HOME記事工具・マテリアル“模型向け”に作られた2種のヒートツールが登場!使い方を解説【月刊工具】

“模型向け”に作られた2種のヒートツールが登場!使い方を解説【月刊工具】

2023.12.10

月刊工具 模型の入り口はいつの時代も工具から。 月刊ホビージャパン2024年1月号(11月25日発売)

“HEAT”と“HOT” 似てるようで違う2種のヒートツール登場!

ヒートアイゼン ホットシュライバーのメイン画像

 アルティメットニッパーや神ヤス! など、高品質な工具でおなじみのゴッドハンドから今回登場したのは熱を使った加工ツール2種。どちらもUSB給電で、片方は熱で形状を変える、そしてもう片方は熱を利用して箔を転写する、全く違う特徴を持った工具になっています。姿は似てても全く異なる、そんな“神の手ヒートツール”をみていきましょう。

098 Product_name Heat Eisen & Hot Schreiber
解説/けんたろう、月刊工具スタッフ


▼実際に使用している動画もチェック!


“熱”でサクサク加工できる「ヒートアイゼン」

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ヒートアイゼンの画像

ヒートアイゼン

●発売元/ゴッドハンド●5500円●発売中

ヒートアイゼンの説明画像 その1
▲ 本体はグリップつきの10cm程度の青い柄と先端のビットのついたこての構成。ハンダごてと感覚は同じですが、こては3cm程度の細く短く、模型のサイズ感で取り扱いやすいサイズになっています
ヒートアイゼンの説明画像 その2
▲ 先端のビットはネジ式で取り外しが可能で7種類付属。先端がナイフ状のものや、細い先端、丸いものなどさまざまな形状があります。とくに先端が細いものは細部の加工で活躍します
ヒートアイゼンの説明画像 その3
▲ 電源はUSB給電。ACアダプターは別売りで、市販のUSB電源が使用できます。モバイルバッテリーやPCなどからもある程度給電できます
ヒートアイゼンの説明画像 その4
▲ コードにオンオフのスイッチがあり、ここで電源を操作します。スイッチをオンにすると本体の首にあるクリアー部分に赤くLEDが灯るので確認しましょう。(スイッチが入るとこてが熱くなるので触れないようにします)
ヒートアイゼンの説明画像 その5
▲ 簡易な金属プレートのスタンドが付属。転がったり傾いて落ちないよう専用の台が用意してあるのはうれしいポイントです

ヒートアイゼンの加工性能チェック!

● 切断

ヒートアイゼンで切断している画像 その1
ヒートアイゼンで切断している画像 その2

 スイッチを入れてから2分ほどで先端は300℃に達し、使用可能になります。ナイフ状のビットであればプラスチックを簡単に切れます。力をかけると断面が歪むので、スッとゆっくり刃を入れていくとキレイな切断面になるでしょう

● 溶着

ヒートアイゼンで溶着している画像 その1
ヒートアイゼンで溶着している画像 その2

 スイッチを切って冷えるのを待ち、先端を交換したら次の作業に入ります。先端が細く、鶴首のように曲がったタイプは隅を狙うのにピッタリで、お互いの設置点をつつくように溶かしていくと、接着剤を使わずに溶着できます。溶着後は強度もしっかりあります

● ディテール(熔接跡)

ヒートアイゼンでディテールを作っている画像 その1
ヒートアイゼンでディテールを作っている画像 その2

 マスキングテープでガイドを作り、先細型のビットで穴をあけないように表面をつついていきます。溶接跡のようなディテールをつくることができます。少し練習すれば、さらに整った溶接ラインを作れるようになるでしょう

● 形状変更

ヒートアイゼンでミリタリーフィギュアの形状変更をしている画像

 ミリタリーフィギュアなどでは関節部を熱して曲げていくことでポーズを変更できます。(プラスチックも熱をもつので熱しすぎないこと)。足りない部分はランナーなどのプラスチックを溶かして盛っても良いでしょう。ピンポイントで熱するので周囲のディテールに影響がないのもいいところです

● ダメージ表現

ヒートアイゼンでドラム缶フィギュアにダメージ表現をしている画像 その1
ヒートアイゼンでドラム缶フィギュアにダメージ表現をしている画像 その2

 溶かして切断した面はビームや熱でダメージを受けたかのような溶け具合にピッタリです。切断面のフチを薄くなるように削いでいくと、厚みが薄れて金属の破れのような表現がより増すでしょう

ヒートツールを使う際は常に注意した上で!

ビットの交換

ヒートアイゼンのビット交換の画像 その1
ヒートアイゼンのビット交換の画像 その2

 ヒートツールは高温になるため触るだけでひどい火傷になります。まずLEDが光ってるときは絶対にこてに触らないようにしましょう。ビットを交換する際もスイッチを切って5分以上置いておきます。その後プラ材を当てるなど、手で触る前に別のもので冷えたことを確認してからビットを交換します

付着したプラの除去

ヒートアイゼンに付着したプラの除去の画像 その1
ヒートアイゼンに付着したプラの除去の画像 その2

 熱でプラスチックを溶かす以上、先端にも溶解したプラスチックが付着します。不要な煙も発生してしまうため、濡らした布巾やスポンジで拭き取りましょう(水の含みすぎ注意、よく絞って使用します)。ただ先端を冷やすために使用するのはNGです。急激な温度変化は機器の破損を招いてしまいます


