HOME記事キャラクターモデル海洋堂「ARTPLA エヴァ2号機」を筆塗り!ラッカー塗料の透け感と美しい光沢を活かして生っぽくも重厚感ある仕上がりに!【筆塗りtribe】

海洋堂「ARTPLA エヴァ2号機」を筆塗り!ラッカー塗料の透け感と美しい光沢を活かして生っぽくも重厚感ある仕上がりに!【筆塗りtribe】

2023.11.13

筆塗りTribe/エヴァンゲリオン2号機 獣化第2形態 ザ・ビースト「ジオフロント血戦」【海洋堂】 月刊ホビージャパン2023年12月号(10月25日発売)

海洋堂「ARTPLA エヴァ2号機」を筆塗り!ラッカー塗料の透け感と美しい光沢を活かして生っぽくも重厚感ある仕上がりに!【筆塗りtribe】
エヴァンゲリオン2号機 獣化第2形態ザ・ビースト「ジオフロント血戦」 イメージカット

ラッカー塗料の透け感と美しい光沢を活かして、エヴァ2号機を筆塗りだ!

 プラモを筆塗りでガンガン楽しんでいるナイスなパイセンたちの作品とテクニックを月末にみんなで読んで、テンションアゲアゲでどんどん筆塗りを楽しんでいこうという連載「筆塗りTribe」。
 今回は、月刊ホビージャパン2023年11月号の水性塗料特集においてアクリルガッシュでの塗装法でも登場した「海洋堂 ARTPLA エヴァンゲリオン2号機 獣化第2形態ザ・ビースト「ジオフロント血戦」」を、ラッカー塗料の筆塗りで仕上げます! ラッカー塗料が持つ下地の透けや、美しい光沢を活かして、生っぽいのに重厚感のある仕上がりとなりました。模型用塗料のド定番「ラッカー塗料」の筆塗りはやはり面白いので、ぜひチャレンジしてみてください。

(構成・文/フミテシ)

今回のパイセン

きの助/本連載2回目の登場。ラッカー塗料から水性塗料まで、筆で塗れる塗料ならなんでも使うマルチ筆塗りモデラー。

BEFORE

ピンクのサーフェイサーを使用

エヴァンゲリオン2号機 獣化第2形態ザ・ビースト「ジオフロント血戦」 缶スプレー「ファインサーフェイサー ピンク」を塗装状態
▲塗料の食い付きを良くするためと、メインカラーの赤の発色を良くするために、タミヤの缶スプレー「ファインサーフェイサー ピンク」を塗装

AFTER

筆塗りでここまで化ける!!

エヴァンゲリオン2号機 獣化第2形態ザ・ビースト「ジオフロント血戦」 完成状態

ラッカー塗料の透けを活かすために、影色を最初に塗る!!

 ラッカー塗料を筆塗りする際「下地の透けを活かせる」ことを考えておくととても作業が進めやすくなります。今回で言うと、ピンクのサーフェイサーを吹いた上から、奥まった箇所やスジ彫り部分にあらかじめメインカラーよりも1段暗い「影色」を塗っておくことで、明暗がはっきりした重厚感ある仕上がりを楽しめます。

影色に使用する塗料

Mr.カラーの赤褐色、レッドFS11136
▲Mr.カラーの赤褐色+レッドFS11136を適宜混色し、パーツの奥まった部分に塗っていきます

濃いめに塗り込みます

太モモの裏側を濃いめに塗装
▲太モモの裏側などは光が当たらない部分。ここは濃いめにしっかりと影色を塗っていきましょう

スジ彫り部分にも影色を塗ります

スジ彫り、関節の奥まったディテール等に、スミ入れのように塗装
▲拘束具にあるスジ彫りや関節の奥まったディテールにも、スミ入れのように塗料を塗っていきます

影色完成

影色が塗り終わった状態
▲影色が塗り終わりました。この状態から赤を上塗りすることで、明暗がしっかりと出て迫力ある仕上がりになります

NAZCAカラー フレイムレッドで攻める!

素晴らしい発色です!

