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1/100ドムの脚を装着した「脚つきジオング」をつくろう【週末でつくる ガンプラ凄技テクニック】

2023.03.20

週末でつくる ガンプラ凄技テクニック 懐かしのキット編 月刊ホビージャパン2023年4月号(2月25日発売)

1/100ドムの脚を装着した「脚つきジオング」をつくろう【週末でつくる ガンプラ凄技テクニック】

“脚つきジオング”をつくろう

 休日の空いた時間、誰でもできる簡単なテクニックで、お手軽にカッコいいガンプラを楽しんで作ってみよう! がモットーの連載企画「ガンプラ凄技テクニック」。懐かしのキット編最終回は「脚つきジオングをつくる」。当時、多くのモデラーが憧れた、1/100ドムの脚を装着したクラシックスタイルのパーフェクトジオングを製作してみましょう。

講師/林哲平

▲「月刊ホビージャパン1981年6月号」および「HOW TO BUILD GUNDAM」の読者投稿ページに掲載されている、一番最初に製作されたドムの脚を装着したジオング。今回の作例はこちらを基にしている


工作ポイント

▲1/144のジオング。1/144ながらかなりのボリュームを誇るキットで、両腕、首の伸縮ギミックが金属線で再現されています。今回は当時のモデラーが数多くチャレンジした、クラシックスタイルのパーフェクトジオングを作ってみましょう
▲クラシックスタイルのパーフェクトジオング製作に欠かせないのが1/100のドム脚部。まるで“謀った”かのようにジオングにピッタリと合わさります。今回はリアルタイプドムの脚部をチョイス。価格が1/100のドム同じでありながらデカールが付属するので、入手できるならばリアルタイプを使ったほうが断然お得です
▲ドムの脚部をジオングに合わせてみましょう。この作例の最大のポイントは脚をどの位置で固定するか? ということです。上で固定すれば脚が短くなり、下で固定すれば脚が長くなります。スカートからどれぐらい太モモが見えるのが自分の好みか、工作前に把握しておきましょう
▲太モモの半分まで隠したスタイル。現代のパーフェクトジオングを見慣れた目からすると短すぎるように見えるかもしれませんが、「月刊ホビージャパン1981年6月号」および「HOW TO BUILD GUNDAM」の読者投稿ページに掲載されている、最初に製作されたパーフェクトジオングの脚部はこの長さです。よりクラシックスタイルを追求したい人はこちらの長さを選びましょう
▲太モモを露出させたスタイル。『MSV』で公式設定となったパーフェクトジオングの長い脚に合わせたスタイルです。こちらのほうがスカート内部の底板をそのまま使え、作業もより簡単なので今回はこのスタイルで作業を進めていきましょう

アルミ線で脚をつなげよう

▲ジオングにドム脚はそのままではもちろん装着できないので、前回で紹介したアルミ線での関節接続法を使いお手軽にセッティングしてみましょう。まず、ドムのスネ内側、足首接続用のダボは不要なのでニッパーで切り取ります
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▲ゲルググではヒザ関節もアルミ線で繋ぎましたが、ドムのヒザ関節は外に露出しており、アルミ線で繋ぐと外観を損ねてしまうのでそのまま活かします。赤く着色した部分を少し削っておくと、関節を曲げたときパーツが干渉して塗膜が剥げるのを防ぐことができます
▲スネを接着した状態。ゲルググのときはここにエポパテを詰め込んでアルミ線を挿し込みましたが、今回はヒザ関節を活かしているため、そのままパテを詰め込むと関節が固まってしまいます

▲ここは関節までパテが回らないように、プラ板でフタをしましょう。ドムのスネ内側に合わせて、なだらかなおむすび型に1mmプラ板を切り出します。これぐらいの厚みであれば、プラ板専用のハサミでチョキチョキとカットするのがお手軽で楽です。得に外側に露出するような部分でもなく、とりあえずフタをすればいいだけなのでピッタリと合わせる必要もありません

▲プラ板でフタをした上からエポパテを詰め込み、アルミ線を差し込むための2mm穴を2ヵ所開けます。穴の位置はこのように、少し後ろに開けておくと重心が安定します

▲続いて足首を加工していきます。足首はこの位置をカットし、エポパテを詰め込んだら2mm穴を開けてアルミ線を差し込みます。詳しい方法は前回のゲルググを参考にしてください
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▲太モモの上側(赤く着色した部分)をカットします。股間を開くと太モモの外側の上部分がジオングのスカート内部パーツを干渉するので、そこを少し多めに削っておきましょう

