HOME記事ガンダム懐かしの1/100リアルタイプガンダムを固定モデルで仕上げる! 挟み込み式関節はもう怖くない!【週末でつくる ガンプラ凄技テクニック 懐かしのキット編】

懐かしの1/100リアルタイプガンダムを固定モデルで仕上げる! 挟み込み式関節はもう怖くない!【週末でつくる ガンプラ凄技テクニック 懐かしのキット編】

2023.01.12

週末でつくる ガンプラ凄技テクニック 懐かしのキット編 月刊ホビージャパン2023年2月号(12月23日発売)

懐かしの1/100リアルタイプガンダムを固定モデルで仕上げる! 挟み込み式関節はもう怖くない!【週末でつくる ガンプラ凄技テクニック 懐かしのキット編】

 休日の空いた時間、誰でもできる簡単なテクニックで、お手軽にカッコいいガンプラを楽しんで作ってみよう! がモットーの連載企画「ガンプラ凄技テクニック」。懐かしのキット編第11回は「固定モデル製作法」。当時ものキットの中でも多くのモデラーが製作に頭を悩ませる「リアルタイプガンダム」を題材に、可動を省いてストレスなく仕上げる製作法を学んでみましょう。

講師/林哲平


固定モデルで作ってみよう

▲1/100のリアルタイプガンダムは脚部は股間と足首が固定で、ポージングには不向きです。今回は思い切って可動をオミットし、固定モデルとして仕上げてみましょう

▲当時ものキットの関節は基本挟み込み式です。可動を活かす場合、可動軸を外装の穴に合わせて接着、合わせ目を消して塗装するのが本来のスタイルですが、塗装の手間を考えるとどうしても面倒なもの。固定モデルに可動は不必要なので、ニッパーで抜け防止用のストッパー部分をカットしてしまいましょう。これで塗装後にパーツを差し込めるようになり、作業の手間が大幅に減らせます

▲前述の通りリアルタイプガンダムの可動はヒザ関節のみ。股間、足首は固定です。まずはこの特徴的な脚部を加工していきましょう。まずは別々にパーツを接着します。可動がないので、関節を動かしたとき「パキッ!」と接着面が割れることもありません。速度を重視し速乾タイプの流し込み接着剤を使いましょう

脚部の加工

▲別々にパーツを接着した場合、そのままだとこのように関節軸が干渉し、パーツがハマらなくなります。ここは関節軸をニッパーで切り飛ばします

▲軸をカットした後に太モモを合わせればこの通り。ただし、パーツがピッタリの状態だと塗装後にパーツをはめ込むときに擦れ、干渉してガリガリ塗膜を削ってしまうので、太モモの受け部分を削ってほんの少し隙間を作ります。プラ板に紙ヤスリを貼って作業すると調整しやすいです

▲関節に固定用の軸を埋め込みます。ピンバイスで関節に3mm穴を開け、ランナーを差し込んで接着しておきます
▲軸を埋め込んだ状態。関節は塗装後に接着するとき、普通に接着剤を使うとはみ出したり、塗膜を溶かして汚くなってしまいます。太モモ側にエポパテを詰め込み、スネの軸を差し込むことで美しく固定することができるのです
▲ここまで作業が進んだら合わせ目消しや表面処理に移ります。固定化など改造工作は先に済ませておき、基本工作は後でまとめてやってしまうほうがより作業を効率的に進めることができますよ
▲どうしても隙間ができて接着剤だけでは合わせ目を消しきれなかったりする部分もあります。今回はMr.瞬間接着パテを使って隙間を埋めてみましょう。まずは粉末を溶液で溶いてペースト状に混ぜていきます
▲Mr.瞬間接着パテを隙間に刷り込み、埋めていきます。10分もすれば硬化するので作業スピードも抜群です。なお、もっと作業を急ぐときは瞬間接着剤硬化スプレーを使うと効果的ですが、吹きすぎるとパテが発泡するので注意してください

▲硬化したらデザインナイフで削って形を整え、紙ヤスリで削り仕上げます。Mr.瞬間接着パテはプラへの食いつきがよく、硬化スピードも速いため細部の修正が多い当時ものキットの製作で大活躍します。ぜひ使ってみてください


腕部の加工

▲脚部の次は腕を固定しましょう。前腕の関節部にフィールドモーター中心部がついています。ここを軸として腕が可動するため、脚部のように単純にニッパーでカットするだけだと穴が空いてしまいます
▲ここは可動軸を上腕関節部に移植しましょう。ニッパーでバチッ! とカットすると歪んだり破損したりするので、デザインナイフで少しずつ周りに切り込みを入れながら切り出します
※固いものを切るときは力を入れすぎて手をすべらせないよう注意しましょう
▲上腕にカットした可動軸を差し込んだら、裏側から流し込み接着剤で固定します。裏側は完成後見えなくなる部分。接着剤がはみ出したりしても目立ちません
▲可動軸を移植した状態。フィールドモーターの見映えを損なうことなく、前腕関節を上腕に差し込めるようになりました
▲続いて肩関節を加工します。肩は上腕を肩アーマーで挟み込み、上腕についた出っ張りが肩アーマー内側に刻まれたダボにロックされることで角度をつけて可動するという構造になっています。写真で黒く塗った部分をカットしていきましょう
▲デザインナイフで少しずつ削ります。広い面積の場合、ニッパーで手早く加工したくなりますが、接着したパーツの場合、刃の圧力で接着面がパキッと割れてしまうことがあるのです。慎重に行きましょう
▲肩関節を加工した状態。塗装後、肩アーマー内側の軸にはめ込んで接着すればOKです。加工部が荒れていても、完成後はまったく見えなくなるので問題ありません
▲肩アーマー内側は完成後も見えるので、合わせ目がそのままだと気になる部分です。指が入りにくく作業しづらい部分ですが、キサゲのカンナがけならあっという間に処理することができます
▲腕の加工が終わった状態。ヒジ関節は脚部同様にランナーで軸を作り、手首は抜け防止用のストッパー部分をカットしておきましょう

