HOME記事スケールモデルハセガワ「1/48 震電」をモールド彫り直しと各所ブラッシュアップで劇中仕様に仕上げる【ゴジラ-1.0】

ハセガワ「1/48 震電」をモールド彫り直しと各所ブラッシュアップで劇中仕様に仕上げる【ゴジラ-1.0】

2024.01.04

十八試局地戦闘機 震電 J7W1【ハセガワ 1/48】 月刊ホビージャパン2024年2月号(12月25日発売)

ハセガワ「1/48 震電」をモールド彫り直しと各所ブラッシュアップで劇中仕様に仕上げる【ゴジラ-1.0】
十八試局地戦闘機 震電 J7W1 イメージカット

凸モールドを彫り直し、さらに劇中のイメージに近づける

 2023年末に発売となるハセガワ1/48スケール震電をお届けする。このキットは発売から40年選手のベテランながら、パーツの合いも素晴らしく、1/48スケールの震電の入門キットとしてもおすすめできる名作。このたび、『ゴジラ-1.0』劇中登場仕様として、新たにデカールとパッケージが一新されてのリリースとなる。作例は、凸モールドを凹モールドに彫り直し、細部も劇中登場仕様にブラッシュアップ。モールドの彫り方も解説しているので合わせて参考にされたし。

十八試局地戦闘機 震電 J7W1 正面
キャノピー アップ
コックピット内部 アップ

▲キャノピーを被せるとほとんど見えなくなってしまうが、コクピット内部には市販ディテールアップパーツのシートベルトを追加した

機首アップ
▲17試30mm機銃1型乙は右側2門をカットしドリルで開口(劇中では上2門が空きの状態)。左側は機銃をエッチングパーツに置き替えてディテールアップ
十八試局地戦闘機 震電 J7W1 背面
十八試局地戦闘機 震電 J7W1 側面
機首に重りを入れている様子
▲リアヘビーな機体のため、機首に重りを入れておくと転倒する心配もない

凹モールドを彫るためのふたつのポイント

①写真解説・凸→凹に彫り直す場合

スジ彫り1
▲凸モールドを凹モールドに彫り直すには、元々のスジ彫りをガイドに使うのがいい。力を抜いて、針先を動かしていく。あまり慎重になりすぎるとケガく速度が落ち、スジ彫りがガタついたりブレたりするので適度な速度で針先を動かすといい
スジ彫り2
▲この時、凸彫りのどちら側をケガくかがポイントになる。左の写真のようにモールドの下側をケガいていくと、垂直に交わる別モールドで針先が止まってしまうので(右写真)、スジ彫りの妨げがない側をケガいていくといい

②凸モールドを活かす場合

パーツの合わせ目
合わせ目消し処理後

▲合わせ目消しなどで凸モールドが消えてしまうことは避けられない。そんな時は…

プラ板などでガイドをあて、カッターナイフでスジ彫りのあった場所に刃を走らせる
合わせね消し処理後の部分を彫り直した後の様子
彫り直しの説明図

▲プラ板などでガイドをあて、カッターナイフでスジ彫りのあった場所に刃を走らせると、凸モールドを復活させることが可能だ。深く切れ込みを入れるほうがより高くめくれあがるので、他のモールドの状態に合わせて調整する。この後サーフェイサーを吹けば、立派な凸モールドを再生させることができる

主翼アップ

 ゴジラ特集に僕も緊急参戦となりました。僕に課せられたお題はハセガワ1/48震電です。本キットは発売から40年を経過したベテランキットですが、他社から同機のキットが発売されるまでは、唯一の1/48キットとして多くのファンに愛されてきました。僕自身も発売当時(記憶では中学二年生)大興奮して、現在まで何度も購入し製作してきました。発売から40年経過したとはいえ、コクピット内も細かく再現されていて、何よりパーツの合いも“バチビタ”で精度の高い秀作キットといえるでしょう。今回のお仕事依頼にあたり、劇中仕様として若干の変更を行いました。
 現在、某通販サイトではベストセラーを記録しているキットですが、本キットは凸モールド仕様になります。これには時代的な背景が存在しますが、凹モールドに慣れ親しんだ世代には悩みどころかもしれません。当初は凸モールドを活かした製作も考えましたが、ここは皆さんの参考にもなるよう、すべてのスジ彫りは凹モールドに彫り直しています。この彫り直しは全体のスジ彫りを削り落としてから行うのではなく、せっかくの凸モールドをガイドとして使い、ニードルなどでケガくのが有効です。それとは逆に凸モールドを活かして製作する場合、合わせ目消しなどで消えた凸彫りをどうするか悩みどころかもしれませんが、通常のカッターでスジ彫りがあった箇所に、少々深く“切り込みを入れる”ことで凸彫りを復活させることができます。どちらの作業法についても写真で解説していますので、そちらを参考にしてください。コクピット内はシートベルトを追加。また機首の30mm機銃は左側の銃身が別パーツ、右側はモ-ルド化されていますので(これは40年前からの謎といわれている部位です・笑)、右側のモールドを丁寧に削り開口、本編では機銃の空間に爆弾を詰めているので、こちらの銃身は取り付けていません。対して左側の銃身は黒染めの挽き物に交換してあります。
 塗装についてはオーソドックスな配色ですが、全体がムラになるよう上面・下面ともに複数色を吹き重ねています。最後に戦後放置されていたとの設定なので、バフ系塗料とアルコールで部分的にホコリを積もらせています。エアキットにAFV汚しを施したのは人生初の体験でした(笑)。今回のゴジラ特集、あんな人やこんな人がきっとすごい作例を作っているんだろうなぁ…と想像しながら月刊ホビージャパンの発売を楽しみに待つことにします。

ハセガワ 1/48スケール プラスチックキット 九州 J7W1 局地戦闘機 震電『ゴジラ-1.0』劇中登場仕様 使用

十八試局地戦闘機 震電 J7W1

製作・文/桜井信之

九州 J7W1 局地戦闘機 震電『ゴジラ-1.0』劇中登場仕様
●発売元/ハセガワ●3300円、12月27日予定●1/48、約19.65cm●プラキット

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桜井信之(サクライノブユキ)

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