接着剤不要！　電飾セット済み！　超お手軽なタイタニック号を電飾を強化、緻密に仕上げる！

　20世紀初頭に建設されたオリンピック級の巨大な豪華クルーズ船「タイタニック」。イギリスのサウサンプトンから大西洋を横断して、アメリカのニューヨークへ向かう処女航海中、氷山に衝突して沈没した。多くの犠牲者を出したこの海難事故をモチーフにしたレオナルド・ディカプリオ主演の映画『タイタニック』が世界的に大ヒットしたのも記憶に新しい。モンモデルより発売の本キットは接着剤が不要なスナップキット。さらに素組みでも色分けが抜群で、電飾キットもセットという船のプラキットを作ったことがない人にもオススメできるアイテムとなっている。作例は月刊ホビージャパンでも艦船モデルの製作を得意とする澤武慎一郎が担当。映画のワンシーンを意識して製作した1/700フィギュアや航海灯の増設、エッチングパーツを使ったディテールアップで緻密に仕上げている。

▲ジャック・ドーソン（レオナルド・ディカプリオ）を彷彿させる1/700フィギュアも本作例の見どころだ。船首で壮大な海に叫ぶシーンや、船尾ではヒロインのローズが船から飛び降りようとしているところにやって来たジャックも見て取れる

■はじめに
「RMSタイタニック」誰もがその名を知ってる世界一有名な豪華客船、これまでも大小さまざまなサイズで模型化されてきましたが、このほどモンモデルから1/700スケールの新製品としてリリースされました。キットは電飾ユニットがセットされたスナップキットで成型色で色分け済み、組み立てるだけで大まかな彩色が出来ており初心者にやさしい作りとなっています。艦船模型に敷居の高さを感じている方には入門編として製作してみるのもお勧めです。とはいえせっかくの新キット、ここはスナップキットといえども手を抜かずアレコレ手を加えてグレードアップしてみます。

■光漏れ対策と塗装
　まず船体の作りで唸らされるのは船体のモールドと分割。1/700スケールとしてはやや過剰な外板表現ですが、模型映えは最高です。喫水ラインでぴったり合わさる分割はさすが21世紀の金型技術と感心します。まずは電飾のための光漏れ対策を施します。パーツの裏側、特に白いパーツの内側にサーフェイサーを吹き、次いで黒を吹きます。パーツを光に照らして透けなければ光止め完了です。せっかくの色分け分割なのでまずはざっと塗装します。艦底はマルーンと艦底色を1対1で混色、船体はツヤ消しの黒、上構は白、甲板はタンで塗ります。木甲板はエナメル塗料のサンドやレッドブラウンで調子をつけ、溶剤でぼかして木の風合いを出します。ここからがちょっと大変ですが、筆で色分けできていない部分を塗り分けていきます。それが済んだら次は電飾工事です。

■電飾
　このキットにはタッチセンサースイッチがついた電飾ユニットが付属します。今回はこれに航海灯LEDを2灯増やします。並列に回路を増設し、1灯につき1個定電流ダイオード（抵抗）を噛ませています。そのまま増設すると過電流になるようで、チップLEDのハンダが溶けて外れます。抵抗は必ず入れましょう。金型の関係で艦橋、後部艦橋、一部舷側の光が抜けていなかったので穴をあけて光るようにしました。光を遮る内部材は必要に応じてカットしています。

■組み立て
　はめ込みが少し硬いのでしっかり挿すのはもちろんですが、可能ならば流し込み接着剤などで接着するといいでしょう。所々隙間が開くところがあるので洗濯バサミ等々でクランプして密着させます。エッチングは入手が容易なトムスモデルエッチング2種を使います。説明書が英語でほとんど図解が無いためネットで調べながらの使用になりました。だいたい合ってると思いますが間違えていたらごめんなさい…。またこのキットには旗竿が付いていませんので艦尾に0.3mm真鍮線で追加しています。張り線はすべて伸ばしランナーを使用し、フィギュアはピットロードの水兵を使いました。1921年当時の乗員・乗客ですのでそう派手な装いではなく白黒、茶、ベージュといった感じです。張り線・エッチングの取り付けはすべてGボンドクリアPPをVシンナーで希釈した自作のセメントで行っています。最後にツヤ加減をフラットクリアーで整えて完成です。

モンモデル 1/700スケール プラスチックキット

豪華客船 タイタニック号

製作・文／澤武慎一郎

豪華客船 タイタニック号
●発売元／モンモデル●12100円、発売中●1/700、約38.4cm●プラキット