HOME連載ULTRAMAN小説ULTRAMAN SUIT ANOTHER UNIVERSE【本日発売】「ULTRAMAN SUIT ANOTHER UNIVERSE 8U編」【小説】

【本日発売】「ULTRAMAN SUIT ANOTHER UNIVERSE 8U編」【小説】

2023.04.04

ULTRAMAN達が集結するクライマックス編

ULTRAMAN SUIT ANOTHER UNIVERSE 8U編 表紙

 ヒーローズによる人気コミックス『ULTRAMAN』(作:清水栄一×下口智裕)の外伝的ストーリーである、「ULTRAMAN SUIT ANOTHER UNIVERSEフォトストーリー(執筆:長谷川圭一・谷崎あきら」の単行本第3弾。
 TARO SUITやJACK SUITが新たに登場し、ZERO SUITやTIGA SUITといった小説オリジナルキャラクターはもちろん、早田進次郎や諸星弾をはじめとする原作『ULTRAMAN』の主要キャラクター達までが一挙に集結するクライマックス編です。月刊ホビージャパンに掲載されたストーリーに加え、新規書き下ろしエピソードも追加されているのでお見逃しなく!
 さらに表紙は原作者の清水栄一×下口智裕による描き下ろしでお届けします。

 また、下記リンク先に掲載されている書店にて本書「ULTRAMAN SUIT ANOTHER UNIVERSE 8U編」をご購入頂いた方へ特製ポストカード3種類(1セット)をプレゼントいたします!(※特典はなくなり次第に終了となります。予めご了承下さい)

