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意外と簡単?重曹を使った雪原ディオラマの作り方【週末で作るガンプラ凄技テクニック】

2023.09.14

週末でつくる ガンプラ凄技テクニック懐かしのディオラマ編 月刊ホビージャパン2023年10月号(8月24日発売)

意外と簡単?重曹を使った雪原ディオラマの作り方【週末で作るガンプラ凄技テクニック】

 休日のゆったりとした時間に、じっくりとプラモデルを作る楽しみを体感しよう! がモットーの連載企画「ガンプラ凄技テクニック」。今回のテーマは「雪原を作る」の後半となります。白をベースとした冬季迷彩、樹木の製作、そしてミソである重曹を使った雪表現を学んでみましょう。

講師/林哲平


冬季迷彩を塗装しよう

Mr.フィニッシングサーフェイサー1500を胴体パーツに吹いている様子
吹いた後の胴体パーツ

▲雪といえば冬季迷彩です。第二次世界大戦時、ドイツやソ連戦車は冬になると真っ白な雪原で目立ちにくくするため、全体を白く塗っていました。今回は当時ものキットの雰囲気を活かした冬季迷彩を目指してみましょう。表面処理が終わったら、Mr.フィニッシングサーフェイサー1500ホワイトを吹いてキズを埋めて下地を作り、ガンダムカラースプレーのMSホワイトを吹いて全体を真っ白にしましょう。白サフ→ホワイトの二重ホワイト塗装をすれば、かなり輝度の高い白となります

塗料を含ませた細筆
をMr.カラーうすめ液に浸している様子

▲冬季迷彩は雪が溶けて春になると落とさなければいけないため、厳密に白く塗られていたわけではなく、水性塗料や石灰、はたまた白いチョークなど、とにかく「白」くするための応急措置でした。なのですぐに白い塗料がハゲてきて、下の塗装が露出するのが特徴です。ここは当時ものキットらしく、ラッカー塗料の筆塗りで下地色をハゲチョロ塗装として描き込んでみましょう。プラ板にMr.リターダーマイルドを混ぜたザク、グフの塗料をそれぞれ出していき、カラーパレットを作ります。塗料が乾いても筆先をMr.カラーうすめ液に浸し、その都度塗料を溶かして塗れば途中で作業を中断しても、塗料の乾燥を気にせずすぐ再開可能です

胴体パーツにハゲチョロ塗装
▲ハゲチョロ塗装を描き込んでいきます。まずはグフから行ってみましょう。冬季迷彩では塗膜が薄くなりがちな角から塗料が剥がれていきます。まずは角にブルーを描き込んでいきます。描き込むときはできる限り塗料を薄めておくのがコツです。下地が白いので、薄くてもバッチリ発色します
そのままスミ入れ
▲スジ彫り部分は通常なら黒やグレーでスミ入れする部分ですが、ここも筆で描き込んで表現します。あくまで冬季迷彩ですから多少はみ出したり歪んでもむしろそれがリアルに見えますし、塗料を薄めておくと結構スッとスジ彫り部分に流れていきます
パーツの境目部分を筆塗り
▲脇の下など、パーツの境目部分も筆塗りでラインを描き込んでいきましょう。スミ入れだとスジ彫りがないとキレイに流れにくいものですが、筆で描き込むのであれば下にディテールがなくてもまったく問題ありません
コクピットハッチはブラックでハゲチョロ塗装
▲コクピットハッチはブラックでハゲチョロを描き込んでいきます。今回は「白」を強調するための冬季迷彩ですので、そこまで下地を露出させなくても全然OKです
グフの胴体を塗装した状態
▲グフの胴体を塗装した状態。白ベース冬季迷彩であれば、下地に合わせたハゲチョロを描き込むことで、当時もの1/144キットで難題となりがちなマスキングを一切無視し、彩色を擬似的かつお手軽に再現することができるのです
敵味方識別帯をキアライエロー+黄橙色で描き込み
▲真っ白すぎるゆえ地味になりがちなので、敵味方識別帯をキアライエロー+黄橙色で描き込みます。第二次世界大戦時の戦車の識別帯もかなり歪んでいたり、色ムラがあったりするので変にキッチリと塗ろうと思わず、それっぽく塗るぐらいのほうがむしろ雰囲気が出るので気楽に塗って大丈夫ですよ
破損部の露出部分に水性ホビーカラーのつや消しブラックを筆塗り
▲破損部の露出部分やザクのシールド裏側など、塗りつぶす必要がある部分は水性ホビーカラーのつや消しブラックを筆塗りし、はみ出した部分を強アルカリ系洗剤で拭き取って仕上げています。塗料は適材適所で使い分けると作業がより楽になりますよ
ザクのハンドに指を描き込み
▲ザクのハンドは月刊ホビージャパン2023年8月号のザク同様に、指を描き込んで表現します。これは水性マーカーが筆に変わっただけで、特にスミ入れなどしなくても、MSグリーンで描き込むだけで充分な見映えがするのでこのままでOKです
動力パイプもそのままスミ入れ
▲動力パイプもスジ彫り部分に筆で描き込んでいきましょう。普通にスミ入れするよりも遥かに楽に作業できます。スジ彫り以外の部分の、ところどころに筆でちょちょっとグリーンを擦りつけておくだけで、剥がれも簡単に表現できます
武器パーツへのスミ入れ
一体化しているザクのハンド

