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攻撃ヘリの代名詞。AH-1S コブラを解説【いまさら聞けないすごいヤツ】

2026.09.10

いまさら聞けないすごいヤツ!!/陸上自衛隊 AH-1S コブラ●宮永忠将、大森記詩 月刊ホビージャパン2026年10月号(8月25日発売)

 陸上自衛隊 
 AH-1S コブラ 

イラスト/大森記詩

 「名前は知っているけどどんなものなんだろう?」「いまさら聞くのもはずかしいなぁ……」なんて思ってしまう有名な飛行機や戦車、車などのモチーフをサクッと読める解説とイラスト、オススメのプラモとともにご紹介する本連載。今回は攻撃ヘリの代名詞とも言える「AH-1S コブラ」をご紹介します。


AH-1S

全高/4.19m
全長/16.18m 
最高速度/約265km/h
航続距離/約520km


航空学校 霞ヶ浦駐屯地

航空自衛隊 AH-1S コブラ 側面
AH-1S コブラ メインローター
航空自衛隊 AH-1S コブラ 上部
航空自衛隊 AH-1S コブラ 正面

映画『エアーウルフ』(1984年)


 傑作汎用ヘリのUH-1を攻撃ヘリに改造したのがAH-1Sコブラということになる。そして同じくベル社のビジネス用ヘリ、ベル222Aを原機として生み出されたのが「エアーウルフ」だ。与圧装置付きで高度2万メートルに到達し、メインローターを回すターボシャフトエンジンとは別に、ターボジェットエンジンまで搭載する、世界で唯一の超音速攻撃ヘリという優れモノ。と、ここまで書いて、実はドラマの架空機なんだけど、80年代のミリタリー少年は、ほぼ例外なくこの「エアーウルフ」に夢中だった。原機の素性が良いので、ラインがとても美しく、今こそ見直されるべき架空の攻撃ヘリだ。


AH-1S コブラ

解説/宮永忠将

第4対戦車ヘリコプター隊(現 第111飛行隊)木更津駐屯地

航空自衛隊 AH-1S コブラ 第4対戦車ヘリコプター隊(現 第111飛行隊)木更津駐屯地 側面

 ベトナム戦争は「ヘリコプターの戦争」と言われたように、UH-1ヒューイが戦場では不可欠な存在となり、大量生産された。当初の役割は兵員輸送であったが、次第に機銃やロケット砲を追加装備してガンシップのように使われることとなる。
 だけどこれだと重量が増加し過ぎて機動性が鈍ってしまい、反撃で損害が続出すると、専用設計の攻撃ヘリコプターが求められるようになる。これを解決するために、ベル・ヘリコプター社が1965年に開発したのがAH-1Gだ。機体の幅を極限まで絞り込んで、乗員をタンデム配置にすることで、機体の横幅は99cmと非常にスリムになっていて、正面からの被弾面積をかなり減らすのに成功している。UH-1と同じパワープラントを使用しているのに、丸くてコロコロした愛らしさが消えて、シュッとした獰猛な姿に化けたことから、ニックネームは「コブラ」となった。これがベトナム戦争に投入されると、理想的な火力プラットフォームとして大活躍する。
 この傑作攻撃ヘリを、ソ連との戦争を見据えて対戦車戦闘に特化させたのが、AH-1Sという機体で、こちらもコブラと呼ばれる。ヨーロッパの平野部で、ソ連軍の大規模な戦車部隊を迎え撃つために、射程約4kmのBGM-71 TOW対戦車ミサイルと関連の光学装置、照準器を追加搭載したのがその特徴。重量増加による運動性低下は、エンジンの強化で補っている。そして敵戦車部隊から安全な距離を保ちながら、ミサイルのアウトレンジ攻撃を繰り返して消耗させようとの狙いがはまり、冷戦期の西側陣営の標準的対戦車攻撃ヘリとなった。

 日本でも攻撃ヘリの代名詞に 

 ソ連の大戦車部隊を恐れていたのは、陸上自衛隊も同じ。特に北海道を想定した戦車戦では、高性能な対戦車攻撃ヘリが不可欠と判断して、まずはAH-1Sを2機購入して検討を重ねた。そして抜群の性能に惚れ込み、1982年から、富士重工業(現SUBARU)によるライセンス生産が決まったのである。エンジンは、川崎重工業がT53-K-703ターボシャフトを国内生産、整備することになった。
 陸自の導入数は約90機で、教育部隊を別にすると、1986年に帯広の第1対戦車ヘリコプター隊に配備されたのを皮切りに、八戸、目達原、木更津、明野の各対戦車ヘリコプター隊に順次配備された。冷戦期には各方面隊直轄の対機甲航空火力として期待され、北日本を重点としながらも、全国規模で展開したのである。
 もっとも、現在の陸自では既存の攻撃ヘリ部隊を、多用途/攻撃用UAVや偵察用UAVなどの無人機に置き換えることを決めている。実はAH-1Sヒューイコブラの後継攻撃ヘリ計画が、自衛隊ではごたついていた。そして、ウクライナ戦争でドローンが飛躍的に進歩している一方で、その戦場では攻撃ヘリの存在感が無くなっていることが判明。このトレンドが、陸自のヘリ調達計画を根本から変えてしまったのだ。時期は未定ながらも、そう遠くない未来、自衛隊から攻撃ヘリが消えてしまうのは確実なところ。でも、コブラがいない日本の空は、少しさみしい。


 ハセガワから発売されている「AH-1S コブラチョッパー」は、コブラを初めて作ってみるのにもってこいのエントリーキット。成型色もオリーブドラブなので、まず組むだけでも満足感ある仕上がりとなりま す。

ハセガワ 航空自衛隊 AH-1S コブラ チョッパー パッケージ
ハセガワ 航空自衛隊 AH-1S コブラ チョッパー ランナー
▲成型色がオリーブドラブ。組み立てるだけでも雰囲気を味わえる。パーツ数もコンパクトに抑えられている
ハセガワ 航空自衛隊 AH-1S コブラ チョッパー 胴体ランナー
▲胴体のディテールも見どころ。パネルラインやリベットのメリハリある仕上がりを楽しめる
ハセガワ 航空自衛隊 AH-1S コブラ チョッパー メインローター
▲メインローターは1パーツ。細かな組み立てを必要としない構成 
ハセガワ 航空自衛隊 AH-1S コブラ チョッパー パイロット2体
▲ パイロットは2体付属
ハセガワ 航空自衛隊 AH-1S コブラ チョッパー 素組み
▲およそ2時間で組み上がる。コンパクトな胴体幅からくるシャープなシルエットがとてもかっこいい

陸上自衛隊 AH-1S コブラチョッパー

●発売元/ハセガワ●1650円、発売中●1/72、約19.5cm●プラキット


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