HOME記事特撮【スペシャルインタビュー】「ビオランテ」と「デストロイア」が新たな姿に! デザイン担当・西川伸司氏に『ゴジバト』新企画について貴重デザイン画とともに語ってもらった!

【スペシャルインタビュー】「ビオランテ」と「デストロイア」が新たな姿に! デザイン担当・西川伸司氏に『ゴジバト』新企画について貴重デザイン画とともに語ってもらった!

2026.06.05

ゴジラバトルライン新企画
GODZILLA RE:BOOT MONSTERS
始動!

記念イラストB&D

西川伸司
スペシャルインタビュー

 大人気スマホ向けゲームアプリ『ゴジラバトルライン』では、歴代の東宝怪獣を「新たな姿」で誕生させる新企画を始動! 2大新怪獣のデザインを担われた西川伸司氏に、今回の取り組みについて伺った。

(聞き手・構成/中村哲(特撮ライター)、原稿協力/山田尚弘)

西川伸司
▲本インタビュー時の西川氏

西川伸司

『ゴジラVSビオランテ』(89年)より特撮班のデザインワークスを担当し、幾多の怪獣やメカ等のデザインを手掛けられた。


──『ゴジラバトルライン』(以下、『ゴジバト』)は2021年にスタートしました。このゲームのことを初めてご存知になったのは、いつ頃のことになりますか?

西川 『ゴジバト』のことを知ったのは、このゲームがスタートするタイミングでその告知を見たことで、実際にプレイをしたのは、複数の怪獣イラストの執筆を東宝さんからお願いされた1周年記念の人気投票の時になりますね。基本的に絵を描く時は、調べられるだけのことは調べてから作業をするタイプの人間でしたので、このゲームもとにかく一度はやっておこうと思って始めてみました。ところがそれ以来、もうずっと毎日のようにこのゲームをやる状態になってしまいまして(笑)。デイリーミッションもウィークリーミッションも、必ず完全コンプリートすることとなりました(笑)が、なるべく課金は抑えるようにやっていますけれども。

──このゲームは、西川さんをもそんなに魅了させるものだったんですね。ちなみに1周年の時に描かれた東宝怪獣は何だったんですか?

西川 ユーザーの投票で選ばれた上位3体である、大ダコ、それからデストロイアとゴジラ(2016)の3体になります。特に『キングコング対ゴジラ』(62年)とフランケンシュタインの2部作(65~66年)に登場した昭和時代の大ダコは、実にマイナーな存在の怪獣ですが、自分の経歴からしても初めて描くことになりました(苦笑)。ゴジラ(2016)は令和ではなく平成のキャラクターなんですが、この3体の組み合わせは何というか、感覚としては昭和、平成、令和という、3世代のつながりっぽいイメージを受けました。

──毎日ゲームをやられているとのことですが、どのように楽しまれていますか?

西川 基本、自分は『ゴジバト』についてはライトなプレイヤーですので。自分なりのやり方で楽しんでいるだけですので、全然強くはないですよ。怪獣の特性を把握してという、そういう戦略の部分になるとけっこういい加減というか、雰囲気で楽しんでしまっていまして、長くやっていても上達しないというところがありますね。

──ご贔屓の怪獣は何になりますか?

西川 自分が使いやすいと思っている怪獣は鎧モスラですね。これを1匹手元に置いておくと、けっこう突破口の役目を果たしてくれますから。さっきも言いましたが、デイリーミッションをクリアしていますので、毎回出て来るものを満遍なく振り分けて使っています。それから、自分がデザインを手掛けた怪獣だけの軍団の組み合わせを作っていまして、最近ようやく12体が埋まるようになりました。一応、『ゴジラVSキングギドラ』(91年)のドラットも入れているんですが。どうやっても強くならないんですけども、使い所によってはとっても便利な怪獣なんですよ(笑)。

──さて、今回の「GODZILLA RE:BOOT MONSTERS by GODZILLA BATTLE LINE」についてお話をお聞きします。最初にお話を聞かれたのはいつくらいのことになりますか?