▲武器、といえばついガンメタルやグレーで塗ってしまいがちですが、MSぐらい巨大な兵器になればサイズも当然大きくなりますし、実際の戦争でも兵士が持つ小火器に迷彩が施されることもありますから、ここは武器にも冬季迷彩を施しましょう。グフの胸同様に、ブラックで塗り分けます。これで一体化しているザクのハンドをマスキングして塗り分ける手間がなくなりますし、なにより全体が統一され、より白が強調された仕上がりとなります

ザクの脚部
▲ザクの脚部を塗り分けた状態。足のソールはキットに明確な分割線がなく、普通なら塗り分けるのが難しい部分です。でも、ハゲチョロ冬季迷彩であればこのように簡単に表現できてしまうのです。マスキングの手間がないのは本当に楽なんですよ
ザクのシールド
ガンダムデカール グフレディ

▲今回のディオラマの主人公である、グフのパイロットは女性です。グフと女性、というわけでガンダムデカールよりグフレディをチョイスし、あえてザクのシールドに貼ります。冬季迷彩の場合、国籍や部隊マークは避けて白く塗られることが多く、大抵はその部分だけ下地色が露出しています。ここはデカールを貼る場所を確保するためにある程度広めの面積を下地色で塗っておき、その上にデカールを貼ればリアルに仕上がりますよ

胴体 左胸にジオンマークのガンダムデカールを張り付け
▲ザクの胴体はMSディープグリーンでハゲチョロを描き込み、左胸にジオンマークをガンダムデカールで再現します。再現性を重視したのでデカールを使ったのですが、ちょっと書体が当時の雰囲気に合わないので、ここは手書きしたほうが良かったかもしれませんね
プレミアムトップコートつや消しを吹く
▲冬季迷彩で表面がラッカー系塗料塗りっぱなしのテロテロ光沢なのはちょっと不自然ですので、ハゲチョロ塗装が終わったら全体にプレミアムトップコートつや消しを吹き、全体のツヤを消します。ただ、ディオラマにしない単品作品であればテロテロのほうがむしろ当時感が出るのかも? とも思います

