HOME記事ガールズプラモお外で「うちの子」撮影にチャレンジ! ソルト流ポージング術と野外撮影のポイントを総ざらい! “物語”を感じる一枚を撮ってみよう!【第5回 ソルト流 ガールズプラモ撮影術】

お外で「うちの子」撮影にチャレンジ! ソルト流ポージング術と野外撮影のポイントを総ざらい! “物語”を感じる一枚を撮ってみよう!【第5回 ソルト流 ガールズプラモ撮影術】

2026.06.24

ソルト流 ガールズプラモ撮影術

ソルト連載5サムネ

 昨今、ガールズプラモデル界隈でも、ぬい活やオモ写のような“撮って楽しむ文化”が広がりつつある。素組みから塗装済み、さらには布服を着せたものまで──モデラーたちが自ら手がけた「うちの子」の写真が、日々SNSに投稿されている光景を目にしたことがある人も多いだろう。
 しかし、いざ見よう見まねで撮ってみても、完成写真と変わらない“プラモデルらしさ”が残ってしまい、思うように魅力を引き出せない……そんな経験はないだろうか。
 本連載では、ガールズプラモに“息を吹き込む”写真表現を得意とするフォトグラファー・ソルト氏が、その撮影術を分かりやすく解説していく。
 第5回は「野外撮影」総集編! これまで紹介してきた撮影ポイントを、ソルト氏の作品写真とともに振り返りながら、「うちの子」をさらに魅力的に見せるポージングのコツも紹介する。
 ガールズプラモを“作る”だけで終わらせない、その先の楽しみ方へ踏み出してみよう。

(写真・文/ソルト)


第5回:「野外撮影」総集編
「物語」の切り抜きと
「ポージング」の魅力

 「うちの子」のスケールだからこその世界観 

ロケーションの活用 ×「覗き込む」仕草が生むスケール感の逆転

ソルト流撮影術「エクソシスト 紫陽花」

 こちらは前回お伝えした「サイズ差のあるオブジェクト(建造物や植物)」を活かすテクニックの、実践的な応用編です。今回は初夏の象徴である「紫陽花アジサイ」を舞台に、1/12スケールだからこそ表現できるファンタジーな世界観を狙ってみました。
 日常の風景の中にキャラクターをただ立たせるだけでなく、その場所が持つ「自然の造形」に身体を干渉させることで、写真の物語性は一気に加速します。

ソルト流・撮影のポイント

● メガミの「小ささ」を最大の武器にする、視点の逆転
 紫陽花の時期に野外撮影をする際、お花を背景にして地面に置くのも定番で綺麗ですが、せっかくなら一歩踏み込んでみましょう。今回は、大ぶりな紫陽花の葉や花の「陰」に身体を滑り込ませ、そこからひょっこりとこちらを覗き込んでいるようなシチュエーションを作りました。
  私たち人間にとっては見慣れた紫陽花ですが、1/12スケールの彼女たちにとっては、まるで「深い森」の中から覗いているかのようにも写ります。お花の陰を巨大な木々に見立てることで、現実のサイズ差が心地よい幻想的な空気感へと昇華します。

● 「腕を後ろに回す」仕草が生む、キャラクターの愛らしさ
 このポージングにおける最大のこだわりは、両腕の配置です。腕をあえて身体の後ろ側に回す(後ろ手に組むような)ポーズを付けています。
 こうすることで、何かに興味を持って「なにしてるの?」と身を乗り出して覗き込んでいるような、無邪気で女の子らしいかわいさを120%表現することができます。

● 背景に埋もれさせることで生まれる「実在感」
 被写体全体をハッキリと見せるのではなく、手前にある花や葉を大胆に前ボケとして写し込んでいます。キャラクターが周囲の環境に「包まれている」状態を作ることで、「そこにポンと置いたフィギュア」ではなく、「本当にその森に生息している住人」であるかのような圧倒的な実在感が生まれます。

夕方のドラマチックな光 × 躍動感のある「片足立ち」

ソルト流撮影術「エクソシスト 夕陽」

 本連載の集大成とも言える、夕日をバックにしたダイナミックな1枚です。波打ち際でダンスの一瞬を切り取ったかのようなこのカット。実は、「ひっつき虫」を使って片足自立をさせています。
 しかし、単に立たせるだけではプラモデルや人形特有の「置物感」が出てしまいます。人間らしい自然な躍動感を出すために、私は以下のポイントをシビアに調整しています。

ソルト流・撮影のポイント

● 夕陽の海ではしゃいでいる「一瞬の躍動感」を表現
 綺麗に整った静止ポーズではなく、まるでダンスの最中に楽しそうにはしゃいで跳ねているような、前後の「動きの流れ」を感じさせるポージングを意識しています。

● 片足立ちのリアルな「バランス調整」を腕の動きで再現
 人間が実際に片足で立つとき、無意識に腕を上げてバランスを取ろうとするリアルな身体の反応をプラモに落とし込んでいます。
 左腕は軽く曲げてスカートを優雅につまみ上げ、右腕は少し後ろに引きながら反対側の腕を曲げてバランスを取るように高く上げることで、「おっとっと」と楽しそうにバランスを取っている女の子らしい自然なニュアンス(動感)が生まれます。

● 頭部を「水平」に維持して実在感を高める
 体幹や脚が斜めに大きく傾く不安定なポーズのときほど、頭部をあえて「水平を維持する」ように微調整してみてください。これだけで、キャラクターが自分の意志で重力を捉え、そこに確かに立っているという強い「実在感」を表現できます。

