり、現在もこの対艦攻撃能力の向上をめぐって各種のアップデートが継続している。
また、傑作マルチロール機であるF-16がベース機なので、F-2には高い空対空戦闘能力も備わっている。制空戦闘機であるF-15Jや第5世代戦闘機のF-35と正面から比較するものではないが、戦闘機の機数そのものが求められる局面では、F-2のマルチロール性能は大きな意味を持つ。なお、支援戦闘機や要撃戦闘機といった区分は2005年以降、防衛省が廃止したので、F-2は支援戦闘機とは呼ばれず、戦闘機に類別されている。これはF-2の実態に即した適切な変更である。
もっとも、F-2の製造数は試作機を含めても100機に届かず、製造ラインもすでに閉鎖されている。2011年の東日本大震災では、津波に襲われた松島基地において、訓練に不可欠な複座型を中心に18機ものF-2が使用不能となる非常事態に陥った。その大半は修復されたものの、復旧には7年もの時間と莫大な予算を要している。これは、戦争に限らない日本の「有事」を突きつけた重大な教訓であった。

ファインモールドのF-2シリーズに、パイロットフィギュアをセットした「航空自衛隊 F-2A戦闘機(w/ パイロット)」が新発売! フィギュアの設計・金型製作はタミヤ、成型製造をファインモールドが行った至高のフィギュアがさらにF-2の魅力を引き上げています。複座のF-2Bも発売中。
航空自衛隊 F-2A戦闘機(w/ パイロット)
●発売元/ファインモールド●4950円、発売中●1/72、約21.5cm●プラキット
\この記事が気に入った方はこちらもチェック!!/
アグレッサー部隊をおさらい!

「F-15 戦闘機」について後編! アグレッサー部隊の歴史と性能をファインモールド「F-15DJ アグレッサー[デジタル迷彩 緑]」とともにご紹介【いまさら聞けないすごいヤツ】
「名前は知っているけどどんなものなんだろう?」「いまさら聞くのもはずかしいなぁ……」なんて思ってしまう有名な飛行機や戦車、車などのモチーフをサクッと読める解説とイラスト[…]
“平成の零戦”の勇姿ならコチラも!

対空・対艦の二刀流! 航空自衛隊 F-2A戦闘機をそれぞれの仕様で2機作り比べてみた
1F-1支援戦闘機に続く国産戦闘機として、2000(平成12)年に航空自衛隊への導入が開始されたF-2戦闘機。さまざまな戦術的任務に対応できる“マルチロール・ファイター”であるが、特に対艦ミサイル4[…]

























