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ディオラマで宇宙空間を表現!製作プランニングからMSの固定方法、旧キットの加工をご紹介【週末でつくるガンプラ凄技テクニック】

2024.02.15

週末でつくる ガンプラ凄技テクニック 懐かしのディオラマ編 月刊ホビージャパン2024年3月号(1月25日発売)

ディオラマで宇宙空間を表現!製作プランニングからMSの固定方法、旧キットの加工をご紹介【週末でつくるガンプラ凄技テクニック】

 休日のゆったりとした時間に、じっくりとプラモデルをつくる楽しみを体感しよう! がモットーの連載企画「ガンプラ凄技テクニック」。懐かしのディオラマ編第10回のテーマは「宇宙を表現するテクニック」。前編となる今回ではイメージをふくらませるプランニングの方法や、宇宙空間らしくMSを固定する方法などを解説していきます。

講師/林哲平


宇宙空間のディオラマをプランニングしてみよう

製作途中 ガンダム
▲今回のテーマは宇宙! そして、主役は連載10回目にして初めてとなるガンダムです! 当時ものキットのガンダムはどうしても塗り分けが多いので、作るのが億劫だったのですが、やはり“ガンプラ”凄技テクニックですから、ガンダムは外せないと登場させました♪
製作途中 ザク リック・ドム ゲルググ
▲ガンダムと対決するMSはどうしましょう? 宇宙で活躍するジオン公国軍のメイン量産機から、ザク、リック・ドム、ゲルググをチョイス。アニメの名シーンに想いを馳せ、組み合わせてブンドドしながら、宇宙で戦うシーンのイメージを広げていきます
ガンダムに蹴りを入れるザクのシチュエーション
▲ザクとガンダムの絡みといえば、シャアザクに蹴り飛ばされるシーンを私は真っ先に思い浮かべます。カッコイイしディオラマ映えするのですが、ちょっと当時ものキットを改造するにはポーズ変更が大変なので案からは外しました
ゲルググとガンダムが武器をまじえているシチュエーション
▲宇宙でガンダムが戦う相手といえばシャア専用ゲルググも印象的です。ガンダムがゲルググの腕を切り飛ばした瞬間とか再現したらこれは映える…! と、思ったのですが、ゲルググを改造しているだけで締め切りが過ぎてしまいそうなので涙を呑んで見送りました
ガンダムに向かいヒート・サーベルをもって突進してくるリック・ドム
▲リック・ドムと戦うシーンといえばコンスコン隊との戦い! 特に最後にヒート・サーベルを構えて突進してくるリック・ドムをビーム・サーベルで両断するシーンは大迫力ですよね!
ふたつに折れたヒート・サーベル パーツ
▲と、コンスコン隊のドムと戦うシーンをイメージしてブンドドしていると、うっかりヒート・サーベルを真っ二つに折ってしまいました。私はパーツをよく折るんですよね…。でも、リック・ドム、そして折れたサーベルを見ていると…?
ガンダムの腹と背中に接着した、折れたビーム・サーベル
▲コクピットにヒート・サーベルを両面テープで思わず貼り付けていました。小説版『機動戦士ガンダム』の終盤、アムロのG-3ガンダムがルロイ・ギリアムにビーム・バズーカでコクピットを撃ち抜かれるシーンです。これはインスピレーションが湧いてきました!
ガンダムとリック・ドム
▲というわけで今回は小説版『ガンダム』のアムロ撃墜シーンを再現することに決定です! どうまとまるかは自分でもまだまったくわかりませんが、自分の中のニュータイプ能力を信じて手を動かしていきます(笑)

レイアウトを考えよう

ハンダゴテでガンダムの腹部に穴を開ける
▲まずはガンダムのコクピットを貫くビームが通る穴を作ります。長く巨大なビームを、ディオラマの上にガンダムを浮かせ、宇宙空間を表現するための軸にします。ハンダゴテを使い、溶かしながら穴を開けていきます
穴を開けた状態
▲穴を開けた状態。いきなり大きい穴を開けると修復不可能になるので、まずは5mm程度の穴を開けました。背面にも穴を開けておきます
5mmプラ棒を穴に刺した状態
▲5mmプラ棒をビームに見立て、コクピットに通しながら配置を考えます。さて、どうレイアウトするべきか…。小説版『ガンダム』を読み返してああでもない、こうでもないと悩みながらガンダムをひたすら眺めていました
バズーカにビームを手で配置した状態
▲とりあえず、バズーカにビームを手で配置してみてレイアウトを考えます。斜めにレイアウトする場合、かなり軸が太くてもたわんでしまいますし、かといって宙に浮かせるための補助軸をつけるのも微妙です
リック・ドムを横にした状態
▲真上に配置してみます。これなら安定感も抜群! ですが配置してみると、いかんせんガンダムと近すぎるんです。アムロは狙撃されているのであり、これだと接射になってしまい、小説のイメージとはかけ離れてしまいます
5mmプラ棒を穴に刺しレイアウトした状態
▲ガンダム単体で、十字架に捧げられたイメージで配置しながら考えます。これだけで成立するぐらいピッタリなんですが、ちょっと別のアニメのデジャヴを感じますし、やはりドムは欲しい! そしてG-3と言えば…
プラ棒につらぬかれたガンダムに手をのばすリック・ドム
▲シャア専用リック・ドムです! 小説の終盤ではG-3はシャアの目前で撃破されます。“ルロイ! ガンダムは気づいてくれたのだぞ!”と、手を差し伸べるが届かない、そんなイメージでレイアウト決定です