木を作ろう

光栄堂のトゥリーク
▲今回は「HOW TO BUILD GUNDAM」掲載の「U.C.0079積雪ディオラマ」を参考にしており、後ろの丘の樹木も見せ場のひとつです。ここはどう表現するかすごく迷ったのですが、光栄堂のトゥリークを使うことにしました。これは銅線を束ねたもので、ぐるぐるねじることで1/144スケールにも合う、枝の細い樹木を作ることができる魔法のアイテムです
程度の部分で分けている画像
▲それでは木を作っていきましょう。まず、太い枝を作るため、ある程度の部分でこのように分けていきます。何本か大まかに分けたら、ねじって枝をまとめていきます。ポイントは必ず同じ方向にねじること。反対側にねじると、銅線がバラけてしまいます
ねじりながら、枝をバラけさせて広げている画像
▲ねじりながら、枝をバラけさせて広げていきます。といっても難しくはなく、グネグネしているうちにすぐにそれっぽく仕上がっていきます。細い枝は銅線1本でも全然大丈夫です。長すぎたり、余分な枝は最後にニッパーでカットして剪定しましょう
全体にジェッソを塗る
▲全体にジェッソを塗ります。これで強度を加えつつ、枝に太さや厚みがつき、動線剥き出しの状態からより樹木らしい雰囲気へと仕上がるのです
Mr.マホガニーサーフェイサー1000を吹く
▲最後に塗装すれば完成です。今回は白い雪とのコントラストを強調するため、Mr.マホガニーサーフェイサー1000で少し暗めの樹皮としています
針葉樹
▲トゥリークは広葉樹用のマテリアルですが、基の作例の樹木は針葉樹。どうしても一本は針葉樹が欲しい…! というわけでトゥリークをミキシングして針葉樹を作ってみました。それぞれの枝の節ごとに1本使い、瞬間接着剤を使って継ぎ足しています。枝を下に向け、先端が尖るように剪定すれば針葉樹の完成です

雪原を作ろう

月刊ホビージャパン1993年1月号 表紙
月刊ホビージャパン1993年1月号 ディオラマ製作ページ

▲さて、いよいよ本番である「雪」を作ってみましょう! と、ここまで来てなんですが、実は私、今まで雪のディオラマは一回も作ったことがありません。どうするか…? ここで頼りになるのはやはり過去の月刊ホビージャパン! 小学生の頃読んだ思い出の1993年1月号です。この号は表紙こそネオガンダムですが、ディオラマ工作大百科IIと題し、現在でも活躍しているディオラマモデラーである嘉瀬翔氏により、さまざまなシチュエーションのディオラマ製作法が徹底解説されているんです。今回はここより、重曹を使った雪表現をやってみましょう

ディオラマベース
▲雪のディオラマというと、現在では泥と組み合わせた表現が多いのですが、この製作法では雪の透明感や白さを際立たせるために、地面には水彩絵具の水色が下地として塗られています。今回は手元にあった水性ホビーカラーのスカイブルーを使いました
ベースに刺した樹木
▲雪を降らせる前にトゥリークで作った樹木を植えます。スタイロフォームに穴を開け、エポキシ系接着剤で固定しましょう。元作例の雰囲気に合わせるため、一番大きい針葉樹を右端に植えています。極寒の地域では針葉樹でも葉が落ちるので、葉はあえてつけていません。そのほうが楽ですしね♪
リキテックスのマットメディウム
リキテックスのマットメディウムをベースに筆塗り

▲雪となる重曹をディオラマに固着させるため、リキテックスのマットメディウムを全体に塗ります。マットメディウムは本来アクリル絵の具に混ぜるための添加剤で、「マット」の名の通りツヤを消したり、絵の具の伸びをよくしたり、定着力や保存性を高める効果があります。ディオラマ製作においては主に接着剤として使用されることが多いマテリアルです。昔のホビージャパンのディオラマ製作文にはよく出てきましたが、まさか、今自分が使うことになるなんて…!

重曹
▲今回のメインマテリアルである重曹。正式名称は炭酸水素ナトリウムで、脱臭や食品添加剤、掃除用など、主に台所系の用途に使うものですが、粒子が非常に細かく、透明なので雪の表現に適しています。ドラッグストアにて購入可能です
重曹を茶こしでベースに振りかける
水で50%ぐらい薄めたマットメディウムを上からスポイトで垂らす

▲茶こしの中に重曹を入れ、マットメディウムが乾かないうちに上からサラサラ~と雪を降らせていきます。ただ、これだけでは重曹を固定するには不充分なので、水で50%ぐらい薄めたマットメディウムを上からスポイトで垂らし、染み込ませて固定します。スポイトはあまりに上から垂らすと落ちた衝撃で重曹が丸いリング状に固まってしまい、不自然な印象となってしまいます。なだらかな雪原を作りたいときは雪面ギリギリまでスポイトの口を近づけて染み込ませるとキレイに仕上がります。なお、大量の雪を一度で固定することはできないので、降らせては固める、を繰り返してください

