HOME記事特撮『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』劇伴作曲家・園田健太郎氏&奈良悠樹氏 対談インタビュー!ふたりの熱い想いが詰まった音楽制作の裏側を語り合う!

『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』劇伴作曲家・園田健太郎氏&奈良悠樹氏 対談インタビュー!ふたりの熱い想いが詰まった音楽制作の裏側を語り合う!

2026.07.12

宇宙船 vol.193(7月1日発売)

園田健太郎&奈良悠樹の2人体制で挑んだ『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』の劇伴音楽。挿入歌とBGMの連動、監督注文のブレイク構成、蒸着やギャバリオンブレードのテーマへの拘り、そしてレジェンドへのリスペクト。2人の熱い想いが詰まった音楽制作の裏側を語り合っていただきました。

園田健太郎

1982年2月14日生まれ。熊本県出身。シンガーソングライターとして活動を経て、2009年よりフリーランスの作詞家、作曲家、編曲家として活動開始。J-POPやアニソンなど多数の楽曲提供がある他、東映特撮では『騎士竜戦隊リュウソウジャー』、『機界戦隊ゼンカイジャー』、『王様戦隊キングオージャー』の主題歌作曲で知られている。

奈良悠樹

1988年2月17日生まれ。神奈川県出身。高校在学中にバンド活動と共に作曲活動を開始、2009年にバークリー音楽大学に入学して作編曲やDTMを学ぶ。2011年に同大学を卒業して帰国。現在は、作編曲、アーティストのツアーサポート、レコーディング等、様々なジャンルで活動中。『刑事7人』(※単独ではSeaon5〜)など劇伴音楽も手掛ける。


園田僕はこれまで歌は多く書いてきたんですけど、BGMは今回の『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』が初めてになります。BGMは、以前から挑戦したいと思っていたのですが、さすがにひとりでやり切れるか不安もあり、信頼している奈良くんに声をかけました。
奈良園田さんとは、かれこれ10年以上のお付き合いです。園田さんの曲に僕がギターを入れたり、逆に僕が書いた曲に園田さんがコーラスを入れてくださったこともありました。
園田奈良君は、劇伴の経験も豊富だし、オールラウンダーで、トータルバランスの優れた作家さんなんですよ。

園田当初は『ブレードランナー』のような近未来的なサウンドに寄せるつもりでしたが、割と現代に即した内容になることが分かりました。そこで「近未来感」+「刑事物」という要素をいかにバランスよく落とし込むかを考えました。
奈良作品が「超宇宙刑事」なので、宇宙という壮大なスケール感と近未来感の表現は不可欠です。そこでシンセサイザーなどの現代的な音を取り入れつつ、時の雰囲気を踏襲したブラスサウンドを混ぜていく方向性が見えてきました。
園田『ギャバン』の音楽はレジェンドの渡辺宙明先生だったので、最初はすさまじいプレッシャーを感じましたね。
奈良宙明先生の音楽は当時からものすごく印象的で、今でも覚えています。ただ、良い意味で影響を受けつつも真似をしても絶対に敵わない。だからこそ『ギャバン インフィニティ』では現代ならではの「令和のサウンド」として別のアプローチを目指したつもりです。

園田監督の福沢博文さんはアクション出身だけあって「動きの中で音楽が入る形にしたい」とリクエストがありました。つまり、音楽がダラダラと続くのではなく、どこかでバッと切れて誰かのセリフが入るタイミングでまた曲が動き出すような仕掛けがほしいと。それでいくつかの象徴的な曲では、サビの直前にブレイク(※音が完全になくなる瞬間)を入れる構成を意識していて、これがひとつ大きなコンセプトになりました。

園田これは音楽ディレクターの穴井健太郎さん(日本コロムビア)のアイデアです。僕がBGMは初ということもあり「まずはキャラクターのテーマソングを書いて、そこから発想を広げて、BGMに落とし込んでいく方がやりやすいのでは?」とご提案いただき、まずは歌ものの制作に着手しました。
奈良ギャバン・インフィニティのテーマは打ち合わせから1週間後くらいにはもうデモができていましたね。
園田実は、劇伴を含めて最初に作ったのが『What’s a Hero』なんです。劇伴にする上では元のメロディがあったので、やりやすかった反面、自分の得意とする「ヒロイックで熱くなる要素」をマックスでぶつけてみて、果たしてOKが出るかは不安でした。結果的に穴井さんから「これでいきましょう!」とお返事をいただき、何回か修正を重ねつつ、メインテーマである「赤いギャバン (M-09)」などのBGMに発展させていきました。自分としても「この方向性ならいける」と自信がついた忘れられない曲です。
奈良「これぞギャバン・インフィニティ!」という象徴的な曲になったと思います。メロディもすごくキャッチーで覚えやすく、バリエーションも作りやすかったですね。