▲穴を開けたらエポパテを詰め込み、穴を開けて2mmアルミ線を挿し込みます。元々ついている太モモの軸穴はそのままだと丸見えになってしまうので、ついでにエポパテで埋めておきましょう
▲ジオングのスカート内側にエポパテを盛り、アルミ線を挿し込む部分を作ります。エポパテは接着力が低く、そのままだとすぐ外れてしまうので、高強度タイプの瞬間接着剤を周りに多めに流し込んでガッチリと固定しておきましょう

▲ジオングの太モモを接続すると目立つのが股間の中心部。アルミ線での接続のため、下から見るとすっからかんになりちょっと気になってしまいます。ここはドムの股間ブロックを移植してみましょう。方法は簡単で、ニッパーでパチパチ胴体から切り出すだけ。改造ではなく、「ちょっと変わったランナーからパーツを切り出す」ぐらいの気持ちで作業しましょう

▲股間の中心にセットした状態。無理にする必要はありませんが、接着面が少ないので、裏側にプラ板を貼っておくと強度が安定します。これで股間の空疎間を解消することができました

▲スカート底板とドム脚をアルミ線でつなげば脚部の完成です。あとは上にジオングを乗せればクラシックスタイルのパーフェクトジオングの出来上がり! ジオング自身が大型で、ドム脚も1/100のドムではスカートに隠れる太モモもほぼ露出しているため、全高22cmと「MG νガンダム」並みのビッグサイズモデルとなります

ツノを尖らせよう

▲ジオングのアンテナは先端が丸まっています。ここを尖らせてカッコよくしてみましょう。赤く着色した部分を削り込んでいきます
▲当て木をした180番紙ヤスリで削り込み、シャープに尖らせます。力を入れすぎて折ってしまわないよう気をつけましょう
▲尖らせた状態。抜群にシャープな印象となりました。尖ったアンテナに引っ張られて、他の部分まで精密に見えてきます。なお、ジオングのアンテナは最初から頭部に固定されているため、塗装のとき引っ掛けて折ってしまいやすいので注意してくださいね

腕の後ハメ工作を考えよう

▲ジオングの腕部は挟み込み関節なうえ、腕が金属線で伸びるギミックが入っているのでそのまま組み立てて塗装するのは非常に難しい部分。ここは後ハメ工作を施して、塗装や工作を楽に進めてみましょう
▲まず、それぞれのパーツを接着していくのですが、上腕のスリットはど真ん中に合わせ目がきて非常に消しにくいので、くりぬいて裏側からランナータグを貼っておきましょう。これだけで作業が格段に楽になります。詳しい方法は月刊ホビージャパン2023年1月号掲載のシャア専用ザクの頭部工作を参考にしてください
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▲上腕と肩の接続は赤く着色した部分をカットすれば後ハメ可能になります。一気に削りすぎると緩くなりすぎて保持できなくなってしまうので、パーツを合わせながら少しずつデザインナイフでカットしていきましょう
▲カットしたダボを合わせて、戦車プラモの砲塔を装着するように、くるっと回せばパーツの装着完了です。よほど複雑な形状でもない限り、1/144の当時ものキットの肩と上腕はこの方法で簡単に後ハメ可能となります
▲ジオングは肩アーマーと肩ブロックの色が違うため、塗装を考えるとなんとしても後ハメしたい部分。ここは赤く着色した部分をカットし、軸を後からはめ込めるようにしておけばOKです
▲手首のつけ根は形状的に上腕と肩のようにくるっと回してはめ込む後ハメはできないので、とりあえず赤く着色した抜け防止部分をすべてカットしておきましょう
▲後ハメ加工が終わった腕部。各ブロックごとに分解可能となったため、塗装が格段に楽になりました。ジオングは肩・上腕・前腕がそれぞれ違う色なので、後ハメなしで塗るのは非常に難しいのです。分解して表面処理を終えたら、そのまま塗装してしまいましょう。ただし、抜け防止用のストッパーをすべてカットしているため、このままの状態では各部の関節が緩すぎてすぐに抜けてしまいます
▲緩くなった関節をどうすればいいのか? そこで活躍するのがシタデルカラーのラーミアン・メディウムです。これは筆塗り用のツヤ消しクリアーで、本来はデカールのテカリなどを消すために使われるのですが、緩くなったガンプラの関節調整用として非常に優れたマテリアルなのです
▲塗装後に、ストッパーがなくなってすぐに抜ける手首のつけ根にラーミアン・メディウムを塗ります。シタデルカラーは上から塗っても溶け出さない水性エマルジョン系塗料です。下地のラッカー塗膜を侵さず、塗料の厚みで軸を太くし、関節をキツく調整することができるのです
▲上腕の接続部は元々緩いうえ、塗装前に接続部を太らせても塗膜が引っかかって剥げてしまう部分です。これが塗装後にラーミアン・メディウムを塗っての関節調整だと、上に強力なフラットクリアーの透明塗膜により太らせているため、下地のラッカー塗膜が保護されるのです。これで動かしたときの色ハゲも防ぐことができるのです
▲関節の調整が終わったら、いよいよ金属線を仕込んで伸縮ギミックを再現してみましょう。まずはここまで組み立て、前腕にキット付属の金属線止めパーツ(パーツナンバー5)に金属線を挿し込んでからを手首の穴から通し、エポキシ系接着剤でガッチリと固定します
▲金属線を上腕と肩に通し、肩の後ハメ用に開けた部分から金属線の止めパーツ(パーツナンバー6)をエポキシ系接着剤で接着します
▲最後にハンドと肩アーマーをはめ込めば腕の完成です! 前腕が金属線で伸びるギミックもしっかりと活かして製作することができました。当時ものキットの挟み込み関節は「くるっとはめ込む」「ラーミアン・メディウム」のふたつがあればほぼ対応できるので、ぜひ他のキットでも活用してみてくださいね

