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挟み込み式関節をアルミ線で攻略! 1/100 シャア専用ゲルググの可動域を向上させる!【週末でつくる ガンプラ凄技テクニック 懐かしのキット編】

2023.02.10

週末でつくる ガンプラ凄技テクニック 懐かしのキット編 月刊ホビージャパン2023年3月号(1月25日発売)

挟み込み式関節をアルミ線で攻略! 1/100 シャア専用ゲルググの可動域を向上させる!【週末でつくる ガンプラ凄技テクニック 懐かしのキット編】

アルミ線を活かして関節をアップデート

 休日の空いた時間、誰でもできる簡単なテクニックで、お手軽にカッコいいガンプラを楽しんで作ってみよう! がモットーの連載企画「ガンプラ凄技テクニック」。懐かしのキット編第12回のテーマは「アルミ線可動」。「1/100 シャア専用ゲルググ」の関節をアルミ線で繋ぐことで可動域を向上させ、さらに各部のバランスを調整を施しお手軽全塗装作品として仕上げました。

講師/林哲平


工作ポイント

▲1/100のゲルググは個々のパーツ自体の基本形状はよいものの、頭部の横幅や可動範囲の狭さ、長すぎる太モモや股間を開くと接地しない靴部などが当時から改修点として指摘されていました。今回はそんな気になるポイントの改造にチャレンジしてみましょう

アルミ線で関節を繋ごう

▲当時ものキットの関節は挟み込み式なので後ハメ不能な部分が多く、また足首などが真っ直ぐに直立しているため、全体的に硬い印象になりがちです。ここはアルミ線を関節に仕込み、お手軽に後ハメしつつ、関節位置を調整して全体の硬さを解消してみましょう。今回はダイソーで購入した2mmのアルミ自在ワイヤーを使用します
▲全体の印象に大きく影響する、脚部から工作していきます。まずは太モモ、スネ、足首パーツをそれぞれ別に接着し合わせ目処理をしておきます。スネ内側の関節接続軸は切り取っておきましょう

▲アルミ線は関節の中にエポパテを詰め込み、そこに突き挿します。パテを詰め込むべく必要な穴を開けるため、写真の緑で着色した部分をレザーソーでカットします。完成後は隠れて見えなくなる部分なので、多少ズレたり汚くなっても全然大丈夫です。ズバッとギコギコ切っちゃいましょう

▲カットした状態。これで上下にエポパテを詰め込むための穴が空きました。レザーソーでカットして荒れたパーツのフチはデザインナイフで毛羽立ちをそれっぽくカットしておくぐらいで問題ありません

▲足首はこの部分をカットします。このように開口部が大きいパーツはレザーソーでのカット中、力がかかって合わせ目がピキッ! と割れることがあるので、作業時間に余裕があるのなら、合わせ目は高粘度タイプのスチロール系接着剤を使ってガッチリと固着させておきましょう

▲スネにエポパテを詰め込みます。全部ぎっしりと詰め込むと太モモやスネが入らなくなってしまうので、詰め込むのはヒザ関節と足首関節の軸の間ぐらい、写真で緑色に着色した部分に詰め込んでおけばOK。見えなくなる部分なので、表面はボコボコしていてもまったく大丈夫です

▲アルミ線を通すための穴を2mmピンバイスで開けます。太モモ用と足首用の2ヵ所開口しておきましょう。前が太モモ用、後ろが足首用です

▲足首にもエポパテを詰め込み、ピンバイスで2mm穴を開けます。アルミ線は微妙な位置決めが可能なので、位置はだいたい真ん中ぐらいでOKです
▲ヒザ関節にも同様の工作を施します。ここはヒザをわずかに後ろに曲げる余裕を作るため、前側に穴を開けておきましょう
▲アルミ線を開口した穴に突き挿します。アルミ線はフレキシブルに可動するのでピッタリと長さをあわせる必要はありません。気持ち長めぐらいにカットしておき、長すぎるときに短く調整すればOKです

▲太モモと靴部をスネに差し込んでいきます。穴に突き挿すだけでも、かなりしっかりと保持されます。あまりにグラつく場合は塗装後に、スネ側のアルミ線をエポキシ系接着剤で固定しましょう。こうすれば太モモと靴部はアルミ線を抜き挿し可能となり、関節の位置調整がより楽になるのです

