HOME記事工具・マテリアルエナメル塗料を使うとパーツが割れるって本当? どんなところが割れやすい?スミ入れ、流し込み接着剤で気を付ける部分をチェックしよう【模型質問箱】

エナメル塗料を使うとパーツが割れるって本当? どんなところが割れやすい?スミ入れ、流し込み接着剤で気を付ける部分をチェックしよう【模型質問箱】

2023.07.10

模型質問箱2023 塗装・マテリアル編 月刊ホビージャパン2023年8月号(6月23日発売)

みんなの気になる“模型の質問”に答えます!

 読者の皆様からのアンケートはがきやHJ Web、SNS等にお寄せ頂いたご意見やご質問を参考に「気になる模型の質問」のプロモデラー・けんたろう、フミテシ、そしてホビージャパンモデラー陣やメーカー各社様がお答えていきます!


Q.エナメル塗料を使うとパーツが割れるって本当?

A.使い方によっては割れますし、流し込み接着剤でも割れることがあります。

 スミ入れ中、ふと見るとパーツにヒビが入っていた!? なぜ??? モデラーならば一度は経験があることと思います。これを防ぐ方法はあるのでしょうか?


 エナメル塗料は部分塗装や普通に塗装するぶんには問題ありません。ただ、スミ入れの際にパーツの合わせ目や裏側に塗料が流れ込んでしまうと、割れるリスクがあります。また、意外なところでは流し込みタイプの接着剤も割れることがあります。これはパーツの応力がかかっているところに、エナメル塗料の溶剤成分や、接着剤が樹脂の中にまで浸透するため。現在のキャラクタープラモはだいたいスナップ式でなおかつ可動式。このパーツの嵌合部分に応力がかかっているというのがポイントで、言うなればキットは全身のあちこちに割れるリスクを内包しているわけです。

プラパイプにプラ板を帯にして巻き付けて接着剤を流しこんでいる画像
▲ プラパイプに0.3mmのプラ板を帯にして巻き付けて接着剤を流し込むと、曲げる応力がかかっているところに接着剤が浸透してパチンと割れます。割れはエナメル塗料で頻出の問題ですが、流し込み接着剤でも同様のトラブルが起こります。だから対策が難しい

どんなところが割れやすい?

パーツの割れやすい箇所の図解説 その1
▲ 可動軸の軸受部分は割れやすいポイント。軸受にテンションが掛かっているため、嵌合を削ってゆるめたり、軸受けに溶剤がかからないようにするなどの対策をしましょう
パーツの割れやすい箇所の図解説 その2
▲ パーツ同士のはめ込み部分もダボ同士の摩擦と圧力が掛かっているので、割れるリスクがあります。削る以外にも、ピンを短く切ることでも割れるリスクを下げられます
パーツの割れやすい箇所の図解説 その3
▲ 太い軸にフタのようにパーツを被せる箇所は超危険。削り込みで軸をなるべくゆるくして、接着するのが前提くらいの調整が安心

なかでもABS樹脂は、B(ブタジエン)の成分がとくに溶剤に弱く、割れやすいようです。そのため、メーカーでは塗装を推奨しないケースもあります。ユーザー側の対策としては、はめ込み部分なら軸を先にカットしておく、緩めておくという事前の加工や、関節なら組んだままにして塗装し、関節内部まで溶剤が浸透しないようにする、スミ入れをしない(リアルタッチマーカーで安全な部分を狙って塗る)、などが考えられます。

リアルタッチマーカーでスミ入れしている画像
▲ スミ入れ時の割れ対策としては、リアルタッチマーカーがおすすめ。成型色仕上げでスミ入れするだけならこれが一番パーツへのダメージが少ない方法

割れる可能性をすべて取り除くのは難しいですが、リスクを下げることはできるので、「パーツの応力」を意識して作業をするとよいでしょう。それでも割れるときは割れるので、最後は運ですが…。(けんたろう)


この記事が気に入ったらシェアしてください!

オススメの書籍

月刊ホビージャパン2023年8月号

ご購入はこちら

ホビージャパンエクストラ vol.29

ご購入はこちら

セイラマスオの気まぐれガンプラ製作記

ご購入はこちら
PAGE TOP
メニュー