HOME記事ガンダム宇宙空間を表現したディオラマが完成! ガンプラ塗装から100円ショップの塗料で仕上げるベース製作法などご紹介!【週末でつくるガンプラ凄技テクニック】

宇宙空間を表現したディオラマが完成! ガンプラ塗装から100円ショップの塗料で仕上げるベース製作法などご紹介!【週末でつくるガンプラ凄技テクニック】

2024.03.19

週末でつくる ガンプラ凄技テクニック 懐かしのディオラマ編 月刊ホビージャパン2024年4月号(2月24日発売)

 休日のゆったりとした時間に、じっくりとプラモデルを作る楽しみを体感しよう! がモットーの連載企画「ガンプラ凄技テクニック」。懐かしのディオラマ編最終回となる今回は「宇宙を表現するテクニック」の後編をお届けします。G-3ガンダムやシャア専用リック・ドムの塗装、100円ショップのポスターカラーでベースを仕上げる方法などを解説していきますので、最後までお楽しみください。
前編の記事はこちら

講師/林哲平


“波”でワイヤーを隠そう

ドムを固定しているワイヤー
▲結局小惑星は諦めました。そして『機動戦士ガンダム』第41話「光る宇宙」で、宇宙に海や波が押し寄せるシーンを見て思いつきました! ここは波でワイヤーを隠そうと。ワイヤーを長めにとり接地面積を広げて強度を上げ、内側に反り返し、大波の芯とします
ベースに木工用ボンドを塗る
▲波は紙粘土で作ります。下準備として、ディオラマの下地に木工用ボンドをしっかりと塗り、剥がれないように準備。ドムを浮かせるぶん、接着が甘いとベリッと剥がれちゃいそうですし…
紙粘土をワイヤーが隠れるように整形
▲シャープな造形が可能である紙粘土、パジコの「ハーティクレイ」を使います。「光る宇宙」のララァとアムロが感応している、画面が波で谷のようにV字になるシーンを見ながら、その形に合わせて手で波を造形していきます
棒で細かい波模様を整形
▲手だけで波を造形するのはちょっと難しいので、身の周りにある棒状のものを押しつけて、細かい部分を造形していきます。私は塗装の持ち手の刺す側を使いましたが、自分が使いやすいものならなんでも大丈夫ですよ
並みの完成状態
▲波の完成状態。少し抽象的ですが、これでワイヤーを隠しつつ、よりニュータイプ感溢れるイメージに近づいた…と思います! 画面から見えない内側の反り返り部分は、葛飾北斎の浮世絵「神奈川沖浪裏」を参考に造形しました

ビームをグレードアップしよう

プラスチックの漏斗
漏斗をビームの根元に配置

▲ビームは根元がプラ棒そのままだとちょっと寂しく感じてきました。大河原邦男氏が当時描いたポスターを見ながら案を練っていると、ジオングの頭部が射出されるバーニアのエフェクトで、下が漏斗状に広がっているものにビビッと来ました! 即座に100円ショップにダッシュし、漏斗をゲット! 先端をカットして根元に装着すると、安定感も見た目もグ~ンとよくなりました