奈良個人的には、口笛バージョン(「お天道様を、怒らせンな (M-12)」)が、とてもお気に入りです。当時のニュアンスも踏まえつつ、悲しみの中に眠る熱い思いを表現したくて、アコースティックギターと口笛のシンプルな編成にしました。実はこの口笛、レコーディング当日にスタジオで「口笛オーディション」をしたんですよ。
園田最初、レコーディングを終えたブラスの方にお願いするつもりでしたが、激しい曲が多いこともあり、皆さんの唇が限界を迎えていて……。
奈良それで、穴井さんも交えて、相談した結果、作曲者である園田さんが演奏することに。
園田広いスタジオの真ん中にポツンとマイクが置かれて、そこで僕が1人で寂しく口笛を吹くという、初めての「自作自演」体験をしました(笑)。もしかしたら、震えて聴こえるかも?(一同笑)。

園田ギャバン・ブシドー(M-17~18)、ギャバン・ルミナス(M-19~21)も、それぞれ、挿入歌「Bushido」、「Chase your way!」からBGMにしましたが、唯一ライヤだけは制作の都合上、劇伴を先に作りました。もちろん歌(※「凜」)も決まっていたので、「このフレーズを歌のメロディとして使おう」と逆算しながら作曲していて、これはこれで面白いアプローチでしたね。

園田ギャバン・インフィニティの蒸着のテーマについては、穴井さんからの「イントロとアウトロをもう少し赤くギラつくメタリックな感じにしてほしい」とのアドバイスを反映させました。難しかったのがライヤとブシドー。どちらも和風テイストなので、キャッチーに聴かせる楽器が限られてきてしまうんですよ。最終的にブシドーを尺八、ライヤを三味線に割り振って差別化を図りました。また、ルミナスに関しては名前の通り「キラキラ輝いている感」にレトロフューチャーなテイストをプラスして個性を形作ってみました。
奈良蒸着のテーマはギターと鍵盤を入れた別バージョンもあり、ギターは自分が弾かせていただきました。今回、全てではないですけど、自分の担当曲を中心にギターも弾いています。

園田普段の歌物なら歌詞とメロディの合わせ技で表現できますがインストとしてメロディ単体を生かし、どう展開させていくかすごく考えました。当初は刑事物らしいジャジーなテイストを狙っていたのですが、銀河連邦警察の制服を見た際の印象から「宇宙戦艦に乗っているスケール感」を意識したアレンジにしました。
奈良最初期に作ったのがM-03や「激闘!コスモギャバリオンGC-R (M-15)」、先ほどお話した蒸着のテーマ(M-16a~d)、「必殺!ギャバリオンブレード (M-17)」です。この辺りのサウンドを指標として最初にガチッとイメージを固めました。
園田そうそう、奈良君が最初に書いたのがM-15だったよね。
奈良これは福沢監督から「クワイアを入れて神秘的にはじめたい」とのイメージをいただいて書いた曲です。また、イントロをぶつ切りにしても使いやすいセクション構成にしたり、先ほどお話しした「ブレイク」も意識して作りました。

園田オリジナルの「レーザーブレードのテーマ」が16分音符の刻みがずっと鳴り響く印象的な楽曲で、その疾走感を踏襲しつつ、現代風にブラッシュアップしたらどうなるかを考えて作曲しました。
奈良当時のリスペクトを残しつつ、令和バージョンに見事に落とし込まれているなと感じます。レコーディングでは16分音符をひたすら刻み続けるストリングスのメンバーが大変そうでした(笑)。

奈良園田さんが作った主要なテーマ曲が、メロディの立つ王道な特撮感を持っているので、サスペンス曲に関してはメロディより、しっかりとシーンの空気感や雰囲気に寄り添う方向性を意識しました。
園田サスペンス曲は、映像の後ろで流れた時の説得力がすごい。毎週のオンエアで、奈良くんの曲が流れる度に感動しています。

