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これがエントリーグレード!? 徹底的なスジ彫りでハイディテールな「ガンバレルストライク」を製作【HJ Web人気記事Pick up】

2022.12.14

3.徹底的なスジ彫りモールドでハイエンド化/GAT-X105+AQM/E-X04 ガンバレルストライクガンダム【BANDAI SPIRITS 1/144】 月刊ホビージャパン2022年9月号(7月25日発売)

工作解説/コボパンダ

 模型を1ランクアップデートさせる表現方法のひとつとして「スジ彫り追加によるディテールアップ」があります。元のキットに入っているパネルラインや段差などのモールドを彫り込むことでディテールをくっきりさせたり、フラットな面にスジ彫りを追加することで情報量を増やしたりなど、立体物としてメカ的な説得力を高めることができます。1/144スケールパート、3つ目のテーマは「スジ彫りモールドによるハイエンド化」ということで、“スジ彫り職人”コボパンダがディテールアップ工作の題材としてはうってつけのフラットなキット「ENTRY GRADE ストライクガンダム」を使用して、スジ彫りモールドや一体成型パーツの別パーツ化、プラ板貼り足しによる凸モールドの追加など、各種テクニックを駆使して徹底的なハイエンド化を行っていきます。また、サブテーマとしてHG105ダガー+ガンバレルからストライカーパックをコンバートしてガンバレルストラクガンダムとして完成させています。

▲月刊ホビージャパン2021年7月号の表紙を飾ったHG Ξガンダム。各部エッジ出しとシャープ化でより鋭利なシルエットに仕上がっています

●プロモデラーQ&A

 今回の作例製作に欠かせないツールorマテリアルを1点教えてください。
 BMCタガネの3mm幅です! 彫刻刀のように使ったり、広い段差を彫るときやV字型に彫り込みを入れるときなどにとても重宝します。

 作例製作時に意識していることは?
 ディテールを彫ることがとても大好きなのですが、それをやる前に自分が「カッコいい!」と思うバランスにするまで基礎的な工作を徹底するようにしています。延長工作や削り込みで全体のバランスを整え、そのあと可動部の隙間やプラの厚みなど意識しながら作業しています。ほぼ作業の大半がヤスリがけと整形になります。立ち姿がカッコよければ全部OK! という謎の理念があって、多少なら可動部分を犠牲にしてでも理想のプロポーションを形にするように意識しています。ディテールはそこまで頑張った自分に、ご褒美としての作業という感じです。ディテールが彫りたいがために全部の工作を頑張る、という言い方もできます。ディテールは現用戦闘機や戦車、設定を掘り下げた本やイラストなどの資料から想像を膨らませて彫っています。知り合いのモデラーがカッコいいディテールを入れていたりすると「やられた~」と思いつつメモしたり、ジャンクパーツに彫ってみて練習して、作例に落とし込むようにしています。
 ついついやってしまうこだわりポイントを教えてください。
 メンテナンスハッチがとても好きなので、よく入れがちです。丸ディテールよりも長方形型のいわゆる「スイッチ」を多用するのが好みで、ついつい入れすぎて塗装前にパテで埋めて数を減らすこともあります。メンテナンスハッチがあるなら注意書きもあるでしょ~と、コーションデカールを貼って完成させることが多いです。幸せなことにかなり自由に作らせていただくことが多いので、「デカールもディテールの内」というこだわりで、デカールを貼る位置も含めてディテールを彫っています。

❶合わせ目位置の変更

▲合わせ目の位置を変えて塗装後の見映えをよくします。縦方向にある合わせ目を、目立たない横方向にするように、0.1mm幅のエッチングソーを使ってパーツのサイドから丁寧にカットします