ベース全体のバランス確認
▲ディオラマの正面から眺めてバランスをチェックします。V字に画面を割る波の間から、下がピラミッド状になったビームが上に向かって伸びる。構図的にも問題なさそうです
漏斗を紙粘土で覆う
▲ディオラマの後ろ半分は平面ですが、そのままボン! とビームが置かれているだけではちょっと味気ないです。紙粘土が乾く前に漏斗を押しつけ、盛り上がった部分のフチを、軽~く指先で撫で、外側にほんの少しだけ波のようにめくれをつけます
漏斗を外した状態
▲漏斗を外した状態。ギュッと紙粘土に押しつけて軽く下に埋め込ませたため、8mm棒単体の軸よりも格段に安定感が上がりました
漏斗を付けた状態
▲ビームをつけた状態。平面部は宇宙をイメージして黒にしました。周りに小さな波があると、泡が弾けるようにビームが宇宙空間を突き破るような表現に…なるといいな
漏斗とプラ棒との段差を埋めて整形
▲漏斗とプラ棒との段差はエポパテを使って埋めます。パテを盛り、なだらかなつながりになるように削って整えます。漏斗には生産表記が刻印されていたので、その部分もついでに削り落としておきます
ビーム先端をヤスリで整形
▲ビーム先端はディオラマでも目を惹くポイント。デザインナイフである程度形を整えたあと、当て木をした紙ヤスリでしっかりと先端を尖らせます
ビームの完成状態
▲ビームの完成です! 偶然にも、『ガンダム』最終回でシャアとアムロが戦ったサーベルのような形状になったのはちょっと運命を感じてしまいます。中心のマスキングテープはG-3の位置調整用のものを剥がし忘れた部分なので気にしないでください(笑)
レイアウトした状態
▲ベースにG-3とドムを設置して、レイアウトがついに完成です! ここに来るまでいろいろ悩みましたが、なんとか形になりました。次はいよいよ塗装です!

シャア専用リック・ドムを塗装しよう

Mr.カラーのシャインレッドとMSシャアピンク
イージーペインターでリック・ドムに吹きつけ

▲シャアの色は赤とピンク、どっちに振るか難しい色です。今回はアニメセル画風のピンクに調色してみましょう。とは言っても、方法は簡単で、Mr.カラーのシャインレッドとMSシャアピンクの瓶の中身を全部取り出して、1:1で混ぜるだけ。これでビビッドなアニメ風のシャアピンクになります。調色したら、イージーペインターでリック・ドムに吹きつけて塗装していきます

Mr.ウェザリングカラーのグランドブラウン+マルチブラックで軽くウォッシング
▲基本塗装後はツヤ消し後にMr.ウェザリングカラーのグランドブラウン+マルチブラックで軽くウォッシングし、水性ホビーカラーのつや消しホワイトでエッジを強調。当時風の仕上げとしています
リック・ドムのバーニア内部 加工状態
▲宇宙を飛んでいるとき、リック・ドムのバーニア内部は明るいイエローに光ります。ここはMr.フィニッシングサーフェイサー1500ホワイトに色ノ源イエローを混ぜ、赤みの無いイエローを調色し、イージーペインターで吹きつけます。バーニア外側は水性ホビーカラーのつや消しブラックを筆塗り後、イエローにはみ出た部分を強アルカリ系洗剤で拭き取って仕上げます。これならマスキングの手間なく、バーニア内側だけを明るく仕上げることができるのです
マジックペンでフチをリタッチ
▲とは言いつつ、足裏は面積的にマスキングして塗ったのですが、テープを剥がすとフチがギザギザに! ここはマジックペンでフチをなぞってリタッチ。意外とこういうフチだけを塗るのに、ペンの穂先って向いているんですよ。足裏が黒で助かりました
シャア専用リック・ドムの胴体完成状態
▲シャア専用リック・ドムの胴体完成状態。モノアイは4.5mmのポンチでお名前シールを打ち抜き、G-3を見上げるように上に貼っています