100℃の熱でホイルを転写する「ホットシュライバー」

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ホットシュライバーの画像

ホットシュライバー

●発売元/ゴッドハンド●7260円●発売中

ホットシュライバーの説明画像 その1
▲ 本体部分やスイッチまわり、ケーブルは「ヒートアイゼン」と変わりませんが、出力が異なります。最大100℃となっていて、プラスチック加工をするほどの温度はなく付属のホイル箔を転写するためのツールです
ホットシュライバーの説明画像 その2
▲ ビットは0.5mm、1mm、1.5mm、2.0mmと太さごとの4種類が付属。先端は丸みがあり、パーツやホイルを傷つけないようになっています。転写したい面積に合わせてビットを選びましょう
ホットシュライバーの説明画像 その3
▲ パッケージには6色のホイルが同梱。金や銀はもちろんのこと、オレンジや緑など絶妙な色もあるのが面白いです
ホットシュライバーの説明画像 その4
▲ まずホイルを転写したい対象に固定します。ホイル自体には粘着力はないので、マスキングテープなどを使ってしっかり密着させましょう
ホットシュライバーの説明画像 その5
ホットシュライバーの説明画像 その6

▲ スイッチを入れ熱くなったホットシュライバーを押し付けます。先端で転写したい形を軽くなでたり、こするような動きで押し付けすぎないのがポイントです。剥がすと、ホイルが対象に転写されます

ホットシュライバーの説明画像 その7
ホットシュライバーの説明画像 その8

▲ 印刷した紙などを挟んでも大丈夫です。この「金」はボールペンで描いたものですが、上から押し付けても問題ありませんでした。ただどこまで先端でなぞったが少し分かりづらいので、そのあたりの感覚は何回か練習するとよいでしょう

●曲面での転写

ホットシュライバーでスプーンの曲面に転写してる画像 その1
ホットシュライバーでスプーンの曲面に転写してる画像 その2

 スプーンのような曲面でも、結構キレイに転写できます。ポイントはやはりホイルの密着で、伸ばしながらテープで固定することでキレイに転写できます。またスプーンのように表面がツルツルだと、メッキ感もキレイに出ます

●塗面の上でもOK

ホットシュライバーで塗装したプラ材に転写してる画像 その1
ホットシュライバーで塗装したプラ材に転写してる画像 その2

 塗面の上では熱でプラが変形しないように、ホイルの上にマスキングすると良いですね。また、あらかじめ転写したくない場所にマスキングをしておくとキレイな形を作ることもできます


“HEAT”と“HOT”ふたつを活用してカエル戦士を製作!

How to use

GRAVE FROGの画像
▲ クリエイティブフィールド「1/24 GRAVE FROG」(3740円、発売中)、宇宙カエル戦士とでもいえそうなキットを使用。今回はこちらをふたつのヒートツールを使って仕上げます
ヒートアイゼンとホットシュライバーを使用してGRAVE FROGを製作している画像 その1
ヒートアイゼンとホットシュライバーを使用してGRAVE FROGを製作している画像 その2

▲ 小さいパーツが多いので、基本は先細のビットを使ってダメージを表現を追加していきます。ウェザリングと考えは同じで、パーツのエッジ部分を狙って荒らして擦過痕にしたり、先端だけを押し付けてダメージ痕、端を削るように溶かして使用感を表現します

ヒートアイゼンとホットシュライバーを使用してGRAVE FROGを製作している画像 その3
▲ 加工した箇所付近はMr.ウェザリングカラーのマルチブラックで黒くして、煤けた感じを足していきます
ヒートアイゼンとホットシュライバーを使用してGRAVE FROGを製作している画像 その4
▲ 溶けてめくれたエッジ部分にはシルバーをドライブラシして金属感をプラス。煤と金属で、生々しいバトルダメージにしていきます
ヒートアイゼンとホットシュライバーを使用してGRAVE FROGを製作している画像 その5
ヒートアイゼンとホットシュライバーを使用してGRAVE FROGを製作している画像 その6

▲ 最後にマーキングでナンバーを転写します。曲面にピシッとホイルを貼ったら、上から数字を書いた紙をかぶせ、さらに上からホットシュライバーを押し付けていきます。テープを剥がすと、ナンバーが転写されています。ややかすれていますが、歴戦のアーマーなのでこれぐらい剥がれていてもいいでしょう

完成したGRAVE FROGの画像
▲ アーマーがボロボロになり、歴戦の猛者感が出てきました。溶けた部分に塗装をすることで、しっかりダメージですよという主張をつけられるので、溶かす表現とセットで行うと効果抜群です。転写もダメージ感のあるものになりました

まとめ

 ビット交換、出力、サイズ感とすべてが“模型向け”に作られたヒートツールが登場です。「ヒートアイゼン」は模型用に幅の広さと手軽さを持ち、「ホットシュライバー」は「転写」という面白い武器を持っています。こちらはエングレービングやチッピングなどもできそうで、さらなる奥深さも感じます。結果バトルダメージとしてうまくふたつのツールが活きた形になったのは、本当に組み合わせの妙といえるでしょう。どちらも魅力的なツールなので、ぜひ楽しんでみてください。

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