ファレホの新色で高速コントラスト塗装
今回は水性塗料でおなじみのボークス「ファレホ」に新色シリーズが登場!その名も「エクスプレスカラー」。一回塗るだけでコントラスト(陰影)やグラデーションを表現できてしまう塗料が新たにラインナップされるとのこと。そんな便利な塗料が本当にあるのか!? 今回は実際に模型を塗って試していきます!
091 Product_name Vallejo Xpress color
解説/けんたろう、月刊工具スタッフ
▼実際に使用している動画もチェック!
「エクスプレスカラー」の特徴をチェック!
Impression
ファレホ ゲームカラー エクスプレスカラー
●発売元/ボークス ●各462円、7月29日予定●18ml
▲ まずは容器から取り出して、どのぐらいの濃度かを見てみます。基本であるモデルカラーと比べるとさらさらしていますが、とろっとした粘度もあります
▲ 見た目は濃い色ですが、隠蔽力自体は強くありません。粘度がほどほどにあり、下地が透けるのがエクスプレスカラーの特徴になります
▲ 塗装時には明るめな色の下地を作っておく必要があります(ツルツルの面では乗せにくいため、足付けの役割もあります)。「ホビーペイントスプレー」のホワイトやグレーなどがオススメ
▲ そのままの濃度で塗っていきます。塗り残しがないよう奥まったところからスタートしてまんべんなく塗り広げていきましょう
▲ パーツのくぼみなどに塗料溜まりができてしまったら、拭った筆で余分な塗料を吸い取りましょう。30分程度で表面の光沢が消え、ややツヤ消しに仕上がります。乾燥前に触ったり重ね塗りをすると指紋や筆目がついてしまうので乾燥をよく待ちます
▲ 全体に塗布して乾燥すれば1回塗っただけでこの通り、凸部分は薄く明るく、凹部分は濃く暗くという陰影が付いた仕上がりになります
▲ 発色は下地の色が重要でホワイトなら鮮やかに、グレーなら落ち着いた色味に仕上がります。下地との組み合わせで同じ塗料でも違う表現ができます
エクスプレスカラーを使うなら持っておきたい「エクスプレスメディウム」
メディウムは無色透明で他のカラーの濃度調整用添加剤として活躍します。そもそも水でも濃度調整は可能なのですが、水だと薄めるほど塗料がはじかれやすくなっていきます。そこでこのメディウムを加えることで塗料の定着はそのままに色を薄めることができます。写真のように赤はそのままだと真っ赤に仕上がりますが、メディウムを使うことで下地を残しつつ陰影のついた赤にすることができます。
塗装時はウォーターパレットが最適!
他のファレホシリーズ同様、水(精製水を推奨)で取り扱えるので、塗装時はウォーターパレットを活用することで長い時間塗料を保水してくれます。エクスプレスカラーは塗料内の水分が抜けていくとドロッと濃くなっていくため、一定の濃度を維持してくれる、という点でもウォーターパレットが相性抜群です。スポンジにまんべんなく水を含ませてから、専用の紙を敷いてウォーターパレットを準備しておきましょう。
各種模型をエクスプレスカラーで塗装製作!
キャビコのちょいプラ「陸上自衛隊07式[Ⅱ型]戦車なっちん プロトタイプ」、ルビコンモデル「バレンタイン 歩兵戦車 Mk.9/10/11」、リンボディビジョン209「ヴィクトリカ・レピドゥス(75mm)」を製作! 平面の多いロボット、細かなディテールのAFV、女の子ミニチュアとそれぞれでの活躍を見ていきます。
How to use
▲ ホワイトの上からインペリアルイエローを塗ります。広い平面部分は奥まった部分から外側に塗料を伸ばすように塗布していきましょう
▲ 次に塗り分けで上からミスティックブルーを塗ったら緑になってしまいました……。重ねるときは下地との組み合わせに注意しましょう。違う色を塗りたい場合、基本は隠蔽力の高いホワイトで再度下地を作ります。はみ出したときのリタッチも同様に下地色に戻します
▲ 白下地であれば青もしっかりと発色します
▲ 「なっちん」完成! 平面が多い模型では塗り方で陰影や色のグラデーション具合が変わるので少し慣れが必要ですが、塗料の伸びはとても良いのでサクサク塗装できました
How to use
▲ バレンタイン戦車は下地をグレーにし、プレーググリーンを塗布して落ち付いた緑にしました。塗り残しがないように細かな凹凸の部分から塗り広げるように塗っていきます
▲ 全体が緑に染まったらメディウムで薄めたブラックロータスで溝部分にスミ入れをしながらその付近を暗くしていきます
▲ ファレホ メカカラーのメカウェザリング「ダークラストウォッシュ」を使ってウェザリング。雨だれや土埃などを表現します
▲ 「バレンタイン戦車」完成! リベットやディテールが多いだけに、コントラストとの相性は抜群。自然とカラーモジュレーションのようにも仕上がっています。ブラックを重ねることで、コントラストがより強くなったのも良いところですね
How to use
▲ 肌にはドワーフスキンを使用。そのままでは濃く感じるので、メディウムで最大限に薄めて2、3回に分けて重ねていきます。最初はほぼ下地のホワイトなのですが徐々に肌の陰影が仕上がっていきます
▲ はみ出しても塗りつぶせる順でプラズマレッド→ブラックロータスと塗っていきます。ディテールの細かい硬質な造形なのではっきりとした陰影がついていきます
▲ 一通り塗布したあとは赤と黒各色にホワイトを混ぜたハイライト色をエッジ部分に描きます
▲ 肌部分には追加でモデルカラーのホワイト、スキントーン、エクスプレスメディウムで調整した明るいハイライト色を重ねます。最初のドワーフスキンで作られた影色部分を強調します
▲ 最後に目を面相筆で描いていきます。メディウムを使って塗料の伸びを良くして、少しずつ塗り重ねて光彩を作ります。まつ毛部分はキットにしっかり造形されているのでに形に従って塗ります(はみ出した際には肌で使用した色を用いてリタッチしましょう)
▲ 先をとがらせた爪楊枝で瞳のホワイトのハイライトを乗せました
▲ ベースも塗っておきましょう。こちらはグレー下地で、全体をブラックロータスで染めたらホワイトを混ぜてグレーにし、ドライブラシの要領で面を塗装します
▲ 「ヴィクトリカ・レピドゥス」完成! 装備やアーマーの塗りが1回で済むこと、メディウムを混ぜることで肌もお手軽に表現、まさにエクスプレスカラーの良さが活きるキットです(とはいえ、顔、とくに瞳は小さいので慎重に塗りましょう…)。髪色はそのままのドワーフスキンがちょうどよく肌と髪で一石二鳥の働きもしてくれています
まとめ
1本で簡単に陰影のついた塗装ができる「ファレホ ゲームカラー エクスプレスカラー」。伸びが良く塗るのも簡単で下地をしっかり作っておけば鮮やかに発色します。メディウムを使えば薄く調整したり、塗り重ねてグラデーションを強くできたりと表現の幅が広がり、各所で塗りの助けになるアイテムです。使用する際はぜひ一緒に手に入れてほしいところです。エクスプレスカラーシリーズはとくにディテールの多いミニチュアの塗装が楽しくなる塗料です。スケールキットなどのディテールの細かなキットにも相性抜群で、使用していくとどんどんと他のキットも塗りたくなるでしょう。
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