G-3ガンダムを塗装しよう

G-3ガンダム 胴体パーツ
▲MSV版、MG版といろんなカラーバリエーションがあるG-3ですが、講談社刊「機動戦士ガンダムMSVモビルスーツバリエーション3連邦軍編」の表紙を参考に、渋めの2色グレートーンで塗り分けました。2色とも時短のために、サーフェイサーから調色しています
ビームで撃ち抜かれた部分をオレンジで塗り分け
▲ビームで撃ち抜かれた部分はオレンジで塗り分けます。これだけでビームで赤熱溶解した装甲のイメージを簡単に表現可能。連邦MSのバーニアは青白く発光するので、わずかに青を加えたホワイトで内側を塗っています
胴体の溶解部分を塗り分け
▲胴体の溶解部分を塗り分けます。ビームを差し込んでも、意外と奥まで隙間から見えるものなので、内側までしっかりとオレンジで塗り潰しておきましょう
頭部パーツ 
▲1/144ガンダムの最大の難関ある、頭部の塗り分け。とは言っても、トリコロールではないグレートーンのG-3であればそこまで難しくはありません。順番に塗り分けていきましょう
頭部パーツ 塗り分け塗装1
▲クマドリとアゴをラッカー系塗料で塗り分け、頬のダクトやマスクのへの字は水性のドローイングペンで塗り分けます。スジ彫りのディテールが甘くなっている部分も、ペンであればシャープに描き込むことができますし、水性なのでリカバリーも簡単です
頭部パーツ 塗り分け塗装2
▲目にはひと工夫加えて、ボワッと光っているようにグラデーションを加えてみましょう。まずは水性ホビーカラーのイエローとオレンジを調色し、赤みの強いイエローで下地を塗装します
頭部パーツ 塗り分け塗装3
▲続いて、目の中心付近にイエローを軽く塗ります。下地を全部隠さないように、“ちょん”と中心部に塗料を乗せるくらいでOKです。ちょっと写真だと写りにくいですけれど、簡単に目力をアップできるのでぜひ試してみてくださいね
プレミアムトップコートつや消しでツヤ消し後、ウォッシングとドライブラシを施す
▲基本塗装が終わったら、プレミアムトップコートつや消しでツヤ消し後、ドム同様にウォッシングとドライブラシを施します。わずかな塗料のはみ出しなども、これでほとんど分からなくなります
頭部の塗り分け完成状態
▲頭部の塗り分け完成です! 頭頂部のセンサーはイラストに合わせ、少し暗めのグリーンで彩色しています。アンテナは最後の組み立て時に、塗膜を侵さないエポキシ系接着剤で接着しましょう

ベースを塗ろう

ディオラマの後ろ部分を黒く塗装
▲ディオラマの後ろ半分、ビームが突き出す周りは宇宙の黒で塗装します。これは100円ショップで購入した水性アクリル系のポスターカラーを筆塗りしていきます
黒く塗った状態
▲黒く塗った状態。1回だけだとムラが出るので、乾燥させながら数回塗り重ねて黒く塗り潰しています。波の部分は白く下地を残し、中心に少し黒が飛び出るぐらいにしています
菜美部分を青く塗装
▲波も塗っていきます。「光る宇宙」のララァ撃墜シーンでは、海の色味は緑寄りの青だったので、100円ショップのポスターカラーの青と緑を混ぜて調色。波の動きを表現するため、筆のタッチを活かしてほんの少しムラを残しておきます
波しぶきを白く塗装
▲波しぶきを100円ショップのポスターカラーの白で描き込んでいきます。「光る宇宙」で宇宙が波でVの字に割れるシーンをひたすら見ながら作業してました(笑)
宇宙と波との境目を白く塗装
▲宇宙と波との境目はどうするか…。ものすごく悩んだのですが、細く白い線を波のように何本も何本も描き込んでいき、「光る宇宙」の波のように、宇宙に波が侵食していくような表現としています
波を描き込んだ状態
▲波を描き込んだ状態。真っ白い紙粘土がV字に割れる波っぽくなりました…が、ちょっと何か足りない気がするんですよね
白い塗料をしみこませた筆﨑を指で引く
引いた筆先を離し塗料を捲く

▲波が押し寄せるシーンをよくよく見ると、細かな白い波しぶきが飛んでいます。これが足りなかったんですね! ここはポスターカラーの白をコシの強い筆に含ませ、指でぐい~っと後ろに反らし、離しましょう。筆が元に戻る反動でピシャッ! と白い塗料が飛び散り、付着することでリアルな波しぶきの表現になるんです