西川 それは2025年の11月3日に開催された「ゴジラ・フェス」の時ですね。その際に東宝の方からご連絡をいただきました。

──その内容はどのようなものだったのですか?

西川 『ゴジバト』の怪獣のコマを増やしたいというか、これまでのゴジラ映画や東宝の特撮映画に出演した怪獣以外の新しい怪獣を登場させてみたいとのことでした。それはちょうど自分も思っていたことでもありまして。特に今の時代はやはり平成・VSシリーズのゴジラの敵怪獣の人気が根強いんですが、明らかにこれらの怪獣のバリエーションが少ないですよね。そこで、このゲームのなかだけでも新しい怪獣を創造して盛り上げていきたい。そういうことができたら、それは本当に面白いことだろうと思っていました。それで地に足が着いているというか、それなりに本物感があって「こういう怪獣はあり得たかもしれない」というイメージからスタートした感じでして、実際の打ち合わせの際に「こういう怪獣ではいかがですか?」と、こちらから数体を提案させていただきました。

──それで最終的に、ビオランテとデストロイアの2体になったんですね。

西川 そこに至るまでには東宝さんと何度かの折衝を経ることになりましたが、自分がやるからには、最初に手掛けたビオランテは外せないだろうと。それからデストロイアについては、東宝さんサイドからも『ゴジバト』の中でも実は2体くらいしか出ていない怪獣であったので、「デストロイアをリブート怪獣としてぜひとも登場させたい」との思いがありました。そうそう、今回のこの2体は、奇しくも平成・VSシリーズの最初と最後のゴジラの敵怪獣になりましたね。

──リブートをするのが、この2怪獣に決まったのはいつくらいことでしたか?

西川 確か昨年末だったと記憶しています。

──それぞれの怪獣の命名はどなたが?

西川 命名も自分がデザインを提出する際に提案させてもらいました。特に「ビオランテ・ハーベスト」はけっこう語感がよかったのか、東宝さんの社内でも「これはカッコいいですね」との反応で。そのまま使用することになりました。

──デストロイアの「超ドラゴン体」については?

西川 デストロイアは、劇中ではすべて「完全体」や「飛翔体」、「集合体」とかでしたので、そのバリエーションとの意味からストレートに「キングギドラ体」というのはちょっとなぁと思いまして。それで誰もがキングギドラと分かるような、二つ名というか肩書きである「超ドラゴン体」ということになりました。

──ここからそれぞれのデザインについてお聞きします。まずは「ビオランテ・ハーベスト」から。

西川 ビオランテのパワーアップというか別バージョンを考えた時に、映画の花獣や植獣の先の進化の形という風に考えるのか、それとも別の方向性なのかということで。新しく映画が作られるとかであれば、素直により進化した形ということになるのかもしれないんですが、ビオランテが進化していくというと、結局花獣、植獣の変化から考えてその先っていうのはよりゴジラに近づいていくということが、まあ妥当なラインになってしまいますよね。ですから初期のデザインは、脚を生やして歩くようにはしているんですけど。ですがそうすると、何かビオランテっぽさがかなり薄れてしまうというか、どんどん当たり前の怪獣になっていく感じがありまして。
 特にゲームのなかで、せっかくビオランテという特殊な体型や能力を持っている怪獣が、いわゆるゴジラ型になってしまうと、もうすでにいっぱいいるやつの1匹になってしまう懸念もありました。それでビオランテらしさを盛っていく方向で考えようかなと思いました。デザイン的には分かりやすくパワーアップだっていう。ただこの時点では、花びらを付けることは意図的に避けていたんです。

リブートビオランテ・ハーベスト
▲ビオランテ・ハーベストのフィニッシュデザイン。コンセプトは「ビオランテらしさの追求」であった

──それはどうしてですか?

