HOME記事キャラクターモデル生まれ変わったウェーブの「1/24スコープドッグ」レビュー作例! プロポーションに可動、すべてが見事に構成された新規金型によるキットに刮目せよ!【装甲騎兵ボトムズ】

生まれ変わったウェーブの「1/24スコープドッグ」レビュー作例! プロポーションに可動、すべてが見事に構成された新規金型によるキットに刮目せよ!【装甲騎兵ボトムズ】

2023.12.30

ATM-09-ST スコープドッグ【ウェーブ 1/24】 月刊ホビージャパン2024年2月号(12月25日発売)

ATM-09-ST スコープドッグ イメージカット

ウェーブ渾身の完全新規設計1/24スコープドッグをレビュー!

『装甲騎兵ボトムズ』(1983)が伝説のアニメであることは論を俟たないが、その模型もまた伝説級ということで、当時発売されたタカラ製1/24スコープドッグは出色の完成度を誇るキットとしてよく知られている。アニメ放送から40年。これまで件のタカラ1/24製本体にアップデートパーツを追加したコラボキットから始まり、完全新規金型の1/35キットを手掛けてきたウェーブが、満を持して1/24スコープドッグの「完全刷新」に着手した。名作キットとのコラボで得たノウハウのすべてを金型にぶつけることで、プロポーション、可動、ディテールといったあらゆる面で高水準に生まれ変わった“ウェーブの1/24”をレビューする。

ATM-09-ST スコープドッグ 正面
▲斉藤仁孝の作例はプロポーションには手を加えず、“ヤレた”風合いを出すためのウェザリング塗装に注力して製作した。キットの股、ヒザ、足首など下半身の関節のいずれもが柔軟にかつ広範に動くため、設定画の脚を捻ったような独特の立ち姿が見事に再現できてしまう…!

FRONT

正面

SIDE

側面

REAR

背面

▲新生1/24スコープドッグを三面から。頭部や胴体の横幅がシェイプされており、肩幅がガッシリしていた旧タカラ版から大きく印象が異なる。そのほか上腕の長さやブーツの横幅など、かつて定番改修工作だった部分に軒並みメスが入っているのがポイント。こうして見てみると、新生1/24は新解釈やアレンジは加えず、極めてコンサバティブにアニメの雰囲気を拾おうとしていることがよくわかる

ポージング画像1
▲肩の引き出し関節とヘビィマシンガンのフォアグリップを把持できる専用左ハンドパーツによって、両手持ちの姿勢が違和感なくキマる
腕のシリンダー部分
▲両腕ともにシリンダーが伸縮、“奥の手”アームパンチが再現可能
各種ハンドパーツ
▲付属ハンドパーツ類はいずれも文句のつけようがない造形。これにヘビィマシンガンのトリガーに指をかけた右手パーツも加わり、全6個が同梱される
頭部アップ
▲頭部が左右に振れるほか、ターレットレンズももちろん回転。レンズはそれぞれ専用クリアーパーツが奢られており、レンズ奥の絞りディテールがはっきりと見える
バイザーを上げなかのパイロットが見えている状態
▲バイザーを跳ね上げると、パイロットの顔がチラリ
ATM-09-ST スコープドッグ 背面
背面のメンテナンスハッチ アップ
▲背面のメンテナンスハッチが脱着可能。完成後も内部メカディテールを見ることができる
股関節 アップ
▲股関節は左右にロール可能。正面からロール軸が見えにくい構造なのがうれしい
ポージング画像2
▲ローラーダッシュポーズを後方から。股関節軸が上下左右に動くため、足を大きく前方に突き出すことが可能。これにより大きく腰を落とした姿勢を取ることができるのだ
脚部アップ 側面
▲「ウドのスクラップから再生した」という想定の元、使い込まれた雰囲気を塗装で表現。全身まんべんなく汚しているが、とくに消耗の激しい足まわりはさらに汚しを重ねるのが雰囲気ある仕上げのポイント
足裏 アップ
▲足裏も注目ポイント。ターンピックはもちろん伸縮、つま先まで動く。さらにホイールもしっかりと彫刻されているのだ
上腕のリベットをデザインナイフで削り落とし
▲整形のしやすさを考えて上腕のリベットは一度削り落とし、面を整形後にモデルカステン 1/35汎用リベットセットに植え替えた
ヘビィマシンガン 各種パーツ
▲ヘビィマシンガンはバレルとストックが交換可能。ショートバレルタイプにもできる
ポージング画像3
▲ショートバレルタイプを抱えて。肩アーマーはラッカーパテで鋳造表現を施している
上半身アップ
コクピットハッチ展開
▲コクピットハッチ付け根のシリンダーが実際に伸縮するので、差し替えなしでハッチが開閉可能
パイロットフィギュアを塗装1
▲パイロットフィギュアも完成後の見せ場になるのでしっかり塗ってあげたい。写真はヘルメットのバイザー部分にまず肌色と髪の毛の色(青)を塗り、その上からタミヤカラー クリヤーグリーンを塗っているところ
腹部メンテナンスハッチ展開
▲腹部メンテナンスハッチも開閉。コクピット周辺のディテールも申し分ない出来だ
ヒザ関節のロックを外した状態
▲キットは差し替えなしで降着姿勢に移行可能。ヒザ関節のロックを外すと、スネから大きく前に倒すことができる
降着姿勢 正面
降着姿勢 背面
▲絶妙に設計された腕の長さにより、腕をピンと伸ばした状態で降着姿勢を取ることができるのがうれしい。降着させないと見えない、ヒザ関節の内部フレームにも細密なモールドが彫り込まれている

