『機神幻想ルーンマスカー』誕生秘話!【第4回】「 ARTPLA スレイプニール」開発秘話その2 &『機神幻想ルーンマスカー』ネクストアイテム
2023.11.27最強の布陣で挑む、ARTPLAの『機神幻想ルーンマスカー』ネクストアイテム
2023年5月に静岡市で開催された「第61回静岡ホビーショー」にて、『機神幻想ルーンマスカー』のARTPLAネクストアイテムが発表された。そのアイテムとは、銀色に輝く騎士の鎧を思わせる外装と巨大な翼が特徴のナイトマスカー トリスタン。トリスタンは、スレイプニールに並んで『機神幻想ルーンマスカー』という作品を代表する存在であり、連載されていた1990年代当時からそのデザインは高い人気を誇っていた。
原型製作は、スレイプニールに続いて谷明が担当。インジェクションキットとして立体化するにあたり、谷は「月刊ドラゴンマガジン」に掲載された、アニメーターのもといぎひろあきが手掛けたイラストに描かれた盾とハルバードを持った姿で造形したいと希望を出した。しかし、そのイラストには盾とハルバートが一部しか描かれておらず、造形にあたっては新たなデザイン画が必要となった。そこで、『機神幻想ルーンマスカー』の原作者であり、ARTPLAでの立体化にあたって監修を務める出渕裕に相談。その結果、立体化用にイラストを担当したもといぎにデザインを依頼するのがベストだろうとの意見をもらい、ARTPLA用に新規デザインが加わることが決定。こうした新たな試みを加えて、現在商品化が進められている。
スレイプニールに比べると造形のための資料が少ないトリスタン対して、2度目の出渕デザインの立体化に向けて、原型担当の谷はどのような思いで臨んでいるのだろうか? 「『ルーンマスカー』はコミックスが1巻までしかなく、そこにはトリスタンは登場していません。その他にも、形状が確認できるのは連載時に登場する2ショットと、過去の雑誌のスキャン記事程度しか無く、トリスタンの資料は極端に少ないんです。そこで苦労をすることはわかっていたんですが、それでも造形物として立体化したいという気持ちが勝りました。資料を補強するため、出渕デザインに流れる西洋の鎧のデザインニュアンスと武器の形状を知るために中世の装具の本を読んだ結果、トリスタンは中世ドイツの鎧と武器がモチーフになっていると理解しました。中世ドイツの鎧は装甲自体が厚いわけではなく、動きを妨げない構造になっていて、装飾的でもある。太股上端に帯状に入るエングレービングはそうした優雅さを取り込んでいるのではないか? そうした想像を重ねながらトリスタンの造形を進めさせていただきました」
造形にあたってこだわった要素となったのは、やはり機体を象徴する大きな翼だったという。
「翼は当初、ナイフエッジ的な処理をしていたんですが、出渕先生に監修で見ていただいた際に「目に刺さりそうで痛そうだから、エッジを落としましょう」との提案をいただきました。その形状的な仕上がりは、出渕先生の優しさの表れです(笑)。そして、翼はやはり雄々しく広げたいという思いもありました。スレイプニールのたてがみと同じく、トリスタンのキャラクター性を象徴するのは翼だと思うので、左右非対称になる「動き」を意識して表現しています。ちなみに、新たにデザインを起こしていただいたハルバードは、造形がめちゃくちゃ大変でした」
トリスタンは背面の詳細なデザインが存在しておらず、そこは造形を行う谷が自身でデザインを手がけている。
「設定の無い翼の基部と推進装置に関しては、ルーンマスカーの世界観と技術力をイメージして、デザインしています。劇中に登場する人類が使用する物理魔導(テクノクロス)は、物理的なスラスターで浮遊・推進させているようなので、そうした世界観のデザインと違和感が出ないように心がけました」
出渕裕、もといぎひろあき、谷明という最強の布陣で挑むARTPLAナイトマスカー・トリスタン。スレイプニールで得られたノウハウと開発技術が惜しみなくつぎ込まれたネクストアイテムの詳細に関しては、近々届けられるさらなる情報に期待して欲しい。
『機神幻想ルーンマスカー』誕生秘話をチェック!
Ⓒ出渕裕/徳間書店