軸を強化しよう

たわんだプラ棒
▲今回のディオラマのキーとなる、G-3を固定するための巨大なビーム。ただ、普通にプラ棒で刺すだけだと、このようにたわんでしまいます。ここはガッチリと固定できる軸を作ってみましょう
パイプカッターで真鍮パイプを切断
切断した真鍮パイプ

▲芯として、5mm真鍮パイプを使います。金属線は強度抜群ですし、中身が詰まった棒よりもパイプのほうがよりたわみにくいのです。ただ、もちろん強度が高いぶんレザーソーでギコギコ切るのは大変なので、パイプカッターを使います。これはパイプ専門のカット用具で、歯にはさんでぐるぐる回し、切れ目を深くしたところでパキッ! と折ればキレイに短時間でカットできるんです

8mmプラパイプに先ほどカットした5mm真鍮パイプを差し込み
▲8mmプラパイプに先ほどカットした5mm真鍮パイプを差し込みます。外壁はプラで塗装や加工がしやすく、中に金属パイプが入った、たわみにくく、強度と長さを兼ね備えた構造となりました
先端部分にはプラ棒を差し込み
▲ビームの先端は後で削って尖らせるので、中身が全部真鍮パイプだと工作が大変になってしまいます。先端部分にはプラ棒を差し込んでおき、後の加工に備えます
箱に合うようにスタイロフォームを切り出し、内側に詰める
▲台座に穴を開け、ビームを差し込んでみたところ、グラグラして不安定に。これは台座の中身が空っぽなのが問題なんですね。箱に合うようにスタイロフォームを切り出し、内側に詰めていきます
箱の内側を埋めた状態
▲台座の中身がギッシリ埋まりました! 軸を固定するための支えであればいいので、ここまでピッタリとはめ込まなくても全然大丈夫です
胴体パーツを突き刺しテープで位置調整
▲加工した台座にビームを差し込むと…! 内部のスタイロフォームに深く突き刺さり、ブレずに、ガッチリと固定することができました。G-3の胴体を突き刺し、ポーズの調整をしていきます

G-3ガンダムの加工

足パーツにアルミ線を差し込み
▲個人的には、G-3はシャリア・ブルのブラウ・ブロを撃破後、脱力して宇宙を漂っているイメージが強いです。脚を伸ばして力が抜けている様子を表現するため、中にアルミ線を入れて関節位置を調整しています
旧ザクのハンドパーツ取り付け
▲ハンドは旧ザクの平手を流用。程よく開いた感じが脱力したイメージにピッタリと合いました!
手足と頭部をセットした状態
▲手足と頭部をセットした状態。首は着弾の衝撃でのけぞるように、プラ板を下に貼り、キットよりも30度ぐらい上を見るように角度をつけています。ビームに金属線を入れて補強しているため、ガンダムをつけても安定感は抜群です