NAZCAカラー フレイムレッドで塗装後の太ももアップ
▲ガイアノーツとモデラーのNAOKIがタッグを組んで展開している「NAZCAカラー」。このシリーズのフレイムレッドは、発色の良さと美しいツヤが特徴。エヴァ2号機にぴったりの塗料なのだ!
ピンクサフの箇所を薄めに塗装
▲まずはピンクサフの箇所を塗っていきます。濃度は薄めにして、下地がうっすら透けるくらいにしましょう
影色の箇所はピンクサフの部分よりも少しだけ濃度を薄めたフレイムレッドで塗装
▲影色の箇所は、ピンクサフの部分よりも少しだけ濃度を薄めたフレイムレッドで攻めます。そうすることで影色が隠蔽されないので、明暗をしっかりと残せます
乾燥したのを確認したら再度重ね塗り
▲ラッカー塗料は乾燥も早いです。最初に塗った部分は他の箇所を筆塗りしている間に乾いています。ほぼ乾燥したのを確認したら、再度重ね塗りしましょう
完成した太もも部アップ
▲完成!! ピンクサフ、影色、フレイムレッドと手数は3手ながら、アメコミヒーローのスーツのような鮮やかさと重厚感を表現できました

肉は叩く! キットの凹凸を強調させる筆塗り

拘束具が外れた胴体背面のディテール アップ
▲拘束具が外れた胴体のディテールは、本キットのなかでも非常に細かい部分。ここは塗り込むというよりもディテールを活かして塗料をランダムに乗せていく方法で塗ります。まずは奥まった部分に影色を塗ります
NAZCAカラーのコバルトバイオレットとMr.カラーの赤を混ぜて作った紫を薄めに溶き、叩くように塗装
▲NAZCAカラーのコバルトバイオレットとMr.カラーの赤を混ぜて作った紫を薄めに溶きます。薄い塗料を叩くように塗ることで、下地が完全に隠蔽されません。そのため筋肉のようなディテールに沿って筆跡がランダムに残り、美しい模様がパーツ上に現れます
乾いたら再度筆で叩くように塗装
▲乾いたら、再度筆で叩くように塗装。厚く塗りこんでいないので、細かなディテールも潰れません
完成した胴体背面のディテール
▲完成。面の中央は下地のピンクが透けて明るくなっていますね。キットの細かな凹凸は、筆を使ったスタンプ塗装のようなランダムな筆運びと相性がとても良いです

黄色塗装のポイント

黄色はとっても隠蔽力が低い!

肩部分アップ
▲エヴァ2号機の黄色は、アクセントカラーとしてとっても大事な色。ここも慌てずに下地と影色を活かして、きれいに発色させていきます


ピンクサフの上から白を筆塗り
▲まずはピンクサフの上から白を筆塗り。下地のピンクを完全に隠蔽しなくても大丈夫。この写真のようにうっすら透けている段階まで塗ります
クリアーレッド・クリアーオレンジ・白を混ぜたピンク色をシワの部分に塗装
▲次に影色をシワの部分に塗ります。クリアーレッド・クリアーオレンジ・白を混ぜたピンク色を塗っています
Mr.カラー(ガンダムカラー)のMSイエローを重ね塗り
▲Mr.カラー(ガンダムカラー)のMSイエローを重ねました。隠蔽力が低いことを利用し、下地の白と影色を透かしながら塗ると、明暗がくっきりするうえに、鮮やかな塗面になります

ラッカー、エナメル、アクリルを使用して使徒の内臓を生々しく仕上げる

エヴァンゲリオン2号機 獣化第2形態ザ・ビースト「ジオフロント血戦」 側面
塗装前の使徒の外殻
▲使徒の外殻は甲虫のようなつるんとした質感で仕上げ、露出している内臓は生々しく仕上げることで対比を付けて塗装しようと思います
ラッカー塗料のフレッシュを塗った上から、タミヤのエナメル塗料「クリヤーブルー」で静脈のようなものを描く
▲ラッカー塗料のフレッシュを塗った上から、タミヤのエナメル塗料「クリヤーブルー」で静脈のようなものを描いていきます
ミスした塗装部分をエナメル溶剤を染み込ませた綿棒で拭き取る
▲エナメル塗料なので、ミスをしてもエナメル溶剤を染み込ませた綿棒で拭き取れば、簡単に修正できます
中央部の出っ張りに「肝」のようなものを描く
▲中央部の出っ張りに「肝」のようなものを描いて情報量を増してみます。サザエの肝からインスピレーションを受けたそうです
グレーで塗った肝の上に、シャバシャバに希釈したフレッシュをひと塗り
▲グレーで塗った肝の上に、シャバシャバに希釈したフレッシュをひと塗りします。これによって周囲の肉部分と色が馴染みます
シタデルカラーの「ブラッドフォーザブラッドゴッド」でランダムに赤みを足す
▲次にシタデルカラーの「ブラッドフォーザブラッドゴッド」という血の色を使って、ランダムに赤みを足していきます。アンコウの肝みたいな雰囲気ですね
シャバシャバに希釈したタミヤカラー アクリル塗料のクリヤーイエローを全体に塗装
▲塗料が乾燥したら、シャバシャバに希釈したタミヤカラー アクリル塗料のクリヤーイエローを全体に塗ります
タミヤカラー アクリル塗料のホワイトとクリヤーレッドを混色
▲最後の仕上げは、タミヤカラー アクリル塗料のホワイトとクリヤーレッドを混ぜたものを塗ります
タミヤカラー アクリル塗料のホワイトとクリヤーレッドを混色したものを塗装
▲奥まった部分に赤が流れ込み、より生々しくなりました。これにて内臓部分は完成です
口からは体液が垂れているような表現を追加したエヴァ2号機の頭部アップ
▲口からは体液が垂れているような表現を追加。瞳にはLEDを仕込んで電飾しました
クリアーボンドとアクリル塗料のクリヤーイエローを混ぜたもの
電池を接触させる部分