 今回はウェーブのボトムズキットシリーズ最新作、1/24スコープドッグを製作しました。言うまでもありませんが、ウェーブはすでに1/24のスコープドッグを製品化しています。ボトムズモデラーからは名作中の名作と言われたタカラ製キットの部材供給を受けた、一連の1/24シリーズですね。しかも、ただの再販ではなく、関節など一部パーツをアップデートしたり、バリエーション再現用のオプションパーツは新たにランナーを追加するという、かゆいところに手が届く逸品でした。

 タカラ製の無骨な印象のプロポーションは多くのファンを虜にしましたが、今回製作した完全新金型でリニューアルされた新製品はどうでしょうか。旧1/24キットを長らく尊重してきたウェーブですから、ボトムズファンとしては、設計を完全に刷新した今回の製品には当然それ以上のものを期待してしまいます。

 結論から言えば、個人的には「1/24キットといえば、タカラ版!」という従来のイメージを完全に超えてきた、と感じました。プロポーションは若干スタイリッシュになっていますが、無骨さも残した頭身バランスが絶妙です。また可動範囲も素晴らしく、ヒザ周辺に追加パーツを組み込むことなく(!)降着ポーズが取れたり、腹部のメンテナンスハッチが設定通りに開くなど、ATならできて然るべきという動きやギミックはほぼ再現できていると思います。

 製作してまず思ったのは、組み立てに接着剤が不要なこと。以前製作した同社の1/35シリーズもスナップフィットでしたので当然といえば当然なのですが、「あっ、設計が完全一新されているんだなぁ」と実感しました。「1/24のスコープドッグは接着剤で組むもの」とずっと体が覚えていましたから、地味に、いやかなりエポックを感じた部分ですね。キットは軟質素材も巧みに使われており、可動部の保持も確実かつスムーズに動かせます。また、パイロット(キリコ)の造形も◎なのに加え、腰のメンテナンスハッチが外れるようになっているので、ウドに流れ着いたキリコがATをレストアするシーンも再現できるなど「わかってるなぁ」と思う部分もあります。いやホント、手を入れるところがありません。

 塗装ですが、先述の腰のメンテナンスハッチに影響されて、ウドのスクラップの山から再生した機体をイメージして、塗装の退色や酸の雨によってサビた感じが出るように意識しています。そのためマーキングはしていませんが、もちろんキットにはデカールも付属しますよ。

 名作・タカラ1/24スケールキットの登場から40年。満を持して発売された最新キットの完成度は「1/24といえば、ウェーブ版!」と認識を改めるに充分すぎる仕上がりでした。個人的にはバリエーションとしてマーシィドッグにも期待しておりますので、首を長くしてお待ちしておりますよ! ウェーブさん!

ウェーブ 1/24スケール プラスチックキット

ATM-09-ST スコープドッグ

製作・文/斉藤仁孝

スコープドッグ
●発売元/ウェーブ●9900円、12月下旬予定●1/24、約16cm●プラキット

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ⓒサンライズ

斉藤仁孝(サイトウヨシタカ)

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