【ARTPLA キングギドラ発売記念連載】ARTPLA怪獣シリーズ、次なる挑戦【第3回】
2026.09.25ARTPLA怪獣シリーズの新たな可能性を模索するメカゴジラ
静岡ホビーショーにて、ガメラと共にARTPLA怪獣シリーズの第4弾として発表された「メカゴジラ Re:イマジネーション」。これまで、メカゴジラ関連のインジェクションキットは、『ゴジラ対メカゴジラ』に登場したメカゴジラ(1974)、平成・VSゴジラシリーズに登場したメカゴジラ(1993)、ミレニアムシリーズに登場した3式機龍など多数の商品化がなされている。その中において、唯一『メカゴジラの逆襲』に登場したメカゴジラ(1975)はキット化されていなかったが、ここに来てARTPLA怪獣シリーズで初のインジェクションキットでのリリースが実現した。
ARTPLA怪獣シリーズとしては、異例なチャレンジが多く含まれるこのアイテムはどのような経緯で生まれたのだろうか? 開発担当の塩入は次のように語っている。
「怪獣シリーズの商品ラインナップを決めていく中で、「メカゴジラを入れられないか?」という話が出ていました。では、なぜメカゴジラになったのかと言えば、メカゴジラ(1975)が初キット化であることは強いインパクトになるからですが、新たな挑戦をするにあたって、着ぐるみ的な雰囲気と有機的なメカっぽさの融合を表現できないか、なにより原型を担当した村井さん(海洋堂所属造形師・後述)がメカゴジラを造形したいと強く希望したということもあったんです。
企画を進める中で、いろいろと資料を見ていくと1974は、着ぐるみの出来もカチっとしていて、見た目が結構メカメカしい感じになっているんですが、1975は着ぐるみ感が出ていてムチっとしているんですよね。あのメカ的な雰囲気と有機的な造形をインジェクションキットで再現するのはARTPLA怪獣シリーズの新たな挑戦としては面白いのではないかとは思いました」
原型を担当したのは、海洋堂の所属造形師・村井太郎。これまで、ARTPLA怪獣シリーズの造形は松村が担当してきたが、シリーズの可能性を広げるために、新たな原型師が参戦することとなった。では、村井はどのような思いでメカゴジラの造形に臨んだのだろうか?
「僕は1983年生まれで、ゴジラシリーズで言うと小学生のころに「平成・VSシリーズ」直撃の世代でして、当時昭和のゴジラシリーズはVHSで後追いしたり、図鑑で知った世代です。小学生当時の自分にとっては、昭和のメカゴジラはちょっとダサいかなとも感じていましたが、それがかえって強烈な違和感や印象を子供の自分に残したように思います。そして大人になると、昭和メカゴジラの顔つきやリベットだらけのデザインは、絶対今の時代にはできないし、メカゴジラの中でも一番格好いいと思うに至りました。
そこで、今回ARTPLA怪獣シリーズにメカゴジラをラインナップに入れるという話を聞いたので、自分からやりたいと挙手した形です。
1975を選んだ理由は、初プラキット化ということに加えて、般若顔やフィンガーミサイルなど、随所に凶悪な要素が強調されていることと、市街地を破壊する怪獣プラモを作りたいという思いがあったからです。『メカゴジラの逆襲』では、メカゴジラが横須賀の市街地を襲撃するシーンが印象深いので、ベースも含めて劇中の雰囲気を再現したかったという思いがあります」
メカゴジラに取り入れたARTPLA怪獣シリーズの新要素
メカゴジラを作りたいという強い思いを持って造形に取り組んだ村井。これまでのARTPLA怪獣シリーズとは異なる、着ぐるみの雰囲気を残したスタイルの造形には、メカゴジラの持つ魅力を引き出そうという思いがあった。
「本体の造形に関しては、1975と1974の良さ融合させた形で作っています。1975は資料写真を見ながらそのまま作っていくと、わりと細身になってしまって、いまいち強さに欠ける印象でした。でも1974の方はマッシブでボリューム感がある。両方の雰囲気を取り入れることでプロポーションを調整しました。例えば太股の接続部の凸凹感は、1975はスレンダーな感じなんですが、1974の方は凸凹のメリハリが効いているので、その良さを取り入れています。
メカゴジラのプロポーションの表現で参考にしたのは、相撲の力士のお腹の雰囲気です。力士の恰幅のいいシルエットと昭和メカゴジラはテイストとして合うなと思いました。
更にメカゴジラと言えば、横須賀のシーンで登場する進化した回転ミサイルを撃つ姿が印象的なので、それを歌舞伎的な見栄を切るポーズと重ねて、どんどん日本文化的な要素を盛り込んでいきました。」
本アイテムの特徴は、これまでの松村が手掛けて来たARTPLA怪獣シリーズで描写されてきた「巨大な怪獣が実際に存在する雰囲気の表現」とは異なる、映画における撮影用着ぐるみを使ったシーン描写に近い雰囲気での造形だ。その新たなアプローチに対して、村井自身はどんな思いがあったのだろうか?
