【コードギアス 新潔のアルマリア】ep17「私は、マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア」
2026.05.09 ビッシュ生物学研究所へと足を踏み入れたハクバたち。エントランスを抜けてオフィスフロアに入ると、広い室内は窓からの光も届かずに真っ暗で何も見えない。ドア付近で照明のスイッチを探り当てたドクが電源を入れると、建物内の照明が一気に点灯した。
「良かった。まだ電気が通っているみたいだ」
「研究施設だからな。もしかすると、自家発電装置があるのかもしれない」
「それはあるね。こういうところだとインキュベーターとかの電源が落ちるのは痛手だろうし」
「それって、研究が続いてたら、の話でしょ? でも、そんなふうに見えないんだけど……」
サトリの言う通り、照明がついてオフィスの状況がわかるようになると、長らく放置されていることが窺える。それほどまでにオフィスフロアは荒れていた。PCなどの端末は荒々しく壊され、書類も持ち出された跡がある。
「これって閉鎖後に荒らされた……ってワケじゃなさそう」
「そうね。誰かがデータを持ち出した。持ち出せなかったものは、あとから来た人間に見られないようにした、って感じかしら」
レディ・レディもあたりを見て、サトリの意見に同意する。
「これもマシュー・ブラキストンがやったのかな?」
「関わっているかもしれないが、まだ断定はできないな」
「ミスター、ここではありません。わたしのひみつはもっとおくに……」
「覚えているのかい?」
「ええ。おぼろげではありますが……」
「わかった。じゃあ、行こう」
オフィスフロアを後にし、さらに奥へと向かうハクバたち。ドクもついて行こうとするが、手元にある科学雑誌が目に留まった。その表紙に映る人物に見覚えがあったからだ。
「この人って確か……」
リューネベルクから遠く離れた鎌倉の神楽耶邸。神楽耶が双葉からマシューに関する調査報告を受けている。
「ふむ。マシューという男。元はブリタニアの軍人だったのですね」
「はい。ナイトオブファイブだったノーランド・フォン・リューネベルクの親衛隊にも所属していた名うての騎士だったようです」
「しかし、ルルーシュ皇帝によって貴族制度が廃止されたあとは、軍を辞め、父親が手掛けていた製薬業を引き継いでパイレックスを立ち上げた、と。下地があったとはいえ、この数年でパイレックスをあのような大企業に成長させるとは、かなりの商才を持っている人物ですね」
「そのようです。近年では兵器開発のほうにも興味を持ったようで、軍需産業にも関わろうとしていたという噂もあります」
「なるほど。ラクシャータに接触していたのはそのためですか。しかし、軍縮傾向にある今、どうして軍需産業に関わろうとするのでしょうか? パイレックスをあそこまでの企業に成長させた人間にしては時勢が見えていないような……、まさか」
「どうかしたのですか、姫様」
「双葉、このマシューという男をもっと詳しく調べるのです。特に帝国時代の交友関係を重点的に」
「わかりました」
神楽耶の命を受け、すぐに部屋を後にする双葉。残った神楽耶は何か思い詰めた様子。
(この私の嫌な予感が当たっていないといいのですが……)
Mに促されてハクバたちは、エレベーターを使って地下の研究室フロアへとやって来る。エレベーターから降りたその先は、重くて分厚い扉で視界を遮られていた。
「……」
扉の前で委縮するM。
「ここなんだな、M?」
「はい。このとびらに見おぼえがあります」
「行けるか?」
「だいじょうぶです」
ハクバが解錠ボタンを押す。すると、重い扉がゆっくりと開いていく。何年間も溜まっていたであろう空気が一気に噴き出してくる。それは、何とも言えない臭気をわずかに含んでおり、ハクバたちの顔をほんの少し歪ませた。
開いた扉からハクバとMを先頭に室内へと入る。その部屋は何とも異質だった。真っ白な広い空間の中に、創作物でしか見たことのないような円柱型の装置がいくつも設置されている。不思議なことに荒らされていた階上のオフィスフロアとは違い、当時の様子を保っているように思えた。それは、整然と並べられた円柱型の装置の電源が入ったまま機能しているからかもしれない。いくつか空になっているものも見受けられるものの、ほとんどの装置は中央のガラス部分が液体で満たされており、黒ずんだ物体がバラバラになって浮かんでいる。この部屋にはその装置だけで、他には何も見当たらない。
「ここがMちゃんのことがわかる場所なの?」
「はい……」
「でも、何もないよ。あるのは不思議な機械だけ。でも、この機械って……」
「人工子宮だよ。たぶんね」
「人工……、子宮?」
思わず自分の下腹部を触るサトリ。
「M、僕が気付いたこと、話しても大丈夫かな?」
ドクがMを気遣ってその顔を見る。その表情には年齢に相応しくない、死刑宣告を待つような諦めとそれでも真実を知りたいという気持ちが織り交ざっている。
「はい。お願いします」
ドクが頷く。
「上の階でこの科学雑誌を見付けた。この表紙に映っているのは、さっきも話に出たグレゴール・フォン・リューネベルク。僕たちが訪れているここリューネベルクの前王にあたる人だ。彼は、遺伝子工学、なかでもクローン技術に長けた研究者だった。それこそ、この研究所の所長であるウィリアム・ビッシュとともに数々の研究成果を残している」
「待って。それってつまり……」
「ああ。この研究所は、この場所は……、クローンの作成所なんだ。それもヒトのクローンの……」
「えっ? でも、人のクローンは法律で禁止されてて……」
そこまで言ったところで、まわりの閉ざされた空間に気付くサトリ。
「だから、ここで秘密裏に作ってたんだ……。でも、それじゃあ、Mちゃんは……」
「だいじょうぶですよ、サトリ。それをたしかめるために来たんですから」
ハクバから手を放したMがひとり、円柱型の装置の間を歩いていく。その先には他のものと違って中が空になっているものもある。そして、そこには「M-01」と刻まれたアルミ製のプレートが付けられていた。Mがそのプレートを指先でなぞる。
「やっぱりここがわたしの生まれたばしょ」
ハクバがゆっくりとMに近付く。
「M、見付けたんだな。君の本質というものを」
「はい」
Mが振り向く。そこには怯えも、悲しみもない、ただ達観した表情がある。
「私は、マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア。その人の遺伝子的クローン人間です」
ep.17END
【コードギアス 新潔のアルマリア】
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