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スミ入れ&部分塗装の救世主! エナメル塗料の種類と性質をご紹介!

2022.09.15

エナメル塗料 月刊ホビージャパン2022年10月号(8月25日発売)

スミ入れ&部分塗装の救世主! エナメル塗料の種類と性質をご紹介!

エナメル塗料

 スミ入れというテクニックで頻出するのがエナメル系塗料。下地塗料(ラッカー系塗料が主)に影響しないという性質を買われての起用ですが、じつはノビがよく均一に流れていく、という性質が重用されるひそかな理由でもあります。また、エナメル系塗料の性能の高さは、本来メインの塗料としても使えるレベルの強さがあります。性能が高いゆえにちょっとした汚しであったり、フィルタリングであったりとさまざまなところで活躍ができるのです。秘めたるエナメル系塗料の性質を見てみましょう。

エナメル塗料の特徴

 エナメル系塗料は空気と反応して乾燥する方式で、他の塗料と乾燥の仕方が異なるので重ねたときに影響しにくい性質となっています。そのためスミ入れなど上塗り用途でよく使われます。塗料のノビもよくツヤも出しやすいのですが、乾燥自体は早くはないので長めに時間をとりましょう。また応力のかかったプラスチックに溶剤が浸透して割れるという現象がみられるので、とくに可動部分などでの扱いには注意してください。


タミヤカラー エナメル塗料

●発売元/タミヤ●165〜220円(新価格220〜264円※)

 どこの模型店でもほとんど取り扱いのある、入手性抜群のエナメル系塗料がタミヤエナメル塗料です。ベーシックな色から、ミリタリー系の色まで多彩なラインナップがあります。四角い縦長の瓶で、中身は筆塗りには多少濃い程度の濃度になっています。隠蔽力も高く、何回か塗ればホワイトでも下地を問わずに発色します。エナメル系で塗装した場合スミ入れをどうするかというのがありましたが(クリアーをかけるなども解決策のひとつ)、現在では油彩系などのマテリアルも増えたのでその悩みも解消されました。

※2022年9月1日以降のメーカー出荷分より新価格になります。

タミヤエナメルの特徴

 抜群の伸びの良さと、ラッカー塗料の上から塗っても塗膜を侵しにくい性質で、主に細部塗装に使われています。専用溶剤で薄めれば、スミ入れが可能。伸びの良さから平滑な塗面を作りやすいので、エアブラシ塗装で楽しむモデラーも増えています。


ツヤ消しと光沢があります!

▲タミヤの塗料は型番にFがつくとフラット、ツヤ消しになります。ツヤ消しとノーマルとではそれぞれで色の印象も変わるので、塗る場合は欲しい仕上がりに合わせて選んでいきましょう

スミ入れでも塗装でも溶剤は必要です

▲どの塗料でも溶剤はセットで買いましょう。タミヤのエナメル系溶剤のボトルは青いキャップが目印です。中身はシャバシャバの液体で、ちょっと灯油のような臭いもします。スミ入れ用途でエナメル系溶剤を使う場合は、塗料以上に溶剤を使うので、この大きなボトルを買うとよいでしょう

流行りのメッキ調塗料は、エナメルクリヤーでコートしよう!!

▲下地に影響しないという性質を活かすと、メッキ調塗料のコーティングにもエナメル系塗料は活躍します。航空機モデルの翼端灯などはラッカー系のシルバーを地に敷いて、上にエナメル系クリアー色を筆で軽く塗ってクリアー感を演出する方法はおなじみとなっています

クリヤーカラーは揃えたい!

▲エナメル系塗料のクリアーはかなり強力です。ツヤ消しのパーツにクリアーを筆で塗るとそれがテロっとしたツヤになります。筆でもツヤが簡単に出せるのが強みで、色のついたクリアーは、灯火類のクリアー感を演出するのにとても役に立ちます

伸びの良さで筆塗りが超楽しい!!

▲エナメル系塗料は適切に濃度を調整すると、ノビがよく隠蔽力も高い、まさに筆塗りで理想的な塗料になります。部分塗装でもよいのですが、エナメル系塗料は脇役にするにはもったいないぐらいの性能を持っているのです

ガイアエナメルカラー

●発売元/ガイアノーツ●275円〜

 ラッカー系塗料で名を馳せたガイアノーツから、新たに発売されたのがエナメル系塗料です。高品質なエナメル系塗料のほかに、面白い性質を持たせた汚し用塗料など、いままでなかったエナメル系塗料を揃えてきました。乾燥が早くなっているのが特徴で、さらに溶剤も速乾性を重視したものが用意されています。

基本色のツヤは光沢!!