リック・ドムの加工

足パーツ パテ盛り後ナイフで削る
▲当時ものキットのドムは太モモにヒザガードとの干渉を防ぐためと思われるえぐれがあるのですが、これがどうしても気になったのでパテでなだらかなラインに変更しています
足パーツ ヤスリがけ
▲このディオラマは後ろから見るのがメインですので、足の裏が非常に目立ちます。ドムの足裏は大面積ですので、歪みや合わせ目が残らないよう、当て木をした紙ヤスリでしっかりと平面を出しておきます
ハンドパーツ アップ
▲さて、ここで大問題となるのがハンドです。平手にしたいのですが、ドムのハンドは大きいので、いつもの旧ザクの平手だとサイズが足りません! 改造するのも大変ですし、何かいい部品はないものかといろいろ探した結果…
1/100のリアルタイプの旧ザクのハンド取り付け
▲1/100のリアルタイプの旧ザクのハンドがピッタリ合いました! さすが旧ザク、平手の神です! ワンスケール大きいぐらいが重MSのドムにはちょうどいい感じです。同じ当時ものキットのゲルググにも使えそうですね
足パーツ ハンダゴテで穴を大きくしアルミ線差し込み
▲ドムを宙に飛ばすために、アルミワイヤーを通す穴を開けていきます。細かい微調整をしたいので、ハンダゴテで少し広めに穴を開けておきます
3mmアルミワイヤーを通してドムを宙に浮かせる
▲3mmアルミワイヤーを通してドムを宙に浮かせていきます。まずはだいたいの位置決めなので、靴は入れず、台座に開けた穴にワイヤーを差し込みつつ調整します。ドム本体へは強度の確保のため、太モモの上から2本セットします
足パーツの位置決め後
▲だいたいの位置が決まりました。この段階でも、靴はまだ両面テープで仮止め状態です。アルミ線は曲げやすいので、位置決めはすごくやりやすいんですよ
腕パーツ アルミ線差し込み
▲腕の中にもアルミ線を入れ、より自然に腕を伸ばすポーズに調整します。この作業をしておくと完成後に強度も増します
レイアウトがほぼ完成した状態
▲靴と手足を両面テープで装着し、リック・ドムのレイアウトがほぼ決まりました。ですが、何か、何かが足りない!
リック・ドム 足裏
▲『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』を見返しながらあれこれいじっていると…! そう、リック・ドムといえばバーニア! 背面なのに、劇場版で追加されたバーニアがなかったのが違和感の原因だったんですね
武器セットのガンダム・ハンマーのトゲ
▲さて、今はいろんな市販パーツのバーニアが充実していますが、今回はより当時風の雰囲気を尊重するため、第一次ガンプラブームの作例を参考にして、武器セットのガンダム・ハンマーのトゲを加工して作ってみます
スネ裏側のバーニア
▲スネ裏側のバーニア。プラ板をハサミでチョキチョキし、ガンダム・ハンマーのトゲのフチをデザインナイフで薄く削って接着するだけのお手軽工作です
リック・ドム同様、ガンダム・ハンマーでバーニアを追加
▲ここでG-3ガも背面が丸見えになるのに、バーニアをつけていないことを思い出しました。ここもリック・ドム同様、ガンダム・ハンマーでバーニアを追加しています
1/60スケールガンダムのガンダム・ハンマーのトゲ
▲さて、問題なのがスカートのバーニア。大きいので、武器セットのガンダム・ハンマーではサイズが合わない! というわけで、ここはビッグサイズな1/60スケールガンダムのガンダム・ハンマーのトゲを使います
8mm、横には5mmプラ棒を接着
▲スカートが広いぶん、バーニアの内側まで目立つので、中心には8mm、横には5mmプラ棒を接着。MGやHGを参考に、それらしく内部メカとしています
スカート内部のフンドシ部分を切り取り
▲スカート内部のフンドシ部分は後ろまでつながっているので、ニッパーとデザインナイフで削り、バーニアを入れるスペースを確保します
バーニアを装着した状態
▲バーニアを装着した状態。これでよりリック・ドムらしくなりました。ガンダム・ハンマーはそこまで使用頻度が高い武器ではなく、余ることも多いので、当時ものキットのバーニア要員として超優秀パーツなんです
靴パーツにアルミ線を差し込み
▲バーニア問題も解決したので、靴を本格的に接続していきます。後ろから見るのがメインのディオラマなので、目立たない正面部分に穴を開け、アルミワイヤーを差し込んでいきます
靴を本体につなげた状態
▲靴を本体につなげた状態。2本のアルミワイヤーで、無事空中に固定することができました。横から見ると水泳選手の飛び込みのようですが、後ろから見るとちゃんとディオラマなので大丈夫…! ということにしましょう!

保持用のワイヤーを隠そう

スタイロフォームで小惑星を作る
▲宇宙ディオラマにおいて、固定用のワイヤーが剥き出しだと、どうしても見映えはあまりよくありません。ここはスタイロフォームで小惑星を作り、ワイヤーを隠してみましょう
スタイロフォームを程よい大きさにカットし、突き刺しながらワイヤーを隠す
スタイロフォームをセットした状態

▲スタイロフォームを程よい大きさにカットし、突き刺しながらワイヤーを隠していきます。アルミワイヤーは柔らかく、自重で位置が変わりやすいですが、スタイロフォームをセットして台座にしておけば、ワイヤーがたわんだりすることも防ぐことができるんです

スタイロフォームにツールクリーナーを塗り、表面を溶かす
▲スタイロフォームにツールクリーナーを塗り、表面を溶かしていきます。ランダムな凹凸ができて、これで小惑星っぽくなるはずですが…?
溶かした状態
▲う~ん、ワイヤーは見えなくなりましたけど、これは正直カッコ悪い! 1/144ブラウ・ブロの残骸とかを作るのは難易度高すぎますし、シャアに撃破されたハヤトのガンキャノンを台座にするとかもちょっと違う気がしますし…。ワイヤー、どうやって隠しましょうか?

今回はここまで!

 次回の後編ではG-3ガンダムとシャア専用リック・ドムの塗装や、ワイヤーを隠す裏技的表現などを徹底解説します。次回もよろしくお願いします!

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© 創通・サンライズ

林哲平

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