胴体の加工

▲コア・ファイターは可動を活かすと極めて難易度が高くなる部分ですが、固定なら作業も一瞬です。機首、本体と2ブロックに分け、翼は展開させずに接着。コア・ブロック変形用の軸は切り飛ばしておきましょう
▲胴体はパーツナンバー38を肩の内側に接着しておきましょう。これで塗装後に腕が装着可能となります。ただし、そのままだと腕を差しこむとき、力がかかって内側にパーツが外れてしまうので、エポパテをこのように詰め込んでパーツが動かないようにストッパーを作っておきましょう
▲Aパーツ、コア・ブロック、Bパーツを組み合わせた状態。コアチェンジギミックを活かすと塗膜の厚みまで考えたすり合わせが必要になりますが、固定ならそんな悩みもありません。これまで製作してきた手足より、ずっと楽に作業できるのです
▲ハイパー・バズーカとロケット砲も付属しますが、すべての武器を作るのは大変です。固定ポーズなので武装はビーム・ライフルに絞って製作。これで作業時間を大幅に短縮することができます
▲ビーム・サーベルはバーニア部まで刀身が貫通して保持する構造となっています。固定ポーズでサーベルを振り回す必要もないので、刀身はカットして見映え重視で仕上げましょう

▲シールド内側には押し出しピンの跡があります。これは金型からプラキットのパーツを外すときにできるもの。シールド裏は完成後も目立つので、キサゲで削り込んだあと、紙ヤスリで整えて処理しましょう。押出しピンが深く、削り込みだけで対処できないときはMr.瞬間接着パテで埋めてから作業しましょう

▲パーツの加工が終わった塗装前の状態。当時ものキットは関節が挟み込み式なので工作には工夫が必要ですが、固定ならその必要はなく作業時間も大幅に短縮されるのです

塗装したパーツを固定する

▲すべてのパーツの塗装が終わった状態。ここまで来ると急いで完成させたくなりますが、全塗装仕上げの場合、最後の組み立てがもっとも神経を使います。下地がツヤ消しや半ツヤの場合、指紋が染み込んで取れなくなることがあるので、こまめに手を洗い、指を清潔に保ちながら作業しましょう
▲当時ものキットは中空構造。軽いため、完成後も転倒しやすく、全塗装した作品が倒れて破損した場合、モデラーへの精神的ダメージはソーラレイ級です…。足裏に油粘土を詰め込んでおきましょう。重心が安定し、転倒しにくくなります
▲切り飛ばした関節はエポパテで固定します。まずはエポパテを捏ね、ピンセットで受け側のパーツに詰め込みます。塗装した表面部分にエポパテが付着すると汚くなってしまうので注意してください
▲関節を差し込んで固定します。事前に仕込んでいたランナー軸がエポパテに突き刺さり、硬化することでしっかりと固定されるのです。ヒジ関節も同様に作業しましょう。エポパテを接着剤代わりに使うわけです
▲股間と太モモはエポキシ系接着剤で固定します。固定するときは足裏を水平に地面に接地させ、隙間が出ないように注意すること。片足が浮くと、足首が固定されていることによるドッシリとした重量感が損なわれてしまいます
▲肩もエポキシ系接着剤で固定します。接着剤がはみ出さないように、軸ではなく受け側に接着剤を着けましょう。シールドを保持する左肩には得に重量がかかるため、特別ガッチリと固定しておきましょう

▲シールドはそのまま持たせると自重で外側に傾いてしまいます。これは不自然でカッコ悪いので、手首のシールド保持穴にエポキシ系接着剤を塗り、垂直状態で固定しましょう。固定モデルはポージングや武器の持ち替えも不要です。固定は破損を防ぎ、作品の安定性を高めてくれるのです

 当時ものキットに多くのモデラーが感じる「難しさ」。それは全塗装をするとき可動とどう両立させるか? に尽きます。挟み込み式の関節は一度接着すると外せませんし、関節部は塗装が難しい割に、動かすたびに塗料が剥げてしまったり。この悩みを解消するアイデアのひとつが「固定化」です。関節が動かなければ、塗膜が剥げることもありませんし、塗装後にすべてのパーツを接着すればいいため作業の手間が大幅に楽になります。今回チョイスした「1/100 リアルタイプガンダム」はそもそもほとんど動かないので、固定モデル入門にはピッタリです。どっしりと足裏が地面に接地した、安定感ある超合金トイ的な力強さは他にない格別なもの。ぜひ、作ってみてくださいね♪

BANDAI SPIRITS 1/100ケール プラスチックキット

RX-78 リアルタイプガンダム

製作・文/林哲平

© 創通・サンライズ

この記事が気に入ったらシェアしてください!

林哲平(ハヤシテッペイ)

オススメの書籍

月刊ホビージャパン2023年2月号

ご購入はこちら

セイラマスオの気まぐれガンプラ製作記

ご購入はこちら

週末でつくる ガンプラ凄技テクニック ~ガンプラ簡単フィニッシュのススメ~ ミキシング編

ご購入はこちら
PAGE TOP
メニュー