HOME記事キャラクターモデル美しさと重厚感を融合! カイエン仕様「シュペルター・K.O.G.」の魅力を最大限に引き出す塗装表現とは?【ファイブスター物語】

美しさと重厚感を融合! カイエン仕様「シュペルター・K.O.G.」の魅力を最大限に引き出す塗装表現とは?【ファイブスター物語】

2024.03.19

シュペルター・K.O.G. =ボォス 2989=【ボークス 1/100】 月刊ホビージャパン2024年4月号(2月24日発売)

シュペルター・K.O.G. =ボォス 2989= イメージカット

カイエン仕様を美しさとより重厚感のある塗装表現で仕上げる

 ボークスIMS 1/100 シュペルター・K.O.G.が待望のリリース。従来のディモス・ハイアラキ仕様に加え、劇中のカイエン仕様の頭部・腕部・腰部中央などの新規パーツを用意。新たに収録された水転写式デカールと合わせ、両仕様のどちらかを組むことができる選択式キットとなっている。作例はカイエン仕様を選択。美しさと重厚感を合わせ持った塗装表現で、本騎の魅力を最大限に引き出している。マイスター関田による詳細な塗装レシピとともにご覧いただこう。

新規ランナー 3枚
▲新仕様にあたり、3枚のランナーが新規金型で起こされている。微妙に形状やディテールが異なる腰部中央外装も新規パーツで再現されている
シュペルター・K.O.G. =ボォス 2989= 左正面
▲キットはハイアラキか劇中のカイエン仕様のいずれかを組むことができる選択式キット。作例はカイエン仕様で製作。抜刀時や腰に実剣を帯刀した際に鞘に添えるための武器持ち手(左右)など、カイエン仕様専用の新規造形パーツが用意されているのも嬉しい
シュペルター・K.O.G. =ボォス 2989= 背面
頭部アップ
▲カイエン仕様のフェイスガードがなく鋭く後方に伸びた外装を持つ頭部や、胸部中央先端部の装飾品も追加されている
実剣
▲実剣の刃先は刃文を塗装で表現。GXウイノーブラックを下地に、ビスマスパール→GXスーパークリアーIII+GXウイノーブラック少量+色ノ源シアン極少量+色ノ源マゼンタ極少量→刃文をマスキングしてビスマスパール→GXスーパークリアーIII→乾燥後研ぎ出しをして再度クリアーコート→スーパークロームシルバー2を薄っすらと吹き付けて仕上げている
シュペルター・K.O.G. =ボォス 2989= 右正面
▲剣を立てて保持するための左平手も付属するので、永野護氏が描くハイアラキ仕様のイラストのようなポージングも楽しめる
腕部
▲腕部は、K.O.G.と同様のブリーフバインダーを装備した状態のカイエン仕様を新規パーツで再現
実験、ハンドパーツ各種
▲実剣は納刀状態の他に抜刀状態の実剣と鞘が用意されている。見事な造形のハンドパーツも表情の異なるものが左右3組の他に、実剣を立てて保持する左平手も用意されている
装甲
▲成型上やむを得ず装甲の重なりが段差のみになっている部分を、より立体的に見えるようデザインナイフやキサゲによって彫り直している
ポージング画像1

マイスター関田による外装の塗装レシピ

■パールホワイトの塗装

ダークブルー→ブルーグレー
GXクールホワイトでハイライトグラデーション
ビスマスパール
クリアーホワイト
ホワイトを混ぜたクリアー

下地=ダークブルー(GXウイノーブラック+GXクールホワイト+色ノ源シアン+色ノ源マゼンタ) 
❶→下地にやや紫がかったダークブルー→ブルーグレー(GXクールホワイト+色ノ源シアン+色ノ源マゼンタ+GXウイノーブラック)
❷→GXクールホワイトでハイライトグラデーション
❸→ビスマスパール
❹→クリアーホワイト(GXスーパークリアーIII+GXクールホワイト)
❺ホワイトを混ぜたクリアーを重ねることであえて露骨なパール層の反射を半減させているが、結果としてパール層も含めた各層の役割を活かし重厚感と硬質感を演出することに成功している

