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存在感抜群!水陸両用戦車「特三式内火艇 カチ」の1/35スケールガレージキットに挑戦!【キートモデル】

2023.12.15

特三式内火艇 カチ【キートモデル 1/35】●青木周太郎 月刊ホビージャパン2024年1月号(11月25日発売)

キートモデル 特三式内火艇 カチ 

特三式内火艇
カチ

 日本海軍が開発した水陸両用戦車といえば『ガールズ& パンツァー』にも登場した特二式内火艇 カミが有名だが、今回ご紹介するのは、より大型な水陸両用戦車、特三式内火艇 カチ。生産数は19両と少なく、カミに比べるとマイナーな存在ではあるが、一式中戦車をベースにした車体にフロートを装着すると全長は10mを超え、存在感は抜群である。今回はそんなカチをガレージキットメーカー、キートモデル(KИT Moдeл)が1/35スケールの3Dプリントキットとして発売したということで、3Dプリントのフルキットは初挑戦という青木周太郎がこれを製作。活躍シーンをイメージした簡易ディオラマとして仕上げた。

キートモデル 特三式内火艇 カチ フィギュアアップ
▲主砲の一式47mm戦車砲。車両だけでは寂しいのでタミヤの「日本陸軍歩兵セット」をベースに海軍陸戦隊をイメージしたフィギュアを乗せているが、作者曰く「ちょっと無理があったかも」とのこと
キートモデル 特三式内火艇 カチ プラ板とヒートペンを使用した溶接跡を追加
▲履帯は各コマを0.3mmの真鍮線で連結して組み上げる方式
キートモデル 特三式内火艇 カチ 履帯
▲車体はパーツの隙間埋めも兼ねて、細切りプラ板とヒートペンを使用した溶接跡を追加した
キートモデル 特三式内火艇 カチ 俯瞰
▲カチの完成時の全長は約29cm。今回はフロートを装着した状態で製作したが、キットにはフロートを外した状態のパーツも用意されている

 今回のキットは個人的な興味を含め製作してみました。
 前回の大型ディオラマで、アスナロウモデルより発売される、3Dキットの米軍ポンツーンを同メーカーの代表である村山靖氏本人が製作、塗装を行ってくれましたが、それ以来3Dキットに関して、筆者の関心はかなり高くなりました。
 そんな状況下で、国内のガレージキットメーカー、キートモデルより、特三式内火艇が発売されることとなり、早々製作してみることとしました。日本海軍の水陸両用戦車は、特二式内火艇、特四式内火艇が、ドラゴンモデルより発売されていましたが、特三式はなぜだか、製品化されずに今日に至りました。もっとも19両しか生産されなかった特殊な車両ですから無理もないのかもしれません。それでも独特の迫力のある車体は、力強さを感じ魅了されます。
 それと、これからガレージキットの主流となるであろう3Dキットをぜひ組み上げてみたいという願望もあり、製作してみました。

■製作
 いきなり箱を開けた段階で、興味津々です。部品点数はさほど多くはなく、むしろ車体の割には少なく感じます。まず目に付くパーツですが、デーンと入っている、大きな車体の中空の本体パーツが製作意欲を掻き立ててくれます。ディテールも想像以上に細かく再現されているので驚きです。ブロック状のパーツが4つ、サポート材に囲まれたパーツが、今まであたりまえに組んでいたプラパーツの状況と違い、ビックリしました。履帯もシート状の台座に、ビッシリとプリントされていて、さながらガラモンのヒレの状態に見えます。
 パーツの切断は、部分的に細刃のニッパーでの慎重な作業が必要な箇所もありますが、サポート材が細いので、案外手でプチプチ取りのぞけると思いました。ただ逆テーパー状のパーツは、レジンがあまり強力ではないので、損傷を起こしやすく、気をつけなければなりません。
 車体の製作は、車体前面に装甲パーツと、車体後面パーツを貼り合わせるだけで完成させることが出来ます。ただし接着は、瞬間接着剤で行いますが、位置関係がずれてしまうと、レジンが脆弱なため、剥がす際に損傷しやすいので、ゼリー状接着剤で確認しつつ、取り付けるとよいかもしれません。またその際車体前後のフロートの部分も隙間が発生してしまいました。レジン成型のため、どうしても車体前後に隙間が出来ましたが、パテで修正して0.3mmのプラ板を細く切り出して、ブレインファクトリーのヒートペンで、溶接跡を再現して処理しました。足周りも、比較的パーツ数が抑えられているので、簡単に組むことが出来ました。
 ただしこの部分も、レジンの脆弱さが出てしまい、サスペンションパーツが欠けることもあり、1.2mmの真鍮線で補強することで調整して組んであります。車体自体に重さもあるので、補強性も必要と感じ、なおさらに処理をしておきました。
 履帯は、サポート材部分が細いので、指で押しつつ、パチパチ取れていくのが楽しいです。0.3mmの真鍮線を差し込んで、可動にすることが出来ます。ただし穴の大きさが安定していないので、0.3mmのドリルで開口して、安全確実に作業を行いました。
 塗装は、水性レジンなので、水洗いが出来ないため、アルコールティッシュ等と、ブラシで、洗浄してから行います。 
 プライマー入りのサーフェイサーでまず塗装し、アクリルXF91・横須賀海軍工廠グレーをベースに、ジャーマングレーや、フラットホワイトを混色した色で、グラデーションを加え塗装しました。
 フィギュアは、タミヤの古い日本兵セットより、下半身を改造し、海軍陸戦隊のつもりで製作しました。友人にかなり無理があると叱咤されましたが、反省しつつ使用してしまいました。反省です。
 そんなわけでどうにか完成。初めての経験でしたが、案外面白かった~!!

キートモデル1/35スケール レジンキット

特三式内火艇 カチ

製作・文/青木周太郎

特三式内火艇 カチ
●発売元/キートモデル●20000円、発売中●1/35●レジンキット● BOOTHまたはキヤホビーにて販売中

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青木周太郎(アオキシュウタロウ)

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