HOME記事スケールモデル世界最高の軍用ヘリといわれる「UH-60 ブラックホーク」とは?陸上自衛隊が採用するに至った経緯やその能力をアカデミーの1/35キットとともにご紹介【いまさら聞けないすごいヤツ】

世界最高の軍用ヘリといわれる「UH-60 ブラックホーク」とは?陸上自衛隊が採用するに至った経緯やその能力をアカデミーの1/35キットとともにご紹介【いまさら聞けないすごいヤツ】

2026.08.16

いまさら聞けないすごいヤツ!!/陸上自衛隊 UH-60JA ブラックホーク●宮永忠将、大森記詩 月刊ホビージャパン2026年9月号(8月25日発売)

いまさら聞けないすごいヤツ!!

 陸上自衛隊 
 UH-60JA ブラックホーク 

イラスト/大森記詩

 「名前は知っているけどどんなものなんだろう?」「いまさら聞くのもはずかしいなぁ……」なんて思ってしまう有名な飛行機や戦車、車などのモチーフをサクッと読める解説とイラスト、オススメのプラモとともにご紹介する本連載。今回は世界最高の軍用ヘリとも言える「UH-60 ブラックホーク」をご紹介します。


UH-60JA

全高/5.1m
全長/19.8m
 
巡航速度/約265km/h
航続距離/約470km、約1300km(増槽使用時)


陸上自衛隊航空学校 飛行教導隊 明野駐屯地

 陸上自衛隊 UH-60JA ブラックホーク 陸上自衛隊航空学校 飛行教導隊 明野駐屯地 側面
 陸上自衛隊 UH-60JA ブラックホーク 陸上自衛隊航空学校 飛行教導隊 明野駐屯地 ローター
 陸上自衛隊 UH-60JA ブラックホーク 陸上自衛隊航空学校 飛行教導隊 明野駐屯地 上面
 陸上自衛隊 UH-60JA ブラックホーク 陸上自衛隊航空学校 飛行教導隊 明野駐屯地 正面

映画『ブラックホーク・ダウン』(2001年)


 1980年代以降の映画で登場する軍用ヘリとして、UH-60ブラックホークの頻度と存在感は群を抜く。中でもタイトルにもその名が使われた2001年の映画『ブラックホーク・ダウン』では、当初はソマリア民兵を威圧するように登場するが、予期せぬ損害の連鎖で2機が墜落(ダウン)してしまう。民兵組織の幹部を排除する任務は、いつしか敵中に孤立した仲間の救出作戦になるが、果たして……。ソ連崩壊後、唯一の超大国となったアメリカの傲慢と失墜を象徴する軍事作戦を描く映画で、アイコンとして使われたのがブラックホークであった。特殊部隊デルタフォースがカッコよすぎて、日本のサバゲのトレンドが変わったとも言われる映画、ぜひともお勧めしたい。


UH-60JA ブラックホーク

解説/宮永忠将

航空自衛隊 新潟救難隊 新潟分屯基地 2022年

 陸上自衛隊 UH-60JA ブラックホーク 航空自衛隊 新潟救難隊 新潟分屯基地 2022年 側面

 世界最高の軍用ヘリが誕生 

 アメリカ軍が導入したベルUH-1は、汎用性に優れた軍用ヘリとして、1960年代のベトナム戦争に大量に投入された。この戦争を通じて、ヘリは軍事作戦に不可欠な存在となったが、同時に馬力不足が原因で、限界もはっきり見えていた。そこで1972年、米軍は後継となる汎用ヘリの開発に着手する。シコルスキー・エアクラフト社と、ボーイング・バートル社がこの競争に残ったが、シコルスキー社案が制式化を勝ち取り、これがUH-60Aブラックホークとして採用されたのであった。
 UH-60は生存性を最優先した設計となっていた。墜落時の衝撃を吸収する頑丈なランディングギアや、被弾しても漏れない自封式燃料タンクを採用し、メインローターは20mm級の機関砲の直撃に耐えられた。内部も堅牢で、トランスミッションはオイルが完全に抜けても30分間は飛行できるような構造となっていた。また、機体の全高が抑えられ、独特の引き締まったシルエットになったのは、C-130ハーキュリーズなどの主力輸送機に搭載できるようにするためだ。
 UH-60Aのアメリカ陸軍への配備は1979年に始まった。以降、アメリカ軍が関与したほぼすべての紛争や軍事作戦に投入されて、ワークホースとしての期待に応えている。基本設計も優れているため、陸軍のみならず、海軍型のSH-60 シーホークや空軍救難型のHH-60 ペイブホークはじめ、全軍のあらゆる任務に対応する派生型へと発展し、現在に至る。