積雪完成
▲雪原ができました! 後ろの樹木も枝にマットメディウムを塗っておけば、自然とこれぐらい重曹が固着して雪っぽく見えます。小学生の頃感銘を受けたホビージャパンの記事を読みながら、それを再現する作例を作る……! いや~もう、これはモデラーとして最高の喜びですね♪
爪楊枝を刺してMS固定用の穴を開口
▲と、喜びに浸っているばかりではいけません。あまり時間が経つと重曹が完全に固まってしまい、作業が困難になるので手早く進めます。雪を降らせたら、その日に完成! ぐらいの勢いでいきましょう。まず、ベースの裏から雪で見えなくなってしまったMS固定用の穴を、裏側から爪楊枝を刺して再び開口します
グフ胴体をセット
▲まずはグフからセットします。固定穴周りの重曹を少し掘り返して空間を作り、グフのボディを雪に埋めます。重曹は完全乾燥するとかなりしっかり固まりますが、転落を防ぐためにも衝撃に強いエポキシ系接着剤でしっかりと固定しておきましょう
太モモを埋めるための隙間を掘る
▲太モモを埋めるための隙間を掘っていきます。工作編でも解説しましたが、今回のグフはスカートと脚部は接続しておらず、隙間を雪で埋めることで繋がりを誤魔化しています。もちろんエポキシ系接着剤で固定しておきましょう
重曹をグフの周りに少し配置
▲そのままズボッと埋めるとちょっと不自然に見えてしまうので、掘り返したときの固まった重曹をグフの周りに少し配置します。これで、グフの重みで雪が少し崩れているように見せることができるのです
に足裏に重曹をマットメディウムで付着
▲MSぐらい巨大な物体が雪原を歩けば足裏に泥がつくでしょう。ただ、今回は「白」のイメージを重視したディオラマ。泥を入れるとリアルにはなるかもしれませんが、イメージとはかけ離れてしまいます。ここは雪と同様に足裏に重曹をマットメディウムで付着させ、凍っている状態として白を強調しています
足跡を付ける
足跡を付けた様子

▲雪原の表現で欠かせないのが足跡です。足跡を付けることで、動きの軌跡を表現することができるのです…が! 今回、ザクの足裏の軸とスネへと固定する軸を一体にしていた…。つまり、足裏から軸が突き出した状態のため、足跡が付けられないのです。ここは予備機のザクの足を作例同様に切り離し、内側にエポパテを詰めて同じ形に改造してから足跡をつけています。持つべきものはザクですね(笑)

ザク頭部
▲ザクのモノアイは月刊ホビージャパン2023年8月号の作例と同様、お名前シールをレザー用ポンチでくりぬいたもの。今回は下側をカットし、視点を下へ。これでグフのパイロットを発見した状態を、モノアイの視線でより強調することができるのです
2023年8月号の記事はこちら
フチにはみ出た雪をカット
▲MSのレイアウトが決まったら、ベースのマスキングを剥がしていきます。ただ、そのまま剥がすとディオラマの雪ごと剥がれてしまうので、フチにはみ出た雪をカットしておきましょう。今回はわずかでも雪が崩れるのを防ぐため包丁でカットしましたが、金属定規で押し切るでも大丈夫だとは思います
女性兵士をシタデルカラーで塗装
▲女性兵士をシタデルカラーで塗装します。配色は『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』に登場するケルゲレンのオペレーターを参考にしています。正面は雪に埋まるので見えなくなりますが、ディオラマの主人公ですし、作品に魂が入る気がするのでしっかりと塗り分けています
女性兵士を雪原に倒れさせる
▲女性兵士を雪原に倒れさせます。あまり埋まりすぎないぐらいに、軽く押しつけるぐらいにしておきましょう。跡を付けたら一度外し、エポキシ系接着剤で改めて固定します。ほんの少し上に重曹を降らせて固着させ、凍りついているように表現しています
「ビルダーズパーツHD」の「MSフィギュアセット」に入っているパイロットスーツ姿の女性兵士を左右に切断
左右の足を交互に雪に押しつけて足跡をつける