■飾りではない脚をつける!
『機動戦士ガンダム』の第42話でシャア最後の乗機としてガンダムと戦った初代ラスボスMSであるジオング。その最大の特徴は「脚がない」ということです。宇宙空間では脚がなくても大丈夫、脚がなくても性能は100%発揮できると言われても、自分がそれほど偉くなかったとしても「やっぱり脚がついた完全版が欲しい」と思わずにはいられないのが人の性(笑)。「月刊ホビージャパン1981年6月号」および「HOW TO BUILD GUNDAM」の読者投稿コーナーでドムの脚を装着した“脚つきジオング”が紹介されたのを皮切りに、多くのモデラーが製作にこぞって挑戦を始めたのです。

■旧1/144ジオングは脚をつけてこそ光る!
 ジオングの脚として採用されたのは1/100のドムの脚部でした。丸みを帯びたシルエット、ジオングの上半身に負けないドッシリとしたボリュームがベストマッチし、まるで最初からジオングに装着するために作られたかのようにジャストフィットするのです。当時ものキットの1/144のジオングは当時から指摘されていたように、スカートのボリュームが足りないなど脚がない状態で見ると少し物足りないのですが、このドム脚を装着すると全体のプロポーションバランスが整い、ジオング単体だと気になったポイントがほぼ解消されてしまう…。まさにパーフェクトな仕上がりとなってしまうのです。

■改造入門としても最適!
 今では、パーフェクトジオングはMSVやMG、BB戦士といったガンプラに加え、完成品トイとして商品化されています。ですが、当時ものキットの1/144のジオングにドムの脚をつけた原初のパーフェクトジオング…、言わば“クラシックパーフェクトジオング”は自分の手で動かして作るしか手に入れる方法はありません。ここでのHOW TOでも紹介した通り、ジオングにドムの脚をつける工作はそれほど難しくなく、改造ポイントが絞られているためむしろ改造初心者の練習用としてピッタリな題材と言えます。「80%? 冗談じゃない! 現状で100%完成しています。パーフェクトですよ」と整備士としてシャアに返答できるようなジオングを、今こそ作ってみてくださいね♪

■塗装レシピ
 塗装は基本的にMr.カラースプレーを使用しています。
下地=Mr.フィニッシングサーフェイサー1500グレー
グレー=呉海軍工廠標準色
ブルー=タミヤスプレーブルー
グリーン=グリーン
イエロー=黄橙色
ブラック=Mr.フィニッシングサーフェイサーブラック
レッド=シャインレッド
パープル=水性ホビーカラーパープルを筆塗り
 プレミアムトップコートつや消しで全体のツヤを消した後、Mr.ウェザリングカラー マルチホワイト→マルチブラックの順番で多重ウォッシング。デカールはリアルタイプドム、各部のラインはハセガワフィニッシュシートのレッドフィニッシュ、ハゲチョロはタミヤエナメルのクロームシルバー。当時の模型コンテストでよく見られた、「腕自慢の小学生がちょっとやりすぎた」ような時代感を意識して激しめに描き込んでいます(笑)!

BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット ジオング+ 1/100スケール プラスチックキット リアルタイプ ドム 使用

MSN-02 パーフェクトジオング

製作・文/林哲平

© 創通・サンライズ

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林哲平(ハヤシテッペイ)

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