「メカとしてのメカゴジラを表現するならば、もっとカッチリしている方が正しいのですが、メカゴジラの着ぐるみを見るとあの太股あたりのたるみが面白いなと感じていまして。太股は、形状としてどう考えても金属的な硬いものではないという歪が着ぐるみには出ているんですよね。リベットのついている筋までも歪んでいるのもメカ表現としてはおかしいけど、それも含めてメカゴジラらしさだなと思っています。また、相撲や歌舞伎の要素に付け加えて、着ぐるみ要素も日本文化の一つと言えるので、あえて残すようにしました。
そんな違和感の塊である巨大な物体が、昭和の市街地をぶっ壊していたらと想像しながら、造形を進めていきました。
街の情景に関しては、歩道橋やビルなどは、当時の横須賀の雰囲気が出るよう昭和50年頃の街の写真などの資料を参考にしています。もちろん、あの頃の横須賀には行ったことはないんですが、その雰囲気を出すべく細部を作り込むようにしました」
今回のメカゴジラでは、形状表現の他にARTPLAとしては新たな表現が加えられている。それは、一部パーツの可動とクリアパーツの採用だ。開発担当の塩入はそれらの新規要素については次のように語っている。
「メカゴジラというキャラクターとしては、組み立てている人が「こうだったらいいな」と思う要素を取り入れるようにしています。目にはクリアパーツを使用しているので、内部にはLEDを入れて電飾を施せる余地を最初から入れてあります。
腰から下の足や尻尾は完全に固定なんですが、手首や首、胴体は完成後に回せるような設計にしてあって、口の開閉も可能です。だから、完成後に多少のポーズ変更もできるようになっています。作りながら電飾用に改造したり、完成後にちょっとポーズを変えたりといった、これまでのARTPLAとはまた違う楽しみを入れても面白いなという試みですね。そして、これらの要素は各部が分割されても不自然ではない、メカゴジラだからこそできる要素でもありますからね。
ARTPLAは絶対に同じフォーマットじゃないとダメだということもないので、キャラクター性に合致した面白さがあればどんなアプローチでもいいと思っているんです。だから各部の可動は村井さんの提案で入れるようにしました。
現在、まさに絶賛開発中で、リベットの再現などについても大詰めに入っている感じですが、リベットのディテールがバリバリの結構いいものができあがりそうです」
『機神幻想ルーンマスカー』のスレイプニールから始まった、インジェクションキットでの有機的なメカ表現は、怪獣シリーズで生物的な表現へと進化。そして、メカゴジラでは、怪獣の造形を踏まえたことでの、新たなメカニック表現へと到達した。こうして、ARTPLA怪獣シリーズはまた新たなステップを上がったことになる。
では、最後に開発担当の塩入に今後のARTPLA怪獣シリーズの方向性について聞いてみた。
「ARTPLAは、「今回はこれをやったから、次はあれをやる」という形でいろいろ進化してきたんですが、今後は「色分け」についてちょっと考えていきたいなと思っています。これまでは、形状が格好いいなとか組み上がったら格好いいというアプローチを踏まえた開発をしてきたんですが、またちょっと新しいことをしていこうかと。今後は怪獣シリーズは続きますが、そのほかにもいろんなラインナップが増えていくことになるので、新たな発表は10月の全日本模型ホビーショーまでお待ちしていただければと思います。いろいろと面白いことを考えていますので、ARTPLAを引き続きよろしくお願いいたします」
▼ 【ARTPLA キングギドラ発売記念連載】海洋堂キングギドラ造形史〜ARTPLAに至る道〜【第1回】
▼ 【ARTPLA キングギドラ発売記念連載】ARTPLA怪獣シリーズのこだわりが息づくキングギドラの造形【第2回】
▼ ARTPLA SCULPTURE WORKS キングギドラRe:イマジネーション紹介記事
TM &© TOHO


