西川 これは『ゴジラVSビオランテ』(89年)の準備期間に川北(紘一)監督が悩みに悩まれて。最終的に「花びらはいらない」と結論を下されたのに、それを復活させていいのかとの思いがありました。もしこれがゲームでなければ、ちょっと違う方向に考えるかも知れないんですけど。ビオランテは一見花獣が幼体で、植獣が成体みたいなイメージがあると思うんですが、そこを分断して。花獣は第1段階の成体で、植獣は第2段階の幼体と考えたら、第2段階の成体というものがあっていいんじゃないかと。そういう仮定のなかで、生籟(範義)先生が描かれた第1弾ポスターの花形態のイメージを持ってくるのは、自分のなかでちょっとした落とし所になるんじゃないかと思いました。それで体型的にはやっぱり脚があったほうが、方向としてはゴジラの進化的にはありかなと思ったんですけど、完全に四本足でのしのし歩いてしまうと(『ヤマトタケル』(1994)の)ヤマタノオロチみたいになっちゃいますよね。
 それからゴジラの要素を表面の体型に出すのではなくて、もっと内部的にゴジラの要素が強まっているという方向性で考えてみようと思いました。それで最終的に口の中に口があるという設定を思い付きまして、ビオランテの口自体を花びらに見立て、その中にもう1つの口があるという風に持っていこうと。これはけっこうゲーム的な発想の部分でもありましたし、これまでのビオランテとは違う能力を持たせるという意味でもですね。『ゴジラVSビオランテ』の劇中では、ゴジラの熱線に対してビオランテは手も足も出ませんでしたが、それを克服して一矢報わせてやりたいというところでもありまして。これについてはビオランテの生みの親としては、「お前もようやく成長を果たしたな」という感じに仕上がったかと思っています(笑)。

──引き続き、デストロイア(超ドラゴン体)のデザインについてもお聞かせください。

西川 デストロイア(超ドラゴン体)は、「デストロイアとキングギドラの合体だ!」ということで、ストレートに分かりやすい怪獣ですね。こちらは初期段階のデザインでは足を蟹足の形で描いていまして、これは羽を見てもらっても分かるように、完全体ではない飛翔体の発展系で考えていたデザインだったんです。自分の中では、ゲームの中では飛行する怪獣のつもりであったんですが、『ゴジバト』では、カイザーギドラ以外のギドラは全部飛行をしているので。こいつもたぶん飛行するのかなと思っていたんですが、そうしますと飛ぶやつばかりになっちゃいますので(笑)。それから普通の脚にしてしまうとキングギドラの要素が強過ぎてしまい、首が3本あって両翼があると、他の何をどうしようがキングギドラに見えてしまって。「デストロイアのギドラだよ~!」と言っても、何か単に顔がデストロイアなだけのギドラになってしまうような懸念もありました。と、いうことでデストロイアの要素を強くしたいと思う一方、ここまで強い者どうしを掛け合わせたのなら「ガーン!」とカッコよくしたいとの意見があり、それで複数の足が集まっている感じは出しつつも、まあ二足歩行というところに落とし込んだのが最終決定のものになります。

リブートデストロイア
▲デストロイア(超ドラゴン体)の完成デザイン。こちらのコンセプトは「デストロイア×キングギドラ」

──その他に検討された部分はございますか?

西川 デストロイアは、キングギドラと違って両翼の他に両手がありますが、そこが両怪獣の大きな違いになるところですね。これについては「ちょっとヘビーかな?」という感じがあったので、最終的には飛翔体の4枚ある羽のうちの2枚が、飛んでいる時は羽の形状に見えているのに、実は腕として機能するというような形に設定的にはしています。ifの世界として、太平洋の海底でキングギドラを取り込んだデストロイアの幼体がいるというところから発想した形になります。

──デストロイア(超ドラゴン体)の基本となった、デストロイアとキングギドラの合体は、西川さんのアイデアなんですか?

西川 ええ、そうです。ですが、あまりにも最強どうしの掛け合わせになりすぎるので、デストロイアは完全体ではなく飛翔体をベースにしたのにはそういう理由もありました。完全体のベースでやってしまうと、完全体の上位互換に見えてしまいますし、映画の怪獣である完全体を、ゲームの怪獣が上回りたくないという思いもあって、せめて対等のレベルにしたかったんです。そうなると一段階前の飛翔体をベースにキングギドラを足すというあたりのパワーバランスが、まあちょうどいいのかなと思ったというところもありますね。

──それらの変化を付けるところは、けっこう苦労された感じですか?