▲アルミ線で関節を繋いだ脚部。関節位置の調整により硬さが取れ、柔らかな印象となりました。特に足首がフリー可動となり足裏が地面に設置するようになるため、立ちの印象が抜群に改善されるのです
▲股関節にもアルミ線を仕込みましょう。腰のスリットディテールの裏側を埋めるぐらいにエポパテを詰め込み、2mm穴を片側2つずつ、合計4ヵ所開けます。股間は重量がかかる部分ですし、1本だとアルミ線がぐるぐる回転してしまい、グラついて不安定になってしまうのです
▲太モモにもエポパテを詰めてアルミ線を挿す穴を2本開け、アルミ線を挿し込みます。腰側に差し込んでおき、太モモの穴に差し込んでいくと作業しやすいです。塗装後にアルミ線を固定するときは、腰側に接着しましょう
▲下半身が完成しました! 股間が開き、靴部が地面に設置したことでより自然な立ちとなりました。エポパテを詰めるとき太モモの長さを短くしたことで脚部のボリュームが強調され、より重MSらしいフォルムになったので、一石二鳥の工作と言えます
▲脚部の次はヒジ関節にアルミ線を仕込んでいきましょう。まずは前腕にエポパテを詰め込んでいきます。入口が狭いので、細く伸ばして奥に入れてから爪楊枝で奥に押し込みましょう。中に詰め込みすぎると上腕側のヒジ関節が入らなくなってしまうので入れすぎには注意してください。前腕の前半分にエポパテが詰まっているぐらいでOKです
▲前腕に詰めたエポパテに2mmピンバイスでアルミ線を挿し込む穴を開けます。エポパテで爪楊枝で詰め込むとき、真ん中に凹みを作っておくと開けやすくて楽ですよ

▲上腕の関節中心部にアルミ線を挿し込むための穴を開けます。合わせ目の中心部を開口するときはピンバイスの圧力で合わせ目がパキッと割れてしまいやすいので、割れないように合わせ目部分を上下から指でしっかりと押さえて作業しましょう

▲アルミ線を挿し込みます。塗装後に固定するときは前腕側を接着してください。こうしておけば、上腕から多少アルミ線を引き出して位置調整をすることができるのです
▲腕をアルミ線で繋いだ状態。可動範囲はそれほどありませんが、元々ゲルググのヒジ関節もほどんと動きませんし、位置を微調整できるようになるだけでも全体の印象が大きく変わります

肩を可動させてみよう

▲1/100のゲルググの肩は別パーツになっているので一見可動するかのように見えるのですが、実は固定式です。胴体への接着ガイドもなく、塗装後にキレイに接着するのが難しいポイントでもあるので、ここは後ハメ工作と合わせて可動式にしてみましょう
▲肩軸への接続部をプラ板で作りましょう。まずは肩の開口部を1mmプラ板に当て、これをガイドとして内側の輪郭線をマーカーなどでプラ板に描き込みます
▲プラ板をデザインナイフで切り出します。定規を当てて何回か切り込み線を入れ、パキッと折り取るように切り出します。上の湾曲している部分はフリーハンドで切り込みを入れるで充分です。完成後はほぼ見えなくなる部分なので、難しい工作と構えず気楽に行きましょう

▲切り出したプラ板を接着してから、肩軸を通す穴をデザインナイフで開けていきます。削りすぎると肩軸に上手くハマらなくなるので、こまめに合わせてチェックしながら作業しましょう

▲肩の接続方法を変えたことで腕が回転可能になりました! ここが動けば、ビーム・ナギナタを振り回したり、ビーム・ライフルを構えるポージングが可能となります。肩軸への固定は塗装後にエポキシ系接着剤で行いましょう

頭部の幅を詰めよう

▲1/100のゲルググは頭部の左右幅が広く、当時から幅を詰めるのが定番工作とされていました。今回は「HOW TO BUILD GUNDAM」掲載の小田雅弘氏による作品に倣って、片面で1mmずつ、合計2mm幅を詰めてみましょう

▲プラ板に180番紙ヤスリで当て木し、合わせ目を削っていきます。当時ものキットの合わせ目を消す前の事前工作と同じ作業なのでまったく難しくありません。ただ、意外と自分が思っていた以上に削れていることが多いのでこまめなチェックを忘れないでくださいね

