ヤスリがけのゴールはアナタ次第
普通にガンプラを組み立てるだけならヤスリはいらないかもしれません。でも、ほんの少しでもヤスリで処理を施したパーツは見違えるほどに変身してくれます。これからステップアップし、パーツを整えたり形状を変更したりしていくには避けては通れないのがヤスリがけです。
ここでは「削る・磨く」をテーマにヤスリに焦点を当て、ヤスリの種類による特性やその使用方法を解説します。
ヤスリの種類と特徴を知ろう
はじめに、ヤスリの基本中の基本で「番手」のお話をしましょう。ヤスリには必ず「番手」と呼ばれる番号があります。「#400」などで表されますが、番号が小さいほど粗く、大きくなるほど細かくなります。基本的には番手の小さいものから大きいものという順序で使用します。
ガンプラ製作で使用するヤスリには大きく分けて三種類のヤスリがあります。ここでは(1)金属ヤスリ、(2)紙ヤスリ、(3)スポンジヤスリと分類します。他にもフィルムヤスリや液体ヤスリ等がありますが、お気楽モデリングでは使わないので今回は割愛します。
●金属ヤスリ
●紙ヤスリ(耐水ペーパー)
●スポンジヤスリ
ヤスリの基本的な使い方
紙ヤスリは「いいもの」を使ってくださいね。なかでも模型用として発売されているものは耐久性と品質が圧倒的に優れています。研磨剤の砥粒が均一なので予期しない「変な傷」が付きにくく、失敗が少なくなるので後処理が楽になりますよ。
当て木の工夫で効率アップ
ガンプラ製作で一番多用するのはやはり紙ヤスリでしょう。しかし、ガンプラにはさまざまな形状があるので「紙」のまま使用すると、思い通りに削ったり磨いたり出来ないこともあります。そんなときは「当て木」を工夫してみましょう。ここでは私が普段使用している当て木と、私が愛用してる各模型ツールメーカーさんから発売中の紙ヤスリを紹介していきます。
●ナンバーセブン
▲ホームセンターで買ってきたウッドサインの「7」に耐水ペーパーを貼り付けたもの。平面だけでなく、凹曲面・凸曲面の研磨時に大活躍です
●三角積み木と三角プラ棒に耐水ペーパーを貼り付けたもの
▲角度が必要なときに便利
●ホビージャパンモデラーズ ヤスリプレート
▲スティック状のスポンジを耐水ペーパーでサンド。絶妙のしなやかさで、平面から曲面までオールマイティに使えます。
●スジボリ堂 木の板に貼り付けたヤスリ 面出しヤスリ
▲平面の研磨やエッジ出しに最適のヤスリです。薄くて丈夫なので、小さく切り出せば細かい箇所の研磨にも重宝します
●ゴッドハンド 神ヤス
▲スポンジに耐水ペーパーが貼り付けられているのですが、このスポンジが絶妙な硬さと弾力なので、持ちやすく研磨しやすいのです。今、一番多用しています
ヤスリがけを行うと、必ず出てくるのが「削りカス」! そのまま放置していると当然のことながら塗装に影響しますのでパーツからきれいに除去しないといけません。超音波洗浄機や水道水で一個ずつ洗うのも良いですが、手軽に使えるのが100円ショップなどで売っている「耐震ジェルマット」。ネバネバした面をパーツに押し付けると簡単に削りカスが取れますよ。しかも汚れても洗えば再利用も可能です。
やってみよう! パーティングラインを消す
ガンプラに限らず、プラキットには「パーティングライン」というものが存在します。せっかく頑張って組み上げたモビルスーツも、パーティングラインが目立ってしまうと少し萎えてしまうのですよね…。他記事の『ワンランクアップ!ガンプラ製作のナイフ活用例【お気楽ガンプラテクニック 2022】』でも触れましたが、ここではヤスリを使ってパーティングラインを消してみましょう。
■面倒だけど効果はバツグン、ヤスリと仲良くなろう!
ヤスリが無くてもガンプラは作れます。事実、私が時短・お気楽汚しで製作する際は、ほとんどヤスリがけしません。でも、ヤスリがけによる効果はご覧の通り絶大で、パーツの品質が一気に向上します。今回あまり紹介しませんでしたが、エッジを出すだけでもガンプラの精度が上がったように見えます。ただ、ヤスリがけのゴールはありません。どこまでの状態を「良し」とするかは、作者ひとりひとりで異なるもの。まずはパーティングラインを消す! ことを目的にしてもイイでしょうし、「とゅりゅんとゅりゅん」にするのを目的にしてもイイのです。自分に合ったヤスリと出逢い、自分に合った仕上げを探すのもレベルアップの一歩だと思いますよ。
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