『水星の魔女』第1話のエアリアル対ディランザの決闘をディオラマで再現【機動戦士ガンダム 水星の魔女 もっと楽しむガンプラ!】
2023.06.18“魔女と花嫁”【BANDAI SPIRITS 1/144】 月刊ホビージャパン2023年7月号(5月25日発売)
“動かない”から“動かせる”!? 名シーンをディオラマで再現!
1シーンを切り取る「ディオラマ」で第1話の魅せ場を立体化!
今回お届けするのは、複数のモチーフとベースで構成される「ディオラマ」の作例。『水星の魔女』第1話より、ラストの決闘決着シーンを再現した。基本的にガンプラは各関節が可動し、さまざまなポージングが取れるように設計されているが、この作例ではそれを敢えて固定して製作。破壊され四散したディランザや、ビームサーベルを一閃させたエアリアルなど、固定モデルだからこその躍動感や臨場感を表現している。アニメ劇中のシーンをそのまま再現するには、ディオラマはもっとも適した手法と言えるだろう。ベースの製作やダメージ加工も合わせて解説しているので、ぜひ製作にチャレンジしてみていただきたい。
キミにもできる!? ベース製作法
ディランザのダメージ加工
第1話でグエルのディランザを瞬く間に倒したエアリアルの姿は、『水星の魔女』ファンの皆様がこの作品に没入するきっかけとなった名シーンではないでしょうか?
今回はHGの2体を使って、このシーンの作例を担当させていただきました。以下製作解説となります。
■ガンダム・エアリアル
キットが秀逸で関節もよく動くためポージングの自由度が高く、いい演技をしてくれます。太モモの裏側や肩の一部に合わせ目が出てしまうため、これら消して後ハメ加工。ガンビットの接続用の穴や肉抜きを丁寧に埋めてやることで固定ポーズでの見映えを整えました。
ビームサーベルに添えている左手はHGガンダムAGE-1ノーマルから平手を拝借し、甲のディテールをエアリアルのそれに合わせています。
■ディランザ(グエル専用機)
合わせ目等の基本的な処理を行ったのち(罪悪感に苛まれながら)、レザーソーで四肢をカット。太モモやフロントアーマーにはフレームと思しきブロックを流用パーツで仕込み、電気コテで切断面を溶かして表現しました。印象的な羽根飾りは100円ショップで見つけた実際の羽に置き換えています。
基本色を塗装後、フラットブラックで切断面内部を塗りつぶしてから、オレンジに蛍光オレンジを混ぜた塗料をスポンジに含ませてポンポンと塗っていくと、溶けたディテールの表面にだけ鮮やかなオレンジが残り、高温の熱で溶けた断面が表現できます。
各パーツは死角となる部分を選んで0.5mm~1mmの真鍮線を刺し、ベースに設置しています
■ベース
材料は定番のスタイロフォーム、これを二クロムカッターで削り取り大まかな起伏を作ります、特にディランザ側には支柱の真鍮線が見えにくくなるよう、細かな嶺を意図的に作って目隠しとしておきます。表面にはKATOのシーナリープラスターに水と木工用ボンドを加え、水性塗料で地面のベース色をつけたものをハケでペタペタと塗り、乾燥後にニュートラルグレー→バフでドライブラシをかけて荒々しい表情を強調しています。
エアリアルの足元には土煙の表現で、ぬいぐるみの中に詰めるマイクロファイバーという綿状の繊維を適宜ほぐして軽くバフで着色、スプレーのりを噴霧して地面に固定しています。
■カラーレシピ
[エアリアル]
白=ニュートラルホワイト
青=アイスコバルトブルー→ミリオンブルー
黄=橙黄色→マイルドオレンジ
赤=マホガニー+ブライトレッド
関節=メカサフ ヘヴィ
[ディランザ]
紫=焔小豆+純色マゼンタ+ライラックピンク
グレー=ブラックグリーン
緑=オーラグリーン
白=ニュートラルグレー1
BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット “ハイグレード”ガンダムエアリアル & ディランザ(グエル専用機) 使用
“魔女と花嫁”
ディオラマ製作・文/コジマ大隊長
©︎創通・サンライズ・MBS
コジマ大隊長(コジマダイタイチョウ)
セミスクラッチやディテールアップ、ウェザリング塗装など、あらゆる手法に精通するベテラン。