【コードギアス 新潔のアルマリア】ep03「この再会はきっと運命」
2025.03.07『コードギアス 奪還のロゼ』へと続く物語
『コードギアス 復活のルルーシュ』と『奪還のロゼ』をつなぐ『コードギアス』の新たなるストーリー『新潔のアルマリア』。中東での任務中に現れた圧倒的なパワーをもつ謎の黒いナイトメアフレーム。その報告のため、鎌倉の神楽耶の屋敷に赴いたハクバたちに、正体不明の武装集団が襲いかかる。絶体絶命の危機に颯爽と現れた黒い影。彼はいったい何者なのか!? 物語が動き出す第3話、開幕!
STAFF
シナリオ 長月文弥
キャラクターデザイン 岩村あおい(サンライズ作画塾)
ナイトメアフレームデザイン アストレイズ
ep03|『この再会はきっと運命』
中東での任務中に現れた謎の黒いナイトメアフレーム。その報告をするために鎌倉の神楽耶の屋敷に赴いたハクバたちだったが、突如として正体不明の武装集団の襲撃を受ける。完全武装の兵士たちを前に絶体絶命の危機に陥るなか、颯爽と現れた黒い影がハクバたちの窮地を救う。黒の騎士団のCEOである仮面の英雄、ゼロだ。
「ゼロ!」
サトリとドクへと向かっていた兵士ふたりを文字通り一蹴したゼロは、着地と同時にハクバに加勢すべく駆け出す。
「ゼロだと!?」
「撃て!」
突如として現れた仮面の男に向け、数人の兵士が一斉にアサルトライフルを撃つが、射線を読みながら超人的スピードで駆けるゼロにはかすりもしない。ゼロはそのまま兵士たちの懐に飛び込むと、顎に掌ていを叩き込んで昏倒させていく。
「すごいな。あんな真似をできる人間がいるなんて」
そう言いつつ、自身も軽やかな体術で兵士を倒すハクバ。
「な、なんだ、こいつら!」
「よっと」
向けられた銃口に、袖に仕込んでいたクナイを投げつけ暴発させる。そのハクバの見事な戦いぶりにゼロでさえ感心する。
「見事な戦いぶり。あなたがエージェント新月か」
「ええ。お久しぶりです、って俺のことは憶えてないかもしれませんが……」
「そうか。元々黒の騎士団に」
「はい。壱番隊に所属していました」
言葉を交わしつつも、兵士たちを制圧していくハクバとゼロ。ほぼ同時にそれぞれが相手していた兵士を倒す。
「ふう。こんなもんかな」
ハクバとゼロのまわりには十数人の兵士が地面に伏している。
「すごっ! ふたりだけであっという間にやっつけちゃった」
「あれがゼロか。さすが黒の騎士団のトップだね」
ハクバたちが倒した兵士たちを後ろ手に拘束しつつ、サトリとドクも感嘆の声を上げる。
「助かりました、ゼロ。でも、どうしてここに?」
「黒の騎士団でも数日前に怪しい集団が日本に入り込んでいることを察知していた。だから……」
「で、私を囮にしたわけですのね、ゼ~ロ?」
護衛をともなってやってきた神楽耶が冷ややかな視線をゼロに送る。
「それは誤解ですよ、神楽耶さま。彼らは最初からここを目指しているようでしたので」
「ここを? 端から姫を狙って……」
かつて合衆国日本の代表だった最重要人物である神楽耶の居場所を突き止めることは容易ではない。ハクバはそのことが微妙に引っかかる。
「それで? 襲われる心当たりは?」
「多過ぎて見当もつきません。それを調べるのもあなたの仕事でしょう、ゼロ?」
ゼロが神楽耶に心当たりを問うも、神楽耶はぷいと明後日の方向を向いてしまう。
「あなたという人は……。わかりました。今回の件、我々黒の騎士団が調査を請け負います」
肩をすくませて見せると、ゼロは仮面内の通信機に向かって指示を出す。
「私だ。今回の件はこちらで預かることになった。回収を頼む」
すると、その指示を待っていたかのように大勢の黒の騎士団員が敷地内に入ってきて、ハクバたちが倒した兵士たちの回収を手際よく始める。
「用意周到なことで」
「神楽耶さまの身の安全は最重要事項だからね。では、また」
黒の騎士団員たちに指示を出しながら去っていくゼロ。
「よく言いますわ」
と、神楽耶はゼロの背中に向かって舌を出している。
「姫さまってゼロへの当たりが強くない?」
「だね」
黒の騎士団に兵士の身柄を渡したサトリとドクが、ハクバのもとへとやってくる。
「それよりもエージェント新月」
「はい」
打って変わって神楽耶が真面目な顔で振り向くので、姿勢を正すハクバたち三人。
「あなたたちに新たな任務です」
「はい」
「さきほどの黒い紅蓮タイプの件、正式に調査を命じます。その存在は新たな争いの火種になりかねません。正体を明かし、その真意を突き止めるのです」
「その任、承りました。奴さんの正体、俺個人としても気になるところですし」
「任せましたよ」
神楽耶の命に対し、ハクバたちは深々と頭を下げる。
「よし。じゃあ、早速ハワイへと向かいますか」
「えっ? なんでハワイ?」
ハクバの言葉の意図が汲み取れないサトリ。すかさずドクが解説する。
「あたりまえだろ? 手がかりは新月で記録したデータしかないんだ。まずは全世界のナイトメアを把握しているといっても過言ではないラクシャータ・チャウラー博士の見解を聞きに行かないと。でしょ、ハクバ?」
「ドクの言う通りだ」
「なるほど! じゃあ、ロコモコにポキにガーリックシュリンプ! それにマヒマヒにラウラウだ!」
「どうして、そこで食べ物ばっか……」
呆れるドクにサトリが食い気味に噛みつく。
「だって、香港でも中東でもお預けだったんだよ! 今度こそ本場グルメを食べたいの!」
「ってことなんですけど、ちょっとぐらいはいいですよね、姫?」
立て続く任務にさすがに不憫だと感じたハクバが神楽耶に話を振る。
「もちろんです。今しがたあなたたちの口座に特別手当を振り込んでおきました。美味しいものを食べてきなさい」
「ありがとうございます! 姫さま、大好き!」
「やれやれ」
神楽耶に抱きつくサトリに苦笑するハクバ。
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