HOME記事キャラクターモデル1/72の大スケールで登場したガリアンを製作!! 関節の補強と蛇腹剣の可動範囲拡大で劇中再現度アップ!

1/72の大スケールで登場したガリアンを製作!! 関節の補強と蛇腹剣の可動範囲拡大で劇中再現度アップ!

2023.08.13

ガリアン【ウェーブ 1/72】 月刊ホビージャパン2023年9月号(7月25日発売)

ガリアン イメージカット

日韓メーカー共同開発 伝説の機甲兵が再臨

 ウェーブが韓国・アカデミー社との共同開発で世に送り出したのは、『機甲界ガリアン』(1984)の主役機甲兵・ガリアンのプラキット。これまでにない1/72という大スケールでの模型化となり、コクピットハッチ開閉や飛装型(ビッグファルコン)への変形といった固有のギミックを一通り備えているほか、フレキシブルな可動を引っ提げてのお目見えとなった。ベテランモデラー・只野☆慶の作例は、関節強度の補強と蛇腹剣の可動範囲拡大に重点を置いて追加工作を施している。

ガリアン 正面
ガリアン 背面
▲立体映えを意識したモールドが追加されているが、シルエットはアニメ設定画を彷彿させるバランス。全長約18cmと作りごたえバッチリの大きさだ
ガリアン 側面
▲ヒジの多重関節により、見た目以上に腕を動かせるのがうれしいポイント
ヒジ関節パーツ
▲ヒジ関節は飛装型への変形時に伸縮するギミックを有しているが、関節が少し抜けやすいと感じたので、上腕側はプラ板製ワッシャーを留め(写真左上)、前腕側はアクセサリー用極小金属製ワッシャーを精密ビスで固定し(写真左下)、ポリキャップが抜けないように調整した
ハンドパーツ
▲テストショットで製作しているせいか手首関節が外れやすかったので、「ホビーベース 関節技 極め手 ロングタイプ」の手首軸関節を移植した。写真左側が製品の軸、中央が流用パーツ
頭部アップ
▲ガリアンの「目」の部分にはシンロイヒ製の蓄光性夜光塗料RMLC-G1Aを塗布。紫外線ライトなどを照射するとじんわり光る
靴の内部
▲自立を安定させるために靴の内部にハンダやナットを接着してオモリとしている
脚部
▲靴の周辺はMr.ウェザリングペースト マッドイエローをランダムに塗布、ぼかしたり拭きとったりしてウェザリングを行った
コックピット部アップ
▲スペースの都合から全球型スクリーンは再現されてないものの、ジョジョが座る操縦席が造形されている。作例は側面と背面の壁にハセガワのホログラムフィニッシュを貼ってそれらしく仕上げた
立ち姿のジョジョ
▲立ち姿のジョジョの同スケールフィギュアも付属。2cm程度の極小フィギュアなので、筆塗りでそれらしく仕上げた
ポージングするガリアン1
▲腰のひねり機構、開脚、足首の接地性などが優秀なので、直剣を振るうポーズもバッチリキマる
ポージングするガリアン2
▲高速滑走(ローラーダッシュ)時の重心を偏らせた姿勢もバッチリ。キットのままでも問題ないが、記事上部で説明したように靴にオモリを入れるとさらに安定して飾れる
蛇腹剣を自作1
▲しなる蛇腹剣を自作する模様。まずキットの蛇腹剣を粘土に埋め込み、シリコーンゴムで型取りする。割り箸や白いレジンブロックはレジンを流し込む湯口や空気の逃げ口になる部分
蛇腹剣を自作2
蛇腹剣を自作3
▲シリコーンゴムの複製型ができたら、0.9mmカラーワイヤーを挿し込みつつ、レジンを注型。芯に金属線を入れているので、自在にしならせられる蛇腹剣ができた
付属する直剣と蛇腹剣のパーツと自作した蛇腹パーツの比較
▲写真下側が製品に付属する直剣と蛇腹剣のパーツ。上の長短2種の曲がった蛇腹パーツが自作したものとなる
ポージングするガリアン3
▲刀身が無数に分離した蛇腹剣状態の刀身も付属するのだが、材質上大きく曲げることが難しいため、作例ではカラーワイヤーを通して自在にしなるパーツを新調。左腕の鉄甲翼(突起)から剣を引き抜くポーズを再現できるようにしてみた
ポージングするガリアン4
▲さらに、2倍の長さの蛇腹の刀身も自作し、ガリアンらしい鞭を振るうような独特の剣技を再現できるようにしてみた。剣の鍔の部分は可動ギミックの弊害で外れやすかったので、軸に0.3mmの真鍮線を通して補強
飛装型ガリアン1
飛装型ガリアン2
飛装型ガリアン3