● お尻から足首までの「重心軸」を明確にする
 100%の体重が乗る「軸足」は、お尻のトップから足首、そして接地している面までが1本の直線として繋がるように意識します。重心を意識してしっかり立たせることで、針金の支えを感じさせない、説得力のある「重さ」が表現できます。

ソルト流撮影術「エクソシスト 夕陽」解説

 夕方~夜の逆光シーンでは、体のライン(シルエット)が強調されるため、こうしたミリ単位の調整が写真の物語性を大きく左右します。

■日中の光 × 歩み寄る「日常の動感」とロケーションの機転

ソルト流撮影術「ガンナー お散歩」

 第1回~第2回でお伝えした「日中の光」の応用編として、こちらは屋外のデッキの上を気持ちよくお散歩しているような、何気ない日常のワンシーンに仕上げました。
 実はこの写真、一見すると恵まれた環境で撮ったように見えるかもしれませんが、撮影現場では「曇り空」というちょっとした難題に直面していました。その逆境を現場のアイデアで乗り越えた、ソルト流のロケーション選びと構図のトリックを解説します。

ソルト流・撮影のポイント

● 白衣装×曇り空の「同化問題」を、お花の背景で鮮やかに解決
 撮影当日はあいにくの曇り空でした。そのまま空を背景にしてカメラを構えると、キャラクターが着ている白いお洋服が背景の白さに同化してしまい、全体的に輪郭がぼやけた、はっきりしない写真になってしまいます。
 そこで視点をガラリと変え、背景に鮮やかな紫の花々(お花)が美しく画面を埋めるアングルを選択しました。こうすることで、白いお洋服と同化するのを防いでキャラクターのシルエットをくっきりと浮き立たせると同時に、画面全体をパッと華やかに演出する効果を狙っています。

● 円形ベンチの「湾曲」を活かし、写真にディープな奥行きを作る
 キャラクターが楽しそうに歩いているウッドデッキのように見える部分は、実はロケーションにあった「円形のベンチ」の座面を利用しています。
 直線的な構図にするのではなく、ベンチ特有の美しいカーブ(湾曲)を構図の中に上手く取り入れ、映し込むことで、1/12スケールの世界観の中に心地よい「奥行き」と、吸い込まれるような空気感が生まれます。

● あえて重心を崩す「アシンメトリー(左右非対称)」の魔術
 ポージングにおいては、普通にまっすぐ歩いているように見えて、実はほんの数ミリだけ片方の腰を落とし、肩の高さを左右非対称に変えています。プラモの関節をまっすぐ均等に伸ばしてしまうと、一気に硬いポーズ感が出てしまうからです。
 身体の動きや風向きに合わせ、衣装の裾をあえて片方へ寄せることで、静止画の中に本物の「風の流れ」を宿しています。

ソルト流撮影術「ガンナー お散歩」解説

 Photo data 

ソルト流写真撮影機材
カメラ:ニコン D750、レンズ:SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD、シャッタースピード:1/100秒、絞り値:f/4.5、ISO:900、露出補正(EXP):-0.3EV

使用キット素体
朱羅 九尾 祭

ソルト流撮影術「エクソシスト」紫陽花

BULLET KNIGHTS エクソシスト
胸パーツ:plabo@Plabo3dp

Coordinate
トップス:モチファク@mochifac
スカート:自作

ソルト流撮影術「エクソシスト」夕陽

Coordinate
トップス:海外製品
スカート:自作

ソルト流撮影術「ガンナー」

BUSTER DOLL ガンナー

Coordinate
ワンピース:不明作家製品
アウター:株式会社アゾンインターナショナル

 想像力が点と点を結び、一つの物語になる 

 ガールズプラモの撮影におけるポージングやロケーション選びとは、単に技術的に形を整えることではありません。最後に、私が最も大切にしている、撮影に向き合う際のマインドについてお話しします。
 野外にうちの子を連れ出してカメラを構えるとき、「綺麗に撮ろう」とか「誰よりもすごい写真を撮ろう」といった意気込みは、とりあえず一度横に置いてみてください。
 それよりもまずは、「いま、うちの子はこの場所で何を考えているんだろう?」と、彼女たちの心の声を想像する癖をつけてみてほしいのです。

・「あのお花、すごく綺麗だな」
・ 「海風がちょっと冷たくて気持ちいいな」
・ 「この大きな紫陽花の後ろに隠れたら、驚いてくれるかな」

 そんな風に、うちの子の目線になって周囲の環境を見つめ直してみる。その小さな想像力こそが、これまでお話ししてきた「光の読み方」や「ポージングの技術」といったバラバラの点と点を結びつけ、あなたにしか撮れない「ひとつの物語(作品)」へと昇華させてくれます。

ソルト流撮影術「ガルム 朝焼け」
キット:ユグドラシス ガルム・リッパー、服:コトブキヤ タイニークローゼット 甘フリルコーデ【Dusty Pink】(●3300円、発売中●1/10)

いつも見てくださる皆様、
刺激をくれるクリエイターの皆様、
本当にありがとうございます!


 いかがだっただろうか。今回紹介したポイントを意識しながら、ぜひ自分でもガールズプラモの撮影に挑戦してみてほしい。
 次回はテーマを新たに「水」とし、雨や水辺などを舞台にした撮影にスポットを当てる。「うちの子」と「水」が織りなす、印象的で魅力あふれる写真表現のポイントを紹介していく。
 ソルト氏が切り取る、“まるで息づくかのような1枚”の魅力とその撮影術をお楽しみに。



ソルト流 ガールズプラモ撮影術
毎月 第二、第四水曜日 更新!!

次回更新は
7月8日(水)予定



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