▲最初に発売されたのがこの5色。ガイアノーツの塗料は基本光沢が多めです。エナメル塗料でも基本色は光沢で、ツルッとしたツヤになります

ガイアエナメルカラーの特徴

 エナメル塗料としては乾燥が早く、そして塗膜もシャープに仕上がります。また初期5色をかけ合わせればどんな色も作れるということで、少数精鋭のラインナップになっています。そこに加わったのが蛍光色、そしてウェザリング用のカラーと、系列の異なる特色のようなアイテムも用意されています。そして近年ではキャラクターものを志向したピンポイントの色も出ており、単体で使いやすいアイテムも増えています。

混色して色を作ろう!!

 シアン、マゼンタなどの名前でピンと来た人もいるでしょうが、これらはインクの原色になります。それぞれを混色することで、基本的な色を作り出せます。イエローがちょっとだけ弱いので、イエローは多めで、シアンやマゼンタは少しずつ混ぜる、というのがポイントです。そして明度はホワイトとブラックで調整します。

マゼンタ

▲マゼンタは赤系の色を司ります。シアンと混ぜれば紫に。どんな色にも赤みを足す役目です

イエロー

▲イエローはその名の通り、黄色方向へ効果があります。シアンと混ぜると緑色になります

赤ができました!!

▲マゼンタとイエローと混ぜると赤になります。イエローを多めにするのがポイントです。丁寧に塗り重ねていきましょう

半光沢の蛍光カラーシリーズ!!

 蛍光カラーは独特の鮮やかさをもち、スミ入れやワンポイントでも主張できる強さを持っています。拭き取りがしやすいので、クリアーパーツにも恐れずにスミ入れや塗装ができます。そしてブラックライトを当てると光るなど面白い効果もあります。エナメル系塗料にいままでなかった蛍光カラーが加わったことで、より世界が豊かになったのは間違いありません。


速乾のエナメル溶剤

▲ガイアノーツのエナメル系塗料は乾燥が早いほうですが、さらに速乾の溶剤があります。これはプラスチックに溶剤が浸透して割れる前に、溶剤を乾燥させるという考えで作られたもので、応力がかからないようにするなど対策の組み合わせで割れる可能性を下げるアイテムです

ガイアエナメルカラー ウォッシング用カラー
詳細はウェザリング用塗料

▲中に小さなチップを入れて立体感を持たせたり、オイルのツヤ感を表現したりと、この5色は新感覚のウェザリング塗料となっています

フレームアームズ・ガールカラーに潜むウェザリング色

▲キャラクター関連の塗料ですが、雨だれのストレーキと、サビのブラウンという正統派の汚し塗料。もちろんスミ入れでも使いやすい色です


NAOKIプロデュースのナイスカラー!!

▲モデラーが使いやすい色を作るシリーズ。スミ入れに使いやすい2色と、ワンポイントで入れたいギラッとしたシルバーがリリースされています

スミ入れ&部分塗装にチャレンジ!!

 下地に影響を与えないという特性を利用して、エナメル系塗料でよく行われるのが“スミ入れ”です。パーツのスジ彫りや凹部に濃い塗料を流し込むことで、パーツの立体感を強調します。ディテールの高精細化が進む昨今、どこのパーツにもちょうどよいスミ入れポイントがあるので、エナメル系塗料を使った塗装は効果が抜群です。ただし可動部や応力のかかるパーツは割れる可能性があるので注意してください。

タミヤカラー エナメル塗料

ライトグレイは至高のスミ入れカラー

▲今回使用するのはタミヤエナメル塗料のライトグレイ。絶妙な濃さのグレーが、特に白い下地にマッチします。白系下地のスミ入れ用色としてもおすすめです。そしてもちろん溶剤も用意しておきましょう。溶剤多めで薄めるので、そのための皿も必要になります
▲まずは塗料を溶剤で薄めます。塗料1に対して5~10の溶剤でシャバシャバに薄めます。5倍はかなりくっきりめで、10倍はよく流れます
▲パーツのくぼんだ部分に筆をつけると、スッとモールドに塗料が流れていきます。はみ出しても気にせず、手早くどんどんディテールに流し込みましょう
▲はみ出た余計なぶんは、30分ほど置いたのち溶剤を含ませた綿棒でぬぐえば取れます。カドに残った塗料がディテールを強調します
▲パーツにスミ入れができました。全体を塗装しなくてもスミ入れはできます。ぜひライトグレイを使って、スミ入れをしてみましょう