▲女性兵士もただ倒れているだけだとワープしているように見えるので、グフのコクピットから歩いてきたことを説明するためにも足跡をつけましょう。「ビルダーズパーツHD」の「MSフィギュアセット」に入っているパイロットスーツ姿の女性兵士を左右に切断し、左右の足を交互に雪に押しつけて足跡をつけていきます

足跡をつけた状態
▲足跡をつけた状態。グフから脱出し、ちぎれたグフの右脚を迂回してよろめきながら歩き、ここで力尽きた…と、見る人にひと目で分からせることができます。足跡は雪原ディオラマにおいて極めて効果的な演出法なので、ぜひ試してみてくださいね

完成!!

GOUF LADY 凄技Ver. ディオラマ 正面
GOUF LADY 凄技Ver. ディオラマ 背面
樹木側のアングル
▲樹木側のアングルから撮影した特撮カット。グフが見えなくなり、進行するザクの作品としても楽しめる
GOUF LADY 凄技Ver. 天面
▲ザク、グフともに倒れた女性兵士に顔を向け、視線が自然にもっとも注目するポイントに向かうようにレイアウトされている

■ストーリ性を考える
 「東アジア地域の連邦軍が3日前から北進を始めた。知らせを受けた我が大隊はヤクーツクでの補給後、南進して連邦軍を迎え撃つ。噂によると、ついに連邦もMSの開発に成功し、それで勢いづいているというのだ。だが、我々には彼女がいる。新型MSグフで戦場を駆け巡るその姿は神話のヴァルキューレそのものだ。気性の激しい彼女はウドカンの銅山近くで味方部隊が苦戦していると聞き、この極寒の中パイロットスーツも着ずに出撃してしまった。装甲の厚いグフであれば問題はないであろうが、万が一ということもある。彼女を熱烈に信奉する兵にザクで援護に向かわせた。しばらくすれば勝利の報告とともに帰還するであろう…」というストーリーを想定してディオラマを製作しています。「HOW TO BUILD GUNDAM」に掲載されているオリジナルシチュエーションのディオラマにはどの作品もストーリーが据えられていますし、なんといってもディオラマは「情景模型」です。「情」であるストーリーが根底にあれば、ただのベースデコレートしただけの模型ではなく、グ~ンと生き生きとした「情景」に見えてくるものです。

■「リアル」のバランスをコントロールする
 今回は「雪・白・死」をディオラマのストーリー的なテーマとしています。リアルに寄せるのであれば、ザクが歩いた跡やグフが吹き飛んだ跡には地面が剥き出しになり泥が出ているでしょうし、冬季迷彩はもっと薄汚れているでしょう。その表現を加えれば物質的な「リアル」には寄るかもしれません。ですが、要素が増えすぎて視点が分散し、私が強調したいメッセージ性はボヤケてしまうでしょう。足すだけではなく、あえて要素を引き、見せたい部分を強調する。作品を製作するときはいかに「自分がどう見せたいか」という、演出的なコントロールも意識してみてください。

■簡単で汎用性の高い「雪」の表現
 雪の表現にはさまざまなマテリアルがありますが、ホビージャパン編集部でさまざまなディオラマを見てきて、もっとも本物の雪のように感じたのはやはり伝統の素材「重曹」です。雪というのは降り積もり、すべてを覆い隠すもの。つまり、地面や構造物をそれほど作り込まなくても、とりあえず上から降らせればそれだけでディオラマとして成立してしまうのです。茶こし、スポイトも日本全国どこにでも手に入りますし、昔は画材屋に行かないと手に入らなかったマットメディウムも現在はネット通販ですぐに購入可能です。私も今回初めて雪原を作ったのですが、これほど簡単かつ手軽にできることに驚きました。ぜひ、真っ白な雪原をその手で作ってみてくださいね♪

BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット 量産型ザク+グフ 使用

GOUF LADY 凄技Ver.

ディオラマ製作・文/林哲平

© 創通・サンライズ

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林哲平

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