▲カットした後、スチロール樹脂系接着剤で接着します。強度確保のためにサイドに切り欠きを入れてプラ板を埋め込みます。接合部は下から瞬間接着パテで軽く補強します

❷スジ彫りと段落ちモールドを追加

▲スジ彫りと段落ちモールドで凹凸感のあるディテールにします。まずはスジ彫り。距離が短いのでデザインナイフで切り込みを入れてガイドを作ります。薄くVの字になるように切り込みを入れると、タガネが滑らないで彫れます
▲タガネは細めの0.1mmでスジ彫りを入れていきます。力を入れすぎず、引っかくように彫っていきます。外側を段落ちモールドにするため、やや深めに彫ります
▲彫った部分をサイドから彫刻刀(または幅広のタガネ)で切り欠いて段落ちモールドを作ります。薄く皮を剥く感じで段落ちを作っていくとガタガタにならず、あまり力を入れないため刃が滑らず、ケガにも繋がりにくいです
▲最後に段差を整えて段落ちモールド完成です

❸腰部アーマーのエッジ出しと別パーツ化

▲フロントアーマーのエッジ出しをします。エッジ出しは削り込みで行うことが多いですが、全体的に小さくなってバランスが変わってしまうことがあります

▲それを回避するために、エッジ部分にプラ板を貼って囲み、そこから削り込むことで大きさを保ったままエッジを出すことができます。プラ板を貼る面積が小さいので接着剤はスチロール樹脂系を使用します

▲リアアーマーは1パーツ整形なので、カットして立体感を出していきます
▲カットする隙間に0.125mmのタガネを使ってスジ彫りを彫ります。エッチングソーがきれいに入るためのガイドなので、ズレないようにパーツの縁に沿ってまっすぐ彫ります

▲0.1mm幅のエッチングソーは刃を滑らす方向を一方通行にして、軽い力で刃が垂直に入ることを意識するときれいに縦にカットできます

▲パーツを分けることによって立体感だけでなく、ヤスリを当てやすくなるのでエッジ出しも簡単になります。最後にディテールを入れて完成です

❹太モモの延長とスネの別パーツ化

▲太モモを延長します。上部にプラ板を足して2mm延長。パーツが前後合わせなのですり合わせは入念に行います。プラ板を足した後、関節パーツを入れる部分をリューターでくりぬき、内側を瞬間接着パテで補強して強度をつけます
▲関節パーツは外装パーツに合わせて下部にプラ板を貼り付け、軸は真鍮線を通して補強しました
▲前後合わせのパーツは、下部の合わせ目の位置を変えて見映えをよくしています
▲スネパーツは後ろ側の合わせ目を処理するため、ふくらはぎのラインを利用して後ろ側をカット。塗装後に接着しました

❺ディテール変更

▲エントリーグレード ストライクガンダムの関節パーツはやや癖のある形状をしているので、ディテールを変更します
▲まずはキットのモールドを粗めのヤスリで削り落とします。この時点できれいにエッジが出るように整面しておくと後々の作業が楽になります
▲削り落とした部分にスチロール樹脂系の接着剤で0.3mmのプラ板を貼り、充分に乾燥させた後、整面して好みのディテールを彫り込めば完成です
▲次に肩パーツのディテールを変えていきます。肩装甲のパーツは一体成型なので、工作しやすいように3分割します

▲側面部分はスラスターパーツを自作して貼り付け、密度感をアップしてみました。天面はディテールを密集させたプラ板を貼り付けて、ハイディテールに見えるようにしています

❻肉抜き埋め

▲各部の肉抜きをエポパテで埋めていきます。角度によっては見える靴裏はディテールを追加します

❼そのほか工作

▲腕部は前腕を分割し、MGストライクガンダム Ver.RMのようなディテールにしました。切り取ったパーツを削り込んで、フラットな面に凹凸を追加しています
▲ハンドパーツはビルダーズパーツHD「1/144 MSハンド03(連邦系・Sサイズ)」を使用しました。握り拳のパーツは親指の位置を変えて立体感を出しています