▲キットは差し替えなしで飛装型に変形可能。シンプルな変形に見えて、ヒジ関節の伸縮や足首関節の引き出し機構など、設定の流麗なシルエットを再現するためのこまかな工夫が随所に見られる

推進器アップ
▲変形時に露出する推進器は市販パーツでディテールアップした
ヒザ関節部アップ
▲ヒザ関節の可動範囲が広がるように改造。写真左側のようにヒザフレームの一部を削り取ることで飛装型時の脚部がさらに折れ曲がるようになる。削るぶん剛性が落ちるため、プラ棒を各部に貼り付けて補強した
装型の機首アップ
▲飛装型の機首(被甲頭)の目の部分にも蓄光性夜光塗料を塗っている

■伝説の鉄巨人
 このガリアン、ウェーブと韓国アカデミーの共同開発とのこと。1/72スケールでスナップフィット式のプラキット、造形も素晴らしく早くも今後の商品展開を期待してしまう只野です。今後、1/72で機甲兵達が展開されたらと妄想すると、ガリアンワールド(機甲界)の広がりをいろいろと再現したくなりますね。
 さて、この秀作キットをより良く組上げるために、そのプロセスをお伝えしましょう。伝説の鉄巨人は蘇るでしょうか?

■各所補強がキモ
 仮組みした印象は「造形は素晴らしいものの、少々心もとない関節の強度やプラ弾性による納まりの不安定さが課題」と感じたので、各所の補強がキモとなります。手首関節はPP製で非常に抜けやすいので、できればプラ素材に変えたい。そこで、「ホビーベース 関節技 極め手」(おそらく現在は店頭在庫のみ)の手首関節(ロングタイプ)がちょうど良いサイズでしたので組み込みました。
 ヒジ関節は前後ともポリキャップ差し込み式で抜けやすく、保持が若干不安です。上腕側はプラ板でワッシャーを作り、前腕側はアクセサリー用極小金属製ワッシャーを精密ビスで固定し、ポリキャップが抜けないようにして伸縮機構の安定感を確保しました。
 胸部はフレームの組付け強度が低く、外装を取り付けた時の隙間が気になります。プラ棒で補強材を足して1.2mm精密ビスを4点打って組み付け強度を上げています。

■蛇腹剣
 付属する蛇腹状の刀身パーツですが、そのままでは曲げられないのでシリコーンゴムで型を取り、その型に0.9mmカラーワイヤーをインサートしてからレジンを注型、フレキシブルに動くものを用意しました。複数作って繋げた長めのものも用意しました。

■塗装
 下地はNAZCAメカサフ ライト、その上にガイアカラーのホワイトで面毎にグラデーションを施しておきます。
赤=タミヤカラー LP-50ブライトレッド
黄=ガイアカラー AT-20オレンジイエロー
白=ガイアカラー Ex-ホワイト
関節=フラットクリアー+雲母堂ブラックパール
 基本塗装後、ナイフでエッジを強調するように塗膜を剥がし、物理的に軽くチッピング。スチールウールでランダムに傷を付けてからMr.ウェザリングカラーWC18 シェイドブラウンでスミ入れ、Mr.ウェザリングカラー各色でウォッシングを施して完成です。

ウェーブ 1/72スケール プラスチックキット

ガリアン

製作・文/只野☆慶

ガリアン
●発売元/ウェーブ●6380円、7月下旬予定●1/72、約18cm●プラキット

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ⓒサンライズ

只野☆慶(タダノケイ)

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