【コードギアス 新潔のアルマリア】ep17「私は、マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア」
2026.05.09『コードギアス 奪還のロゼ』へと続く物語
『コードギアス 復活のルルーシュ』と『奪還のロゼ』をつなぐ『コードギアス』の新たなるストーリー『新潔のアルマリア』。Mが育った場所、それはブリタニア大陸の中央に位置する独立国リューネベルクにある朽ち果てた研究所だった。その門には“ビッシュ生物学研究所”と書かれていた……。
STAFF
シナリオ 長月文弥
キャラクターデザイン 岩村あおい(サンライズ作画塾)
ナイトメアフレームデザイン アストレイズ
モデル製作 おれんぢえびす、コジマ大隊長
撮影協力 BANDAI SPIRITS コレクター事業部
ep.017|『私は、マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア』
ハクバたちをともなってMが訪れたのは、ブリタニア大陸の中央に位置する独立国リューネベルクにある朽ち果てた研究所。Mの持つ認識票で開かれた門を、ハクバたちが抜けていく。その際に門に刻まれた“ビッシュ生物学研究所”の文字を見て、ドクが思わず口にする。
「このビッシュ生物学研究所って、もしかしてあの有名な……」
「そうよ。ウィリアム・ビッシュの研究所」
レディ・レディが当然のように答える。
「ウィリアム・ビッシュって?」
「生物学の権威だよ。特に量的遺伝学の応用を通じた家畜の改良・福祉の分野で、動物科学に多くの貢献をしてきた人なんだ」
いつも通り、ドクが説明をするも、サトリは理解できていない顔をしている。
「うん? んん~?」
「えっと、どう言ったらいいのかな……」
ドクがうまく説明できなくて考えあぐねていると、前を歩いていたハクバが振り向いて補足してくれる。
「遺伝ってのは、環境によって影響を受けやすいだろう? 俺たちだって同じ人間ではあるが、人種はバラバラだし、持っている遺伝情報も当然バラバラだ。そんな遺伝を統計学的に研究して、病気やそれを治すための薬の開発、病気を起こしにくい家畜の交配に役立てたってことだよ」
「それって、私たちが普段食べてるものや、使ってる薬に役立つ研究をしてくれたってこと?」
「そういうことだな」
「ビッシュ博士の研究所がブリタニアにあるのは知っていたけど、このリューネベルクにあったんだね」
「リューネベルク家は遺伝子工学に秀でた科学者系の貴族だったらしいからな。ビッシュとも関わり合いがあったんだろう」
「あのノーランドって仮面の人?」
「いや。その父親であるグレゴール・フォン・リューネベルクだ」
「グレゴール・フォン・リューネベルクか。どこかで名前を聞いた気が……」
ハクバが口にした名前に聞き覚えがあったが、専門外であるためかうまく思い出せない。ドクたちがそんなやり取りをしている間に、先頭を歩いていたレディ・レディが白い正方形の建物に到着する。一階のエントランスは全面がガラス張りになっており、中を窺うことができた。照明は落ち切っており、当然人の気配はない。長年、人の出入りがないことは一目で見て取れた。扉に読み取り用のデバイスを見付けたレディ・レディは、やって来たMの顔を見やる。
「M、いいのね?」
「うん。もう決めたから」
門を開いた時と同様に認識票をかざす。すると、電子音と解錠音が聞こえて、入り口のガラス扉がスライドして開いた。
「……」
小さく息を呑むM。ハクバの手を握る力が強くなる。
「大丈夫。何があっても君は君だ。俺がそばにいる」
「はい。ありがとうございます、ミスター」
ハクバの笑顔を見て一息吸ったMは、研究所へと足を踏み入れる。
広いオフィスが森閑としている。デスクの上の端末に表示された情報をマシューが食い入るように見ているからだ。画面にはハクバの情報が記載された資料が表示されているが、その上には「戦死」の文字が打たれている。
「あの男が、すでに死んでいるだと……?」
「はい。いくつかのルートで調べましたが、例のグラナードが捕らえた男は、宗賀ハクバという日本人で間違いないようです。しかし、その足取りを追ってみたところ、公的な記録では獅子蛇戦争の際に戦死していると……」
「馬鹿な! この男が生きているのが間違いないことは、この画像を見れば明らかだぞ」
デスクに置かれたグラナードに捕らえられていた際のハクバの写真を指し示す。
「おそらく、表向きには死んだことになっているのでしょう。もしかすると、どこかの裏組織に所属する工作員なのかもしれません」
「そんな奴がM-01のそばにいるのか……。M-01の捜索を依頼したピースマークのほうはどうなっている?」
「こちらはまだ足取りを追っているみたいです」
「なら、何としてでもM-01かこのハクバという男を見付けさせるんだ。そのために大枚をはたいているんだからな」
「わかりました」
「あと、グラナードがこっちに残していたリビングナイツがいるだろう。奴らを集めろ」
「リビングナイツを? もしかして……」
「言っただろう、ミリガン。僕はM-01を取り戻すと決めた。なら、Fプランを実行に移すことも辞さない。そのためには人手がいる」
「……わかりました」
渋々、承諾したミリガンはマシューのオフィスを後にする。残ったマシューは両手で頭を搔きむしると、そのままデスクに肘をつく。その様子は半ば自暴自棄になっているようにも見える。
「宗賀ハクバか。何者かは知らないが、こちらにはまだ切り札が何枚も残っている。僕は何としてでもM-01を取り戻すからな……」
一方、部屋を出たミリガンは苦々しい表情を浮かべていた。
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