UAU8U購入特典

 特製ポストカード3種類(1セット)配布書店一覧(https://hobbyjapan.co.jp/books/news/n51903.html


CONTENTS

恐怖のルート89 前編

恐怖のルート89 後編

ブギーマンの夜 前編

ブギーマンの夜 後編

史上最大の決戦 序章

暗界の超巨大獣

故郷なき者たち 

時と生と死を覆う絶望の闇

英雄たちよ、永遠に

その未来ゆめは、いつまでも


試し読み

 第1話 恐怖のルート89 前編 

 アリゾナ州北部に伸びる国道ルート89。暗闇の中を一台の車が猛然と走り抜ける。
 運転するのはモールズ・ウィルソン。彼は今とても不機嫌だった。
「くそ! あの女! バカにしやがって!」
 何度そうして毒づいただろう。だがいくら喚き散らしても煮えくり返った腹の虫は一向に収まる気配がない。それほどまでモールズが受けた屈辱は許しがたいものだった。
 今から5時間前、モールズはフェニックスにある地方裁判所にいた。妻キャサリンとの離婚を巡り一年以上争っていたのだ。その判決が今日くだされた。あろうことかモールズは裁判に負け、しかも妻と子供に対する接近禁止命令と多額の慰謝料を言い渡されたのだ。
 全くありえない判決だ! 俺が罰せられるなんて絶対に間違ってる!
 離婚の原因はモールズの妻と子供に対する暴力、いわゆるDVというやつだ。だがモールズは自分のした行為に一片の後悔もなかった。何故なら自分は妻と子供を愛していたし、もっと理想的な家族でいるため、仕方なく暴力を振るったのだ。
 モールズはグランドキャニオン国立公園近くのホテルで働いていた。だが気に食わない女上司に仕事のことをあれこれ責められ、ついカッとなり殴ってしまった。お陰で仕事を失い、暫くバー通いが続き、新しい仕事も決まらなかった。そのことをキャサリンは責めたのだ。あのいけすかない女上司と同じように。気が付いた時はキャサリンを殴っていた。それを止める子供も殴った。当然のことだ。父親は家の中で一番偉く尊敬されるべきなのだから。そのルールを破ったのは妻と子供だ。俺が責められるのはお門違いだ。なのに法律事務所のいつもニヤニヤ笑う弁護士も、裁判所の連中も、みんな俺に非があると決めつけやがった。
「くそくそくそくそくそ! ふざけるなっ!」
 怒りのあまりモールズは怒鳴り散らし更にアクセルを踏み込む。
「お前らの思い通りにはさせはしない」
 キャサリンは今、ユタ州デービスにある実家に子供達といる筈だ。車の時計を見るともうじき深夜二時。恐らくとっくに眠っているだろう。俺と別れられると思い込み、安らかに寝息を立てているに違いない。だがそれも今夜が最後だ。二度と目覚めることはないのだから。
 モールズの車のトランクにはポリタンク一杯のガソリンが積まれていた。以前働いていたホテル近くのガソリンスタンドで購入したのだ。その時、ホテルにも火をつけてやりたい衝動を何とか抑え込んだ。もしここで捕まってしまったら元も子もない。
 まず最初に火をつけて焼き殺すべきは妻と子供たちだ。俺をバカにしたあのクソ女とクソガキどもだ。俺を一緒になって責め立てた妻の両親もついでに焼け死ぬだろう。いい気味だ!
 妻と子供が恐怖に泣き叫び死んでいく様を想像すると不思議とさっきまでの怒りが収まってきた。それどころか何ともいえぬ愉悦と快感につい頬がにやけてしまう。
 知らずアクセルを踏む足も緩み、車のスピードが落ちた、その時だった。
 ヘッドライトの光の中に白い影が浮かんだ。
 最初は鹿か何かの野生動物だと思ったが、近づくと、それが白い服を着た若い女だと分かった。モールズは更に車のスピードを落とし考える。
 こんな場所に、こんな時間に、何で……女が……?
女は暗闇の中にじっと佇み、モールズの車に向けてすっと片腕を上げる。
 ヒッチハイクか? それにしても、何でこんな場所で?
 さっきと同じ疑問を抱きつつ、モールズは女の傍らで車を停めた。
 月明りに浮かぶ女の顔は白く美しかった。
「どうかしたの?」
 窓をあけモールズが女に声を掛ける。すると、
「家まで送って」
 そう女は言うと、ドアをあけるようモールズに憂いげな目で訴える。
「……いいよ」
 モールズがドアを開けると、女は迷うことなく助手席へと体を滑り込ませ座る。馴れてる身のこなしだとモールズは思った。何度もこうしてヒッチハイクをしているに違いない。いや、もしかしたらこの女、そっちの商売をしてるのか? そうに違いない。
「じゃあ、行くよ」
 モールズは静かに車を発進させると、真横に座る女を改めて見つめる。髪はブロンド、切れ長の瞳と、白い肌に赤い唇が妙に艶めかしい。ぞっとするくらい妖艶な色香が漂っている。この美貌で今までどれほど多くの男をたぶらかし金を稼いで来たのか。再び胸に怒りが湧き上がるのを感じながらモールズが聞く。
「家はどこ? この方向でいいのかな?」
 だが女は答えず、ただ赤い唇に微かな笑みを浮かべる。バカにした態度だ。
「どこに送ればいい? 行き先を教えてくれないか?」
 苛立ちを抑えもう一度訪ねたが、がやはり女は無言で微笑みだけを浮かべている。
 無視か。なるほど、やっぱりそういうことか。この女、自分の美しさを鼻にかけて心の底では俺を見下しているんだ。俺を鼻先に餌をぶら下げれば喜んで尻尾を振る犬ころとでも思っているんだろう。間違いない。こいつも一緒だ。こっちが甘い顔をすればつけ上がる、あの女上司やキャサリンと同じ種類のくそ生意気で鼻もちならない女だ。その美しい顔で女王様みたいに微笑めば男はみんなやにさがると思ってるんだろうが残念ながら俺はそうじゃない。乗る車を間違えたことを今からたっぷり教えてやろう。いくら謝ろうが泣き叫ぼうがもう手遅れだ。
 周囲はどこまでも暗闇に包まれ、対向車がくる様子もない。どこかで車を停め、俺をバカにした報いと罰を十分与えてから、生きたままガソリンをかけて……
「ふふっ」
 モールズが残虐な妄想をした時、不意に女が笑った。
「……なんだ? 何がおかしい?」
 だがやはり女は質問に答えることなく、更に愉快そうに笑う。
「笑うな。笑うなと言ってるだろ!」
 またもモールズの頭に血が上り、強烈な殺意が湧き上がる。
「黙らせてやる!」
 ブレーキを踏み、車を停めると真横にいる女の首を両手で掴み、渾身の力で締め上げる。
「どうだ、これでもう笑えないだろう」
 だが首を絞められても女は微笑みを浮かべ、モールズを見つめると、言った。
「行き先を教えてあげるわ。お前がこれから行くのは……地獄だ。はは、あははははは!」
 狂ったように笑う女。刹那、モールズを眩い光が照らす。
「……何だ……これは!?」
 愕然とするモールズ。車の真正面の闇、巨大な青白い炎が揺らめいていた。
 そして視線を戻すと助手席から白い服の女が消えていた。
 どういうことだ? 何がどうなってる? 俺は夢を見ているのか?
 混乱するモールズを飲み込もうとするかのように青白い炎がどんどん近づいてくる。
「く、来るな……来るなっ!」
 モールズは車体を急回転させ、青白い炎から猛スピードで逃げ出した。だがどれだけ速度を上げようと青白い炎はどこまでも追いかけてくる。あの炎に飲まれたらどうなってしまうのか? 俺は車ごと焼き尽くされてしまうのか? ついさっきまで妻と子供を、そしてヒッチハイクの女を焼き殺そうとしていたモールズが今は逆の立場となり、追いつめられていた。
「や、やめてくれ! 悪かった、俺が悪かった! 二度と妻や子供には近づかない! だから! だから──」
 完全にパニック状態のモールズ。その前方に青白い炎が浮かんだ。
「うわああああああああああああ!」
 思わずハンドルを切ったモールズの車が道路から外れ岩だらけの荒れ地へと突っ込み、横転した。その数秒後、大爆音をあげ車が紅蓮の炎に包まれた。
 その様子を白い服の女が見つめていて──。