■金色の塗装

明るめのカーキ
粒子の粗い金
GXスーパークリア=III
フィッシャーズカラー青金+スーパーリッチゴールド+スーパークロームシルバー2
粒子の粗い金のギラつきを活かす

下地=暗めのカーキ(GXウイノーブラック+GXキアライエロー+ブラウン(極少量))
❶→明るめのカーキ(GXキアライエロー+GXクールホワイト+GXウイノーブラック)(※下地なしでいきなり明るめのカーキ→金と重ねていくと軽薄な仕上がりとなるため、面倒ではあるがこの2層で下地を構成していく)
❷→粒子の粗い金(ガイアカラースターブライトブラス+ガイアカラースターブライトシルバー+ガイアカラークリアオレンジ)
❸→GXスーパークリア=III
❹→フィッシャーズカラー青金+スーパーリッチゴールド+スーパークロームシルバー2
❺粒子の粗い金のギラつきを活かしつつ、細かい粒子を重ねることで粒子感を和らげスケール感をなるべく損なわないようにする組み合わせとなっている

 ドーモ、マイスター関田でございます。今回は新規の追加パーツとデカールによって剣聖ダグラス・カイエン搭乗仕様で作れるようになったIMSシュペルターです。IMSはシリーズを通して非常に洗練された造形でひとつひとつのパーツが成型されており、ランナー状態でもモーターヘッドの造形を楽しめるキットになっています。今回はその優れた造形を活かし、最小限の加工と塗装表現で、モーターヘッドの魅力を表現できるよう作業を進めています。
 工作に関しては、プロポーションや基本的な構造に大きく手を加えるような改造はしていません。ただ金型を使った射出成型の宿命ともいえる抜きの方向の問題で、省略あるいは彫刻が甘くなってしまったモールドに関しては彫り直しをしていきます。原型を作った方が、本来こうしたかったという理想の形状を思い描きながら、それを具現化していきます。
 塗装でモーターヘッドの魅力をどう表現するかということに関しては、やはり強さと美しさをいかに共存させて落とし込むかが課題、というのが私の考えです。モーターヘッドの強さは、大質量の機体が超スピードで動くことであり、それによって発生する莫大な運動エネルギーが表現の鍵になっていると思います。そのため、ひとつひとつのパーツが重そうに見えることがもっとも重要。プラキットのパーツを重そうに見せるには下地を暗めの色で塗っておけば割と簡単に表現が可能。ただ、今回のシュペルターのようにメインの装甲色が白の場合、黒や暗めのグレーの上にそのまま白を塗ってしまうと、下地の影響を強く受け過ぎて濁った印象の白になってしまいます。そこで、より白を美しく発色させるため下地色と白の中間に明るめの色をはさみ込むことで、重厚感がありながらちゃんと白に見える発色を実現させています。また、デザイン画で特徴的な彩色がなされている金色の装甲は、市販の塗料をそのまま塗っても色調・輝きともに表現できなかったので、粒子が大きめのゴールドに調合した粒子の細かいゴールドを重ねて塗装し、近しいところを狙ってみました。肩部ナイトマスターの紋章はキットのモールドに合わせたものと、本編登場時を再現したものの2種類のデザインがデカールとしてセットされています。今回はキットのモールドに合わせて貼ることで立体感のある表現ができる前者を選択しました。
 完成後の立ち姿は、さすがボークスさんの造形と唸りたくなるかっこよさと美しさ。ハイアラキ騎と合わせて皆さんもぜひお手元に!

ボークス 1/100スケール プラスチックキット “INJECTION ASSEMBLY MORTAR HEADD SERIES”

シュペルター・K.O.G. =ボォス 2989=

製作・文/マイスター関田

IMS 1/100 シュペルター・K.O.G.=ボォス 2989=
●発売元/ボークス●12100円、発売中●1/100、約28.4cm●プラキット●原型/造形村F.S.S.プロジェクトチーム

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マイスター関田(マイスターセキタ)

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