園田僕は、奈良君が作った「二刀流の剣士 (M-41)」がすごく好きです。
奈良YouTubeの特報(※「超密着 ー始動篇ー」編)でも使われた曲で、ドラマとリズムだけで構成しました。僕がある程度のデモを作り、ドラムスの髭白健さんにスタジオで2回叩いてもらい、重ねています。
園田そう、ダブルドラムなんだよね。
奈良しかも全く同じフレーズではなく、2人で掛け合っているようなイメージで、さらに様々なパーカションを足しています。コードやメロディが一切ないリズムだけの曲ですが、戦いのシーンを印象的に引き立ててくれて、自分としても面白い仕上がりになったと思います。
園田これも奈良君が作ってくれた曲ですが、「捜査開始 (M-13)」も好きですね。バックで流れているギターのリフがカッコいい。
奈良それもガチガチにシリアスにするのではなく、良い意味での「緩さ」やコミカルさもありつつ、前に前に進んでいくような小気味よさを意識した曲ですね。
園田自分が作ったアクション曲では「悪意にトドメを (M-34)」を挙げておきます。これは何かのスピーチ音声のサンプルをぶった切って歪ませて、効果音的なノイズとして使ってみました。セリフの邪魔にならないように配慮しつつ「こういうギミックを入れてみたらどうなるか?」という、僕の思い付きと遊び心が詰まっています。

奈良自分の担当分では、「感情のない奴にエモルギーはつかない (M-56)」、「全宇宙に身を捧げる (M-60)」を是非聴いてほしいです。
園田「多元宇宙の平和を守るため (M-55)」は、ピアノを弾きながら、さらっと迷わずに作ることができた、自分としては珍しい曲です。普段の歌物でも、僕はピアノでトップノート(※一番高い音)をなぞりながらメロディを作っていく癖があるのですが、これもその延長線上で作りました。平和が戻ってきたけど、一度起きてしまった悲しい出来事は消えない……そんな切ない後味を表現したつもりです。
奈良こうした心情系の曲も、2人の得意分野を生かしてスムーズにできたと思います。
園田日常系の「資料課の仲間たち (M-51)」、「喜びのパワー (M-52)」、「地球人と異星人の捜査官コンビ (M-53)」は、同じメロディのバリエーション違いで、僕の趣味全開で作らせてもらいました。特にM-51は、ずっとやってみたかった「セカンドライン(※ニューオーリンズ発祥の独特な跳ねるリズム)」を取り入れています。劇伴を通じて、子供たちに「世の中には色んな面白い音楽のジャンルがあるんだな」と興味を持ってもらえたら嬉しいですね。

園田劇伴を聴きながら、劇中の熱い名シーンを脳内で再生して楽しんでいただくのはもちろんですが、日常生活の中でBGMを聴きながら、自分が主人公になったような気持ちになって、日々のモチベーションや活力に役立てていただければ、作曲家としては本望です。
奈良悲しくなった時は園田さんの震える口笛の練習をしてみてください(笑)。
園田(笑)。自分の曲と奈良くんの曲が混在しているので、その個性の違いも面白さに繋がっていると思いますね。
奈良お互いの強みを存分に発揮できたし、非常にバラエティ豊かでキャッチーなサントラになりました。それから、ディレクターの穴井さん自ら、全90曲分の解説を書いてくださったライナーノーツも素晴らしい出来栄えです。
園田これは必読ですね!
奈良僕らも嬉しかった。
園田普段、歌ものを書いていて、ライナーノーツが付くことはなかなかないですからね。しかもすごい熱量の文章で。
奈良是非、僕らのBGMを聴きつつ、ライナーノーツを読みながら、より深く『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』の音楽世界に浸ってみてください。


『超宇宙刑事ギャバンインフィニティ』主題歌CDの画像

May’nが歌う主題歌「LOVE IS THE STRONGEST」を収録したCD。本文で触れた 挿入歌「What’s a Hero」(歌:May’n)、「Bushido」(歌:大西洋平)、「Chase your way!」(歌:towana(fhana)、「凛」(歌:Hyuga Yamada)と全5曲のカラオケを収録。なお、挿入歌4曲は全て作詩・作編曲は園田健太郎が手掛けている。

『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』主題歌CD

発売元●日本コロムビア●2500円、発売中

園田健太郎と奈良悠樹によるサントラ。主題歌のTVサイズやインストも含め、Mナンバーも全曲収録したコンプリート盤。全90トラックでCD2枚組。本文でも触れているが、詳細な解説も読み応えがある。

『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』オリジナル・サウンドトラック

発売元●日本コロムビア●4000円、発売中

ガールズプラモスタイル #08の表紙画像

宇宙船 vol.193
『仮面ライダーゼッツ』&『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』Wヒーロー夏映画2026、新ヒーロー『ウルトラマンテオ』大特集!

●2750円(税込)

掲載号のご購入はこちら

▼ 関連記事はこちら

© テレビ朝日・東映AG・東映

この記事が気に入ったらシェアしてください!

オススメの書籍

宇宙船 vol.193

ご購入はこちら

宇宙船 vol.192

ご購入はこちら

ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー特写写真集 CLAP!

ご購入はこちら
PAGE TOP
メニュー