▲武器各種はジャンクパーツにあったRGエールストライクガンダムのパーツを使用しています。ビームライフルはビルダーズパーツHDのハンドパーツとも相性がよく、シールドはエントリーグレードのシールド取り付けパーツがほぼ無加工(軸を少し瞬着パテで太らせるだけ)で取り付けが可能です

❽完成

▲完成したGAT-X105+AQM/E-X04 ガンバレルストライクガンダム。エントリーグレードのキットをベースにしたとは思えないほど、各部エッジが立ち、精密なディテールによるハイエンドな仕上がりになっています
▲スジ彫りや段落ちモールドの追加だけでなく、肩アーマー天面や首元にはディテールを追加したプラ板を貼り足して、全体的にディテールを追加した中でもさらに緩急を付けています
▲エントリーグレードはHGシリーズのストライカーパックに対応しているので、ガンバレルストライカーも無加工で装着可能です
▲ガンバレルストライカーは本体に合わせて一部ディテールを追加した以外はストレートに仕上げました
▲キット素組み(左)との比較。全身各所に追加されたディテールをご確認ください。スジ彫りディテールとそれを活かしたパネル面での色分け、プラ板貼り足しや削り込みでの凹凸の追加などによって圧倒的に情報量が高められているのが確認できます。また、一見するとスケール感覚が狂ってしまうほどの精密なスジ彫りも見どころです

▲製作途中状態を見れば、どこにどういった工作が施されているのかをより分かりやすく確認することができます

■バキバキにディテールアップ
 エントリーグレードのストライクガンダムをバッキバキにディテールアップするという依頼を受け、大喜びで食いついたコボパンダです。ディテールを入れることが大前提なのですが、せっかく改修するんだから何かコンセプトを入れたいと思い、パッと思い浮かんだのが、「エントリーグレードらしさを消す」でした。プロポーション、関節、パーツ分割による印象の変化、そしてディテールの総合タッグで製作開始です。

■プロポーション変更
 太モモを装甲と軸それぞれで2mmプラ板で延長しました。装甲パーツは上部にプラ板を貼った後、リューターで関節パーツが入る隙間を確保します。軸は真鍮線で補強しつつプラ棒で延長しました。腹部は可動による隙間を埋めつつ腹部下面にプラ板を1mm貼り付けています。軸は延長していないので腹部~腰まで縦のプロポーションは変わらないですが、腹部パーツの印象が変わったことで全体的に細身に見えるようにしています。首パーツはプラ板で0.5mm延長。上腕も0.5mm延長して、脚部を延長したぶんの帳尻を合わせています。

■関節とパーツ分割
 関節パーツはヒジ部分はモールドを削り取り、0.3mmプラ板を貼って新しくディテールを彫り込んでいます。ヒザ関節も一部のモールドを瞬間接着パテで埋めました。ヒザ関節後ろ側は可動粋確保のための隙間がやや目立つので、プラ板を貼って隙間を隠しています。前腕はエッチングソーで分割して、MGストライクガンダム Ver.RMのようなディテールにしています。胸部の首元のパーツも切り欠いてディテールパーツを自作しました。スネ後ろ側も合わせ目を消すために分割し、ディテールアップをかねて塗り分けしやすいようにしています。

■ディテール
 ディテールはMGとPGを参考にしつつ、段落ちモールドとスジ彫りで凹凸を出しています。塗装はRGを参考にガイアノーツのニュートラルグレー各種を混色して色分けしています。マスキングがとても大変ですが、効果はあったと自己満足で片づけています。

■塗装
赤=ブライトレッド
青=コバルトブルー
白=アルティメットホワイト+ニュートラルグレーI
白2=ニュートラルグレーI+ニュートラルグレーII

BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット “エントリーグレード”ストライクガンダム+“ハイグレード”105ダガー+ガンバレル 使用

GAT-X105+AQM/E-X04 ガンバレルストライクガンダム

製作・文/コボパンダ

ENTRY GRADE ストライクガンダム
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部●770円、2022年1月発売●1/144、約13cm●プラキット

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ⓒ創通・サンライズ

コボパンダ

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