平成ガメラ3監督、ついに初集結!!金子修介×樋口真嗣×田﨑竜太 4体のガメラを未来へつなぐ特別鼎談「ガメラ永久保存化プロジェクト FINAL」
2026.08.08●ガメラはなぜ子供の味方なのか
金子 『G1』のときも、「首が回るのはギャオスじゃない」とか言われてたもんね。
樋口 やっぱり「昭和ガメラ原理主義者」が大映の社内にもいましたから。
金子 当時樋口さんが「いるんですよね、『隠れガメラ』が」って言ってた(笑)。昭和ガメラ主義の人たちをそう呼んで。会社の中にいたっていうのは初めて聞いたけど。
樋口 いや、社内にも最保守層がいたんですよ。「こんなのはガメラじゃない」みたいな。
金子 プロデューサーの佐藤直樹さんが「ガメラは子供の味方で、営業的にもそうしなきゃいけない」って主張してたよね。
——その「子供の味方」というテーマを受け継いだ『小さき勇者たち〜ガメラ〜』では、田﨑監督が参加した時には脚本がほぼ決まっていて、それに対して「子供を主人公にしたら、子供は見ないですよ」と意見されたそうですが。
田﨑 言いましたよ。その時も佐藤直樹さんでした。
金子 あ、田﨑さんが監督に決まったときは、もう脚本できてたんだ。
樋口 佐藤さんはずっと一貫してる。だから出来上がった『小さき勇者たち』を見た時は、「佐藤さんはやっと作りたいものが作れて、俺たちはいつも邪魔してたんだな」って(笑)。
金子 トトは2005年撮影? 僕が佐藤さんに呼び出されたのはいつだったかな。「今度ガメラやるんだけど、金子さんたちが作ったやつとは世界観が全く違うので、文句を言わないで。顔出さないで」って言われて。
——そんな言い方ではないですよね!?
金子 違うけど、言っていることはそうなんだよなって(笑)。それをスタッフが全部決まってから言ったのか、決める前に「とりあえずアンタはもう来ないでね」って言ってから始めたのか。
原口 自分が聞いたのは2005年になってたかなぁ。樋口さんに「なんか、またガメラやるの?」って聞いたら「やらないよ」って。
樋口 全然話もないし、「知らなーい」って。
原口 それでしばらくしたら、「金子・樋口組のガメラをやってない人間を集めて作る」って聞いて。
金子・樋口 (爆笑)
田﨑 そういうことだったんだ(笑)。
原口 怪獣を作るのは大変だし、正直断りたかったんだけど、結局ハマ(造型部・髙濵幹)たちの希望でやることになって。本編監督は誰がいいかと相談されて、特撮がわかる人ってことで田﨑さんを推薦したんです。
——『劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』に参加されたご縁ですね。『小さき勇者たち』のプロデューサーインタビューでは、「子供の番組を作っていて、子供の心がわかる監督にお願いしたかった」と。
田﨑 子供の心がわかったら苦労しないですよ(笑)。ただ、『ウルトラマン』の中で、子供に人気がないのは、ホシノ少年が活躍する回なんだって話はしました。
金子 でも「子供の味方」は変えてくれなかったんだ(笑)。
田﨑 変わらなかった。やっぱり、佐藤さんも同じくらいの世代なので、子供時代にガメラ見て思い入れが強かったんじゃないですかね。
金子 佐藤さんは「全く世界観を変えるから」って言ってたけど、『小さき勇者たち』を観たら冒頭が微妙につながっている感じだったよね。そこも脚本が出来てたんですか。
田﨑 最初から出来てましたね。
原口 田﨑さんが来たときは、ギャオスを作ることも決まってた。
金子 変えてないじゃん(笑)。
——そうした前提がある中で、特に苦労された点はありますか?
田﨑 やっぱり「子供の味方」はちょっと苦労はしましたね。特に子供目線でガメラを描くっていうところは。昭和ガメラも子供が出てるだけで、子供目線ではないですから。
金子 トトは大人と子供の見分けがつけられるの? 僕は製作企画の人に散々「ガメラは子供の味方でなければいけない」って言われたから、「ガメラはどうやって子供と大人の区別をつけるんですか」って聞いて、そしたら絶句してた。これで論破したぞと(笑)。
田﨑 トトはどうなんでしょうね。自分が子供だから子供に懐いたってことかなと思ってました。子供全般の味方ではないんですけど、むしろ子供の方がシンパシーを感じてガメラに協力するというか。ガメラが子供の味方なんじゃなくて、子供がガメラの味方だったんじゃないかな、と。
●理想の姿を求めて
——今回永久保存を目指すトトガメラですが、平成ガメラの造型史の中ではどのような存在ですか?
原口 それまでの3作の経験や技術が凝縮されているので、造型としてのクオリティはトトガメラが一番高いんですよね。それこそ1作目は手探りで、実は『G1』のガメラの造型を金子さんが気に入ってなかったっていうのは知ってるんです(笑)。
金子 知ってたんだ(笑)。いや気に入ってないというか、ガメラのデザインに関しても大映側とこちら側の意見が折り合わなくて……。
原口 そうなんですよね。結論出ないまま時間切れが来ちゃって、土川(勉)プロデューサーに「もう制作発表に間に合わないから、デザインはその中間で作ってくれ」って言われました。造型部がデザイン決めるってどういうことなの、という感じですが……。
金子 なるほど、あれは造型部が中間を取ってくれたんだ。それはご苦労をおかけしました(笑)。
——『G2』では理想のビジュアルに近づいた形でしょうか。
金子 うん、それはそうですね。1作目は、飛ぶときも腕を曲げたファイティングポーズでないと会社は納得しなかった。デザイナーの前田(真宏)さんが描いた、手を翼の形にしたガメラがギャオスと戦う絵を見て「これはいいな」と思ったんだけど。
樋口 2作目で無理やり手を翼にしてね。
原口 他にも金子さんと樋口さんのガメラの時にはやってないことがいくつかあって、首を引っ込めたりするのもそのひとつですね。
金子 そうですね。回転ジェットで首を引っ込めるっていうのは、『G1』でもどこかでやっているべきではあったよね。画として検討したことはなかったの?
樋口 一応、富士山の麓で自衛隊の攻撃を受けて、上からギャオスが飛んできた時に引っ込めようかなと思ったんですけど。
金子 なるほど。あそこだったら理屈は通ってる。
樋口 でもね、どう描いても可愛いんですよ。「ペコっ」みたいな感じで。亀の可愛さが出ちゃう。
田﨑 あの世界は亀がいない世界なんですよね?
樋口 そう。あれを見ても、誰も「でかい亀だ」って言わない世界。と思ってたら特報でいきなり「それは、空飛ぶ巨大な亀!」って。ああああ!
一同 (笑)
金子 あれね、特報は制御できなかったのかな。
樋口 『G3』になると、本田博太郎さんが電話しながら、すごく愛おしく亀の置物を見てる(笑)。亀がいない世界観なのに。これはもしかしてこの世界のガメラのキャラクター商品か? と。
金子 あの時はなんか……魔が差したのかな(笑)。
樋口 魔が差した(笑)。自前で持ってきたとかそういうわけじゃないですよね?
金子 いや美術部が置いといたんだけど、どけろって言わなかったんだよね。1作目の時は全部どかしてたけど。なんだろうね、完全なものじゃなくする、みたいな。
田﨑 左甚五郎の忘れ傘みたいな。完璧なものは崩れるから、「まだ不完全」という印を残したほうが建物にとっては良い、とかいいますよね。
金子 うん。そういう心理だったのかなと思います。今から考えると、どかしたほうがよかった(笑)。
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