“ハイ”と“ロー”に二極化?10月に開催された「Wonder Festival 2026 上海」から見る、現在の“中国ホビーシーン”のトレンドと傾向を展示写真とともにレポート【WF上海2026】
2026.11.022026 上海 現地リポート
“ハイ”と“ロー”に二極化する中国ホビーシーン
去る10月3日から4日にかけて、今年も上海新国際博覧中心にてWonder Festival 2026 上海(以下上海WF)が開催された。昨年から1ホール増えて全5ホールを使用と規模を拡大。企業ブースが3.5ホール、一般ディーラーが1.5ホールを使用しての開催となった。
年々巨大化しつつ、ゲームショウや海外のコンベンションにも似た「総合ホビーイベント」的立ち位置を築きつつある上海WF。今年の会場で見られた中国ホビーシーンの現在のトレンドと傾向について、写真とともにレポートをお届けしたい。
取材・文/しげる
※一部の商品は中国国内限定の流通アイテムとなります。また、企画中、監修中のアイテムもございます。詳細については、ホビージャパン編集部では一切お答えできませんのでご了承ください。
大きく盛り上がったコンストラクショントイ(組立式玩具)
会場で見られた今回のトレンドのひとつには、コンストラクショントイの隆盛があるだろう。代表的なブランドとしては、日本の小売店などでも見かけることが多くなったブロッキーズが存在する。同社は今回の上海WFでは周囲と比べても特に大規模なブースを出展。壁一面を占める巨大な棚に自社商品をずらりと並べてディスプレイする演出で、今後発売される多数の新作も展示した。
ウルトラマンシリーズや仮面ライダーシリーズなど、中国でも人気の日本特撮コンテンツに注力するコンストラクショントイブランド・KEEP PLEYも会場にブースを出展し、『ウルトラマンオーブ』のギャラクトロンなど新作を展示。また日本でも製品が販売されているyoloparkは『天空戦記シュラト』関連アイテムを発表(『シュラト』は90年代初頭に中国でも放送され、仏教やインド神話を題材とした内容から『聖闘士星矢』に匹敵する人気がある)。従来から『トランスフォーマー』のフィギュアを数多くリリースしてきたAULDEYは同じく『トランスフォーマー』に関連する新作を発表し、さらに中国の特撮作品『鎧甲勇士』の関連アイテムも多数出展していた。
少々変わったアプローチを見せたメーカーとしては、SEMBO BLOCKがある。元々はブロック玩具メーカーだった同社だが、今回の上海WFではコンストラクショントイの新作を多数展示。これらは完成品ロボットトイで知られるMOSHOW TOYSやロボットプラキットを中心にリリースするHEMOXIANとのコラボレーションアイテムとなっていた。このSEMBO BLOCKの試みは、他ジャンルのアイテムをコンストラクショントイの形式に取り込もうとする動きと言えるだろう。
これらコンストラクショントイの販売方法は、従来のアクションフィギュアやプラキットとは少々異なる。現在の中国製コンストラクショントイの販売方法は、POPMARTなどから販売されている「潮流玩具」に近いのだ。
LABUBUの世界的ヒットなどで注目されたPOPMARTなどの潮流玩具だが、大きな特徴として日本円にして数百円~二千円前後の価格帯でのブラインドボックス販売である点が挙げられる。箱にはそれぞれのアイテムのアソート率が書かれており、ひとつずつ買ってガチャ的なギャンブル性を味わうもよし、ボックス買いして一気にコンプリートするもよし、という買い方ができるのだ。
現在のコンストラクショントイの販売形式は、この潮流玩具の販売形式に酷似する。販売ルートも幅広く、特にブロッキーズの製品はコンビニから雑貨店、ファンシーショップに一般の玩具店と、至る所で販売されている。値段は高くて2000円ほど、部品は一部塗装されているものも多く、買って組み立ててみればしっかり見映えのするアクションフィギュアが手に入る。非常に「ほどよい」製品内容が支持を集めた結果が、今回の上海WFでのコンストラクショントイ勢の隆盛につながったと思われる。
●コンストラクショントイ
メカ系プラモは飽和状態?
もうひとつ、「盛り上がっている」という状況を超えて「飽和している」という状況に近づいているのではないか……と思わされたのが、オリジナルのメカ系プラキットである。今回の上海WFではメカ系プラキットだけで1ホールがほぼ丸々埋まっており、このジャンルが中国で熾烈な競争状態にあることが察せられた。
特に景気の良さを感じたのが、巨大なブースを出展していた東莞東秀文化伝播有限公司のプラキットブランド“MOTOR NUCLEAR”である。同社の看板商品は「三国志」や「西遊記」といった中国の古典を題材にしたド派手なロボットプラキット。そのボリューム感や派手さの割に安価であり、今回発表された新作の数からも市場での人気が窺える。
同社のブースで注目したいのが、自社のプラキットを題材としたアニメ『星甲魂将伝』のPVを巨大なスクリーンで流しっぱなしにしていたことである。本作は人類の敵である凶獣と巨大ロボット・星魂将を操る主人公の戦いにタイムリープ要素を交えた作品であり、コミック版は日本でもWEB上で読むことができる。
コロナ禍以前、中国のホビー業界では「コンテンツの存在しないホビーアイテムは売れない」という空気があった。が、今回のMOTOR NUCLEARのブースを見ると、その流れが逆転していることがわかる。つまり「まず先にプラキットを売りまくり、その実績を踏み台にしてコミックやアニメを展開する」という方法論が生まれつつあるのだ。現在の中国のメカ系プラキットの売れ行きはアニメ化を可能にするほどの規模感であることが、同社のブースからは読み取れた。
ただ、これは近いうちに市場が飽和するのでは……と思わされたのも事実である。前述のようにメカ系のアイテムを出展している企業だけで1ホールを埋め尽くすほどの数になっており、しかも全体を見ると、デザインが似ているキットも多い。中国では細かくパーツ分割や色分けがされ、全身にくまなく細かいディテールが埋め込まれた人型ロボットが好まれる傾向がある。数多くのメーカーの製品がこのデザインのルールを踏襲しており、言葉を選ばずに書けば「どれも全部同じに見える」という状態に近づいている。消費者が「全部同じ」だと思ってしまう状況になれば、あとは価格と内容でメーカー同士が消耗戦をすることになり、今後このジャンルのメーカーはある程度淘汰されるのではないか……という懸念も感じた。
●メカ系プラキット
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