HOME記事ガンダム1/144スケール「ブラウ・ブロ」(全高約50cm)をスクラッチビルド!パーフェクト・ガンダムとドッギングした圧倒的な作例を見よ【機動戦士ガンダム サンダーボルト 連載10周年記念企画】

1/144スケール「ブラウ・ブロ」(全高約50cm)をスクラッチビルド!パーフェクト・ガンダムとドッギングした圧倒的な作例を見よ【機動戦士ガンダム サンダーボルト 連載10周年記念企画】

2022.10.15

パーフェクト・ガンダム(GUNDAM THUNDERBOLT Ver.)&MAN-03 ブラウ・ブロ(GUNDAM THUNDERBOLT Ver.)【1/100】 月刊ホビージャパン2022年11月号(9月24日発売)

1/144スケール「ブラウ・ブロ」(全高約50cm)をスクラッチビルド!パーフェクト・ガンダムとドッギングした圧倒的な作例を見よ【機動戦士ガンダム サンダーボルト 連載10周年記念企画】

ニュータイプ、ダリル・ローレンツ

「THUNDERBOLT MECHANICS」とは、『機動戦士ガンダム サンダーボルト』の登場モビルスーツをキット化に先駆けて立体化するという、月刊ホビージャパンと『機動戦士ガンダム サンダーボルト』とを繋ぐ企画である。そして本企画の中心的モデラーのひとりとして、カーモデルで培われたスクラッチ技術をいかんなく発揮してきたのが竹内陽亮氏。立体化第1弾となった1/100ジムを皮切りに、ガンキャノン、ガンタンク、アトラスガンダムといった主要機体のみならず、ときには1/144スケールのゾックやアッガイ、コア・ファイターといったサービス精神あふれる変化球的作品も彼の魅力といえるだろう。そして今回も、そんな竹内氏の技術力とサービス精神によって、新たな大作がついに完成した。ニュータイプとして覚醒したダリルの新たな力、ブラウ・ブロ。圧倒的な存在感を誇るその全貌をたっぷりとご覧いただこう。


 ダリル・ローレンツの新たなる力、ブラウ・ブロついに完成!

▲月刊ホビージャパン2022年3月号掲載のパーフェクト・ガンダムの記事にて予告していたモビルアーマー、ブラウ・ブロがついに完成。全長約45cm、全高約47cmを誇る「THUNDERBOLT MECHANICS」屈指の大ボリュームモデルである
▲同じく竹内陽亮によるパーフェクト・ガンダム用にドッキングパーツも製作。本体であるガンダムがさらに小さく見えてしまうほどの圧倒的巨大感!

▲モビルアーマーということもあり、可動部の少ないブラウ・ブロだが、本体下部に隠されている二本のアームの展開ギミックは差し替え無しで再現されている

▲月刊ホビージャパン2022年3月号掲載のジオングとのツーショット。圧倒的戦闘力を持つ機体同士の決戦は、果たしてどのように描かれるのだろうか?

▲機体前面のジョイントパーツは収納状態も製作。パーツを差し替えればルナツーの格納庫に保存されていた、ブラウ・ブロの単体の状態も再現できる

▲巨大なメガ粒子砲塔。分離することはできないが、特徴的なモノアイはしっかり再現されている
▲数々のスクラッチを手掛けてきた竹内氏の精密な彫刻によるパネルラインにも注目!
▲ブースターを外した際に見える本体後部のディテールも可能な限り再現した

▲塗装前のブラウ・ブロ。曲面の多いデザインながら、そのパーツのほとんどはバキュームフォームをメインとしたアナログ造形で製作されている

▲本体部分のバキュームフォーム用に製作されたバルサ製の原型(左)とその複製品をベースに加工を加えたもの(右)
▲こちらは製作中のブースター部分。大きなパーツの接続にはポリキャップが使用された
▲竹内氏の次なる野望はなんと1/144スケールのビグ・ザム! その全貌は近日公開予定!

 それぞれの国家や団体が持つイデオロギーの対立が、物質的な衝突に発展し、より拡大していくことを「戦争」と捉えるならば、サンダーボルトの世界観でもそれらが如実に表されているかと思います。さまざまな勢力が、それぞれの思想の元に対立し、話し合いを繰り返したあげく結局の所、武力衝突へと発展していく有様は、人類の歴史そのものかと言えましょう。そして武力同士が衝突する実際の現場において、物資の調達等は混迷を極める事も容易に想像出来ます。そこでは連邦側が開発した兵器であれ、ジオン製の物であれ関係なく、使える物は使ってその場をしのぎ、運よく生き延びたら帰って安堵につける。そんな極限的現場を表現し、ガンダム世界の概念を打ち砕くのがサンダーボルト。地球連邦軍のエンブレムが付いたジオングが登場したり、コミックではジオン側のモビルアーマーである「ブラウ・ブロ」に、主役機のガンダムがドッキングしている様は、異様でしかありません。しかしそれゆえに、ストーリーは複雑で面白く、驚くような展開となっています。詳しい成り行きを知りたい方はぜひ、単行本をオススメします。

