テクスチャマシマシの凸凹粘土が登場!
毎回工具&マテリアルをピックアップしてお届けする好評連載「月刊工具」。今回はディオラマ用の特殊な粘土「コルッキー」をピックアップ!地面の色から凹凸までこの 粘土のみで作れてしまう、そんなアイテムが登場です。実際に使用して、その特性と活用方法を探っていきます。
075 Product_name Corkee
解説/けんたろう、月刊工具スタッフ
▼実際に使用している動画もチェック!
コルク片入りの粘土「コルッキー」の性質をチェック!
ジオラマ粘土 コルッキー ライトブラウン、ダークブラウン
●発売元/アーテック●各594円、発売中●約100g
学校教材・教育玩具メーカー「アーテック」が送り出すディオラマ用粘土
「アーテック」は図工・美術を専門とした教材や知育玩具を製造・販売する60年以上の歴史を持つメーカーです。数多く商品が展開されていますが、今回初めて模型用商品として、この「ジオラマ粘土 コルッキー」が登場しました
impression
▲ 「コルッキー」の名前にあるように粘土ベースにコルク片が混ぜ込まれていて、粘土の所々に凸凹があります。それにより自然な凹凸のある土の見た目をしており、そのままで土の表現ができるシンプルかつ強力なマテリアルになっています
▲ 通常の紙粘土のように軽い力でこねることができ、形を作るのも変えるのも簡単に行うことができます。作業時も粘土が手にくっつくことがないので素手でどんどん作業できます
▲ 手やヘラなどで形状を作ったら、そのまま乾燥するのを待ちます。15分程度で表面は乾燥し始め、触ってみると表面の湿気がなくなっています。中心までしっかり乾燥させるまでは3時間程度は置いておくといいでしょう
▲ 左からライトブラウンとダークブラウン、そしてそのふたつを1:1程度で混ぜたものを乾燥させました。乾燥後も形状や色に変化はなく作業時のまま固まるといった印象です。表面が乾燥するとツヤも消えてさらに土のような表情になります
▲ 粘土自体に粘着力はないので、プラ板のようなツルツルした表面なら乾燥後簡単に剥がれます
▲ 水を加えるとよく伸びます。作業時に固く感じた時は少量の水を加えて調整しましょう。薄く伸ばすことも可能ですが、コルク片が入っているぶん薄さの限界があるので、その加減には注意しましょう
▲ ちぎって使っている場合は、残った粘土が乾燥してしまって固まらないようにチャックつきのポリ袋でしっかり密閉保存しましょう。乾燥が早いので開封したらできるだけ使いきってしまうのがよいでしょう
粘土が軽く、しっかり形状保持するので、壁や柱のような高さを出す工作も可能。大きな空洞や薄く高い壁はさすがに芯材を用意したほうがよいですが、写真のようなちょっとしたトンネルぐらいのサイズなら手作業で簡単に作れます。コルク片の効果により端まで凸凹したシルエットになるので、木製台座がなくとも様になっているのが面白いです
乾燥後は各種塗料で塗装できるほか、ウェザリング用の塗料で色を薄く乗せることもできます。薄く希釈されたMr.ウェザリングカラーを使用すれば、塗料が粘土に染み込み、粘土の元の色を残しつつ着色されます。3種類のMr.ウェザリングカラーを試してみました。濃い色だとその色で上書きされ、薄い色なら色味が残った表情になります。上塗りする塗料の色によって違った風合いになるので、乾燥した端材などで色の相性を見てみるとよいでしょう
造形の手軽さを活かしてディオラマ風に製作!
センチュリオン 主力戦車 Mk.3/Mk.5編
How to use
▲ 使用するキットはルビコンモデルスの「センチュリオン 主力戦車 Mk.3/Mk.5」(2860円、発売中)。ライトブラウンのコルッキーをそのまま地面として使用しディオラマ風に仕上げてみます
▲ 粘土を袋から取り出したら台座に盛っていきます。乾燥が早いので、手早く粘土を盛ったら、そこに戦車をギュッと押し付けて、走ってきた履帯跡をつけます
▲ 位置を変えて2、3回押し付けて履帯跡をつなげます。粘土がしっかりと履帯跡の形状を作ってくれます。粘土がプラパーツにくっつくことがないのもうれしいところです
▲ しっかり乾燥させて地面ができたら、草の表現をつけ加えます。表面に糊を塗布してから草のパウダーを振りかけて付着させます。多めに振りかけてから傾けて余分を落とせばOKです
▲ 追加で束になった草も接着します。複数の草を付け加えると表現や色が増えて見映えが増します
▲ 粘土自体には接着力はないので、乾燥後に上に乗せた戦車は少し力を入れれば取れます。しっかりと固定したい場合には別途接着しておきましょう
▲ コルッキーで地面を作ったディオラマ風作品の完成です。色はもちろんのこと表面の凹凸が自然な陰影を作ってくれるので、そのままでもしっかりとした地面に仕上がっています
▲ 乾燥した粘土の端材を空いたスペースに配置してみました。瓦礫のような表現にも活用できそうな見た目になっています。乾燥後の粘土を組み合わせる使い方もおもしろそうです
クワガタムシvsカブトムシ 対決セット編
How to use
▲ 続いてフジミ模型「クワガタムシvsカブトムシ 対決セット」(3190円、発売中)を使用して昆虫がバトルしている場面を演出したディオラマをつくってみます
▲ 粘土をたっぷり用意して、地面を作っていきます。まずは粘土を広げて土台を作り、その後にちぎった粘土を重ねて広がる波のように配置して、衝撃波で地面がめくれ上がったイメージで地面を作ってみました
▲ 地面の形状を作ったら粘土が乾燥する前に、キットの足を地面に軽く刺して固定します。こまかいポージングもこの段階で決めておきます
▲ 粘土が乾いたら、奥まった部分などにウェザリング用の塗料で影色を追加してきます。複数の色を使用してベース上で色をブレンドしつつ色の境目をぼかしてなじませます
▲ 最後に明るい色で地面全体をドライブラシします。めくれ上がった地面の端は白で強調し、そのほかの表面にもサンドブラウンで明るい色を追加します。表面の凸部分のみ塗料が乗って自然な陰影がついていきます
▲ クワガタムシにはクリアーブルー、カブトムシにはクリアーレッドで瞳を塗装して、いかにもバトルに燃えている感じにします
▲ 昆虫大バトルの完成です。付き押しのクワガタに下から足をあてがうカブトの相撲スタイルが炸裂……。地面のめくれがそのバトルの迫力を盛り上げてくれています。めくれ上がった表現の効果で地面部分の高さもしっかり出ているので、側面から見ても迫力ある仕上がりになりました
まとめ
色付きの粘土にコルク片が混ざっているシンプルな構造なのですが、凹凸のついた地面を簡単に作れてしまう強力なマテリアルになっています。土をそのまま盛るような感触で直感的に作業でき、教材メーカーならではの「誰でも扱えるわかりやすさ」があるのもさすがと感じます。盛り上げてオブジェクトやエフェクトとして活用できたり、塗装でより表現を深めることも可能で、高度な使い方まで対応できるポテンシャルを持っているのも模型ユーザーにはうれしいところです。