▲当時のゲルググと言えば鼻の穴(?)です。キットでは金型の抜きの関係で再現されていないので、追加してみましょう。マーカーで開口部を十字に描き込み、デザインナイフの先でくるくる抉ってアタリをつけておけば位置がズレるのを防げます。最後は1mmピンバイスで広げて軽く穴を開けておけばOKです。貫通させる必要はありませんし、深さは1mmぐらいで充分です

▲完成した頭部。幅詰めにより精悍な印象となり、顔に穴が追加されたことで設定のイメージにグ~ンと近づきました! どれも難しい工作ではなく、合わせ目を消すぐらいの工作力があればきっとできるはずです。ぜひチャレンジしてみてくださいね
▲ゲルググの首は戦車プラモデルの砲塔の接続のように、このように切り欠いておくと簡単に後ハメ可能です。胴体の切り欠きの一部を広くとっているのは、ここを広げておかないと突き出した鼻が襟に引っかかってしまうためです。頭をはめ込んだら穴は見えなくなるので大丈夫ですよ

胴体の加工

▲工作をすべて終えた状態。工作前と比べ、抜群に印象が変わったのが分かりますね? 手間的にははめ込み式関節を活かしてそのまま作るよりも、ずっと楽でストレスがないです。これもアルミ線仕上げの素晴らしいところなのです

胴体の加工

▲工作が多い作品の場合、ヤスリ傷が残りやすいので一度下地にサーフェイサーを吹き、傷をチェックしたり、細かな傷を埋めたりしておいたほうが仕上げは楽になります。シャア専用機の場合はピンクサーフェイサーを吹いておけば赤の発色もよくなり、一石二鳥です
▲それぞれのパーツを塗装した状態。アルミ線で関節をつなげば現代のガンプラのようにブロックごとに塗装可能となるため、塗装が格段に楽になります。手足はMr.カラースプレーのシャインレッド、胴体はMr.カラーのマルーンをイージーペインターで吹き付けています。マスキングの難しいソールやニーパッドは水性ホビーカラーの黒鉄色で塗装し、はみだした部分はマジックリンなどの強アルカリ系洗剤で拭き取っています

▲ゲルググはスネや肩アーマー、スカートの開口部が非常に目立つので、水性ホビーカラーのつや消しブラックで塗っておくと全体が抜群に引き締まります。はみ出た部分は強アルカリ系洗剤を染み込ませた綿棒で拭き取りましょう。アルミ線仕上げなら、他のパーツが邪魔にならないので塗るのも簡単です

■挟み込み関節の救世主「アルミ線」
 当時ものキットの製作でもっとも大きなハードルとなるのが挟み込み式の関節です。シャア専用ザクやリアルタイプガンダムでも解説しましたが、分解できないゆえに塗装が非常に困難な作業となってしまうのです。ですが、それを解決してくれる魔法のマテリアルがアルミ線です。自由に動くため手足の角度を微妙なバランスで調整可能で、パテを詰め込んで挿し込むだけのお手軽工作。ストレートに無改造で製作するよりも、アルミ線で各部を繋ぐほうがはるかに簡単に製作できてしまうのです。


■関節位置の調整でグレードアップ
 アルミ線工作で特に効果的なのは足首です。当時ものキットは関節の構造上、接地性はあまりよくないのですが、アルミ線を使えば現代のキットのように地面を踏みしめることができるので、重量感と安定感が抜群によくなります。当時ものキットは個々のパーツ形状はよいのですが、関節の位置によるバランス変化で損をしているキットが結構多いです。アルミ線はそんな難点も一気に解決してくれるのです。


■アルミ線関節は「固定モデル」と認識しておこう
 そんなアルミ線関節ですが、フリー可動とは言えど、自由自在に関節が動くものではありません。あくまで「手足の位置が微調整できる固定モデル」ぐらいに考えておきましょう。「ぐねぐね曲げたら折れないか?」と心配になるかもしれませんが、アルミ線が折れるほど何十回も関節を曲げることはそうありませんし、いざ破損してもペンチで引き抜いて新しいアルミ線を差し込めば簡単にリカバリー可能です。「このキットは難しそう」とあの頃製作を諦めてしまったキットでも、今こそアルミ線可動でリベンジしてみてくださいね♪

BANDAI SPIRITS 1/100ケール プラスチックキット

MS-14S シャア専用ゲルググ

製作・文/林哲平

© 創通・サンライズ

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林哲平(ハヤシテッペイ)

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