西川 う~ん、まあそうですね。やっぱり基本、ギドラ型の首が3本あるというのは、どうやっても上方がヘビーになりますから。

──カラーリングについてもお聞きします。

西川 色については、ちょっと「どうしようかな?」と悩んだところはありますね。キングギドラの表面の金色という要素を大きく入れるのもありなのかなとも思ったんですが。ただ両翼に金色の模様を入れてしまうと何かモスラっぽくなってしまうので、各部の爪先を金色にする程度に抑えました。

リブートデストロイア超ドラゴン体20251117
リブートデストロイア_1
リブートデストロイア_2

▲完成までに多数が描かれた、デストロイア(超ドラゴン体)のデザイン画。デストロイアの基本デザインは、当初は幼体の形態であった

──両怪獣のデザイン画の中には、それぞれの武器についても付記されていますね。

西川 一応、「ビオランテ・ハーベスト」には触手から放出する「胞子ビーム」の他、同じく触手が槍状になって敵を突き刺しますが、この槍での攻撃はけっこう強力そうな感じがします。デストロイア(超ドラゴン体)には、「トライデント・スライサー」という新しい武器の名前を書いているんですけど。これはどちらも両怪獣のデザインから想定されたものを書いているだけでして、実際にどんな武器なのかというところはゲームのなかのお話になりますね。

リブートビオランテ・ハーベスト20251117
リブートビオランテ_正面
リブートビオランテ植獣王20251119
▲完成までに検討が重ねられたことがわかる各種のデザイン画。これらの段階では、触手の先にはバラの花びらがマウントされていた

──両怪獣のデザインの仕上がり具合はいかがですか?

西川 ビオランテもデストロイアも、どちらもパーツが多いすごく複雑な形状で、バランスやボリューム感みたいなものを頭のなかで考えてやっていましたが。3Dのモデルになって動く姿を見せてもらったところ、自分が狙っていたものに仕上がっていてホッとしました。

──今回はこの2体を担当されましたが、それ以外にもやってみたい怪獣は?

西川 自分なりに思いつくものは、先にも触れましたが今回いくつか出させてもらいましたが、それらが採用されるかどうか、それから面白いアイデアが出てくるかどうかは、まだまだ自分には分からないところですけど。ただ、今回リブートした2怪獣が、『ゴジバト』のファンの方々に受け入れられて楽しんでもらえて、こういう方向性の怪獣の登場が続いていくんでしたら、自分としてもたいへんありがいことになりますね。

──今回の作業で、産みの苦しみはございましたか?

西川 実際に川北組での撮影時にも、常にいろんなアイデアを求められました。そういう意味では、いろんな方向性のアイデアを考えて提案するということ自体は慣れていたというか懐かしいというか。そういうスタイルでしたので、ベースがあって発展させていくとか、設定を詰めていくという作業は、映画のためにキャラクターを考えた時と合い通ずるものがありますから。それゆえに、非常にやりがいもあるといった感じの作業になりましたね。

──何より『ゴジバト』は、お子様のファンの方々が多いのも大きな特徴の1つですね。

西川 そういう意味ではお子様にとっては、新しいキャラクターの提供というのはとっても大事なことですよね。「ゴジラは好きだけどゲームでしょ?」と、これまでこのゲームに興味を持っていなかった人達にも「何か新しい怪獣が登場するんだ!」という、新しいフックになればいいなと思っています。

──本日はありがとうございました。

(2026年4月、東宝本社にて)

西川伸司とプロデューサー佐藤僚祐
▲『ゴジラバトルライン』のプロデューサーである佐藤僚祐氏(右)と西川氏の記念撮影。佐藤氏をはじめとする運営チームが、今回のリブートの企画を誕生させた

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