もうすぐ発売のタミヤ「イギリス巡航戦車 コメット」を山田卓司がヴィネットとともに製作!
2022.11.07イギリス巡航戦車 コメット【タミヤ 1/35】 月刊ホビージャパン2022年12月号(10月25日発売)
今回はいよいよ2022年11月12日に発売となるタミヤの新作キット、イギリス巡航戦車コメットを山田卓司がキットレビュー。強力な77mm砲を装備した近代的なスタイリングを山田氏によるヴィネットとともにお楽しみいただこう。
タミヤよりリリースされる「イギリス巡航戦車コメット」。大戦終結間際での登場のため、目立った戦果はありませんが、イギリス軍巡航戦車の集大成としてバランスの取れたスタイリングが魅力の戦車です。
実車は共用パーツが多く(約40%)使われているため、クロムウェルとよく似た車体構成ですがキットではもちろん、すべて新規開発された内容です。
キットはタミヤ定番の高精度、シャープなモールド、組み立てやすさといった内容でいつもながら安心感があります。私はプラモデルをじっくり味わいながら楽しむことを旨としているため、特に急いで作るわけではないのですが、三日程度でほぼ組み上がってしまいました。
サイドフェンダーが有りますから後から足周りを組み込むことは困難なため、汚し塗装を含めて履帯および転輪、車体下部側面を仕上げた後に車体上部の組み立てをしています。演習中の戦車やイベントなどに出てくる実動車の映像を見る限り、少し走行するだけで土や泥で凄く汚れています。足周りの汚し塗装は多少やり過ぎても構わないと思うので、ピグメントやウェザリングカラーに石膏を混ぜたりして泥汚れをコッテリと施しました。戦場に姿を現した時期も短期間なので、車体上部のほうはチッピングや錆などダメージ表現はやめて控え目な汚し塗装のみに留めています。
戦闘室前面に取り付けられる機銃は向きを整えるための出っ張りを削って製作。戦場写真を見ると、ほとんどのコメットが車体前面機銃が斜めに回転させた状態にされています。これは内部に居る乗員にとって機銃の銃床部分が邪魔で避けているのだと思われます。
砲塔左側に装備されたサーチライトは通常は後ろ向きなのですが、根元で一度切断して前向きに付け直しました。黒染めした真鍮線を使ってライトコードも追加しています。ライト内側の鏡面はガンダムマーカーのメッキシルバーを使用。
米軍車両ほどではありませんが、機関室上部や車体前部には装備品を載せている例もよく見かけますので、イタレリとタミヤのアクセサリーセットから荷物を選んで載せています。シート状のものはエポパテを薄く延ばして再現。砲塔側面の予備履帯の所に取り付ける指示のある雑のうもストラップをエポパテで追加。
乗員二体(半身像)は戦場に登場した頃の季節に合わせたチャーチル戦車以来のオーバースーツ姿。彼らのヘッドホン、マイクにはミシン糸を使ってコードを、双眼鏡には細切りマスキングテープを使ってストラップを付けています。
さて、ヴィネットに良さそうな舞台は何か良い所はないかな? と戦場写真を見ていると、市街地でコメットに道を譲るオジサンの画像が気になりました。そこからイメージを膨らませてドイツ国内の街を進軍するコメットと、それを不安げに見送る老婆の図としました。建物は懐かしのバーリンデンの石膏製ストラクチャー。床は木材料を組み合わせて製作。表面を塗装した後に部分的に破損させて素材の木材の色を活用しています。窓枠&窓はプラ棒製。
老婆や家具、小物はウクライナのメーカー、ミニアートより。同社も昔はモールドも甘くイマイチな印象でしたが、現在はシャープで素晴らしい内容です。現在は戦争のため、入荷が滞っているのが残念です。老婆は市民セットの中からのチョイスですが、こちらもモールドも表情も申し分ないクオリティです。路面はグリーンスタッフワールドのローリングピンを使いました。石粉粘土を拡げてから、このピンを転がすだけで手間のかかる石畳の路面が出来上がります。瓦礫の中のレンガやブロックはストックしていた古い製品を使いましたが、こちらも現在はグリーンスタッフワールドなど数社から製品がリリースされています。
タミヤ 1/35スケール プラスチックキット
イギリス巡航戦車 コメット
製作・文/山田卓司
イギリス巡航戦車 コメット
●発売元/タミヤ●4730円、11月12日予定●1/35、約21.9cm●プラキット