アルミ線を活かして関節をアップデート
休日の空いた時間、誰でもできる簡単なテクニックで、お手軽にカッコいいガンプラを楽しんで作ってみよう! がモットーの連載企画「ガンプラ凄技テクニック」。懐かしのキット編第12回のテーマは「アルミ線可動」。「1/100 シャア専用ゲルググ」の関節をアルミ線で繋ぐことで可動域を向上させ、さらに各部のバランスを調整を施しお手軽全塗装作品として仕上げました。
講師/林哲平
工作ポイント
アルミ線で関節を繋ごう
▲アルミ線は関節の中にエポパテを詰め込み、そこに突き挿します。パテを詰め込むべく必要な穴を開けるため、写真の緑で着色した部分をレザーソーでカットします。完成後は隠れて見えなくなる部分なので、多少ズレたり汚くなっても全然大丈夫です。ズバッとギコギコ切っちゃいましょう
▲足首はこの部分をカットします。このように開口部が大きいパーツはレザーソーでのカット中、力がかかって合わせ目がピキッ! と割れることがあるので、作業時間に余裕があるのなら、合わせ目は高粘度タイプのスチロール系接着剤を使ってガッチリと固着させておきましょう
▲スネにエポパテを詰め込みます。全部ぎっしりと詰め込むと太モモやスネが入らなくなってしまうので、詰め込むのはヒザ関節と足首関節の軸の間ぐらい、写真で緑色に着色した部分に詰め込んでおけばOK。見えなくなる部分なので、表面はボコボコしていてもまったく大丈夫です
▲アルミ線を通すための穴を2mmピンバイスで開けます。太モモ用と足首用の2ヵ所開口しておきましょう。前が太モモ用、後ろが足首用です
▲太モモと靴部をスネに差し込んでいきます。穴に突き挿すだけでも、かなりしっかりと保持されます。あまりにグラつく場合は塗装後に、スネ側のアルミ線をエポキシ系接着剤で固定しましょう。こうすれば太モモと靴部はアルミ線を抜き挿し可能となり、関節の位置調整がより楽になるのです
▲上腕の関節中心部にアルミ線を挿し込むための穴を開けます。合わせ目の中心部を開口するときはピンバイスの圧力で合わせ目がパキッと割れてしまいやすいので、割れないように合わせ目部分を上下から指でしっかりと押さえて作業しましょう
肩を可動させてみよう
▲切り出したプラ板を接着してから、肩軸を通す穴をデザインナイフで開けていきます。削りすぎると肩軸に上手くハマらなくなるので、こまめに合わせてチェックしながら作業しましょう
頭部の幅を詰めよう
▲当時のゲルググと言えば鼻の穴(?)です。キットでは金型の抜きの関係で再現されていないので、追加してみましょう。マーカーで開口部を十字に描き込み、デザインナイフの先でくるくる抉ってアタリをつけておけば位置がズレるのを防げます。最後は1mmピンバイスで広げて軽く穴を開けておけばOKです。貫通させる必要はありませんし、深さは1mmぐらいで充分です
胴体の加工
胴体の加工
■挟み込み関節の救世主「アルミ線」
当時ものキットの製作でもっとも大きなハードルとなるのが挟み込み式の関節です。シャア専用ザクやリアルタイプガンダムでも解説しましたが、分解できないゆえに塗装が非常に困難な作業となってしまうのです。ですが、それを解決してくれる魔法のマテリアルがアルミ線です。自由に動くため手足の角度を微妙なバランスで調整可能で、パテを詰め込んで挿し込むだけのお手軽工作。ストレートに無改造で製作するよりも、アルミ線で各部を繋ぐほうがはるかに簡単に製作できてしまうのです。
■関節位置の調整でグレードアップ
アルミ線工作で特に効果的なのは足首です。当時ものキットは関節の構造上、接地性はあまりよくないのですが、アルミ線を使えば現代のキットのように地面を踏みしめることができるので、重量感と安定感が抜群によくなります。当時ものキットは個々のパーツ形状はよいのですが、関節の位置によるバランス変化で損をしているキットが結構多いです。アルミ線はそんな難点も一気に解決してくれるのです。
■アルミ線関節は「固定モデル」と認識しておこう
そんなアルミ線関節ですが、フリー可動とは言えど、自由自在に関節が動くものではありません。あくまで「手足の位置が微調整できる固定モデル」ぐらいに考えておきましょう。「ぐねぐね曲げたら折れないか?」と心配になるかもしれませんが、アルミ線が折れるほど何十回も関節を曲げることはそうありませんし、いざ破損してもペンチで引き抜いて新しいアルミ線を差し込めば簡単にリカバリー可能です。「このキットは難しそう」とあの頃製作を諦めてしまったキットでも、今こそアルミ線可動でリベンジしてみてくださいね♪
BANDAI SPIRITS 1/100ケール プラスチックキット
MS-14S シャア専用ゲルググ
製作・文/林哲平
© 創通・サンライズ