「どこだよ……ここ?」
 デイパック一つの軽装で成田発のアメリカン航空エアバスA321に放り込まれた薩摩次郎は、乗り継ぎに次ぐ乗り継ぎ、総計二十時間以上に及ぶフライトの末、北米メリーランド州キャンプスプリングスにあるアンドルーズ空軍基地の一角に置き去られた。疲労と時差で朦朧とする頭を振り、なぜこうなったのかを思い出す。
 二日前、上海のダイブハンガー建設現場で作業中だった彼は、井手の呼び出しを受けてTPC機に乗り単身日本に帰国した。
 さる筋からの特命で、次郎は海外に派遣されるという。先方には上海の事件の報道管制を筆頭にいくつも借りがあり、断るわけにはいかない事情があるらしい。次郎が国際免許を持っていることも理由のひとつだそうだが、どこへ行って何をすればいいのかさえ「行けばわかる」の一点張りで、最低限の着替えと航空券だけを持たされ強引に送り出されてしまった。別れ際の井手の言葉はこうだ。
「現地に案内人が待っている。一目でわかるよ。ものすごく怪しいから」
「ものすごく怪しい案内人……うわ」
 次郎が見回すと、プロレスラーのような筋肉を黒スーツに包んだ金髪グラサンの大男が近寄ってきた。左手首には金属製のブレスレット。……絶対あれだ。
「ミスタ・サツマ? コールミー・ジャック!」
「ナ、ナイストゥミーチュ、ミスタ・ジャック。アイム・ジロー・サツマ……」
「ジャックでいいよ。ジローか、ジロー君と呼んでも?」
 日本語できるんじゃないか、とむくれる次郎に、ジャックは馴れ馴れしく肩を組んでくる。サングラスを取り、耳元で囁いた。
「大きな声じゃ言えないが、NSA──国家安全保障局の秘密機関・MATの一員さ」
 鋭い眼光が放つプロフェッショナルの怜悧さに、次郎も思わず息を飲む。
「マッチョ……」
「マットだ。Machanized Armoursuit Team」
 ジャックがすかさず訂正した。


 ここからというところですが、試し読みはここまで!
 『ULTRAMAN』のファンも、新規の読者も楽しめる一冊となっておりますので、 続きが気になる方はぜひ、お手に取って続きをご覧になっていただければと思います。

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Ⓒ円谷プロ ⒸEiichi Shimizu,Tomohiro Shimoguchi

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