HOME記事キャラクターモデル【コードギアス 新潔のアルマリア】ep18「私、決めました」

【コードギアス 新潔のアルマリア】ep18「私、決めました」

2026.06.09

コードギアス 新潔のアルマリア●長月文弥 月刊ホビージャパン2026年7月号(5月25日発売)

コードギアス新潔のアルマリア18話top画像

『コードギアス 奪還のロゼ』へと続く物語

 『コードギアス 復活のルルーシュ』と『奪還のロゼ』をつなぐ『コードギアス』の新たなるストーリー『新潔のアルマリア』。ついに明かされるM誕生の秘密。それは、マリアンヌ・ヴィ・ブリタニアの死を受け入れない者たちが作り出した、禁断のクローン技術から生まれた悲劇だった……。

STAFF
シナリオ 長月文弥
キャラクターデザイン 岩村あおい(サンライズ作画塾)
ナイトメアフレームデザイン アストレイズ
モデル製作 おれんぢえびす、コジマ大隊長
撮影協力 BANDAI SPIRITS コレクター事業部


ep.018『私、決めました』

「マシュー、あなたは夢を持っているのね。素敵だわ。人にとって夢は原動力だもの」



──敬愛するマリアンヌ様にいただいたその言葉は、つい先ほど耳にしたかのように鮮明に思い出すことができる。マリアンヌ様が亡くなられてからもう10年以上も経っているというのに……。

──僕のブラキストン家は辺境の貴族。父は製薬の分野で富を成していたが、僕は不仲であった父とは別の道に進みたくて軍学校へと入った。幸運なことに騎士としての素質を持っていた僕は、優秀な成績を認められ、コーネリア皇女殿下の部隊へと配属されることとなった。これだけでも非常に幸運なことであったが、それ以上の幸運が待っていた。なんせ、僕はその配属先で、自分の人生を変える御方に出会うのだから……。

──そう。マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア様。

──僕が崇拝すべき女神。

──ゆるやかに波打つ黒髪。凛々しい佇まい。聖母のような微笑み。そして、見る者のすべてを見透かすような昏く深い瞳。

──マリアンヌ様を構成するすべての要素に、僕は一瞬で魅了され、虜となった。まるで恋に落ちてしまったかのように、常にマリアンヌ様を想ってしまう。それが不敬だとわかっていても、目で追ってしまう。そして、そのお姿を脳裏に焼き付け、そのお声を何度も脳内で繰り返し思い出し、その存在を全身で感じ取る。そうせねば生きていられないと思わされるほどの魅力をお持ちだったのだ。

──マリアンヌ様は、神聖ブリタニア帝国、シャルル・ジ・ブリタニア皇帝の皇妃のおひとり。しかし他の皇妃の方々とは明らかに何かが違っていた。人によってはカリスマ性や妖艶さと表現する者もいる。だが、僕にはその魅力を言葉にするのは非常に困難だった。どんなに言葉を尽くしてもマリアンヌ様の魅力とその神聖さを表現するには足りないと感じてしまうからだ。そんなマリアンヌ様のおそばに仕えることができるなんて僥倖としか言いようがない。僕は自分の幸運に感謝した。僕が配属されたコーネリア皇女殿下の部隊は、マリアンヌ様とそのご家族の警護が任務。それだけでも幸運なことなのに、僕はマリアンヌ様と接し、直接お言葉をいただく機会に恵まれたのだ。

──あれは、アリエスの離宮の庭園で、ルルーシュ皇子とナナリー皇女が仲睦まじく遊んでいた時のこと。僕はマリアンヌ様のそばで警護に当たっていた。その時、マリアンヌ様がふいに問いかけられたのだ。


「あなたに夢はある?」


──どういう意図で聞かれたのかはわからない。庭園で戯れるご兄妹たちを見て、その将来を思われたのか、それとも、ただの世間話だったのかもしれない。どちらにせよ、僕は舞い上がった。敬愛するマリアンヌ様から問いかけられたのだから。だから、僕は咄嗟に嘘をついた。


「はい。将来、世界に安寧をもたらすのが夢です」


──そんなこと、微塵も思ってはいなかった。ただ、マリアンヌ様と言葉を交わすことが嬉しくて、少しでも長く会話するために嘘を吐いた。もしかすると、そんな嘘をマリアンヌ様は見抜いていたのかもしれない。マリアンヌ様はただにこりと微笑んで仰ったのだ。


「マシュー、あなたは夢を持っているのね。素敵だわ。人にとって夢は原動力だもの」


──僕の胸にちくりと何か刺さった。

──だけど、その場でマリアンヌ様に実は夢なんてないなどとは言えなかった。矮小な人間だと思われたくなかった。見栄を張りたかったんだ。でも、その咄嗟の嘘は僕に小さな心残りを残した。そして、そんな小さな心残りを残したまま、あの夜がやってくる。

──何者かによってマリアンヌ様が殺されたあの日のあの夜が……。

──あの日のことはよく覚えている。

──いつもなら、部隊の誰かが交代で離宮の警護に当たっていた。しかし、あの夜は、マリアンヌ様ご自身が僕たち警護隊を引き上げさせたのだ。なぜ、あのような指示を出されたのか誰も知らない。コーネリア皇女殿下でさえ、知らされていないようだった。だが、そんな不可解な事柄は僕にとってはどうでもよかった。マリアンヌ様がこの世から失われたことに比べたら、他のどんなことも些末なことでしかない。

──僕は生きる意味を失った。

──お守りすべき皇妃は、崇拝すべき女神は、何者かによって奪われてしまったのだ。僕はただ絶望し、軍を辞めようかとも思った。

──だが、そう踏み切れない何かがあった。

──この胸に残った小さな心残りだ。

──僕はマリアンヌ様に嘘をついた。

──僕に夢なんてない。マリアンヌ様のおそばにいられるだけでよかったから。だが、そのマリアンヌ様を失った今、敬愛するマリアンヌ様に嘘をついたままでよいのだろうか。

──いや、そんな不敬を働いてはならない。

──僕は嘘を本当にせねばならない。嘘の夢を、本当の夢に変え、その夢を叶えなければならない。

──マリアンヌ様への小さな心残りが、僕の生きる意味となった。

──僕は、マリアンヌ様への小さな心残りを胸に研鑽に研鑽を重ねた。

──多くの戦場を渡り、戦果を上げた。

──いつしか、僕はその功績を認められ、皇帝直属の騎士団、ナイトオブラウンズのひとりであるノーランド・フォン・リューネベルクの親衛隊長に選ばれていた。


ⒸSUNRISE/PROJECT L-GEASS Character Design Ⓒ2006-2017 CLAMP・ST

1 2
この記事が気に入ったらシェアしてください!

オススメの書籍

月刊ホビージャパン2026年7月号

ご購入はこちら

コードギアス 復活のルルーシュ メカニカルコンプリーション

ご購入はこちら

サンライズ・メカニック列伝

ご購入はこちら
PAGE TOP
メニュー