HOME記事イベント“ハイ”と“ロー”に二極化?10月に開催された「Wonder Festival 2026 上海」から見る、現在の“中国ホビーシーン”のトレンドと傾向を展示写真とともにレポート【WF上海2026】

“ハイ”と“ロー”に二極化?10月に開催された「Wonder Festival 2026 上海」から見る、現在の“中国ホビーシーン”のトレンドと傾向を展示写真とともにレポート【WF上海2026】

2026.11.02

Wonder Festival 2026 アフターレポート 月刊ホビージャパン2026年12月号(10月23日発売)

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バンダイブースに見る「二極化」のトレンド

 これらの展示の状況を概観すると、現在の中国ホビーシーンのトレンドに関してひとつの仮説が見えてくるように思う。それはざっくりと言ってしまえば、「高価格・大型の商品と、低価格・小型の商品への市場の二極化」である。
 コンストラクショントイの盛り上がり、飽和状態を思わせるようなメカ系プラキット、そしてハイクオリティな1/12フィギュアの増加という3つの現象は、すべて「低価格帯商品の増加・ハイグレード化」という一本の線でつながっているように思う。
 コンストラクショントイの特徴のひとつは、とにかく安い点にある。メカ系プラモにしても同様で、こちらも「クオリティの割に安い」という点は重要だ。組み立て式のプラキット形式ならば安価に、そして値段の割にゴージャスに感じられる商品を届けることができるのである。1/12フィギュアの増加も、価格に注目すれば同じような特徴が見えてくる。大型フィギュア並みのクオリティで、大きさは12インチフィギュアのおよそ半分、そして関節を動かして遊べるフィギュアが一般化したことは、ユーザーにインパクトを与えたはずだ。
 つまり、競争によって安価でハイクオリティな商品の層が厚くなり、「低価格でそれなりのクオリティが担保されている商品」と、「高価格で巨大かつハイクオリティな商品」への二極化が高速で進んでいるのが現在の中国ホビーシーンの現状である……というのが自分の見立てだ。
 この現状が強く濃縮されていると感じたのが、バンダイのブースを見たときだ。今回のバンダイブースで強くプッシュされていたのが、「METAL
BUILD 初音ミク」である。日本円にしておよそ税込36300円という商品だが、専用の試遊コーナーまで用意されており、力の入り具合が伝わってきた。また、大型商品としてMETAL BUILD用のミーティアユニットも展示。これなどは、大型・高価格の完成品ロボットトイの最たるものだろう。
 一方、同時にバンダイが数多く展示していたのが、小型・低価格のコンストラクショントイだ。バンダイはブース内で「JOYACTIVA」「KIKAI KOUBOU」「HEROICART」「FREEZE IMPACT」といったブランドを多数展示。これらに共通しているのはモビルスーツや『聖闘士星矢』のキャラクターをデフォルメした、低価格帯のアイテムであるという点だ。
 片方ではMETAL BUILDに代表される高価格・ハイクオリティな完成品トイを展示し、そしてもう片方では低価格アイテムを展示するというバンダイのブースの内容からは、現在の中国ホビーシーンのトレンドが際立って見えてくる。中国の多くのメーカーは「得意ジャンル」が決まっているところが多く、幅広いジャンルの商品を一社で手掛ける総合ホビーメーカーはほぼ存在しない。一社で幅広い価格帯とジャンルの商品を手掛けるバンダイのブースだからこそ、「価格と内容での二極化」というトレンドが色濃く反映されたのではないだろうか。

●バンダイブース

「GUNDAM XMX」展示
▲ ブラインドボックス形式で販売される、中国向けのSDシリーズ「GUNDAM XMX」が会場発表された。第1弾は「ストライクガンダム」全6種!
 METAL BUILD 初音ミク
▲ METAL BUILDの初音ミク。布製の衣装もセットになった野心的なアイテムで、会場には専用の試遊コーナーも設置された
KIKAI KOUBOU 展示
▲新作「KIKAI KOUBOU」は、独特のデフォルメが特徴
JOYACTIVA 新作展示
▲ 同じく新作「JOYACTIVA」。やや頭身高めにデフォルメされた、可動フィギュアとなっている
FREEZE IMPACT
▲固定ポーズのデフォルメフィギュア「FREEZE IMPACT」
METAL BUILD ミーティア
▲ 凄まじいボリュームのMETAL BUILD用ミーティア
魂ネーション ブースの様子
▲ ブース全体でMETAL BUILD初音ミクを推していた

二極化は当面収まらない?

 このホビー商品の価格面・内容面での二極化というトレンドは今後も続いていくことが予想される。難しいのは「価格に対してお得な商品がほしい」というユーザーの要求には、「ここまでいったら合格」というゴールがないという点だ。中国のホビーシーンには常にプレイヤーが参入し続けており、対して先行した会社はさらに上を目指すのが常である。そうである以上、ユーザーの需要をひたすら満たすために体力勝負の消耗戦を続け、その中で利益を最大化していく企業努力を重ねるしかない。二極化する市場の中で、価格帯に応じた真剣勝負の切磋琢磨が高速で繰り返されているのが、中国のホビーシーンなのである。
 この二極化というトレンドが果たしてどこまで行き着くのか、現在盛り上がっているジャンルのメーカーがどこまで勝ち続けるのか、それは誰にもわからない。なにせすべての動きが恐ろしく速い中国のことである。1年後には上海WFの風景はまた大きく変化し、予想を超えた驚きが我々を待っているはずだ。

●一般ディーラー

個人ディーラースタチュー
▲ フィギュアの目に合わせた極小のディスプレイを頭部に組み込むことで、目線の動きや瞬きを再現できるというアイテム
 メカ系のガレージキット
▲ メカ系のガレージキットも各種出展されていた
一般ディーラー スタチュー
▲ 工芸品的なアプローチの緻密な立体物を見られるのも、上海WFの魅力
一般ディーラー ディオラマ
▲ 日本の街並みを徹底して再現したディーラーも登場
一般ディーラー 造形
▲ 巨大なアノマロカリスなど、企業ブースよりさらに振り切った展示物を置いているのも、一般ディーラーならではだ


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