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ファインモールド「アメリカ空軍 F-15D 戦闘機」で嘉手納基地を去り行く国内最後のアメリカン・イーグルを製作!!

2024.04.11

アメリカ空軍 F-15D 戦闘機【ファインモールド 1/72】●石原肇 月刊ホビージャパン2024年5月号(3月25日発売)

ファインモールド「アメリカ空軍 F-15D 戦闘機」作例 top

嘉手納基地を去り行く
ラスト・アメリカン・イーグル

 F-14トムキャット、F-4ファントムII、空自F-2戦闘機などの1/72現用ジェット戦闘機シリーズでスマッシュヒットを続けて勢いに乗るファインモールド。昨年秋に発売されたF-15J/DJイーグルも大好評だが、垂直尾翼や米軍用ドロップタンクなどの相違点をフォローしたアメリカ空軍のF-15C/Dイーグルも限定品バリエーションで登場。すでに嘉手納基地からの退役が予定されている国内最後のアメリカン・イーグルたちに思いを馳せてモデリング!

ファインモールド「アメリカ空軍 F-15D 戦闘機」作例 後方
▲ファインモールドの1/72 F-15シリーズにアメリカ空軍の複座型F-15Dが仲間入り。単座型F-15Cも同様に限定品で発売されている
ファインモールド「アメリカ空軍 F-15D 戦闘機」作例
▲複座型のF-15Dは空自のDJと同様に単座型と同等の戦闘能力を備えている。別売のウェポンセットからミサイルを搭載して戦闘モードとするのもおもしろいだろう
ファインモールド「アメリカ空軍 F-15D 戦闘機」作例 機体上面
▲グレー迷彩は実機写真の色合いをイメージして塗装。米軍機にありがちな、パッケージ写真のような機体上面がグダグダに汚れた状態のウェザリングを施してみた
ファインモールド「アメリカ空軍 F-15D 戦闘機」作例 前後席のパイロットフィギュア
▲キャノピー後部やコクピット内部はD/DJ型用の専用パーツが用意されている。前後席のパイロットフィギュアは他キットからパーツを流用して搭乗させた
ファインモールド「アメリカ空軍 F-15D 戦闘機」作例 主翼および胴体下面
▲主翼および胴体下面に懸吊するドロップタンクは空自と異なる米軍用のタイプを新規パーツでセット。開閉選択式の上面エアブレーキはDJと共通パーツ
ファインモールド「アメリカ空軍 F-15D 戦闘機」作例 垂直尾翼
▲垂直尾翼も先端のセンサーなどが異なるC/D型用の新規パーツを用意。ワシを大きく描いたマーキングは嘉手納基地に暫定配備されたカリフォルニアANG機のもの

嘉手納のアメリカン・イーグル
 嘉手納基地の18TFW「ZZ」に最初に配備された1979年以降、F-15C/Dイーグル戦闘機は嘉手納基地の「主」として君臨していたが、アメリカ空軍は2022年11月1日から約2年をかけて退役させると発表。2022年12月から段階的に帰国が開始、飛行時間がなくなった一部の機体は沖縄県内でスクラップにされ、今年1月の時点で「ZZ」に残る機体は数機のみになった。現在は暫定的に本国からANGのF-15飛行隊が展開している。
 F-4C/D時代から撮影しているオヤジモデラーには、18TFW(現在は18FW)のF-15Cは魅力的で、配備された当時は航空自衛隊と同じグレー2色の制空迷彩だったが、徐々にカラーリングは変化し、現在はF-22ラプターに似たグレー迷彩となった。ファインモールドから複座型のF-15Dと単座型のF-15Cがほぼ同時に発売されたが、今回は昨年12月に嘉手納基地で撮影したカリフォルニアANG 194FSのマーキングを施した、複座型のF-15Dを選択した(次は18TFW「ZZ」のF-15Cだ)。

キットの製作
 一見するとコクピット部分や胴体、エアインテーク周辺などは複雑な分割で、パーツ数が非常に多いのに驚く。こんな場合は普通は隙間や段差処理に悩まされるが、このキットはパーツ精度が非常に高く、ストレートに組んでもまったく問題ない。
 コクピットの計器パネル、サイドコンソールは塗装かデカールの選択が可能で、作例では塗装用のモールドがあるパーツに軟化剤を使用してデカールを密着させて再現した。射出座席もリアルに再現されており、作例では他のキットからパイロットの頭部、胴体、腕などのパーツを流用して搭乗させてみた。パイロットを乗せない場合は、同社のナノ・アヴィエーションのシートベルトを追加するとよいだろう。
 上下と側面が分割されているエアインテーク部分はジグソーパズルを彷彿させるほどパーツ数が多いが、前述の通りパーツの合いは非常に良好だ。エンジンノズル内部の色指定は白となっているが、実機ではススで黒く汚れているのでその様子を再現しておきたい。
 先端のねじり下げが再現されている主翼は左右が一体で、下面の一部がインテーク側面と一体となった不思議な分割だが、この部分もストレートに組んでも隙間や段差が生じない。エルロンはエンジン始動時とダウンした駐機状態用のパーツが選択できる。エルロン単体のパーツでは接着面が少なく強度不足となるが、このキットでは主翼の一部と一体化しているため、強度を保ちつつ正確な角度が再現できるユニークな設計となっている。垂直尾翼も同様に胴体パーツの一部と一体化されているため、強度や取り付け角度などは心配ない。
 アイリスカバーを外したエンジンノズルは少ないパーツながら非常にリアルに再現されているので、塗装するだけで実感タップリ。キャノピーとエアブレーキは開閉が選択可能だが、アウトリガーやアンテナ類は製作する機体によって選択するので注意しよう。
 アクセサリーは燃料タンクのみで、作例では迫力のある燃料タンク3本のフル装備としたが、空対空仕様を再現する場合は別売りのウェポンセットを使用しよう。

塗装とマーキング
 マーキングはカリフォルニアANGの144FW/194FSと、オレゴンANGの173FW/114FSの2種類が選べる。作例では12月に嘉手納基地で撮影し、1月の時点で嘉手納基地に暫定配備されているカリフォルニアANG(F-15Cだが)を選択したが、もうひとつの理由は、機体上面がグダグダに汚れたパッケージのF-15Dを再現してみたかった。グレー迷彩は実機写真を参考に塗装、胴体上面の汚れはパッケージを参考にしてウェザリングしている。

終わりに
 設計者の発想がユニークなパーツ分割が特徴のキット。脚やライト類、ミサイルランチャーなど細かいパーツが多いため、老眼のオヤジモデラーは若干苦労する部分もあるが、ストレートに組めるお薦めのキットだ。

ファインモールド 1/72スケール プラスチックキット

アメリカ空軍 F-15D 戦闘機

製作・文/石原 肇

アメリカ空軍 F-15D 戦闘機
●発売元/ファインモールド●4950円、発売中●1/72、約27.8cm●プラキット


 「アメリカ空軍 F-15D 戦闘機」を製作するのに役立つ実機写真も別記事にてご紹介中! 今回の作例でも参考にされたものなのでぜひご覧になってみてくださいね!

\詳細はコチラ/


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石原 肇(イシハラハジメ)

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