ガイアエナメルカラー NAZCA デントグレー

▲デントグレーは黒に近い影色。スミ入れとしても、影側の塗装としても使える色です。こちらもさまざまな色にマッチする、最初の一本としてオススメです。それでは実際に使ってみましょう

▲こちらも溶剤を5倍で希釈してシャバシャバにして、スミ入れをしてみましょう。ディテールにスッと流れる濃度なら、一気に進んでいきます。乾燥を待ちます
▲乾燥したら溶剤を含ませた綿棒でぬぐいます。濃い色ですが、ブラックのように強すぎる色ではなく、絶妙にマッチするギリギリのグレー。ディテールを魅せます
▲今度は拭き取りをからめた部分塗装をしてみましょう。まずは塗料と溶剤を1:1、エアブラシの濃度に調整して吹き付けていきます。仕上がりからちょっとはみ出るぐらいで均一になるように塗装しましょう
▲スミ入れ同様綿棒で拭き取っていきます。が、拭き取りすぎないように、ちゃんとエッジが見られるほぐれにくい綿棒を使いましょう。塗料が残るようになったら、またキレイな綿棒に交換します
▲こんな感じでパーツの凹部や装甲の裏側など、サッとエナメル系塗料で塗装して、ぬぐうことでパキッと塗り分けました。今回は影を塗るという感じの塗り分けですが、鮮やかな色の塗り分けもできますね

ホビージャパンモデラーズ エナメルカラー

●発売元/ホビージャパン

 ホビージャパンのオリジナルツールブランド・ホビージャパンモデラーズの「HJモデラーズカラーシリーズ」。こちらにラインナップされているエナメルカラー各種は、キャラクターモデルのスミ入れや部分塗装にちょうどよい色味に最初から調整されています。黒やグレーだけでスミ入れするよりも、プラモに色気や表情が出せるんです。

エナメルセット01 リアルロボット専用カラーセット

●1980円

 紫がかったグレーや、渋めの赤や青、明るめのオレンジがラインナップされています。成型色やメインカラーごとに使い分けることで、自然な影を表現できます。

一味違うスミ入れを楽しめます!!

▲黒やグレー、ブラウンだけがスミ入れの色ではありません。青や紫などを使ってもとっても面白い表情が出せます。混色なしでもこの塗料はそれが楽しめます。色味も絶妙!

HJグレーS

▲この4本の中で一番汎用性が高い色。特に白い成型色や白で塗ったパーツにすっと流すと、絶妙な影色になるんです

HJレッドS

▲レッドブラウンとまではいかないものの、ちょっと暗めに調整されている赤。黄色いパーツや明るめの赤いパーツ、もしくは緑のパーツなどに流してみると良いでしょう

HJブルーS

▲ビンで見るよりも少し明るいです。グレーのパーツへのスミ入れや、赤いパーツにビシッとスミ入れしたい時などに良いです

HJオレンジS

▲オレンジはスミ入れだけでなく、パーツ表面のフィルタリングにも良い素敵な色、薄めてパーツにチョンチョンと塗って拭き取るだけで、暖色な雰囲気を表現できます

エナメルセット02 アンダーアーマーカラーセット

●2200円

 パーツ裏側が影色だと、模型のアクセントになって印象が引き締まります。そんな装甲裏の色というニッチなテーマもHJモデラーズカラーからラインナップ中。エナメル塗料なので、塗装後にはみ出しを拭えばキレイに塗り分けられるのがとにかく便利!

エアブラシで塗って、溶剤で拭き取る!!

▲エナメル塗料のメリットである拭き取りを存分に活かせます。これならマスキングの必要もありません。もちろん筆塗りで塗ってもOK

UAブラウン

▲ブラウンは、赤いパーツの裏などに塗るといい感じの影色になってくれますよ

UAグリーン

▲グレーに近いグリーン。グレーよりも見え方によっては黒っぽくも見えるので、単なる黒やグレーとは異なるアクセントになります

UAグレーホワイト

▲実際の兵器でも装甲やメンテナンスハッチの裏は白やアイボリー色だったり。そんな雰囲気を楽しめる色です

UAブルーグレー

▲もっとも汎用性の高い色。どんなパーツの装甲裏にも似合います。またスミ入れにも凄く適した色なんです
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Ⓒ創通・サンライズ

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