■製作の指針
 これまでさまざまなサンダーボルトメカを月刊ホビージャパン作例として立体化してきましたが、本編の内容もますますクライマックスへと進行している雰囲気ですね。ということで、やはりブラウ・ブロの製作も避けては通れまいと、1/144スケールにて製作を決断し、提案しました。製作は、漫画本編の登場シーンや、カラーイラスト等を参考にして進めるのですが、形状の曖昧な部分は自己解釈も織り込みつつ決定します。基本的に複雑になり過ぎない様に、やや省略した造形を目指しますが、それでもアニメデザインよりディテールは遥かに多く、完成した作例は大型かつ情報量の多い物となりました。

■本体の製作
 主要な素材は、主にタミヤ製プラ板(1.5mmや2.0mm)を使用します。まずは、何といっても両サイドの半球状ボディから製作を進めます。ここはバルサ材を削り出した原型に熱したプラ板を押し当てる、バキュームフォームで大まかなカタチを成形します。私の場合は電気ストーブを使用し、プラ板全体をゆっくり過熱する方法で行いますが、部屋の中で熱加工する場合は特に注意が必要ですね。そうして出来上がった芯材に、二次加工を施し、さらに複製して上下を合わせて、大型のブロックを成形します。基本的に左右対称で、上下も対称に近いデザインなので、同型のパーツは複製して必要数を揃えます。しかし大型モデルゆえにパーツ点数は膨大な数量となりますね。そこで重要なのがパーツの管理。さまざまななサイズのケースを用意して、なくさないように注意して管理しておきます。左右のブロックがカタチになってきた段階で、センターの本体ブロックの製作に移行します。とにかくこの本体がすべての中心であり、特に重要なパーツとなります。水平垂直の歪みがないように注意して、プラ板の箱組みを行いますが、プラ板工作の基本を見直しながらの製作となりますね。各種の精密計測工具を使って、正確な工作を目指して仕上げます。また、この段階で専用のディスプレイ台を製作しておきます。

■その他の製作
 大型ブロックの集合体であるかのようなデザインなので、各ブロックの大きさ等が特に重要となります。あらゆる角度から見ても、まとまりがあるように、パーツ単位で調整を繰り返しながら製作を進めます。本体に設置する、頭部や脚部、ブースター等は慎重にサイズや角度を決定し、設置していきます。各所の接続箇所には内径5mmのポリキャップを使用し、5mmプラ棒にて接続しています。取り付けや取り外しが容易となるように調整しておき、撮影時や展示の際に、取り扱いがしやすいように配慮しておきます。

■ガンダム
 月刊ホビージャパン3月号にて製作した「パーフェクト・ガンダム」ですが、ブラウ・ブロとのドッキングに関して、専用の接続アタッチメントを製作しています。ここで気を付けたのは、出来るだけ本体に近い位置へ固定出来るように、アタッチメント部分はコンパクトにしておくこと。かなりシビアな設計となりますが、より一体感が出るように調整しております。

■塗装
 コミックのカラーを意識しつつ、カラーイラスト等を参考に、色合いを吟味して本体色を決定します。基本的にMr.カラーを使用し、まずはベースグレーから立ち上げる、グラデーション塗装としています。塗装後に各所へデカールを貼り付けて、はがれないようにクリアーコートしておきます。

■あとがき
 今度スペリオールで連載が始まるガンダムシリーズの、ジムの製作をお願いしたいのです。
「はい、いいですよ~♪」
 と、デザイン画も見ずに軽く答えてしまったことから始まった私的なサンダーボルトとの関係ですが、ついに10年も経ちましたか。漫画原作から始まって、アニメ映像化され、プラキットの展開へも発展し、まさか、こんなに息の長いシリーズになるとは、当初は想像出来ませんでしたね。これもひとえに、多くのガンダムファンから支持され続けて来た結果だと思います。独特の世界観や、より現実的な要素を取り入れたメカデザインは、連載開始前に受け取った資料からも理解できました。「これはヤバいのがはじまるなあ」と感じましたねえ。今後とも微力ながら応援させていただきます。

動画はこちら

1/144スケール スクラッチビルド

パーフェクト・ガンダム(GUNDAM THUNDERBOLT Ver.)& MAN-03ブラウ・ブロ(GUNDAM THUNDERBOLT Ver.)

製作・文/竹内陽亮

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©Yasuo Ohtagaki 2022 ©創通・サンライズ

竹内陽亮(タケウチヨウスケ)

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