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ここではエアブラシによる塗装法の中でももっともオーソドックスな手法である、グラデーション塗装による陰影を強調した立体表現を紹介していこう。基本的には濃い色を下地としてベタ塗りし、その上から薄い色をグラデーション塗装していく、という手法だ。缶スプレーではできない繊細な諧調表現をお楽しみいただきたい。
解説/木村 学(ホビージャパン)
■陰影的立体表現の代表といえばMAX塗り
陰影を強調する塗装表現でもっともポピュラーなのは、90年〜00年代前半の模型塗装シーンを席巻した「MAX塗り」でしょう。黒に近い下地色の上から薄く溶いた塗料を、エッジを残すように面の中央部に塗り重ねていき、陰影を付けていくこの手法は、より立体感が強調されるとともに、暗い下地色による重量感も得られる一石二鳥なグラデーション塗装法だったのです。
サーフェイサー吹き
パーツの表面処理が済んだら、サーフェイサーをパーツ全体に吹き付けキズや処理のし残しがないかチェックしておきます。
外装のグラデーション塗装/ホワイト
まずは一番塗装面積の多い白い部分から塗っていきましょう。
▲まずは下地としてグレーを吹き付けます。濃過ぎず薄過ぎず、また青味や赤味の少ないプレーンなグレーとして、ガンダムカラーMSグレージオン系を選択しました
▲ホワイトは半ツヤで少しグレーが入った隠蔽力の強いMSホワイトを選択。まずは表面のディテールのない部分を中心に吹き付けていき、少しずつ陰影を薄める要領でコートしていきます。側面や裏面もエッジを残しつつ吹き付け、ある程度吹き終わったら、最後にふわっと全体に塗料を吹き付け陰影を軽くなじませたら終了です
▲同じ要領でスネパーツも塗ってみましょう。面の中央部、ディテールのない部分を中心にホワイトを吹き付けていき、最後に全体的にふわっと上掛けします。最後のこの工程が陰影を付けながらも、どぎつくなく、より自然な状態のグラデーションになじませる秘訣です
外装のグラデーション/ブルー
次にブルーのグラデーション塗装を行ってみましょう。ホワイトに比べて濃い色なのでそれほど陰影は付きませんが、立体感を強調するには必要な部分です。
▲まずは下地を塗ります。上掛けする色となるアイアンブルーにウイノーブラックを足した紺色を満遍なく吹き付けます
▲次にアイアンブルーをエッジを残すように面の中心に吹き付ければ終了です。もう少し陰影を強調したければ、アイアンブルーに少しホワイトを足すのもいいかもしれません
ゴールドの下地塗装について
今回、黄色い部分をゴールドで仕上げますが、塗料はGXメタルイエローで、より黄色に近い色合いにしたいと思います。
マスキングの順番は大事
エアブラシ塗装においては、マスキングの順番は大事な選択事項になります。ここでは太モモパーツでその手順を解説します。
▲ビャクチのハンドは第一関節の外装がホワイト。ここはジャーマングレーを全体に塗ってからマスキングし、ホワイトを吹き付けて塗り分けている
面の広さやほどよいエッジ感など、エアブラシでのグラデーション塗装にはピッタリの題材だと思い、HGビャクチを使用させていただきましたが、組んでみてプロダクツとしての完成度、カッコよさに驚きます。BANDAI SPIRITS ホビーディビジョンの技術の粋が結集した、現時点での最高レベルのプラモデルであることは間違いないでしょう。ロボプラモ好きの読者の皆さんにはぜひ組んでいただきたいキットです。
さて、キットにはほとんど合わせ目が存在しません。一部パーティングラインも存在しますが、細くて薄いので、軽くデザインナイフのカンナ掛けでけがいてやれば目立たなくなります。ゲート跡もなるべく細く、目立たない箇所に置かれ、ややもすればゲート跡の処理を忘れてしまうほどです(笑)。
マスキングで塗り分ける箇所もありますが、直線的な箇所が多く、それほどストレスなく塗り分けることができました。
BANDAI SPIRITS 1/72スケール プラスチックキット “ハイグレード”
メイレスビャクチ
製作・文/木村 学
HG メイレスビャクチ
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部●2640円、発売中●1/72、約14cm●プラキット
©2021 SUNRISE BEYOND INC.