HOME記事スケールモデル1/48「ブラックバーン・バッカニア S.2」が21世紀のテクノロジーでフルリニューアル!魅惑の群青色の機体を完全再現

1/48「ブラックバーン・バッカニア S.2」が21世紀のテクノロジーでフルリニューアル!魅惑の群青色の機体を完全再現

2023.06.12

ブラックバーン バッカニアS.2【エアフィックス 1/48】 月刊ホビージャパン2023年7月号(5月25日発売)

ブラックバーン バッカニア S.2イメージカット

完全リニューアルされた濃青色の海賊

 戦後イギリス海軍機を代表する機体のひとつ、ブラックバーン・バッカニア。低高度進攻を目的とした機能性を由来とする、機体各所にうねりを持つ独特のスタイリングは、英国機マニアの心をガッチリとつかんで離さない。1/48スケールのキットは1990年代に発売されたエアフィックスが唯一無二の存在だったが、2022年末に21世紀のテクノロジーを駆使し完全新金型でフルリニューアルされた。前作も悪い出来ではなかったが、再現されたフォルムとディテールはさらなる高みへとレベルアップ。魅惑の“エクストラディープオーシャンブルーグレー”の機体を完全再現するっ!

ブラックバーン バッカニア S.2 背面画像1
右側面画像1
▲エアフィックスの1/48キットはバッカニアS.2CとS.2Dのコンパチとなっており、作例は電子機材を強化したS.2Dとして製作している
左側面画像
▲低高度進攻攻撃機という特性から生まれた機体形状は、各部分のつなぎ目を丸く柔らかに処理した胴体、T字形配置の尾翼、大きく開く尾部のエアブレーキなど、アンバランスな英国機らしいけれん味がたっぷりだ
右側面画像2
▲一般的なジェット機では珍しく、右側に乗降用のラダーが取り付けられている。前後2本のラダーはキット付属のもの。コクピットは前後席ともに共通の後部キャノピーで、後方に大きくスライドして開くようになっている
コクピット画像
▲コクピットはスケールに見合った充分な出来。後部キャノピーは破砕コードの有無を選べ、S2CとS2Dで異なる前席の射出座席や後席計器盤もタイプに応じて選択できる
左側エンジンナセル画像
▲左側エンジンナセルは上部のパネルを開いた状態を選択。この場合は組立説明書の指示に従って、胴体上面パーツから該当部分のパネルを切り取る加工が必要となる
折り畳み状態の主翼とマーテルAS-37対艦ミサイル
▲主翼は折り畳み状態を選択。兵装はマーテルAS-37対艦ミサイルで、内翼のTV誘導型と外翼のレーダー誘導型の2種類を用意。右側内翼にはデータリンクポッドを搭載する
アレスティングフック画像
▲着艦時に使用するアレスティングフック。前方のY字形のテイルスキッドは立てた状態でも製作可能。また後端のエアブレーキは閉状態のパーツも選択できる
ブラックバーン バッカニア S.2 背面画像2
▲右後方から見たバッカニア。塗装例は4種類で、作例では1978年8月の空母「アークロイヤル」搭載の第809海軍飛行隊所属機を再現している

■本当にエアフィックスなのか?
 一部の英国機マニアから注がれる熱い視線、どんな神経で設計されたのか不安になる英国海軍の艦上攻撃機バッカニアの1/48キットがエアフィックスの手によって完全新金型でリニューアルされました。
 特徴的な赤い箱を開けて最初に驚いたのは「プラが黒い!」……実際は黒でなくダークグレーなのですが、今まで慣れ親しんできたエアフィックス社の軽薄な水色プラを想像しながら開封したので「なんじゃコレ? アカデミーのキットか?」と軽い混乱を生じました。
 ランナーに付いた状態で各パーツを眺めてみると、エア独特の若干ボヤケたような柔らかなモールド感がまったくなく、爆弾倉やコクピットパーツなどはキレッキレのモールドに再度驚かされます。ただ箱や説明書などの印刷物からは例のエアフィックス臭が漂い、「この匂いは間違いなくエアだな……」と和ませてくれるのでした。

■どこもかしこもヘンテコラインのバッカニア
 ソビエト艦隊を核戦力で一掃するため、敵レーダーに察知されることのない海面スレスレの超低空侵入に特化した設計がなされ、他の艦上攻撃機では見られない愛嬌のある独特のラインは、恐ろしい“バッカニア(海賊)”というよりペンギンの姿に似ています。
 ただ、滑らかな曲面で構成された機体を完璧に再現しようと、胴体パーツの構成は機首を左右に分割、中央部と主翼基部は上下分割、胴体後半と尻尾のブレーキは再び左右分割と結構バラバラにわかれています。さらにインテークや排気ノズルも個別に成型されているので、「本当にこの分割で曲面がきれいに揃うのか?」と心配になるのですが、工作を進めてゆくにつれ「完璧な分割だわ……ラインが狂ったのなら製作者のミスだな」とうれしい裏切りに遭いました。

■さて何色に塗ろうか
 1/72スケールのバッカニアを担当させて頂いた時も大いに悩まされた、イギリス海軍機色のエクストラダークシーグレーが灰色にしか見えない問題。現役当時の紫外線によってカッスカスに傷んだ機体を撮影した写真は確かにグレーなのですが、保管状態のよい再塗装された機体は青みが強く、航空自衛隊のF-2戦闘機の濃いほうの青「ディープオーシャンブルー」に近い印象を受けました。
 さすがにディープオーシャンブルーをそのまま塗るのは怖いので、エクストラダークシーグレーとディープオーシャンブルーを2:1の割合で混色した「エクストラディープオーシャンブルーグレー」を作って塗ってみました。
 イメージ的にはボックスアートの機体色に近い仕上がりを目指したのですが、肝心のボックスアートも天板のイラストと側面の別イラストでは青味に大きな違いがあり、深い追求は断念しました。

■デカール貼りと気温
 エアフィックス製品の魅力のひとつがデカールの素晴らしさでしょう。このキットにも素晴らしくきれいな発色の大判デカールが入っています。ただ製作時期が冬だったので、模型部屋の気温が低過ぎ、デカール本来の柔軟性が充分に発揮できない状態での貼り付けとなってしまいました。これから製作される方は、気温と湿度が充分に上がった季節の到来を待ってからデカールを貼るのがよいかも知れません。

エアフィックス 1/48スケール プラスチックキット

ブラックバーン バッカニア S.2

製作・文/ヨンケイ

ブラックバーン バッカニア S.2
●発売元/エアフィックス、販売元/GSIクレオス●16500円、発売中●1/48、約40.2cm●プラキット

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ヨンケイ(ヨンケイ)

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