波しぶきを加えた状態
▲波しぶきを加えた状態。この方法は跳ね返った液体の表現としては効果抜群なのですが、つい飛び散りすぎてやりすぎになりやすいので、何回か事前に練習して調整してから実践してみてくださいね
波の裏側
▲波の裏側。ここはディオラマとしてはあまり見せたくない部分ではありますが、完成後もしっかり見える部分なので、表の波に合わせてそれっぽく波しぶきなどを描き込んでいます
ビームが飛び出る部分の内側をイエローで塗装
▲ビームが飛び出る部分の内側にはポスターカラーのイエローを、黒い下地が透けるように軽く塗ります。こうするとビームをセットしたとき、内側部分に光が照り返しているように見えてくるのです
ビームをイージーペインターでイエローに塗装
▲ジオンMSのビームはイエローなので、シャア専用リック・ドムのバーニア色と同じ色をイージーペインターで塗装しています。中身の真鍮パイプが光で透けて見えてしまったため、一度ブラックで全体を塗り、透けを防いでいます
ベースの塗装が終わった状態
▲ベースの塗装が終わりました! 保護用のマスキングテープを剥がし、いよいよG-3ガンダムとシャア専用リック・ドムをベースにセットしていきます!
シャア専用リック・ドム 足裏
▲まずはシャア専用リック・ドムから。靴部をアルミワイヤーに突き刺し、エポキシ系接着剤で固定していきます。後ろから見るディオラマゆえ、靴部は非常に目立つのでしっかりと位置決めしていきます
シャア専用リック・ドムの完成状態
▲シャア専用リック・ドムの完成状態。靴部からスネ、太モモ、胴体と固定し、高く掲げた右腕、最後に左腕の順番で接着し、ポーズが塗装前とズレないように慎重に組み上げました
シャア専用リック・ドムの完成状態 ローアングル
▲ディオラマのメイン視点である背面。黄色く発光したバーニアが目立つように配置しています。背中のバーニアはパーツをひっくり返し、広い面のほうをバーニア噴射口として目立たせています
G-3ガンダムの完成状態
▲G-3ガンダムの完成状態。太いとはいえ、1本だけの軸で支えているので、胸とビームはエポキシ系接着剤でガッチリと固定しています
G-3ガンダムの完成状態 側面
▲さて、いよいよベースにG-3を接着するのですが…果たしてどの位置に固定するのがいいのか? ああでもない、こうでもないと考えながら、何時間もガンダムをぐるぐる回して悩んでおりましたが…
リック・ドムとガンダム
▲小説版ではアムロとシャアは分かり合えないラストですので、ガンダムの顔を正面に向けるより、後ろに向けたほうがイメージにより近づくと感じ、宇宙の奥に流れていくように、シャアに背を向けた配置としました

完成!!

アムロ散る ディオラマ イメージカット
▲G-3ガンダムに焦点を当てた特撮カット。背景の爆発エフェクトを増やして、前編とは趣きの異なる雰囲気に仕上げた
アムロ散る ディオラマ 背面
アムロ散る ディオラマ 正面

■もうひとつの『ガンダム』、小説版の世界
 富野由悠季氏による小説版『ガンダム』。MSが小型化されていたり、ジオン側のMSがザクとドムしかいなかったり、地球に一度も行かなかったりと、ストーリー展開もTVや劇場版とは大幅に違うアナザー・ワールドになっています。そして、映像化されていないからこそ、ディオラマとして立体化する想像の幅が広く、イメージソースとして大変貴重な作品であると、私は思っております。まだ読んだことがない! という方は、ぜひこの機会に読んでみてくださいね。

■どうやって軸を隠すか? 「宇宙」ディオラマのポイント
 MSはそもそも宇宙用の兵器。宇宙空間を模したディオラマで、AMBACしながら自由自在に空間にガンプラを飛ばして配置するのは楽しいもの。ただ、宇宙ディオラマでもっともネックとなるのが、MSを飛ばすための軸です。黒子的な存在とは言え、黒やクリアーなど目立たない色でも、どうしても気になってしまう人も多いのではないでしょうか? 今回はビームと波という変化球で攻めてみましたが、小惑星や残骸など、アイデア次第で軸を隠せるストラクチャーはいくらでもあります。地球の重力から開放された、貴方だけの宇宙ディオラマを作ってみてくださいね♪

BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット ガンダム+リックドム 使用

アムロ散る

ディオラマ製作・文/林哲平

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© 創通・サンライズ

林哲平

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