▲口から垂れている体液は、クリアーボンドにアクリル塗料のクリヤーイエローを混ぜたものを、歯や舌に爪楊枝でこすりつけ、糸を引かせています。目は、クリアーパーツの裏側に光ファイバーを差し込んで、電飾はLEDに直接電池を接触させる極シンプルな構造(LEDとボタン電池の取り扱いに関しては、自己責任でお願いします)

血のような涙を追加した使徒の外殻
使徒の内蔵アップ

▲使徒には血のような涙を追加。使用した塗料はシタデルカラーの「ブラッドフォーザブラッドゴッド」。外殻はつるんとした仕上がりにして、内臓の塗装とくっきりと差を出しています

彩度の高さを維持しながら、重厚感を演出する!!

 前回の連載でトラクターを塗装した際は(月刊ホビージャパン2022年8月号掲載)、使い古された機械の重厚感を出すため、さまざまな色をパーツの上で混色しながら塗装する方法を紹介しました。今回のお題であるエヴァ2号機は鮮やかなカラーリングが特徴なのでアメコミヒーロースーツのようなイメージで彩度を高めに仕上げていきます。

■黄色
 隠蔽力が非常に低くうまく発色させるのが難しい黄色は白色から立ち上げていきます。下地に白を塗装後、クリアーレッド・クリアーオレンジ・白を混ぜたピンク色を、シワの際や影になる面に塗ります。この時あまり濃く塗ると影がきつくなり過ぎるので通常より少し薄めに希釈して塗るのがポイントです。その上からMr.カラー(ガンダムカラー)のMSイエローを重ねました。前述したように隠蔽力が低いことを利用し、下地の白と影色を透かしながら塗るときれいに発色してくれます。

■赤
 黄色の次に隠蔽力が低い赤も基本的な塗り方は黄色と同じく下地を透かしながら塗ります。影色にはMr.カラーの赤褐色+レッドFS11136を混色して使用。機体色にはプロモデラーNAOKI氏がプロデュースしたブランド「NAZCAシリーズ」より、フレイムレッドを薄めに希釈し、少しずつ重ねていきます。塗り重ねることで色が深くなっていくだけではなく、ツヤも出てくるので好みの色ツヤになるまで塗り重ねましょう。

■紫
 ピンクサフの後、凹凸が激しいので影になる箇所に暗色を塗装。「NAZCAシリーズ」コバルトバイオレットと赤を混色した紫を筆で叩くように塗装します。下地のピンクを塗り潰すというよりは逆にムラになるように意識しました。
 最後にMr.ウェザリングカラー フィルタ・リキッド レイヤーバイオレット+シェイドブラウンで全体を馴染ませます。

■台座
 使徒が彫刻された台座はこのキットの目玉のひとつ。内臓は元の造形を存分に活かしてこってりグチャグチャに塗っていきましょう。ベースの肌色をラッカー→血管をエナメル→毛細血管のテクスチャーやツヤ出しをアクリル塗料と、別種の塗料を使うことで下の塗膜を侵すことなく、かつリカバリーがしやすい順で塗り重ねました。

海洋堂 ノンスケール プラスチックキット“ARTPLA”

エヴァンゲリオン2号機 獣化第2形態ザ・ビースト「ジオフロント血戦」

製作・文/きの助

“ARTPLA”エヴァンゲリオン2号機 獣化第2形態ザ・ビースト「ジオフロント血戦」
●発売元/海洋堂●7150円、発売中●約17cm●プラキット●原型製作/吉良かずや

Ⓒカラー

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きの助

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