 陸自の高性能汎用ヘリとして採用 

 UH-60は派生型を合わせて、世界でも5000機以上導入されたベストセラーになった。日本でも1980年代に三菱重工業がライセンス生産する形で、空自向けの救難型UH60Jと、海自向けの対潜型SH-60Jの調達が決まっていた。これに、老朽化した汎用ヘリUH-1Hの後継となる多用途ヘリを求めていた陸上自衛隊が相乗りする形で採用を決定したのがUH-60JAである。
 1995年度予算から調達が始まったが、実は同時期に陸自では安価なUH-1Jも調達していた。しかしソ連崩壊後、日本の国防の重点は南西方面にシフトしたので、洋上飛行が多くなる任務の特性に対応するため、双発エンジンによる安全性や、全天候および夜間運用能力も必要であるとして、高価なUH-60JAの調達も決めたのである。この時、空自や海自と共通の機体を採用することによるコスト削減効果が説得材料となり、いわゆるハイ・ロー・ミックスでの運用が認められたのであった。
 ただ、陸自の導入数は40機しかなく、陸自全体に行き渡るほどの数ではない。したがって、木更津の第1ヘリコプター団や、南西諸島防衛の要となる西部方面航空隊以外では、全国の方面航空隊直轄の本部付隊への配備に限られている。その任務はVIP輸送、特殊作戦群の支援、離島からの緊急患者搬送などとなっている。そして現在、懸念が強まる激甚災害時における初動対応など、難度の高い任務を担当する切り札として、大きな期待が寄せられている。


 アカデミーから発売されているUH-60シリーズに、新規パーツやデカールを追加してモノクロームブランドで製品化された全天候型の多用途ヘリ「陸上自衛隊 UH-60JAブラックホーク」。1/35スケールで、完成すると約56cmにもなり作りごたえ抜群! 陸自のブラックホークを作ってみたい人にはもってこいのプラキットです。

陸上自衛隊 UH-60JAブラックホーク パッケージ
陸上自衛隊 UH-60JAブラックホーク ランナー
▲ランナー数も多くボリューム満点! 
陸上自衛隊 UH-60JAブラックホーク 胴体パーツ 拡大
▲ランナーの中でも特に目を惹く胴体。繊細なリベットも魅力 
陸上自衛隊 UH-60JAブラックホーク ライトニングアレスター ランナー
▲特徴的な機首レドームには、ライトニングアレスター(避雷器)も彫刻されている 
▲ 陸上自衛隊のデカールの他に、カット済みのマスキングシートも付属 
陸上自衛隊 UH-60JAブラックホーク 増槽ランナー 
▲ パッケージイラストでも目立っている増槽は特大サイズ。陸上自衛隊航空学校 飛行教導隊(明野駐屯地)を選択すると、この増槽に「自衛官募集」というちょっとユニークなマーキングを施せる

陸上自衛隊 UH-60JAブラックホーク

●発売元/モノクローム、販売元/インターアライド●7040円、発売中●1/35、約56.6cm●プラキット


\この記事が気に入った方はこちらもチェック!!/

 前回はコチラ! 

いまさら聞けない傑作汎用ヘリUH-1のこと!ハセガワの「UH-1 H イロコイ」を組みながら知ってみよう【いまさら聞けないすごいヤツ】

 「名前は知っているけどどんなものなんだろう?」「いまさら聞くのもはずかしいなぁ……」なんて思ってしまう有名な飛行機や戦車、車などのモチーフをサクッと読める解説とイラスト、オススメのプラモとともにご紹介する本連載。今回は史上もっとも成功したヘリとも言える「UH-1」を[…]

ヘリの大型キットと言えばこちらも‼

内部メカぎっしり! モンモデルの大型キット「1/35 AH-64Dアパッチ・ロングボウ」をキットレビュー!

マクドネル・ダグラス社(現ボーイング)が開発した戦闘ヘリコプターアパッチは1984年に米陸軍に配備され、その後のパナマ侵攻、湾岸戦争と数々の実戦を経験。そのAH-64Aを改良したものがAH-64Dアパッチ・ロングボウである[…]

この記事が気に入ったらシェアしてください!

オススメの書籍

月刊ホビージャパン2026年9月号

ご購入はこちら

陸上自衛隊航空機写真集

ご購入はこちら

航空自衛隊航空機写真集

ご購入はこちら
PAGE TOP
メニュー